先日大阪で開かれた認知症対応力向上研修に参加しました。関西医科大学の嶽北先生のお話を聞く中で、せん妄の話がありましたので、要点をまとめていきたいと思います。後輩
目次
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認知症と鑑別すべき疾患としては、
・加齢性健忘
・せん妄
・うつ病
・知的障害
・統合失調症(妄想性障害)
・正常圧水頭症
などがあります。
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せん妄は、意識障害に分類されます。
健常者でも、時にせん妄状態になる事があるそうです。
例えば温泉旅に行って、宴会でお酒を飲みに飲んで、その場で倒れたとします。
気づいたら「ここはどこだ?!」と一瞬なって、次に自分が温泉旅行に来ていたことを思い出します。
そのときの一瞬意識がはっきりとしない状態が、軽いせん妄状態だということです。
せん妄の4つの特徴としては、
・急激な発症
・症状の動揺性、可逆性(日内変動など)
・多彩な精神症状
・認知機能の低下
があります。
認知症では、脳血管性の認知症を除いては急激な発症はありません。
多彩な精神症状としては、幻視、幻聴、興奮などがあります。
ドクターがせん妄を判断する材料にするのが、ご家族に対して1つだけ質問するとすれば、「いつものお父さん(またはお母さん)とは違いますか?急に変わりましたか?」と聞いてるそうです。
過活動型:幻覚や妄想、興奮状態などが主となるもの
低活動型:意欲低下や活動性低下などが主となるもの
混合型:過活動型と低活動型の両方の特性を併せ持つもの
の3つのパターンがあります。
せん妄は、全入院患者の15%に発症し
手術患者の25%に発症し
救急病院では40%に発症し
せん妄患者の死亡転帰は25%
だとされています。
せん妄は、体が危機的な状況にあることを示しています。
そして、せん妄には以下に示す3つの因子が関与していると言われています。
・準備因子
・誘発因子
・直接因子
せん妄をキャンプファイヤーに例えて、発症が日が燃え上がるのをイメージするのであれば、準備因子は「薪」のようなものとされています。
準備因子は、元々にある背景(高齢、認知症がある、脳機能の脆弱性があるなど)をさします。
脳が弱っている状態なので、せん妄は小さい子供にも多い(急に熱が出て、泣き出してしまってウロウロするなど)のが特徴です。
誘発因子は、先ほどのキャンプファイヤーでいうと、「燃料」になります。
・入院や転居などの環境変化
・ICUなどの過剰な刺激
・睡眠と覚醒リズムの変化
・不安などの心理的ストレス
・痛みや頻尿などの身体的ストレス
・盲や聾などの感覚遮断
・拘禁状態(動けない状態)
などがあり、これらが誘発因子となりせん妄を発症させるリスクがあります。
直接因子は先ほどのキャンプファイヤーでいうと、「ライターやマッチ」になります。
・脳血管障害や脳腫瘍などの中枢神経系疾患
・代謝性疾患(糖尿病や腎・肝疾患)、内分泌疾患(甲状腺疾患など)NO内科的疾患
・外科的疾患
・依存性薬物からの離脱(アルコール、睡眠薬、抗不安薬)
・中枢神経系に作用する薬物(ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗不安薬、抗コリン薬、ステロイド、H2ブロッカーなど)
が直接因子となる事があります。
これらの3つの因子がそろうような条件では、せん妄発症のリスクはかなり高まります。
直接因子に対して:
せん妄は身体状態が悪ければ発症のリスクが高まりますから、まずは身体状態の安定を目指します。
これには、基礎疾患の治療や原因となる薬物の特定と減量や中止を行います。
誘発因子に対して:
環境調整を行います。
睡眠や覚醒パターンの改善を図ったり、過剰な刺激や感覚遮断状態を改善します。
また、身体拘束や体動の制限をできる限り無くすようにします。
睡眠の安定化や静穏目的NI薬物療法も行うことがあります。
せん妄に対しては、これらのような治療的アプローチやケアを行いながら、せん妄にならないように予防的に対策を行っていくことが重要になります。
先生が言っていましたが、お酒を飲んで興奮状態にある方を止めようとしても、それは過剰な刺激になり逆効果になると言っていたのが印象的でわかりやすかったです。
せん妄や意識障害については以下の記事も参照してください。
意識障害(せん妄含む)のメカニズムと評価方法、リハビリテーションアプローチ!
意識障害とリハビリテーション!覚醒を上げるために必要なこと!
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