歩行の評価指標の一つに、Dynamic gait indexがあります。今回、Dynamic gait indexの概要と評価方法、結果の解釈についてまとめていきたいと思います。
目次
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歩行場面ではより多くの情報処理が要求されます。
その分、情報の処理において問題があると、転倒などのなんらかのリスクにつながってしまうことが考えられます。
注意障害を呈する脳卒中患者では、認知課題が加わるADL場面で歩行安定性が低下する現象がよく観察されます。
姿勢制御においては注意機能の中でも配分性の注意機能が必要とされており、注意障害を呈する患者は、姿勢制御の問題も加わりADLの遂行が困難になることも考えられます。
歩行と転倒予測の評価には様々な指標が用いられています。
近年では、Berg balance scale(BBS)とStops walking when talking test(SWWT)を組み合わせた方法が最も予測精度が高く、歩行自立度の判定に有用であることも示されています。
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Dynamic gait indexは、歩行中に要求される課題に対する修正能力や適応能力を、観察に基づき得点化する事ができる評価尺度です。
速度や方向の変化,上下左右への視線移動,障害物回避などを要求する8つの課題から構成されます。
対象は高齢者、前庭機能に問題がある者、脳卒中者などで、歩行が見守りレベル以上の者に評価が行えます。
Dynamic gait indexは
脳卒中患者においても,その信頼性と妥当性が検証され,歩行能力変化の効果判定に用いられている.また,Pollockらは臨床家が使用する上で特別なトレーニングの必要がないこと,評価に要する時間が少ないこと,二重課題処理能力を評価する尺度としての内容的妥当性を有すること,および実生活における歩行障害の実態像の把握や治療方針の決定においても有用な尺度であると述べている.
井上 優他「脳卒中患者のDynamic gait indexによる二重課題処理能力評価の妥当性の検証」理学療法科学27(5):583–587,2012
とあります。
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評価項目
①平地歩行(6m平地歩行)
②歩行速度を変える(通常(1.5m)→速く(1.5m)→ゆっくり(1.5m))
③頭部を横に向けて歩く(右を見る→左を見る→正面)
④頭部を上下させて歩く(上を見る→下を見る→正面 )
⑤歩行と軸足回転(歩行中に逆を向いて止まる)
⑥障害物を越える(歩行中に靴箱を越える)
⑦円錐の周りを回る(一つ目右に一回り→二つめ左に一回り)
⑧階段(階段昇降(必要に応じて手すり使用))
これらの評価項目に対し、快適速度で検査を実施します。
評価用紙と詳細な点数配分については以下を参照してください。
井上 優他「脳卒中患者のDynamic gait indexによる二重課題処理能力評価の妥当性の検証」理学療法科学27(5):583–587,2012
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各評価項目に対し、
3点:正常
2点:軽度の機能障害
1点:中等度の機能障害
0点:重度の機能障害
で得点をつけます。
8項目あるので、最高点は24点、最低点は0点になります。
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