股関節の安定性には、静的な安定化機構と動的な安定化機構が存在します。今回、股関節の動的安定性に関与するものとして、腸腰筋の概要と評価、リハビリ方法ついてまとめていきたいと思います。
目次
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股関節における静的安定化機構には、
・骨形態
・関節唇
・関節包、靭帯
があります。
股関節では、腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の3つが静的安定化機構として作用しています。
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股関節における動的安定化機構には、
・深層外旋6筋
・小殿筋
・腸腰筋
など(他に恥骨筋、短内転筋など)があります。
これらの作用により、大腿骨頭は関節窩に対して求心位に保たれます。
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腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋からなります。
その中でも大腰筋は大腿骨小転子に停止しており、大腿骨頭の前方→後方に走行します。
このことから、大腰筋は股関節を求心位に保つ働きがあり、立位姿勢では大腿骨頭を後方に押さえつけるような働きを有します。
腸腰筋の主な作用としては、股関節屈曲・外旋になります。
腸腰筋の特徴として、股関節屈曲90°においてもその張力を発揮できることが挙げられます。
同じ股関節屈曲に作用する大腿直筋は、股関節の屈曲角度が大きくなるにつれて徐々にその張力は低下します。
腸腰筋は骨盤前傾にも作用する(大腿部が固定された状態での腸腰筋の収縮による)のですが、腸腰筋の筋力低下があると骨盤は後傾することとなり、腸腰筋には引っ張られてしまい、伸張痛が生じる原因にもなります。
また腸腰筋の過緊張や短縮などがある場合、股関節伸展を必要とする動作(例:洗濯物を上に干す)において腸腰筋はさらに引っ張られることとなり、頭痛を生じる原因になることがあります。
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腸腰筋の問題により、股関節の安定性が低下している場合の股関節運動はどうなるのでしょうか。
腸腰筋の筋緊張が亢進している場合、
股関節屈曲自動運動⇨外旋運動も出現
股関節屈曲他動運動⇨股関節の前部において詰まる感じがある
ということが現象として現れます。
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腸腰筋の徒手筋力検査(MMT)の方法は以下のようになります(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/publiccomment/1_mmt20140612.pdf)。
この時のポイントとしては、骨盤が前傾位のまま検査を行うと腸腰筋は骨盤前傾方向に作用してしまうため、上図のように後方に手をつき骨盤を後傾位(体幹後傾位)にしておくことが大切です。
なお、大腿骨頭を前から後方に押さえるようにすると、大腿骨頭の動きをアシストすることができるので、股関節屈曲運動が生じやすくなる、あるいは力強くなることが予想されます。
グレード3:大腿後面が支持面から離れるまで股関節を屈曲し、その構えを保持できる
グレード4:中等度の抵抗に抗して保持可能
グレード5:強い抵抗に抗して保持可能
グレード2:股関節90°程度まで求心性収縮による自動運動が可能
グレード1:筋収縮あり
グレード0:筋収縮なし
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腸腰筋を促通するには、背臥位で行う方法があります。
・背臥位、股関節屈曲90°(股関節屈曲90°においてもその張力を発揮できるため)、膝屈曲位キープ(膝伸展すると大腿直筋の収縮が入るため)にてさらに自動(or自動介助or抵抗)運動にて股関節を屈曲させます。
腸骨筋の特徴として、は股関節屈曲時には外側への滑走がみられることです。
そのため、股関節屈曲時に腸腰筋周囲の組織を外側へ徒手誘導しながら行うことで収縮がさらに行いやすくなります。