脳卒中者は、摂食・嚥下障害を生じることがあり、栄養補給には経管栄養で栄養カテーテルに繋がれることになったり、点滴を行うなど、QOLの低下に直結します。今回、脳卒中と栄養について、代替栄養を中心にまとめていきたいと思います。
目次
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摂食とは飲食物を体内に取り込む一連の行為または行動をさします。
摂食障害とは、行為や行動の異常による食事や飲み込みの問題をさし、取り込みの障害とも言えます。
嚥下とは飲食物を口腔で食塊を形成し、食塊や唾液、痰などを食道を介して胃まで送る過程をさします。
嚥下障害とは、解剖・生理学的異常により起こる飲み込み困難の状態をさし、飲み込みの障害とも言えます。
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脳卒中において摂食障害が生じるのは、
・意識障害
・食物の認知の問題
・口への取り込み動作の問題
・嚥下運動の問題
・拒食
などがあります。
その中で、嚥下運動の障害によって生じる摂食障害を嚥下障害と呼びます。
脳卒中においては、嚥下障害に加えて、認知、注意、動作などの障害を伴うことが多く、様々な要因に対してのアプローチが必要と言えます。
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摂食・嚥下障害では、生命維持に必要な栄養や水分を摂取できないということが非常に問題になります。
この問題を補うために、短期的または長期的な(あるいは永続的)栄養法としてあるのが代替栄養法になります。
代替栄養法は大きく2つに分けることができます。
点滴:
経中心静脈と末梢静脈があります。
経管:
経鼻、経口、瘻孔手術があります。
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ここでは、一般的な栄養投与の流れをみていきます。
・脳卒中などで急性期に摂食・嚥下障害を併発
・意識レベルや摂食・消化吸収能力の状況に応じて絶食の指示が出される
・代替栄養法は末梢静脈で開始
・経鼻経管栄養(持続的経管栄養)に移行する
・経鼻経管栄養が長期にわたる場合、間欠的経管栄養法や胃ろう(PEG)を検討する
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短期的(2週間以内)、口から必要なカロリーや水分などが十分摂取できない場合に、末梢の静脈を通して栄養補給する方法。
長期間口から食べることができない場合に行う。
末梢からの点滴と比較し、より多くの栄養素、カロリー、水分の補給ができる。
消化管を利用しないので、長期的に行うことで免疫力の低下も考えられる。
合併症(高血糖、肝機能障害、電解質異常、中心静脈カテーテル感染による発熱、敗血症、血栓性静脈炎)のリスクもある。
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経鼻経管栄養法ですが、「N-G(Naso-gastric)チューブ」「マーゲンチューブ」「経鼻胃管」とも呼ばれています。
これは、鼻腔から咽頭、喉頭、食道を経て胃まで差し込み、栄養剤などを流し込む方法です。
経口摂取が全くできない場合や、経口摂取が不十分な場合によく用いられます。
短期間の管理はしやすいですが、長期間に渡るとデメリットもあります。
デメリットとしては、
・挿入主義が難しい
・カテーテルの気管内誤挿入リスク
・外観的な問題
・カテーテル交換の苦痛
・カテーテルの不快感
・カテーテルによる皮膚粘膜の潰瘍から唾液分泌を増加させる
・日和見感染の誘因となる
・唾液分泌の減少による口腔内の不潔化
・カテーテルが咽頭壁に接しており、咽頭・嚥下反射が生じにくくなる
などがあります。
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これは、口腔ネラトンと呼ばれているものです。
口からチューブを食道まで入れて注入する方法です。
1日3回食事の時間に合わせて行います(自分で行うことも可能)。
間欠的経管栄養法は、
・咽頭反射がない対象者(あっても非常に弱い)
・意識がはっきりしており 経鼻的にチューブを入れておくのを嫌う対象者
・本格的に嚥下訓練が開始された患者で中心静脈栄養ができない対象者
が対象になります。
間欠的経管栄養法は、毎回チューブを口から食道に入れるので、それが刺激になり嚥下機能の改善につながることがあります。
鼻からよりも、口から食物が入っていくことにより、心理的に良い影響を与えることも考えられます。
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胃ろう(PEG)は、カテーテルを使用した経管栄養の一つで、設置には外科的手術が必要になります。
ボタン型とチューブ型があります。
胃ろう(PEG)は、
・何らかの問題により食べようとする意欲が得られない
・嚥下ができない、もしくはできても誤嚥性肺炎を繰り返す
・経鼻経管の長期的な留置がどうしても必要になる
・経口摂取できない、または経口摂取がふさわしくない(顔面、口腔内、食道、噴門部などの問題)
・長期の成分栄養が必要(クローン病など)
などにおいて適応となります。
胃ろうしていれば誤嚥性肺炎がなくなるというわけではありません。
胃ろう後も口腔ケアの不十分さなどから唾液誤嚥を起こすことも十分に考えられます。