体幹は、体の中心部分にあり、体を支えることで人間の自由な動きを可能にしています。腕や足の動きがスムーズでない場合、腕や足の機能の低さの他に、土台となる体幹の機能がどうなっているかを評価する必要があります。
目次
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体幹機能が低下していると、日常生活では様々な影響が出ます。
例えば、脳卒中片麻痺になると、体幹機能が低下することがありますが、このような姿勢をよく見ます。
これは静止画ですが、実際の場面ではこのまま姿勢が崩れていくことで、転倒のリスクが大いに高まります。
車椅子移乗の場面を思い浮かべてください。
ベッドに向かって移乗したいのに、ベッドの方向とは逆方向に体が傾くとどうなるでしょうか。
中心となる足に体重がかからずパワー不足となり、うまく移乗が行えないことは目に見えています。
寝返りでも体幹機能は重要です。寝返るには腹直筋や腹斜筋の収縮が必要になります。
体幹機能が弱いと、姿勢が崩れることがわかりました。
姿勢が崩れるということは、体に付着している筋肉にも負担がかかります。
正しい姿勢であれば筋肉は筋緊張も正常に保たれますが、姿勢が崩れると筋肉は引っ張られたり伸びたりします。
それに伴い血流が悪くなり、筋肉に痛みが発生することもあります。
体が丸まっている姿勢はは高齢者・脳卒中片麻痺者によく見られますが、お腹の部分をよく見ると、内臓が圧迫されるような形になっています。そのような姿勢をとっていると、内臓機能は低下し、免疫機能も低下するかもしれません。
リハビリテーション対象者はよく便秘の訴えがありますが、もしかしたら体幹機能の改善で便秘の改善もみられるかもしれません。
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体幹機能には様々な評価方法があります。
一番有名なのがMMTでしょうか。
その中でも、よく行うのが体幹の屈曲、回旋だと思います。
体幹屈曲のMMTの評価基準は以下のようになります。
5,4,3:肩甲骨下角が台から離れる
*[5][4][3]の違いは、手の位置の違いです。
体幹回旋のMMTの評価基準は以下のようになります。
5,4,3:筋肉の働く側の肩甲骨が台から離れる
*[5][4][3]の違いは、手の位置の違いです。
これ、間違って認識している人もいたのではないでしょうか。
基本に帰るのは大事なことですね。
筋緊張の評価としては、仰向けや座位での腹部を触診することで評価します。
正常では筋肉に張りがありますが、筋緊張が低下していると何かボヨボヨした、張りのない筋肉の状態になります。
筋緊張が低下していると、筋の収縮量、収縮が行われるタイミングが低下し、動作が行いにくくなる原因となります。
評価尺度として有名なものには、トランクコントロールテスト、トランクインペアメントスケールなどがあります。
トランクコントロールテスト(Trunk Control Test)はベッド上で実施可能な体幹機能・能力の評価法です。
基本動作から評価するため、疾患や機能の回復により、点数が飽和する可能性もあります。
患側への寝返り | 0、12、25 |
健側への寝返り | 0、12、25 |
座位への寝返り | 0、12、25 |
座位保持 | 0、12、25 |
評価基準
0 | 介助を要す |
12 | 動作可能であるが、ベッドシーツを引っ張ったり、モンキーポールを使用したり、保持に手を必要とする |
25 | 正常に遂行可能 |
各評価項目の合計点は100点満点になります。
100点満点であっても、体幹機能や能力に問題がないことを保証するわけではないため注意が必要です。
先行研究では、脳卒中発症後6週において、トランクコントロールテストが50点以上であれば発症後18週の時点で歩行が可能とされています。
また、40点以下の者では、18週の時点で歩行が可能になったのは0人であったとされています。
