小脳が損傷を受けると、失調症状が生じます。しかし、失調症状は小脳の問題だけではなく、他の部位の損傷によっても生じることがあります。今回、小脳の機能解剖と脳画像の読み方や失調症状はなぜ起こるのかについてまとめていきたいと思います。
目次
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運動が実行されるまでの流れをおおまかにみていきましょう。
感覚→知覚→認知→評価→行動計画→運動プログラム→運動発現
だいたい、このような流れにより運動が実行されるとされています。
運動の企画やプログラムの段階では、
大脳皮質連合野→補足運動野ー大脳基底核→視床
→運動前野ー小脳→視床
というような流れが存在します。
補足運動野(6野)では大脳基底核とのつながりがあり、
運動前野(6野)では小脳とのつながりがあります。
運動企画やプログラムに問題があると、運動がスムーズでなくなる(ぎこちなさ)ことにつながります。
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大脳基底核は、運動企画やプログラムにおいての役割としては、簡単に言うと、
・スタートやストップ
・動作手順
などに関与しています。
尾状核や被殻の前方と前頭前野、中脳腹側被蓋野との機能的連結により、
特に順序づけられた行動(遂行機能)の制御や、行動の発現や変換(実行と非実行の選別)、
自由意志の決定の制御や報酬予測を担っていると言われています。http://gifunousocchuureha.blog.fc2.com/blog-category-2.html
大脳基底核はダムのような役割があり、基本的な働きは抑制(ブレーキ)です。
脳から送られてくる様々な情報をダムのごとく一度溜めて、必要な情報のみを流すような役割があります。
大脳基底核が損傷を受けると、記憶誘導性の運動(記憶を元にした動作手順)の選択ができなくなり、効率的な運動が妨げられます。
また、不必要な運動にブレーキをかけられなくなることから、動作中に不要な運動が生じたり、急に動き出すといった現象がみられます。
大脳基底核についてはこちらの記事も参照してください。
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小脳は、運動企画やプログラムにおいての役割としては、簡単にいうと、
・随意運動の協調性に関わっています。
随意運動の協調性を構成する要素としては、
・時間的秩序(筋出力のタイミング)
・空間的秩序(運動に用いる筋肉の選択と組み合わせ)
・強さの配列(出力の程度)
になります。
これをもう少し分かりやすく言うと、
・どの筋肉を用いるか(空間的)
・筋肉をどの程度働かせるか(強さの配列)
・いつ働かせるか(時間的)
ということになります。
運動時に筋肉の組み合わせに問題があれば方向にずれが生じますし、筋出力の程度に問題があれば揺れは増強します。また筋肉を働かせるタイミングに問題があれば運動が大きすぎたり小さすぎたりすることもあります。
小脳は、運動前野とのつながりにおいて、上記のような協調的な運動をプログラムする役割があります。
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協調的な運動が実現するためには、小脳と運動前野の働きが重要であることがわかりました。
ここで、協調的な運動を実現するために、脳内においてどのような情報の伝達が行われているのかを確認していきます。
大まかな流れを見ていきます。
運動前野→前頭橋路(内包前脚)→橋核
↓(対側へ)
中小脳脚→、苔状繊維、プルキンエ繊維、大脳小脳→歯状核→上小脳脚
↓(対側へ)
赤核→視床→運動野→皮質脊髄路→脊髄前核→筋肉
となります。
この流れをみていると、例えば左の上肢の協調性を実現するためには、
「運動前野→前頭橋路(内包前脚)→橋核」は右の脳で情報が処理され、
「中小脳脚→、苔状繊維、プルキンエ繊維、大脳小脳→歯状核→上小脳脚」は左の脳で処理され、
「赤核→視床→運動野→皮質脊髄路→脊髄前核→筋肉」は右の脳で処理されることがわかります。
このことから、「中小脳脚→、苔状繊維、プルキンエ繊維、大脳小脳→歯状核→上小脳脚」という、小脳部の損傷は、同側に四肢に協調性の問題を生じさせることがわかります。
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小脳障害を見ていくためには、脳画像における橋(上部)、橋(下部)、延髄におけるスライスレベルを確認する必要があります。
上小脳脚が確認できます。
中・下小脳脚が確認できます。
下小脳脚が確認できます。
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小脳皮質は、
・大脳小脳(新小脳)皮質部
・脊髄小脳(旧小脳)虫部・中間部
・前庭小脳(古小脳)片葉小節葉
に分けらることができます。
大脳小脳は、随意運動の調節や組み立て、またフィードフォワード機能に関与しています。
いわゆる四肢の協調運動障害に関与します。
小脳の歯状核とのつながりがあります。
脊髄小脳は、近位筋・遠位筋の運動実行やフィードバック機能に関与しています。
いわゆる体幹失調に関与します。
小脳の室頂核とのつながりがあります。
前庭小脳は姿勢維持や眼球運動の調節に関与しています。
いわゆるバランス障害や眼振に関与します。
これは橋上部レベルのスライスです。
脊髄小脳は、橋の外側部とおおよそ同じくらいの幅であると覚えておくとよいと思います。
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