更衣動作は、身体機能や高次脳機能面といった、様々な要素が組み合わさって動作遂行がなされます。今回、下衣動作に必要な要素と身体機能に着目した練習方法についてまとめていきたいと思います。
目次
スポンサードサーチ
まずは、更衣動作(下衣)に必要な要素を確認していきます。
・十分なバランスをとることができるか
・姿勢を制御しながら、四肢の運動を行えるか
・衣服から得られる皮膚との接触情報に対して、四肢体幹が協調して運動できるか
・上肢操作能力や手指巧緻動作能力
・末梢部の操作性を保証する中枢部の安定性
・衣服の違い(素材など)に対する身体の反応を変える適応力
・足をズボン穴に入れるときの服の前後の認識
・長座位で行う場合のバランス保持能力
・背臥位での臀部の持ち上げ能力(ブリッジ)
・患側下肢の持ち上げ能力
・座位バランス保持能力
・立位の場合、片足立ちとしゃがみこみ動作の能力
スポンサードサーチ
更衣動作(下衣)の観察では、以下のような視点が必要になります。
・運動麻痺(筋力低下)の影響で、動作遂行に必要な関節運動が生じているか
・感覚障害により、衣服を通す際に衣服と身体の間における協調的な動きが妨げられていないか
・高次脳機能障害の影響が生じていないか
更衣動作で観察されうる高次脳機能障害には、
・運動性失行(ズボンや靴下を履くときの手の動きがぎこちないなど)
・観念性失行(更衣動作の手順がまちがっている、上着をズボンのように履こうとする)
・半側空間無視
・半側身体不注意
などがあります。
観察評価を通して、当てはまるような現象が見られたら、障害の詳細を確認するために、
・他の動作遂行においても同じようなエラーが出ていないかを確認する
・検査で障害の存在や程度を確認する
・脳画像を見て、損傷部位から動作観察で見られたエラーが生じるかどうかを検討する
という3点をしっかりと確認していきます。
スポンサードサーチ
工程 | 必要な機能 |
座位から立位をとる | 手すりを使用しているか 壁などにもたれているか 立位時の重心線はどうなっているか 体重負荷のバランスはどうか 膝折れはないか非麻痺側下肢股関節:屈曲→伸展 膝関節:屈曲→伸展 足関節:背屈麻痺側下肢股関節:屈曲→伸展 膝関節:屈曲→伸展 足関節:背屈体幹 前屈→伸展 |
膝関節までズボンを下ろす | 非麻痺側上肢
肩関節:外転、内転 体幹:前屈、回旋 股関節や膝関節の屈伸運動が行われているか 持久力、耐久性 |
立位から座位になる | 各関節運動が座位から立位と逆の運動が行えているか
肩、肘、手、手指関節可動域 |
非麻痺側下肢からズボンを脱ぐ | 非麻痺側上肢
肩関節:屈曲、内転 股関節、膝関節:屈曲 |
麻痺側下肢のズボンを脱ぐ | 非麻痺側上肢
肩関節:屈曲、内転 股関節、膝関節:屈曲 |
↑下肢を組んで行う場合 | 麻痺側下肢
股関節:屈曲、外旋 |
麻痺側下肢から履く | 非麻痺側上肢 肩関節:屈曲、内転 肘関節:伸展→屈曲 手関節:掌屈、背屈 手指:屈曲、伸展麻痺側下肢(足を組んで行う場合) 股関節:屈曲、外旋 膝関節:屈曲 上記に必要な関節可動域、筋力体幹前屈、回旋 握力、ピンチ力 姿勢調節(立ち直り反応、平衡反応)持久力、耐久性 |
非麻痺側下肢を履く | 非麻痺側上肢 肩関節:屈曲、内転 肘関節:伸展→屈曲 手関節:掌屈、背屈 手指:屈曲非麻痺側下肢 股関節:屈曲 膝関節:屈曲 体幹前屈 上記に必要な関節可動域、筋力 握力、ピンチ力 姿勢調節(立ち直り反応、平衡反応)持久力、耐久性 |
座位から立位になる | 前述済み |
腰までズボンを履く | 非麻痺側上肢 肩関節:外転、内転 屈曲、伸展 肘関節:屈曲、伸展 手関節:掌屈、背屈 手指:屈曲 体幹:前屈、回旋股関節、膝関節の屈伸運動が行われているか 関節可動域 筋力握力、ピンチ力 姿勢調節(立ち直り反応、平衡反応)持久力、耐久性麻痺側の認知 手すりなどを使用しているか |
立位から座位になる | 手すり等は使用しているか
上肢関節可動域 |
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ
チャンネル登録よろしくお願いします⇨https://bit.ly/37QHaWc