脳卒中片麻痺者における起き上がり動作可能群と不可能群の身体機能の比較では、影響が大きい順に体幹機能、非麻痺側上肢機能、麻痺側下肢機能、麻痺側上肢機能、非麻痺側下肢機能とされています。
起き上がり動作可能群のトランクコントロールテストの平均±標準偏差は、92.0±13.0で、起き上がり動作不可能群では、43.5±33.0となっています。
起き上がり動作の筋活動の筋電図解析では、背臥位・側臥位からの起き上がりでは腹直筋の活動が認められ、また高齢者の起き上がり動作の所要時間には体幹屈曲筋力と側方リーチの重要性が指摘されています。
このことから、起き上がり動作へのアプローチには体幹機能を支点にもっておく必要性があるといえます。
Trunk Impairment Scale(A) は、体幹機能障害尺度で、脳卒中後の体幹の運動機能障害を評価することが可能です。
Trunk Impairment Scale(A) では、静止座位バランス(3項目)、動的座位バランス(10項目)、体幹協調性(4項目)を採点します。
体幹の動きの質を評価することで、リハビリテーションの指針とすることも目的としています。
各項目の開始肢位:
背と腕の支持なしでの端座位(ベッドや治療テーブル)。
大腿がベッドやテーブルに完全接触し、足は股関節の幅に広げ、床上に平らに設置します。
膝関節屈曲90°、腕は膝上にのせます。
筋緊張亢進により腕が開始肢位を取れない場合、現状の位置を開始位置とします。
頭部、体幹は正中位とします。
最初の項目で0点の場合、合計点は0となります。
各項目は3回実施可能で、最高得点が加算されます。
空白の項目はないようにします。
評価項目:
静的座位バランス
1.開始肢位
0:患者は転倒または支持なしで10秒間開始支持を保持できない
2:患者は10秒間開始肢位を保持できる
2.開始肢位(セラピストは麻痺側下肢上に非麻痺側下肢を組ませる)
0:患者は転倒または支持なしで10秒間開始支持を保持できない
2:患者は10秒間開始肢位を保持できる
3.開始肢位(患者は麻痺側下肢上に非麻痺側下肢を組む)
0:患者は転倒
1:患者はベッドまたはテーブル上で腕の支持なしに脚を組むことができない
2:患者は脚を組むが、体幹が後方に10cm以上移動したり組むのを手で介助する
3:患者は体幹の移動や介助なしに脚を組む
動的座位バランス
1.開始肢位(患者は麻痺側肘をベッドまたはテーブルに接触させ(麻痺側の短縮と非麻痺側の伸張により)、開始肢位に戻るように指示)
0:患者は転倒、上肢の支持が必要、また肘がベッドまたはテーブルに接触しない
1:患者は介助なしに活動的に動き、肘がベッドまたはテーブルに接触
*得点が0の場合、下記項目2と3の得点は0
2.項目1の繰り返し
0:患者は短縮/伸張がないか、あるいは反対側の短縮/伸張を呈する
1:患者は最適な短縮/伸張を実演する
*得点が0の場合、項目3の得点は0
3.項目1の繰り返し
0:患者は代償する。可能な代償①上肢の使用②反対側の股関節外転③股関節屈曲(大腿の近位半分以上肘がベッドまたはテーブルに接触する場合)④膝屈曲⑤足のスライド
1:患者は代償なしに移動する
4.開始肢位(患者は非麻痺側肘をベッドまたはテーブルに接触させ(非麻痺側の短縮と麻痺側の伸張により)、開始肢位に戻るよう指示)
0:患者は転倒、上肢の支持が必要、また肘がベッドまたはテーブルに接触しない
1:患者は介助なしに活動的に動き、肘がベッドまたはテーブルに接触
*得点が0の場合、項目5と6の得点は0
5.項目4の繰り返し
0:患者は短縮/伸張がないか、あるいは反対側の短縮/伸張を呈する
1:患者は最適な短縮/伸張を実演する
*得点が0の場合、項目6の得点は0
6.項目4の繰り返し
0:患者は代償する。可能な代償①上肢の使用②反対側の股関節外転③股関節屈曲(大腿の近位半分以上肘がベッドまたはテーブルに接触する場合)④膝屈曲⑤足のスライド
1:患者は代償なしに移動する
7.開始肢位(患者は麻痺側でベッドやテーブルから骨盤を持ち上げ(麻痺側の短縮と非麻痺側の伸張により)、開始肢位に戻るように指示)
