依存症では本人の問題だけでなく、家族を巻き込み、家族も危機にさらされることがあります。そのため解決に向けて動く家族への相談や援助も大切になります。今回、依存症と家族関係の回復の段階をについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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対人援助職のためのアディクションアプローチ: 依存する心の理解と生きづらさの支援
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ジャクソンにより発表されたもので、アルコール依存症の自助グループメンバーの妻にインタビューを行い、家族との関係に一定の経過をたどる事を示したものです。
アルコール問題だけでなく、他のアディクション(嗜癖)でも当てはまることが可能です。
子供のアディクションや、祖父母のアディクションに子供夫婦と孫が関与する際にも、ジャクソン説の変化版として理解することが可能です。
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家族の否認がある時期です。
夫のアディクションに気づいているが、「これぐらいのことなら」と本人、家族ともアディクションの問題を否認します。
アディクションが進行すると、否認が崩れていきます。
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社会的孤立が起こる時期です。
アディクション問題が進行していく中で、その問題をなんとかしようと家族が努力をしますが、結果が出ず不全感が強くなります。
周囲(職場、親戚など)から家族に責任があるように思われたりし、社会的な疎外感や孤立感を持ちやすくなります。
社会からの対応に傷ついたり、理解してもらうことをあきらめる中で、これらに反応しなくなり、何事もないように振る舞います。その結果、家の様子が外に伝わることはなく、また外からの情報も入らなくなります。
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家族の解体の時期です。
家族は本人のアディクション問題をやめさせようとしなくなります。
あきらめの発想になり、信頼関係が崩れていきます。夫は期待されなくなり、家族間の情緒的な交流や家庭内の役割が失われていきます。
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本人を除く家族の再構成が始まります。
夫・妻の役割分担がなくなっていきます。妻が家族の中心となり、方向性を決めていくようになります。
妻が父親の役割や家族の主人としての役割を務めたり、夫のケア役を担います。
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問題から逃避する時期です。
家族の解体が進み、妻の役割がさらに大きくなり、夫へのあきらめが大きくなります。
それでも家族として夫は家庭にいるため、混乱とストレスは続いていきます。
夫を無視したり、離婚しようとするなど現実からの逃避が見られます。
妻は子供達に「お父さんは当てにならない」などと伝えたり、「お父さんには内緒」などと父と子供のコミュニケーションを都とらないようにさせることもあります。
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本人を除く家族関係が完成される時期です。
夫との別居、または家庭内別居状態、または離婚など夫を除く形で機能する家族関係が完成します。
夫の仕事がなんらかの形で続いている場合、外からは仕事一筋の父親がいる家庭と同じように、家庭外からは家族問題が存在することがわかりません。
夫の仕事が失われている場合、妻が経済的な機能を担うため、非常に大きな負担となります。子供達は母親を助けたい、父親を退治したいなどの気持ちを外で発散しようと、様々な動きを見せることがあります。
この時期では大きなストレスと余裕のない妻と、それに対応する子供達の使うエネルギーは、相当大きなものとなります。
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再び本人を含めた家族の再再構成が行われる時期です。
家族が本来の家庭内役割や家族機能を取り戻すために動いていきます。