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心電図で見るVPC/PVCとは?モニター波形の特徴とリハ中の注意点

心電図モニターを見ていると、「VPC」「PVC」と表示されることがあります。

VPC/PVCは、心室期外収縮のことです。簡単にいうと、通常の心拍リズムとは別に、心室から早めに出てしまう拍動です。

リハビリ場面では、VPCを見つけたときに、

「これは様子を見てもよいのか」
「リハを止めるべきなのか」
「看護師や医師に報告すべきなのか」

で迷うことがあります。

大切なのは、VPCそのものを見つけることだけではありません。

単発なのか、頻発しているのか。
症状を伴っているのか。
運動中に増えているのか。
基礎心疾患や心不全、電解質異常などの背景があるのか。

ここまで含めて判断することが重要です。

“頻発”の回数基準は施設や状況によって異なります。リハビリ場面では、単純な回数だけでなく、安静時より増えているか、運動負荷で増えるか、症状を伴うか、血圧やSpO2の変化を伴うかを確認します。

状況リハ対応の目安
単発、無症状、バイタル安定観察しながら継続を検討
安静時より増える負荷量を下げて再確認
運動中に増える一度休息し、継続可否を判断
動悸・胸痛・息切れ・めまいあり中止し、看護師・医師へ相談
連発、多形性、R on T疑い中止し、速やかに報告
血圧低下、SpO2低下、冷汗あり中止し、緊急性を含めて報告

この記事では、心室期外収縮(VPC/PVC)の基本、モニター心電図での見方、リハビリ中に確認したいポイントを整理します。

目次

この記事で分かること

この記事では、以下の内容を整理します。

  • VPC/PVCとは何か
  • モニター心電図でVPCを見分けるポイント
  • 間入性VPCと代償性休止を伴うVPCの違い
  • リハ中にVPCを見つけたときの確認ポイント
  • 注意が必要なVPCの見方
  • 看護師・医師へ相談した方がよい場面

心室期外収縮(VPC/PVC)とは

心室期外収縮とは、通常の刺激伝導とは別に、心室側から早めに興奮が出る不整脈です。

通常、心臓の電気刺激は以下のように伝わります。

  1. 洞結節
  2. 心房
  3. 房室結節
  4. ヒス束
  5. 右脚・左脚
  6. プルキンエ線維
  7. 心室

この流れに沿って電気刺激が伝わることで、心房から心室へ順番に収縮が起こります。

一方、VPC/PVCでは、心室側から予定より早く興奮が出ます。そのため、通常の刺激伝導とは違うルートで心室に興奮が広がります。

その結果、心電図上では「早く出る」「QRS幅が広い」「形が通常のQRSと違う」といった特徴が出やすくなります。

VPCとPVCの違い

VPCとPVCは、臨床ではほぼ同じ意味で使われることが多いです。

表記意味
VPCVentricular Premature Contraction
PVCPremature Ventricular Contraction

どちらも、日本語では「心室期外収縮」または「心室性期外収縮」と表現されます。

現場では、モニター表示や資料によってVPCと書かれていたり、PVCと書かれていたりしますが、基本的には同じものとして理解して問題ありません。

モニター心電図でVPC/PVCを見分けるポイント

VPC/PVCを見るときは、まず以下の3つを確認します。

見るポイント所見理由
出現タイミング予定より早く出る通常の洞調律より早く心室から興奮が出るため
QRS幅QRS幅:幅広いQRSになることが多い
目安として、QRS幅が0.12秒以上になることがある
通常の刺激伝導系を通らず、心室内をゆっくり伝わるため
波形の形普段のQRSと形が違う心室の興奮の広がり方が通常と異なるため

つまり、VPC/PVCは、

VPC/PVCは、心電図上では「予定より早く出る」「幅広いQRS波になる」「通常のQRSと形が違う」「先行するP波を伴わないことが多い」という特徴があります。

として捉えると分かりやすいです。

ただし、モニター心電図だけで全てを判断するのは危険です。アーチファクト、体動、電極外れ、基礎波形の乱れでも、VPCのように見えることがあります。

そのため、波形だけでなく、患者さんの表情、症状、脈拍、血圧、SpO2、運動負荷との関係を合わせて確認します。

間入性VPCとは

間入性VPCとは、2つの正常な洞性拍動の間に挟まるように出現し、明らかな代償性休止を伴わないVPCです。
つまり、VPCが1拍入り込んでも、次の洞性拍動が大きく遅れずに出るタイプです。

