今回、くも膜下出血の予後予測として、退院時のFIMを予測するための式の活用についてまとめていきたいと思います。
目次
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この文献では、188例の急性期のくも膜下出血の対象者研究されています。
様々な変数が検討され、その中でも
・年齢
・Hunt &Kosnikのくも膜下出血の重症度分類
・Fisher分類
が退院時のFIMと強い相関関係があるとされています。
Grade I:
無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
Grade II:中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
Grade III:傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
Grade IV:昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともあるGrade V:深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの
(Hunt WE, Hess RM. Surgical risk as related to time of intervention in the repair of intracranial aneurysms. J Neurosurg 1968;28:14-20)
Group 1
血液の認められないもの
Group 2
びまん性または垂直の脳槽に1mm 未満の血液層
Group 3
局所的な血腫あるいは脳槽に1mm 以上の血液層
Group 4
びまん性くも膜下出血またはくも膜下出血がなくても、脳内または脳室内に血腫
Fisher group1-4は点数が大きいほど重症にはなっておらず,group1-3はくも膜下出血の程度に比例して点数が増えていますが,Fisher group4はくも膜下出血がないか非常に薄く,通常は脳内出血や脳室内出血だけがあることを示しています.
基本的にくも膜下出血があれば,脳内出血や脳室内出血の有無にかかわらず Fisher group1-3のどれかになります.
Fisherの原典の趣旨は,重度のくも膜下出血に症候性の脳血管攣縮は起こるが,脳内出血や脳室内出血だけで は脳血管攣縮は起こらない,言い換えるとFisher group3のみに症候性の脳血管攣縮が起こることでした.小宮山他「Fisher group 4 の誤解」脳卒中の外科 43: 232 〜 233,201
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くも膜下出血の退院時のFIMを予測するために必要な式としては、
退院時FIM=226.05-1.33×年齢-8.02×Hunt &Kosnikのくも膜下出血の重症度分類-9.11×Fisher分類
となっています。
この予測式の自由度調整済み決定係数(重回帰式の適合性を評価する指標)は0.431となっています。
自由度調整済み決定係数も複数の重回帰分析の結果を比較するときに使用する決定係数ですが,こちらは説明変数(独立変数)の数が等しくなくても比較可能となります.決定係数は説明変数(独立変数)の数が多くなると自動的に大きくなるという欠点を補うため,説明変数(独立変数)の数で調整した決定係数を自由度調整済み決定係数と呼びます.
http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/coefficient-of-determination.html
退院時のFIMの予測が行えるので、ある程度の方向性を決定するための材料にしたり、目標設定のために使用できる可能性があります。
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