0:患者は短縮/伸張がないか、あるいは反対側の短縮/伸張を呈する
1:患者は最適な短縮/伸張を実演する
*得点が0の場合、項目8の得点は0
8.項目7の繰り返し
0:患者は代償する。可能な代償①上肢の使用②同側の足で押す(踵は床との接触を失う)
1:患者は代償なしに移動する
9.開始肢位(患者は非麻痺側でベッドやテーブルから骨盤を持ち上げ(非麻痺側の短縮と麻痺側の伸張により)、開始肢位に戻るように指示)
0:患者は短縮/伸張がないか、あるいは反対側の短縮/伸張を呈する
1:患者は最適な短縮/伸張を実演する
*得点が0の場合、項目10の得点は0
10.項目9の繰り返し
0:患者は代償する。可能な代償①上肢の使用②同側の足で押す(踵は床との接触を失う)
1:患者は代償なしに移動する
体幹協調性
1.開始肢位(患者は上部体幹を6回回旋させるよう(全ての肩を3回前方に移動させる)指示され、移動する最初の側は麻痺側で、頭部は開始肢位で固定する必要あり)
0:麻痺側は3回移動できない
1:回旋は非対称
2:回旋は対称
*得点が0の場合、項目2の得点は0
2.6秒以内に項目1の繰り返し
0:回旋は非対称
1:回旋は対称
2:麻痺側は3回移動できない
3.開始肢位(患者は下部体幹を6回回旋させるよう(全ての膝を3回前方に移動させる)指示され、移動する最初の側は麻痺側で、上部体幹は開始肢位で固定する必要あり)
0:回旋は非対称
1:回旋は対称
*得点が0の場合、項目4の得点は0
4.6秒以内に項目1の繰り返し
0:回旋は非対称
1:回旋は対称
静的座位バランス合計点は7点、動的座位バランス合計点は10点、体幹協調性合計点は6点となります。
最高得点は23点、最低得点は0点になります。
Trunk Impairment Scale(B) は、体幹機能障害尺度で、脳卒中後の体幹の運動機能障害を評価することが可能です。
Trunk Impairment Scale(B)では、7項目から構成されています。
垂直位と腹部筋力の項目はSIAS(Stroke Impairment Assessment Set)に由来しています。
他5項目は体幹の垂直位の予測、麻痺側または非麻痺側の体幹回旋筋力、麻痺側と非麻痺側の両方における立ち直り反射となっています。
0〜3の4点尺度で採点が行われます。
「体幹垂直位の知覚」
地面から足が離れた状態で背もたれなし。
ベッド端あるいは椅子座位。
セラピストは患者の肩の両側を保持し、患者の体幹を左右に傾ける。
患者は、体幹が垂直位にあると感じたときに示す。
セラピストは、ヤコビー線の中点から引いた垂線から傾いた体幹角度を計測します。
0:角度≧30°
1:角度<30°、≧20°
2:角度<20°、≧10°
3:角度<10°
「麻痺側体幹回旋筋力」
背臥位から非麻痺側へ寝返る。
腕は胸の前で交差させ、足は伸展位で保持する。
手足で床を押したり、ベッドの布を引っ張ることなく、身体を寝返らせる。
*安定のための等尺性収縮、外腹斜筋よりも他の筋(大胸筋)の寝返り中の活性がみられる。
0:麻痺側の外腹斜筋に収縮が記録されない
1:外腹斜筋の収縮は麻痺側にみられるが、患者は身体を寝返らせることができない
2:患者は麻痺側肩甲骨を持ち上げることができるが、完全に身体を寝返らせることができない
3:患者は完全に寝返ることができる
「非麻痺側体幹回旋筋力」
背臥位から麻痺側へ寝返る。
0:非麻痺側の外腹斜筋に収縮が記録されない
1:外腹斜筋の収縮は非麻痺側にみられるが、患者は身体を寝返らせることができない
2:患者は非麻痺側肩甲骨を持ち上げることができるが、完全に身体を寝返らせることができない
3:患者は完全に寝返ることができる
「麻痺側での立ち直り反射」
背もたれなしでベッドや椅子の端に座る。
セラピストは患者の肩を非麻痺側側方に約30°押し、患者の体幹の麻痺側で誘導された反射の度合いに応じて評価する。
0:反射は誘導されない
1:反射はわずかに誘導され、患者は前と同じ直立した位置に身体を戻すことができない
2:反射は強くないが、患者は前と同じ直立した位置にほぼ身体を戻すことができる
