更衣動作は、身体機能や高次脳機能面といった、様々な要素が組み合わさって動作遂行がなされます。今回、上衣動作に必要な要素と身体機能に着目した練習方法についてまとめていきたいと思います。
目次
まずは、更衣動作(上衣)に必要な要素を確認していきます。
・十分なバランスをとることができるか
・姿勢を制御しながら、四肢の運動を行えるか
・服を持つ手を体に届かせる範囲や袖などに手を通す時の肩の運動制限
・衣服から得られる皮膚との接触情報に対して、四肢体幹が協調して運動できるか
・上肢操作能力や手指巧緻動作能力
・末梢部の操作性を保証する中枢部の安定性
・衣服の違い(素材など)に対する身体の反応を変える適応力
更衣動作では、特に上衣では着衣や脱衣の際に視覚が遮られることがあります。その時には、深部感覚情報と前庭感覚情報に基づいて姿勢を制御し、バランスを保つ必要があります。
更衣動作は衣服に対して四肢と体幹の協調された運動を必要とします。そのためには、体幹の安定性や中枢部の安定性が確保されていることが必要になります。
更衣動作では、ファスナー操作やボタン操作など、手指巧緻性を必要とするのが特徴です。
脳卒中片麻痺者では、運動麻痺や感覚障害などによって手指巧緻動作障害が生じる可能性が高く、また、運動性失行により左右両方の手に不器用さが生じることも考えられます。
自助具の使用により解決できるのか、または運動、感覚、高次脳機能の改善を軸にしていくのかなど、そのあたりの見極めを評価を通して行っていくことがポイントになります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
更衣動作(上衣)の観察では、以下のような視点が必要になります。
・運動麻痺(筋力低下)の影響で、動作遂行に必要な関節運動が生じているか
・感覚障害により、衣服を通す際に衣服と身体の間における協調的な動きが妨げられていないか
・高次脳機能障害の影響が生じていないか
更衣動作で観察されうる高次脳機能障害には、
・運動性失行(ボタン操作がぎこちないなど)
・観念性失行(更衣動作の手順がまちがっているなど)
・半側空間無視
・半側身体不注意
などがあります。
| 工程 | 必要な機能 |
| 麻痺側上肢に袖を通す | 非麻痺側上肢
肩関節:屈曲、内転 麻痺側上肢 肩関節:屈曲、外転or内転 関節可動域 |
| 非麻痺側上肢で上着を麻痺側肩→非麻痺側肩に移動させる | 非麻痺側上肢
肩関節:屈曲内転→屈曲外転 関節可動域 |
| 非麻痺側上肢に袖を通す | 非麻痺側上肢
肩関節:内転→外転 関節可動域 |
| ボタンを留める | 非麻痺側上肢 肩関節:内旋外転 肘関節、前腕:屈曲、回内、回外 手関節:掌屈〜中間位 手指:伸展、屈曲 麻痺側上肢 肩関節:内旋、外転肘関節、前腕:屈曲、回内、回外 手関節:掌屈〜中間位 手指:伸展、屈曲 関節可動域 筋力 座位保持能力(筋力、平衡反応、立ち直り反応)ピンチ力、握力 手指の表在感覚、深部感覚 手指巧緻性 ボタンの留め方を把握しているか |
| 各動作に必要な要素 | 麻痺側への空間認知 着衣失行有無 更衣動作の手順の把握 更衣動作を完遂できる耐久性があるか |
・タオルは身近な物品であり、自主トレとしても使用しやすい
・上着の着脱に必要な関節運動を、単関節のの動きに加えて、複合的な関節運動としてもトレーニン
グが行える
・タオルの動かし方により肩屈曲、内転、外転、外旋、内旋といった、様々な関節可動域運動が可能
・更衣動作(上衣、下衣)に必要な手指筋力増強を目的とする
・更衣動作には、手指機能の中でも特にピンチ力、またそれを支える母指球や小指球など(内在筋)の機能発揮が必
要
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