老化による筋肉量の減少は知られていますが、それを防ぐ手段をご存知でしょうか。今回、老化による筋肉量の減少とウォーキング歩数の目標設定についてまとめていきたいと思います。
目次
「サルコペニア診療ガイドライン2017」を踏まえた高齢者診療
筋肉量の加齢による変化は、おおよそ40歳以降で生じ、緩やかに減少していきます。
40歳頃の時点では筋肉量の現象を感じているのは少ないのが現状です。
70歳を超えたあたりから自覚症状が生じ、日常生活動作にに制限をきたすほどの状態になって、ようやく対策を取らないといけないと感じるようになります。
その時点まで筋肉量の減少を放置しておく事がないようにするのが理想なのですが、なかなか予防的観点から行動できることは少ないと言えます。
全身には400近くの筋肉がありますが、その全てが同じペースで筋肉量が減少や筋力低下が起こるわけではありません。
加齢に伴い萎縮しやすい筋肉
としては、
・頚部筋群
・僧帽筋
・広背筋
・腹筋群
・中臀筋
・大臀筋
・大腿四頭筋
などがあります。
これらは抗重力筋というものです。
抗重力筋は地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。
下腿・大腿・腹部・胸部・首の各部前後に張り巡らされ、前後互いに伸び縮みをしながらバランスを取っています。
立っているだけ・座っているだけでも常に抗重力筋のどれかが緊張しています。
最も疲労しやすく収縮したままになりやすい筋肉といえます。
抗重力筋は、体表近くにある比較的大きな筋肉です。
そして、TypeⅡ繊維(速筋)と呼ばれる筋繊維を多く含む筋肉が加齢に伴い萎縮しやすい事が特徴です。
高齢者では、TypeⅠ繊維(遅筋)を多く含む筋肉はは比較的残りやすいと言われています。
そのため、高齢者においては、これらTypeⅡ繊維を多く含む抗重力筋を、積極的にトレーニングする必要があるります。
しかし、高齢者にとっては個別にトレーニングする環境が少ないのが現状となっています。
高齢者が簡単に取り組みやすい運動としては、歩くこと(ウォーキング)です。
よく、健康番組などでもウォーキングが取り上げられる事が多いですが、それには理由があります。
歩くこと(ウォーキング)を行うことで、全身の筋肉が肥大することはないが、かなり多くの筋肉が働く環境を作ることができるためです。
ウォーキングをする事で、歩行に必要な筋肉に対する維持はできると考えられています。
人間は移動できる事で活動の幅が広がり、精神面の健康にも好影響を与えやすいことから、歩くこと(ウォーキング)が推奨される理由となっています。
では、ウォーキングをどの程度行うことが重要なのかを考えていきたいと思います。
ウォーキングの目標の設定 現在示されているエビデンスとしては、少なくとも◯歩までは効果が生じるだろうということです。
メタ解析によると、総死亡の抑制には7000歩、もしくは7500歩が設定されています。
これは、7000歩までは段階的に総死亡の割合を減らすことができるという意味です。
つまり、2000歩よりは3000歩、3000歩よりは4500歩という形で、段階的に総死亡の割合を抑制できているということになります。
一方で、7000歩を超えるものについては、ウォーキングにより抑制できる効果が頭打ちになるという結果が出ています。
要介護レベルを抑制するには5000歩、フレイルを抑制するには4000歩という結果が出ており、少なくとも4000歩までは、段階的に筋力低下のリスクが少なくなると考えられています。
そして、さらなる効果を期待するのであれば、ウォーキング以外のトレーニングにも取り組む必要があります。