3:反射は十分強く、患者はただちに前と同じ直立した位置に身体を戻すことができる
「非麻痺側での立ち直り反射」
患者の肩を麻痺側側方に約30°押す。
0:反射は誘導されない
1:反射はわずかに誘導され、患者は前と同じ直立した位置に身体を戻すことができない
2:反射は強くないが、患者は前と同じ直立した位置にほぼ身体を戻すことができる
3:反射は十分強く、患者はただちに前と同じ直立した位置に身体を戻すことができる
「垂直位の脳卒中機能障害評価セット」
0:患者は座位を保持できない
1:座位は片側に傾きながらしか保持することができず、患者は直立した位置に姿勢を正すことができない
2:患者はそうするように思い出されたときに垂直に座ることができる
3:患者は正常の方法で垂直に座ることができる
「腹部筋力の脳卒中機能障害評価セット」
車椅子、背もたれの高い椅子のいずれかで45°のセミリクライニングポジションで休んでいる患者で評価される。
患者は椅子の背から肩を上げ、座位をとる。
0:患者は座ることができない
1:患者は動きに対する抵抗が提供されなければ座ることができる
2:患者は、セラピストによる胸骨の圧迫にもかかわらず、座ることができる
3:患者は腹部筋の良好な強さがあり、かなりの抵抗に抗して座ることができる
合計得点は0〜21点となります。
以下は臨床的な評価です。
体幹屈筋を評価するには以下のように行います。
①座位から後方移動
後ろに行くときに、体幹にブレーキをかける遠心性収縮を評価できます。
もう踏ん張れない所では等尺性収縮が評価できます。
片側の筋力が弱いと、弱い側に回旋が見られます。
②①の終了時の位置から、前方に体を移動します。
体幹屈筋の求心性収縮が評価できます。
片側の筋力が弱いと、弱い側の体幹が回旋します。
③座位で股関節を曲げます。
後ろに倒れそうになるのをこらえている時、体幹屈筋の等尺性収縮が評価できます。
体幹伸展筋の評価は以下のように行います。
①骨盤後傾、脊柱屈曲位から、骨盤前傾、脊柱伸展位へ
このとき、体幹伸展筋の求心性収縮を評価できます。
②座位で、前方に体を傾けていきます。
このとき、体幹伸展筋の遠心性収縮を評価できます。
最終域での保持では等尺性収縮となります。
片側の筋力低下があると、姿勢が非対称になります。
③②の姿勢から直立座位に戻ります。
このとき、体幹伸展筋は求心性に働きます。
④仰向けでブリッジ運動を行います。
このとき、背筋、臀部の筋の求心性収縮が評価できます。
保持しているときは等尺性収縮、戻るときは遠心性収縮を評価できます。
体幹側屈筋の評価は以下のように行います。
①座位で、肩を股関節に近づけます。
最終域では、反対側の側屈筋の遠心性収縮が行われます。
姿勢保持をする場合、等尺性収縮の評価ができます。
②①の姿勢から直立座位に戻ります。
これは側屈筋の求心性収縮を評価できます。
③リーチに見られる側屈
この運動では、短縮している側の体幹での求心性収縮を評価できます。
この収縮が行えると、リーチ範囲を長くすることが可能です。
体幹回旋筋は以下のように評価します。
体幹回旋は、例えば左回旋では右の外腹斜筋と左の内腹斜筋が働きます。
また、体幹屈筋と伸筋が両側でしっかりと収縮している必要があります。
よく、片麻痺の方では回旋してもらうと姿勢が後ろに崩れることがありますね。
筋収縮のことはややこしいのでしっかりと覚えていてください。
①正中線を超えたリーチ。
これは、屈曲と回旋の組み合わせを評価します。
②前方いざり。
これは、回旋を伴う伸展を評価します。
③肩の高さで後ろへリーチ。
これは、回旋を伴う伸展を評価します。
④後方いざり。
これは回旋を伴う屈曲を評価します。
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食事:
体幹屈曲、伸展:
・食べ物を口に入れるときに、皿の上に口を持っていくために、前方への体幹運動(体重移動)が生じる。
*熱いもの、液体のものは皿への屈曲は増加する。
