立方体透視図と言えば、評価できるものとして視空間認知や構成能力が有名だと思いますが、遂行機能(行為プランニング)も評価できると言われています。今回、立方体透視図模写課題における遂行機能(行為プランニング)評価方法と結果の解釈について、まとめていきたいと思います。
目次
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遂行機能とは、柔軟な方法である目標を達成するための様々な処理が協調的に行われた結果、もしくは人が自立して目的のある行動をうまく行うことができるようにする機能とされています。
これにより、人は新しい環境に適応し、目標達成を可能にします。
意思決定、問題解決、企画、課題の切り替え、新しい情報に照らし合わせた行動の変容、自己修正、新しい方略をつくる、目標形成、複雑な行動の順序立てなどの機能を含みます。
私たちが生活を送る上では、指示の内容や今ある環境を把握し、それまでの思考や発想をこだわることなく柔軟に変化させ、今取るべき行動を判断・実行するといった能力が必要であり、これはまさに遂行機能が関わる部分だと言えます。
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遂行機能評価に用いられる主な評価バッテリーとしては、
・FAB(前頭葉機能検査)
・前頭葉性行動質問紙(FBI)
・BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)
・Wisconsin Card Sorting Test
・ストループテスト
・語流暢性課題(語想起)
・Trail Making Test(TMT)
・ギャンブリング課題
・ハノイの塔課題
・ティンカートイテスト
などがあります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
前頭葉損傷(遂行機能障害)に対する評価と作業療法、リハビリテーションアプローチ
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立方体透視図模写課題は、非言語的に視空間認知機能・構成能力を評価することが可能です。
立方体透視図模写課題は、BIT(行動性無視検査)においても登場しますが、無視と言語性知能低下により低下するとされており、無視の重症度においては左側の正しい頂点の数と負の相関があると言われています。
次に、図形(立方体透視図)を模写する際の過程を作業分析をしていきます。
①手本を見る
②手本の認知(思考・判断:12本の線がどのように繋がっているか、立体になっているかなど)
③どのように描くかを考える(計画のプログラミング)
④図形を描く(モニタリング(どこを書いているか、線が正しく描けているかなど)しながら実行)
①の工程では、選択的注意(前頭葉)を働かせながら手本を見ます(後頭葉)。
②の工程では、立体認知(頭頂葉)、立方体の概念とその記憶の引き出し(側頭葉)、関係性の統合(前頭葉)。
③の工程では、遂行機能(前頭葉)
④の工程では、遂行機能(前頭葉)
がそれぞれ関与すると思われます。
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立方体透視図模写の採点方法には、様々なものが考案されているようですが、今回は、作田式(2016)を紹介します。
これは、「失敗なし学習と能動的活動が認知症者に与える影響について-評価指標の定量化および介入プログラムの開発と効果の検証-」にあるもです。
作田式では、1辺7cmの立方体透視図を模写します。
立方体透視図模写の採点として、形の採点(7点)、線の採点(12点)、角の採点(8点)の合計27点満点で採点します。
採点方法の詳細は先ほどの論文で紹介されています。
作田式による立方体透視図模写の採点方法では、信頼性や妥当性が高く、またHDS-RやMMSEともかなり強い相関関係があるとされています。
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立方体透視図模写では、その結果を採点することも大切ですが、その過程でどのような現象が見られたかを分析することも必要です。
例えば、描きはじめは手本通りに描けていたが、途中から上手く描けない例があるとします。
この場合、前途した作業分析から考えると、
・選択的注意(前頭葉)を働かせながら視覚機能を活用して手本を見ることは可能
・立体認知(頭頂葉)、立方体の概念とその記憶の引き出し(側頭葉)、関係性の統合(前頭葉)は可能。
・どのように描くかを考える(計画のプログラミング)ことは可能
・どこを書いているか、線が正しく描けているかなどのモニタリングにエラーが出現
していることが考えられます。
このように、立方体透視図の結果を見るだけでなく、その経過を見ていくことも大切な評価ポイントになります。
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