頚椎症性脊髄症の保存・手術療法におけるリハビリテーションとして、上肢・手指・姿勢、日常生活に対するアプローチについてまとめています。
目次
・僧帽筋上部線維、肩甲挙筋の筋緊張緩和
・頚部深部屈筋群の収縮を促す
・除重力肢位(肘および前腕を支える)で肩内外旋運動
・肩外転運動(壁に対して垂直に立ち近い距離から始め徐々に伸ばして手背で壁を押す)
・肩甲帯前方突出運動(テーブル上に上肢を乗せて前方にスライディングをする)
・肩水平内外転運動(テーブル上でタオルワイピング).
・肩屈筋の遠心性収縮運動(立位or座位、自動介助運動で肩屈曲し保持した後ゆっくり戻す
⇒数回保持可能となれば
・屈曲30→45→60 →180 →90° と段階的に進めsる
・180° からは肩外転運動を実施
・屈曲 60° 保持可能
⇒背臥位で上肢全体の屈伸運動(目標物にリーチ)
・除重力肢位(テーブル上に上肢を乗せる)肘関節屈伸運動
・重力下での肘関節屈曲運動を肩関節内旋位⇒中間位⇒外旋位で実施
酒井 浩他「頸髄症における上肢運動機能の経時的変化 -術前・術後3ヶ月までの変化-」京都大学医学部保健学科紀要: 健康科学 (2005), 1: 19-24
使用物品:
セメスワインスタインモノフィラメント
*2.83番(緑)3.61番(青)4.31番(紫)、4.56番(赤)、6.65番(赤)
①2.83番を使用し、手掌、指、手背と調べ、正常・異常の領域を大まかな範囲でつかむ
②2.83番で指尖から始め、近位部へと進む。セラピストは患者の手から2.5㎝の高さから、検査部位に1.5秒かけてフィラメントがたわむまで力を加え(皮膚上で滑らないように)、1.5秒かけて元の位置に戻す2.83番、3.61番は同じ場所に3回刺激し、そのうち1回でも応答が得られたら感知できたとみなす
4.56番、6.65番では1回の刺激のみで感知できなければより太いフィラメントに進む
*刺激のタイミングを変化させて、患者に予測させないようする
③知覚可能なフィラメント番号に応じ、検査用紙に指定された色を使いマッピングする
6.65番が感知できない場合は、赤斜線で示す
*高齢者、中枢性の障害がある患者で、検査が困難な場合、刺激を加える・加えないをランダムに行い、刺激が加えられたのはどちらかを選択させる方法(二者択一)もある
*中枢性障害では、刺激が加えられた後でもその刺激が残る場合がある(刺激残像)
このような時は刺激を加えるまでのインターバルを長くするこの現象は、皮質損傷によりニューロンの抑制が変化したことによる
触覚検査(閾値)の記録方法
結果の解釈(Bell-krotoskiによる)
材質の識別
静的触覚:
スポンジなどの弾力性、圧縮性の異なる物体(2組)に対して、上から手指を押し付けたり、握り込むことで垂直に力を加え同じものを特定させたり圧縮性、反
発性、伸展性の程度を識別する
動的触覚:
手触りの異なる材質を用意して指でこすり、平滑性、摩擦性を識別するサンドペーパーや、布、タオルなどを利用
*指を強く押し付けるように識別する場合があるため、力が入りすぎないように指導する
*動的触覚では、指を動かす速度と垂直方向の力のコントロール(押し付けない)を再学習する事が大切
*SES(sensory electrical stimulation)
TENS(transcutaneous electrical nerve stimulation)とも言う