通常のQRSとQRSの間に、余分なQRSが1つ挟まるように見えるため、「間に入るVPC」と考えると理解しやすいです。

間入性VPCでは、VPCが出たあとも、次の洞調律のタイミングが大きく崩れないことがあります。

リハビリ場面では、間入性かどうかだけで安全性を判断するのではなく、以下を合わせて確認します。

  • 単発か、頻発しているか
  • 運動中に増えているか
  • 動悸、胸部不快感、息切れ、めまいがあるか
  • 血圧低下やSpO2低下を伴っていないか
  • 基礎心疾患や心不全の既往があるか

代償性休止を伴うVPCとは

VPCのあとに、次の正常な拍動まで少し間が空くことがあります。これを代償性休止といいます。

VPCが早く出たあと、一拍分のリズムを調整するように間が空くため、患者さんは「ドキンとする」「脈が飛んだ感じがする」と表現することがあります。

種類見え方ポイント
間入性VPC通常のQRSの間にVPCが挟まる次の拍動への影響が比較的小さいことがある
代償性休止を伴うVPCVPCのあとに間が空く脈が飛ぶ感じや強い拍動感として自覚されることがある

重要なのは、代償性休止があるかどうかだけではありません。

患者さんに症状があるか、頻回に出ているか、運動で増えているか、心疾患の背景があるかを確認することが必要です。

VPC/PVCの症状

VPC/PVCは、症状がないこともあります。

一方で、症状がある場合は以下のように表現されることがあります。

  • 脈が飛ぶ感じ
  • 胸がドキッとする感じ
  • 動悸
  • 胸部不快感
  • 息切れ
  • めまい
  • ふらつき
  • 気分不良
  • 強い疲労感

リハビリ中にVPC/PVCを認めた場合は、心電図波形だけでなく、自覚症状を必ず確認します。

特に、胸痛、強い息切れ、冷汗、めまい、失神しそうな感じ、血圧低下を伴う場合は、リハビリを継続せず、速やかに看護師や医師へ相談する必要があります。

リハビリ中にVPC/PVCを見つけたら確認すること

リハビリ中にVPC/PVCを見つけた場合、まず以下の順番で確認します。

1. 本当にVPCなのかを確認する

最初に、モニターの波形が本当にVPCなのかを確認します。

  • 電極が外れていないか
  • 体動によるノイズではないか
  • 筋電図の混入ではないか
  • モニター表示だけでなく実波形を確認したか
  • 橈骨動脈などで脈拍も確認したか

モニターの自動判定だけに頼ると、アーチファクトをVPCと誤認することがあります。

2. 症状の有無を確認する

次に、患者さんの症状を確認します。

「胸が痛いですか?」
「動悸はありますか?」
「息苦しさはありますか?」
「めまいやふらつきはありますか?」
「気分が悪くないですか?」

症状がある場合は、波形の数が少なくても慎重に判断します。

3. VPCの出方を確認する

VPCの出方も重要です。

  • 単発か
  • 頻発しているか
  • 2連発していないか
  • 3連発以上していないか
  • 3連発以上の場合は、非持続性心室頻拍として扱われることがある
  • 形が同じか、多形性か
  • R on Tのように危険なタイミングで出ていないか
  • 運動負荷を上げると増えるか
  • 休むと減るか

単発で無症状の場合と、運動中に増える頻発VPCでは、意味が大きく異なります。

4. 背景疾患と全身状態を確認する

VPC/PVCは、心疾患がない人でも見られることがあります。

ただし、以下の背景がある場合は注意が必要です。

  • 心筋梗塞の既往
  • 心不全
  • 心筋症
  • 弁膜症
  • 低酸素
  • 発熱や感染
  • 脱水
  • 電解質異常
  • 貧血
  • 睡眠不足や強い疲労
  • β刺激薬、利尿薬、抗不整脈薬などの薬剤変更

リハビリ場面では、「VPCだけ」を見るのではなく、「VPCが出やすい身体状態になっていないか」を確認することが大切です。

注意が必要なVPC/PVC

以下のようなVPC/PVCは、リハビリを一度止めて、看護師や医師へ相談した方が安全です。

  • 新しく出現したVPC
  • 頻回に出るVPC
  • 2連発以上するVPC
  • 多形性VPC
  • R on Tが疑われるVPC
  • 運動負荷を上げると増えるVPC
  • 胸痛、動悸、息切れ、めまいを伴うVPC
  • 血圧低下やSpO2低下を伴うVPC
  • 心不全や虚血性心疾患の悪化が疑われる場合

