高齢者におけるサルコペニア・フレイルと運動、タンパク質摂取の必要性
高齢者において、筋肉量や筋力の維持・向上には栄養状態も考慮する必要性があるのはご承知の通りかと思います。今回、高齢者におけるサルコペニア・フレイルと運動タンパク質摂取の必要性についてまとめていきたいと思います。
目次
高齢者におけるサルコペニア・フレイルと運動、タンパク質摂取の必要性
介護予防についてのおすすめ記事
- 筋萎縮の原因(廃用性、原疾患、飢餓、サルコペニア、悪液質)とリハビリテーション栄養
- 不活発を防ぐ!質問紙を用いて身体活動量を計測する方法!
- ロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価指標とリハビリテーション
- 栄養学を根拠としたリハビリテーションの考え方と実践方法
- 健康づくりとリハビリ!体力測定から運動の目安、運動方法!
- 筋力強化の原理原則(負荷、頻度、回数等)とリハビリテーション!
- 老化による筋肉量の減少とウォーキング歩数の目標設定
- 根拠あるダイエット法まとめ!EMS(機能的電気刺激)の根拠も教えます!
スポンサーリンク
運動とタンパク質摂取の必要性

高齢者に関わらず、様々な年齢層において、運動とタンパク質摂取の必要性が近年では言われています。
その理由として、若年者と高齢者の、運動後のタンパク質合成を比較した研究があります。
この研究では、若年者と高齢者で、同じような内容(運動メニュー、タンパク質摂取量)でトレーニングを行うと、間違いなく、高齢者の方が若年者よりも筋肉がつきにくい(タンパク質合成が生じにくい)という結果が出ています。
そのため、高齢者が若年者と同等、もしくはそれ以上のタンパク質合成を得たいのであれば、若年者以上にトレーニングを行うのが良いということになります。
しかしながら、現実的には、高強度トレーニングを高齢者に行うことは困難です。
この問題を解決するには、高強度トレーニングを行うというよりも、タンパク質の摂取量を多くするということにります。
タンパク質摂取量を多くすることで、タンパク質合成を高めようという戦略になります。
そのような戦略により、高齢者でも若年者と同等、もしくはそれ以上の効果を期待できるようになります。
そのため、タンパク質摂取の重要性の理解を深めるとともに、摂取できる環境を整えていく必要がります。
多くのタンパク質摂取と運動を併用した場合の効果

ある臨床試験では、
・多くのタンパク質摂取と運動を併用した群
・運動のみを行なった群
・タンパク質摂取のみを行なった群
において、どの程度筋力の改善率に違いがあるか見るものがあります。
それによると、運動とタンパク質摂取を並行して行なった群において筋力の改善率が高かったとの報告があります。
この臨床試験では、運動単独で筋力改善の結果が出ていないことに着目する必要があります。
スポンサーリンク
タンパク質摂取のタイミングはいつが良いのか

まずは以下の図を確認してください。

「サルコペニア診療ガイドライン2017」を踏まえた高齢者診療より引用
この図は、若年者と高齢者における、運動後の筋タンパク合成と食後の必須アミノ酸濃度についてまとめられています。
タンパク質を摂取した場合には,血中アミノ酸濃度が高まるまでにより時間が必要となり,若年者で約1時間後,高齢者では約3時間後にピークを迎える.
つまり,若年者では運動直後にタンパク質を摂取することで運動後の筋タンパク合成促進に寄与するが,高齢者では運動直後にタンパク質を摂取しても運動後の筋タンパク合成促進に寄与することが難しいことになる.

高齢者におけるトレーニング効果をできるだけ高めるには、常に(1日を通して)血中アミノ酸濃度が高まっている事が重要になります。
そうする事で、運動後のタンパク質摂取の効果を高める事が期待できます。
常に(1日を通して)血中アミノ酸濃度が高まっているような状態を保つためには、バランスの取れた食事内容が非常に重要になります。
そのため、対象者の1日の食事内容を確認したり、必要に応じて栄養指導を取り入れるなど環境設定が大切になります。
特に、朝の時間のタンパク質摂取が不足する事が多いのが現状なので、対策を立てる必要があります。
トレーニング後の筋繊維系が小さくなる対象者がいる?!

筋繊維の太さを測定した研究では、トレーニング後の筋繊維系が小さくなる対象者が報告されています。
しかし、一方で、筋力に関しては増加しているとの報告があります。
その特徴に当てはまる対象者は、機能レベルが低いような、サルコペニアやフレイルの方が該当しています。
そのため、サルコペニアやフレイルに該当する方では、タンパク質摂取を積極的に行う必要があります。
健常高齢者においては、普段の食事からでも栄養状態が比較的良好な場合が多いので、追加でタンパク質摂取を行う必要性が少なく、筋力トレーニングのみでも効果が期待できると言えるでしょう。
サルコペニア・ダイナペニアの高齢者では、栄養状態が不良なことも多く、タンパク質摂取量が足りていない場合が多いため、筋力トレーニングのみでは効果が期待しにくいことになります。
そのため、3ヶ月以上のタンパク質摂取を併用しながらトレーニングを行うことが重要となります。