*屈曲を増加させることで、取りこぼしを減らすことが可能。
体幹回旋:
・正中線を超えたもの(例えば調味料)をとるさいに屈曲または伸展を伴う。
側屈:
・腕の長さを超えた範囲の調味料に手を伸ばす際にみられ、下部体幹は最初から使用され場合により回旋も伴う。
・床に物が落ちたものを拾う際、上部体幹は初めから使用されることがある。
食事動作については以下の記事も参照してください。
整容:
口腔ケア:
体幹屈曲:
・衣服の上に歯磨き粉や唾液をこぼさないように、等尺性の制御により洗面台にかがむ姿勢をとる。
・口をゆすぐ際、体幹屈曲が増す。
体幹伸展:
・前方の位置から、体幹の再調整に必要。
・洗面台に置かれている上部の物品をとる。
体幹回旋(屈曲伴う):
・物品操作と反対の手で蛇口の操作をする。
整髪:
体幹屈曲、伸展:
・洗髪で等尺性に使用。
・櫛を使用する際に、屈曲、伸展により頭皮と櫛を接触させる。
側屈:
・洗髪や整髪の際に頭部の位置を保持するために使用する可能性。
更衣:
上衣(かぶりシャツ):
体幹屈曲:
・膝上のシャツの操作。
・袖口に腕を入れ、膝方向に腕を伸ばすとき。
体幹伸展:
・袖を引き上げる。
・シャツに頭を通す。
回旋(伸展を伴う):
・後方へのリーチ。
・シャツの向きを整える。
・ズボンにシャツを入れる。
前開きシャツ:
体幹屈曲:
・膝上にシャツを適切に位置付ける(着衣の準備)
・腕を袖に通す。
・ボタンを留める。
体幹伸展:
・前の姿勢からの体幹の再調整。
回旋(伸展を伴う):
・頭部後方へリーチし、シャツの襟をつかむため反対側の肩に手を伸ばす、それを反対に引っ張る。
・ズボンにシャツを入れる。
上衣については以下の記事も参照してください。
下衣(座位):
体幹屈曲:
・足方向へ手を伸ばす。
回旋(屈曲を伴う):
・反対側の足へ手を伸ばす。
体幹伸展:
・前の位置からの体幹の再調整。
側屈:
・足を組む。
*足を組む動作では、重心の後方移動による後方への転倒を防ぎながら、体幹を屈曲位に保つ必要あり
・ズボンを臀部と腰の上に通す、下ろす。
下衣動作については以下の記事を参照してください。
排泄:
側屈:
・衣類の操作。
・排泄後の後始末。
回旋(伸展伴う):
・体を横切りトイレットペーパーにリーチする。
体幹屈曲
・自己導尿。
・排泄後の後始末。
排泄動作については以下の記事を参照してください。
入浴:
体幹屈曲、伸展:
・下肢へのリーチ。
・そこから姿勢を戻す。
回旋(屈曲を伴う):
・反対側の下腿と足部の洗体。
回旋(伸展を伴う):
・後方リーチによる背部と頸部の洗体。
側屈:
・下部体幹は陰部と肛門周囲の洗体に必要。
・上部体幹は下肢側面の洗体に必要。
入浴動作については以下の記事を参照してください。
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機能的なリーチを行っている時、体幹機能は遠位の機能のために近位の安定性を保証するのに必要になります。
これによりリーチ距離は長くなり、腕の長さを超えた対象物へ、腕を届かすことが可能になります。
前方へのリーチを評価するには、腕の長さを超えて、額の高さでまっすぐ前方に対象物を設置します。
前方リーチにおける体幹運動は、体幹の伸張、骨盤前傾し、前方への体重移動が観察されます。
床へのリーチを評価するには、床上、足の間に対象物を設置します。
床へのリーチにおける体幹運動は、体幹屈曲、前方への体重移動が観察されます。
腕の長さを超えた側方リーチを評価するには、腕の長さを超えて、肩の高さで側方に対象物を設置します。
腕の長さを超えた側方リーチにおける体幹運動は、リーチ側と対側の体幹の短縮、リーチ側の体幹の伸張、リーチと対側の臀部引き上げ、リーチ側への体重移動が観察されます。
床側方リーチを評価するには、床上、股関節側方下へ対象物を設置します。
床側方リーチにおける体幹運動は、リーチ側の体幹短縮、リーチ側と対側の体幹伸張、リーチ側への体重移動が観察されます。
腕の長さを超えた肩後方リーチを評価するには、腕の長さを超えた、肩後方へ対象物を設置します。
