橋小脳路

先ほど、小脳への入力には2つの脚(中小脳脚、下小脳脚)があると述べました。
その中で、橋小脳路では中小脳脚が関与します。
大脳小脳には、橋小脳路を介して大脳皮質からの情報(前頭橋路を経由したもの)が入力されます。

脊髄小脳路

四肢や体幹からの意識にのぼらない感覚情報は、脊髄小脳路を経由して脊髄小脳に入力されます。
脊髄小脳路には3つの経路があり、上小脳脚や下小脳脚を経由します。
脊髄小脳には、他にも入力される情報があり、虫部には視覚や聴覚情報が、小脳半球中間部には大脳皮質からの情報が入力されます。

オリーブ小脳路

大脳皮質や脊髄、小脳核からの感覚情報は、下オリーブ核から下小脳脚を経て対側小脳皮質に入力されます。

ワレンベルグ症候群に関する小脳症状

上記のことから、下小脳脚に関連することとして、近位筋・遠位筋の運動における実行やフィードバック機能に問題が生じやすくなることが考えられます。

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ワレンベルグ症候群における小脳失調の予後予測

下小脳脚病変における運動失調は延髄外側症候群(Wallenberg症候群)の部分症状としてみられ,一般に予後は良好とされている.
秦らは151例の同症候群の文献例を整理して運動失調の回復は平均10週間であったと報告しており,CurrierらもWallenberg症候群における運動失調は良く代償されると述べている.
本検討における同症候群の運動失調は23/26例(88%)では6ヵ月以内に消失し,3/26例(12%)では発症から12ヵ月の時点でまだ観察されたがその程度は軽度であり以後も改善が認められた.
病変との関連では,延髄外側部の限局性病変(PICA群1型;20例)と小脳へ及ぶもの(PICA群II型;6例)とで回復の経過には差はみられず,ともに良好であった.
以上より,下小脳脚病変による運動失調の予後は良好であると思われる.

桑原聡 他「小脳・小脳脚梗塞における運動失調-運動失調の予後および小脳内体性局在について-」脳卒中 15巻2号 (1993 : 4)

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