座位バランスについて、必要な機能や座位保持訓練での段階づけなどを中心にまとめていきたいと思います。
目次
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座位保持に必要な機能として、一つ目には「頭のコントロール」があります。
頭部をコントロールするということは、頸部筋の協調した収縮が必要です。
また、左右頸部筋の協調した収縮は、頭部を正中に保つことを可能にします。
頭頸部のコントロールを促す方法としては、
・背臥位からの寝返り。頸部軽度屈曲させ回旋。
・側臥位から腹臥位。頸部軽度伸展を伴い体幹回旋。
などがあります。
これらは発達過程において頭部のコントロールを獲得する過程でもあります。
運動発達については以下の記事を参照してください。
子供の運動機能の発達!歩行獲得までの発達段階と順序について!
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前途しましたが、頭部をコントロールするということは、頸部筋の協調した収縮ができているということなので、前後左右、回旋も含めて様々な方向に頭頸部の運動ができるかを評価する必要があります。
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頭頸部のコントロール(協調した筋収縮)を促すためには、寝返り動作が用いられることが多くあります。
寝返り動作の誘導には、頭頸部をキーポイントにして誘導する方法と、上肢操作から誘導する方法があります。
寝返り動作はリーチングが大切な要素にもなるので、興味のある方は以下の記事も参照してください。
座位保持に必要な機能②
座位保持に必要な機能として、2つ目には「抗重力肢位を維持するのに必要なだけの伸筋トーンの漸増」があります。
姿勢保持に必要な抗重力筋(+姿勢筋)の筋緊張が適切に保たれる必要があります。
姿勢筋緊張と言うのですが、姿勢筋緊張は通常無意識レベルで調節されるものです(γ運動ニューロンが関与)。
筋緊張については以下の記事を参照してください。
筋緊張亢進(痙縮)に対するニューロリハビリ!伝統的リハビリも交えながら!
脳卒中片麻痺者と排泄動作!ズボン上げ下ろしをするための姿勢筋緊張コントロールに必要なこと!
錐体路と錐体外路の覚え方!随意性と筋緊張に関わる伝導路!皮質網様体-網様体脊髄路は錐体外路?脳画像上の経路と損傷時の症状、賦活に必要なこと!
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座位・立位保持能力を高めるためには、抗重力活動獲得が必要になります。
そのためには体幹筋が働いて下肢が踏ん張る感覚を得ることが第一歩になります。
立位での活動困難な場合は臥位で治療を行います。
臥位用いるメリットとしては、体幹筋の働きを促しやすい(三角マットなど)、体幹の重みによる固定で下肢促通しやすい、 臥位は抵抗量を調整しやすい(踏ん張る為の)などが挙げられます。
三角マットは、背部の筋緊張が高い場合は背面と床面の接触面積を埋めてくれるため筋緊張軽減に繋がりやすいです。
また、前面筋の筋緊張が低い場合は、やや屈曲姿勢をとることで腹部の起始停止が近づくため筋活動を得られやすかったり、筋緊張を高めやすかったりします。
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治療例としては、左図は座位に近い状態を作った中での下肢伸展運動です。
踏ん張るための感覚を得るという上では、等尺性収縮を促す方が良いと考えます。
右図は、立位に近い状態を作った中での下肢伸展運動です。
足部は中間位に固定し、膝関節を床面に押し付けるように伸展させます。
この時、セラピストの手を膝下に入れておくことで、抵抗量の調節が可能になります。
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座位保持安定のためには、対象者の状態に合わせた適切な難易度設定が重要です。
上図では片麻痺者に対する設定となっています。
基本的には支持基底面の広げ方(安定性)と、楔挿入がポイントになっています。
通常,麻痺側臀部筋群は弛緩しており,楔なしで座位姿勢をとった場合,麻痺側骨盤は下降する.
その結果,腰椎は麻痺側へ凸の彎曲を呈する.
麻痺側(右側)の脊柱起立筋は麻痺しているため脊柱の側屈に拮抗する筋群は働かない.
つまり,体幹を立ち直らせることはできない.一方,楔によって患側骨盤が挙上されると重心線は非麻痺側骨盤上に偏位し,安定した支持基底面内に重心をコントロールしやすくなる.
非麻痺側に凸の腰椎側彎は,左脊柱起立筋の収縮・弛緩によってコントロールすることが可能であり,以上のことが座位保持を容易にするものと考えられる.
市川 祐生他「意識障害を有する重症片麻痺患者に対する座位訓練」平成27年度 高知リハビリテーション学院紀要 第17巻
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上図では、鏡を利用した視覚情報の入力や、足底接地の有無、非麻痺側の壁の利用などが特徴的です。
これらの介入はプッシャー症状を呈する方に用いられる介入方法です。
プッシャー症状については以下の記事も参照してください。
プッシャー症候群の病態(病巣、神経メカニズム)理解、リハビリテーションアプローチ!
視覚的情報入力により、傾いた姿勢を修正しやすい状況を作ることが可能になります。
プッシャー症状では足底接地条件において著明に見られることが多いことが知られているので、難易度設定としては測定接地なし→足底接地ありとします。
非麻痺側での支持物とそれによる感覚入力の増加により、重心をコントロールする難易度を下げたり、接触自体が重心位置コントロールのための先行刺激なり適切な重心コントロールがされやすくなります。
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片麻痺の方では、股関節外転・外旋位を呈することが多く、適切な下肢アライメントを保つことが困難な方が多いです。
そのような問題に対しては、ベルトを装着することにより適切なアライメント保持を助けることができます。
このようなアライメントが保つことができれば、立ち上がり練習なども行いやすくなります。
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輪の取り入れ作業では、輪投げのように投げ入れるのではなく、輪を置きに行く様にすることが重要です。
輪を置きに行くことで、よりゆっくりとした運動になり、強い筋収縮が得られやすくなります。
片麻痺の方では、感覚障害や運動麻痺などにより麻痺側に重心が移動すると転倒リスクが高くなります。
そのため、初期段階では非麻痺側の荷重を中心とした座位バランスの獲得に注力すべきでしょう。
回復段階に合わせて、麻痺側への荷重量を増やしていき、座位バランスが保持できるようにしていくことが重要です。
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