腕の長さを超えた肩後方リーチにおける体幹運動は、体幹伸張と回旋、リーチ側への体重移動が観察されます。
正中線を超えた対側側方リーチにおける体幹運動を評価するには、肩の高さで対側側方に対象物を設置します。
正中線を超えた対側側方リーチにおける体幹運動における体幹運動は、体幹伸張と回旋、リーチ側への体重移動が観察されます。
正中線を超えた床側方リーチにおける体幹運動を評価するには、床上、対側側方に対象物を設置します。
正中線を超えた床側方リーチにおける体幹運動は、体幹屈曲と回旋、リーチ側への体重移動が観察されます。
正中線を超えた床側方リーチにおける体幹運動を評価するには、頭部上真後ろに対象物を設置します。
正中線を超えた床側方リーチにおける体幹運動は、体幹伸張、肩関節の股関節後方への移動、後方への体重移動が観察されます。
上記の様々なリーチ動作において、
①体幹と上肢の適切に協調された動きになっているか(体重移動のスムーズさなど)
②リーチ動作中の非対称性
③安定性の限界
④体幹の硬さ、ROM制限
などに注意します。
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今まで評価方法などを述べてきましたが、色々ありました。
それぞれの評価を組み合わせて、対象者の方のプラスの側面、マイナスの側面を評価できることが大切だと思います。
リハビリテーションや鍛え方についてですが、キリがありません。
だって、セラピストが100人いたら100通りの訓練方法がありますから。
ただ、自分が臨床を行っている上でよく行っている方法を紹介したいと思います。
自分は作業療法士なので、生活動作につながるであろう形で体幹機能を鍛えるのが一番だと思っています。
そこで、体幹機能を鍛えるキーワードは「リーチ動作を伴う体幹の鍛え方」です。
これが一番の訓練方法だと思っています。
床に物が落ちたら拾いますよね、ベッドの端にリモコンがあったら取りたいですよね、こんな風に、対象物を様々な方向に提示し、それをリーチしてとることが体幹機能を賦活すると考えられます。
脳卒中片麻痺者で、麻痺側の体幹筋が弱くなっている場合は、非麻痺側方向に対象物を設置してそれを取ってもらいます。
これにより、麻痺側の腹筋群の働きが高まり、側屈方向へのコントロールが行えるようになっていきます。
制御が難しい場合、雑巾などを手の下に置くことで、安定性を保持しながら筋収縮を促すこともできます。
そして、今度は非麻痺側の斜め後方に対象物を設置します。
これにより、麻痺側の腹筋群の働きが高まり、回旋方向へのコントロールが行えるようになっていきます。
これらの段階付けは、達成できてくればできるだけ遠くに対象物を設置することです。
また、高さに変化をつけることも考えられます。
そして、重要なことは毎回位置を少しずつ入れ替えることです。
これは、運動学習を促すには、無作為に様々なことを行う方が良いとされているためです。
運動学習については以下の記事を参照してください。
座位バランスについては以下の記事を参照してください。
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体幹制御のトレーニングを行うには、実際の課題の中で制御を学習してもらう他に、補助的手段として様々な姿勢を利用することもあります。
その場合、姿勢の選択は、対象者のニーズを考慮する必要があります。
また、その姿勢がADL動作に必要な体幹制御を含んでいることが重要です。
足組み動作は、下衣動作、下半身の洗体などのADL課題に必要な体幹制御を含みます。
この姿勢では、体重は一側の坐骨結節に移動します。
また、交差する下肢は股関節屈曲位となり、そのときハムストリングスは骨盤を後傾させ、重心が後方に移動します。
それを制御するために、腹部筋の筋収縮により後方へのバランスの崩れを防ぎます。
下肢を組むことが困難な場合、タオルを使用することで動作が行いやすくなります。
姿勢制御に困難がある(ほぼ不能)場合、テーブルで両前腕に荷重する座位をとることがあります。
