作業療法では、作業分析を通じて対象者が適切な難易度で作業を遂行できるようにしていくことが大切であり、作業療法しの強みであると言えます。今回、塗り絵の難易度設定や段階づけの考え方、方法についてまとめて行きたいと思います。
目次
塗り絵に関することは、以前にも記事にしたことがありました。
リハビリとしての塗り絵の効果的な活用法
塗り絵の作業分析を行うと、以下のようなことが特徴として挙げられます。
・年齢や性別を問わない
・過去の経験を生かすことができ取り組みやすい
・図案が決まっている構成的作業
・身近な道具により行え価格も控えめ
・広いスペースを取らずに行える
・図案の細かさなどにより作業の段階付けが可能
・中断や再開がいつでもできる
・作品として残り、達成感も得られやすい
・線上に色をつけ縁取りする能力があれば行える
・縦横斜めへの様々な方向への往復運動
塗り絵では、以下のような脳機能が使用されると考えられています。
・後頭葉で下絵を見定める
・前頭連合野で「ぬる」ことのプランを立る
・運動野で「ぬる」ことを遂行する
・過去にみた名画や色を混ぜたときの記憶も使いながら作業をすすめる(側頭葉)
・ぬったところを再確認し、必要なら修正を加え、作品を仕上げる(モニターや修正、加筆)
塗り絵の効果としては、以下のようなことが挙げられます。
・知的な面への働きかけ
・集中力や注意力、手指の巧緻性や手と目の協調性への働きかけ
・現実世界との接点を得ることができる
・達成感を得られる
・本人の自信につながる
・他者からの賞賛の機会を得ることが可能
・趣味としての活動や楽しみ、充実感を得ることが可能
塗り絵をリハビリテーションでの作業活動として用いる場合、塗り絵の難易度設定として以下のような要素を把握しておく必要があります。
・図柄の配色の量(多い>少ない)
・配色の複雑さ(グラデーションの有無)
・構成の緻密さ(パーツの重なり具合)
・題材のデフォルメ(リアル>単純化)の程度
・色見本の提示の有無
・色鉛筆の数(12色とするか24色とするか)
・塗り絵の作業遂行を対象者に任せるか、セラピストが選ぶか
「失敗」は良い面や悪い面の両方がありますが、「失敗」が対象者の意欲を削いでしまうことは避けなければなりません。
塗り絵における失敗には以下のようなことが考えられます。
・色の選択できない
・塗る場所を判断できない
・持続して取り組むことができない
これらの失敗に対しては、セラピストが介入をし、失敗を事前に防ぐことが求められます。
「色の選択できない」に対しては、色の選択をセラピストが行うことや、対象者が手に届かないような場所に色鉛筆を置いておく必要があります。
「塗る場所を判断できない」に対しては、塗る場所を指示することや、塗る場所以外を隠すなどの対応が必要です。
「持続して取り組むことができない」に対しては、手が止まりそうになったら都度声かけを行うことや、持続すること自体がストレスになる場合は、その日に行う範囲を伝えるなどの対応が必要になります。
以上のことから、塗り絵作業を導入する際においての難易度設定と段階づけは、以下の点に注意します。
・対象者のレベルが高い場合
→図柄の配色の量の多い課題
配色が複雑でグラデーションもある課題
パーツが重なっている課題
リアルさのある題材
色見本を提示しない(過去の記憶や想像力(イメージ力)を活用)
色鉛筆の数を多くする
・対象者のレベルが低い場合
→図柄の配色の量の少ない課題
配色が簡単でグラデーションがない課題
パーツが重なっていない課題
リアルさの低い(単純)題材
色見本を提示する(真似てもらう)
色鉛筆の数を少なくする
対象者のレベルに合わせるのであれば、能力がさらに低い場合は単純な課題において、例えば花の花びら部分を切り取ったものを渡し、それを1本の色鉛筆で塗ってもらい、後から貼り付けて作品として完成させるとい方法を取る場合もあります。