特に、R on Tや連発するVPCは、より危険な不整脈につながる可能性があるため注意が必要です。

関連する内容として、以下の記事も参考にしてください。

VPC/PVCがある人のリハビリは中止すべきか

VPC/PVCがあるからといって、必ずリハビリを中止するとは限りません。

単発で、症状がなく、血圧やSpO2が安定しており、主治医から運動制限が出ていない場合は、観察しながらリハビリを進められることもあります。

ただし、以下の場合は中止または負荷量を下げて、看護師や医師へ相談します。

  • 動悸や胸部症状が出た
  • 息切れが明らかに増えた
  • めまいやふらつきが出た
  • 血圧が低下した
  • SpO2が低下した
  • VPCが頻発または連発した
  • 運動を続けるほどVPCが増えた
  • 患者さんが不安を訴えた
  • いつもと違う波形が出た

リハビリで重要なのは、「VPCが出たかどうか」だけではなく、「そのVPCが患者さんの状態変化と結びついているか」を見ることです。

現場での判断の流れ

リハビリ中にVPC/PVCを認めた場合は、以下の流れで考えると整理しやすくなります。

  1. 波形を確認する
  2. 電極外れや体動ノイズを除外する
  3. 脈拍を触れて確認する
  4. 症状を確認する
  5. 血圧、SpO2、呼吸状態を確認する
  6. 単発か、頻発か、連発かを確認する
  7. 運動負荷との関係を見る
  8. 必要に応じてリハビリを中止または負荷を下げる
  9. 看護師・医師へ報告する
  10. 次回以降のリハビリ条件を共有する

報告するときは、単に「VPCが出ました」だけでは不十分です。

以下のように伝えると、状況が伝わりやすくなります。

「歩行練習中にVPCが単発で数回出ました。胸痛やめまいはありません。血圧とSpO2は安定しています。休息で消失しました。」

または、

「立位練習中にVPCが頻発し、動悸と息切れの訴えがありました。休息後も続いています。リハビリは中止しています。」

このように、波形、症状、バイタル、運動負荷との関係をセットで伝えることが重要です。

まとめ

心室期外収縮(VPC/PVC)は、心室から早めに興奮が出る不整脈です。

モニター心電図では、通常より早く出現し、幅広いQRS波として見えることが多いです。

リハビリ中にVPC/PVCを見つけたときは、波形だけで判断せず、症状、バイタル、頻度、連発の有無、運動負荷との関係、基礎心疾患の有無を合わせて確認します。

単発で無症状なら経過観察できることもありますが、頻発、連発、R on T、症状を伴う場合、運動中に増える場合は注意が必要です。

「VPCがあるか」ではなく、「そのVPCが今の患者さんにとって危険な変化か」を見極めることが、リハビリ場面でのリスク管理につながります。

FAQ

VPCとPVCは同じ意味ですか?

臨床では、ほぼ同じ意味で使われることが多いです。どちらも心室期外収縮を指します。モニターや資料によってVPCと表示されたり、PVCと表示されたりします。

VPC/PVCが出たら、リハビリは必ず中止ですか?

必ず中止とは限りません。単発で症状がなく、血圧やSpO2が安定している場合は、観察しながら進められることもあります。ただし、症状を伴う場合、頻発・連発する場合、運動中に増える場合は中止または負荷量を下げ、看護師や医師へ相談します。

VPC/PVCで患者さんが「脈が飛ぶ」と感じるのはなぜですか?

VPC/PVCが早く出たあとに、次の拍動まで少し間が空くことがあります。そのため、患者さんは「脈が飛んだ」「胸がドキッとした」と感じることがあります。

危険なVPC/PVCにはどのようなものがありますか?

頻発するVPC、2連発以上するVPC、多形性VPC、R on Tが疑われるVPC、胸痛や動悸、息切れ、めまいを伴うVPC、運動負荷で増えるVPCは注意が必要です。

モニターがVPCと判定したら、そのまま信じてよいですか?

モニターの自動判定だけで判断するのは危険です。電極外れ、体動、筋電図の混入などでVPCのように見えることがあります。実波形、脈拍、症状、バイタルを合わせて確認することが大切です。

心室期外収縮(PVC、VPC)は、心室内で早期興奮が生じている状態です。今回、心室期外収縮(PVC、VPC)におけるモニター心電図に見方を確認していきたいと思います。

参考文献

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    https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf
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    https://litfl.com/premature-ventricular-complex-pvc-ecg-library/
  6. Lee V, Perera D, Lambiase P. Prognostic significance of exercise-induced premature ventricular complexes: a systematic review and meta-analysis of observational studies. Heart Asia. 2017;9(1):14-24. doi:10.1136/heartasia-2016-010854

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