膝を伸ばすような運動をしたときに、膝前面に痛みを感じるときは、どのような原因が考えられるでしょうか。私が担当している対象者の方で、膝伸展時の膝蓋骨外側偏位が大きかった方がいたので、痛みとの関係についてまとめていきたいと思います。

膝伸展時の痛みと膝蓋骨の外側偏位の関係

膝蓋骨の位置(正常と異常を知る)

膝蓋骨は膝関節を完全に伸展した場合、正中よりも少し外側に位置しています。
膝関節完全伸展した際に、膝蓋骨の内・外側上部の位置は同じ高さにあります。外側が内側より高い場合「外旋」、内側が外側より高い場合「内旋」となります。
膝関節完全伸展した際に、膝蓋骨は内・外側の傾斜はなく、同一レベルにあります。内側が低ければ、「内側傾斜」、外側が低ければ「外側傾斜」となります。
膝関節を完全伸展した際に、膝蓋骨は大腿骨の内側上顆と同一レベルにあります。内側上顆よりも上にあれば「挙上」となります。

膝蓋骨の位置に異常があると、膝関節屈伸時に正常な膝蓋骨運動が阻害され、痛みの原因となることがあります。

膝関節屈曲、伸展時の膝蓋骨の運動

前途したように、膝関節完全伸展時には膝蓋骨は正中よりやや外側に位置しています。
そこから屈曲30°程度までは、膝蓋骨は下内側に移動し、屈曲30°以上では膝蓋骨は下方→下外側に移動します。
伸展時は逆の動きになります。
自分の膝蓋骨を触りながら膝屈伸をすると、わずかに膝蓋骨が動いていることが確認できると思います。

膝蓋骨外側偏位が起こるメカニズム

膝蓋骨の位置は、内側広筋と外側広筋のバランス関係によって決定されています。
膝蓋骨外側偏位で多く見られるパターンには以下のようなものがあります。
・内側広筋の筋緊張・筋力低下
・腸脛靭帯の伸張性低下や高緊張
これらの要因は、膝蓋骨を外側に偏位させる力を発生させます。

では、これらの要因はどのような状況になると引き起こされやすいのでしょうか。
内側広筋などの大腿広筋群は、膝関節伸展の単関節筋です。
大腿広筋群は立ち上がり動作の臀部離床から重心を情報に上げていく相で地面を下に押し付ける力を発揮するときに必要になります。
高齢者や変形性膝関節症の方では、大腿広筋群のうち、内側広筋の筋萎縮が目立つとされています。

腸脛靭帯は大腿筋膜腸筋、大殿筋、外側広筋と筋膜を介した連結があります。
そのため、これらの筋群の高緊張は腸脛靭帯の緊張を高めてしまいます。
変形性膝関節症の方は、膝関節屈曲している立位を取りやすいため、大腿直筋や外側広筋の筋緊張が高くなる傾向にあります。
また、歩行においては遊脚期から立脚期にかけてのラテラルスラストがみられ、膝関節内反を制動するために腸脛靭帯を利用するため、腸脛靭帯の緊張が高まりやすくなっています。

内側広筋(大腿広筋群)の評価

大腿広筋群を個別に評価することは難しいですが、大腿広筋群と大腿直筋は、運動方向を変えることによりおおまかに筋力を評価することは可能です。
大腿直筋は、レッグエクステンションのように端座位にて膝90°屈曲位から膝を伸展させます。
大腿広筋群は、端座位にて股関節と足関節を結んだ線上に下肢を押し込むようにした時に筋活動が高まります。
または背臥位にて、踵をベッド面に対してこすりつけるようにしながらキッキングをすることでも同様の評価が行えます。
この動作は、大腿広筋群のトレーニングにも活用できます。

大腿広筋群の活動が必要な基本動作として、立ち上がりがあります。詳しくは以下の記事を参照してください。
立ち上がり動作に必要な筋活動と立ち座りテスト

腸脛靭帯の高緊張・伸張性低下の評価

腸脛靭帯が高緊張のために膝蓋骨の外側偏位が起きていると考えるとすると、腸脛靭帯を緩めることで痛みが改善される可能性があります。
腸脛靭帯はその走行から股関節内転位では伸張位となり、股関節外転位では短縮位となります。
股関節を外転位にしながら膝関節の屈伸を行い、痛みの軽減や消失をみることが評価となります。

姿勢の評価も大切!骨盤後傾位と膝痛!

膝関節に痛みが出ているからといって、その周辺の組織のみにとらわれていると、本当の原因が見えなくなる可能性があります。

骨盤が後傾位になっていると、運動連鎖により大腿骨は外旋します。
立位で膝関節が伸展するためには大腿骨は内旋する必要があるのですが、骨盤後傾位では膝関節伸展ができなくなります。
このような状態で膝を伸展させるには、足関節内反することで運動連鎖により脛骨を外旋させる必要があります。
この脛骨外旋が変形性膝関節症に発展していく可能性があるのです。

このようなことから、骨盤後傾姿勢は膝関節にとって致命的な影響を与えるといっても過言ではありません。
膝の痛みを考える際には、姿勢の確認もしっかりと行うことをお勧めします。