この姿勢では、上肢は近位部の安定性確保のために使用されます。
この姿勢で、体幹前方、後方、側方への体重移動とその制御を学習します。
この姿勢では上肢は課題への参加は困難です。
肘立て腹臥位は体幹伸展を促すために利用されます。
上肢のアライメントが不十分であると肩の痛みを招いてしまうことがあります。
呼吸状態を損なうリスクもあります。
この姿勢は、床から立ち上がる、床から椅子へ移動する際に必要となる可能性もあります。
膝立ち位は体幹や股関節伸展を促すために利用されます。
立位姿勢の制御が不十分な場合に、段階付けとして利用することがあります。
前方に支持物を設置して、上肢支持の中で前後左右への体重移動を学習してもらうことがあります。
バランス保持が可能であれば、体幹制御の中での四肢の機能的な使用の練習として、風船バレーをしたり、リーチ動作練習を行います。
股関節の屈曲角の違いにより、体幹制御が異なります。
高い椅子(高座位)に座る(股関節より下に膝がある)ことは、股関節屈曲角を減少させ、体幹の伸展をより促すことが可能です。
股関節より上に膝がある姿勢(股関節屈曲角の増加)では、より体幹屈筋の収縮が必要となります。
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体幹運動を制御するには、体幹の全ての運動(屈曲、伸展、側屈、回旋)で可動範囲が保たれている必要があります。
体幹ROMが制限されてると、様々な機能低下の原因となり得ます。
脊椎のROMは四肢と比較し見落としがちになりやすいといえます。
脳卒中では、体幹制御が困難になり、体幹の長期固定が軟部組織の弾性、関節のあそび、機能低下をもたらすことがあります。
不適切な姿勢や直立立位をとった際に、悪化していくことがあり、軟部組織の変性、可動範囲の制限、能力障害につながります。
リハビリテーション以外の時間において、対象者は自身の体幹の状態について理解し、自主練習として体幹の可動範囲を維持・拡大するような自主練習を行う必要があります。
①背臥位にて股関節、膝関節を屈曲します。
②両膝をゆっくりと左右へ倒します。
*この運動は、回旋運動により上部体幹と下部体幹の分離を促します。
①背臥位にて股関節、膝関節をまっすぐ保持し、麻痺側上肢を抱くように持ちます。
②上部体幹で寝返りをするように、上部体幹を持ち上げ回旋させます。
①座位にて、骨盤を動かさずにねじり運動(回旋)で上部体幹を動かします。
①座位にて、体幹を傾ける方向に前腕をつき、そこに体重がかかるように直立姿勢から側屈姿勢へと移動していきます。
*ストレッチをしっかり行うには、骨盤は支持面に安定して維持しておく必要があります。
①座位にて、麻痺側の手関節を持ちながら、自分の両足の間の床へ手を伸ばします(屈曲)。
*頭を落とし、垂れ下がるように指示を出します。
①背臥位にて、股関節、膝関節屈曲させ、ブリッジ動作を行います(伸展)。
①座位にて、横方向にリーチする際に、支持面から臀部を片方持ち上げます(側屈)。
*リーチ動作練習にもなります。
*バランスの崩れに注意が必要。
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脊柱(胸腰椎)後彎のメカニズムと膝屈曲の関係!改善方法とリハビリでの注意点!膝立ちは姿勢矯正や股関節・体幹の筋力強化、バランス改善に効果的!スタンディングテーブルの利用法と効果について考える!腹臥位on elbow(パピーポジション)の意義とリハビリでのトレーニング!四つ這いトレーニングのメリット!バランス向上や筋力強化に利用!下衣動作(ズボン着脱)を座位で行うためのリハビリテーション立ち上がり、着座動作とリハビリのコツ!神経基盤から筋活動、誘導方法まで!小脳性運動失調の評価とリハビリテーション骨盤トレーニングの全て!骨盤の知識からトレーニングの方法まで!
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