文字を読む能力だけに低下が生じるものを、純粋失読と呼びます、今回、純粋失読はなぜ生じるのか、そのメカニズムについてまとめていきたいと思います。
目次
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冒頭でも述べましたが純粋失読とは、文字を読む能力だけに低下が起こります。
そのため、書く、話すことには特に問題は生じません。
純粋失読の症状があるかを確かめるための一番良い方法としては、
”自分で書いた文字が読めるかどうか”
になります。
自分で書いた文字が読めないようであれば、それは純粋失読の存在を示している可能性が一層に高まります。
具体的な症状と特徴としては、
・かな文字<漢字で読む事が難しい
・病識はある
・書いてある文字が漢字orひらがなorカタカナかなどの判断は正しいことが多い
・書いてある文字の向きが正しいかの判断は正しいことが多い
・書いてある文字が実際に存在する文字かどうかの判断は正しいことが多い
・場合によっては換語困難や書字の問題も出現する(後の責任病巣を確認)
純粋失読は2つのタイプに分けることができます。
①1つの文字でさえ正しく読めない
②1つの文字であれば読めるが、文字列として読む場合には順を追って次々としか読めない
①のパターンは字性型と呼ばれ、②のパターンは逐次読み型と呼ばれています。
もちろん、①と②が混在するようなパターンの障害もみられることがあります。
①の字性型の特徴
・指でなぞれば読むことができることがある
・他者が対象者の手のひらに書くことで読むことができることがある
・他者が文字を書く動きを自分の目で確認することで読むことができることがある
これらのことから、文字の形から、それが何と読むのかについての能力が障害されていることがうかがえます。
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まずは、脳のどの部分が損傷を受けると、どのような症状が生じるのかを確認していきます。
上図において、緑色で囲まれている部分は換語困難が生じる可能性がある脳部位になります。
また、緑色で囲まれている部分において、さらに水色で囲まれている部分は単語の意味理解の低下が生じる可能性のある部分になります。
さらに、赤色で囲まれている部分は失構音、ピンク色で囲まれている部分は音韻性錯語が生じる可能性がある部位になります。
濃い青色で囲まれている部分は読み書きの中でも書く事に障害が生じ、紫色で囲まれている部分は読み書きの中でも読む事に障害が生じます。
ここで、紫色で囲まれている部分は読むことの障害が生じやすいのですが、さらに細かく確認していくと、純粋失読が生じやすい脳部位は、以下の図のようになります。
赤色の線で囲まれた部分は純粋失読が生じる部位で、
青色の線で囲まれた部位は純粋失書と純粋失読が共に生じる部位になります。
古くから言われている純粋失読の責任病巣としては、
・後頭葉
・脳梁膨大
が挙げられます。
この考え方では、以下のような経路が示されています。
右半球に入った視覚情報も、左半球に入った視覚情報も、読み書き共通の「文字の中枢」である左の角回に届かなくなったためとする考えや、左1次視覚皮質の病巣により右視覚野からの情報が言語能力のある左半球へと伝わらず、右1次視覚皮質に到達した左視野からの情報も脳梁膨大の損傷により左半球へ伝わらないためとする考えがある。
ここで、純粋失読と関係があるかもしれないWhatの経路について理解をしておきます。
Whatの経路は、上図で言うと緑色の線で示した経路になります。
これは腹側経路とも言われており、対象物の形や色を分析して、それが何であるのかをを認識するための経路です。
この経路が損傷を受けることで、視覚性失認が生じるのですが、視覚性失認では対象物の動きを確認することで認知可能であったり、対象物に触れることでも認知可能であったりします。
前途しましたが、純粋失読では
・指でなぞれば読むことができることがある
・他者が対象者の手のひらに書くことで読むことができることがある
・他者が文字を書く動きを自分の目で確認することで読むことができることがある
という特徴がありました。
これは、視覚性失認における特徴とも共通することがあります。
純粋失読の責任病巣としては紡錘状回や海馬傍回が言われていますが、これらはWhatの経路の通り道でもあります。
そのため純粋失読のメカニズムとして、視覚性失認に似たようなメカニズムが提唱されています。
紡錘状回や海馬傍回の位置を脳画像(中脳レベルのスライス)で確認していきます。
中脳レベルの脳画像を見つける際の目印になるのは、○ッキーマウスのような、犬の顔のように見えるものを見つけることが必要になります。
下図を見ると、画像の中心部に○ッキーマウスのようなものが見えるのがわかると思います。
図では赤丸線で囲んでいます。
このレベルの画像における、各脳部位は以下のようになっています。
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