肩こり、肩の痛みに関係する筋肉について解説し、トリガーポイントの視点も交えながら自分でできるセルフストレッチについてまとめていきたいと思います。
目次
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首の付け根から肩の端まで、前後に渡って付いています。
僧帽筋上部繊維が緊張していると、肩が上に上がっているように見えます。
いわゆるいかり肩なんかと言われているものです。
上部僧帽筋は肩甲骨を上に上げる挙上作用があります。また肩を上げる際には肩周囲の様々な筋肉と協調して働くことでスムーズで力強い肩の運動がなされます。
上部僧帽筋にトリガーポイントがあり、過緊張状態や筋に硬さがあると、主に頭痛や首の痛みの原因となります。
首の付け根の皮膚の下にある繊維をつまむと、針で刺したようなチクチクした痛みを覚えることもあります。
このトリガーポイントは、こめかみ付近の痛みの原因にもなり、顎の下部分や耳の後ろ、目の奥へと痛みを広げていくこともあります。
僧帽筋上部繊維は緊張性頭痛の原因となり、時にはめまいも引き起こすことがありますが、胸鎖乳突筋の筋硬結によるめまいと区別することは困難です。
他にも僧帽筋の硬さは後頭骨底部の痛みを引き起こすことがあり、この場合首のマッサージをすることは意味がありません。
座っていて前かがみの姿勢が続いていたり、下を向いている時間が長い、またはその癖がある場合緊張しやすくなります。
猫背の方は肩が前方に引っ張られやすく、それに伴い僧帽筋も引っ張られ、負担がかかります。
ストレスなど精神的な要因で肩が常に上がっているような場合。
長い時間腕を空間に保持しなければいけない作業。
乳房が大きい女性は僧帽筋や大胸筋への負荷が大きくなりがちなため、筋が常に緊張しやすくなります。
バックを肩から下げたり、重いリュックを背負うことも僧帽筋上部に負担をかけることになります。
僧帽筋は首の付け根から肩の端までついています。
そのラインにかけて内から外へ順番に行います。
①首を右に真横に倒します。
②首の付け根の上部僧帽筋を左の人差し指~薬指あたりの指の腹で上から押さえ、肩の
端へ寄せます
③首を左側に倒します。
④抑える個所を外側にし、①~③を繰り返していきます。
筋肉を押さえる指の圧は、強すぎず、軽すぎず。
反対側に首を倒す時はゆっくりと、筋肉が伸びていくのを感じながら行ってください。
うまくできていれば、緩めた側の肩の高さが逆側と比べると低くなっているはずです。これが筋肉が緩むという事です。
上部僧帽筋は肩こりの代表的な筋肉です。日常的に、気づいたときに緩めていくことができれば多少は楽に感じるかもしれません。
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肩甲骨の肩甲棘のすぐ上にあります。
上腕骨を持ち上げ、他の回旋筋(棘下筋、肩甲下筋、小円筋)と共同で働き、上腕骨の安定性を高めています。
棘上筋のトリガーポイントがあると、痛みは肩の外側から深い部分にかけてになります。
また関連痛としては上腕の外側から前腕、手首にまで痛みが広がることがあります。
棘上筋が緊張すると、腕をあげる時に痛みが走ることがあります。
また、日常生活上の動作では髪を洗う動作や髪を梳かすような動作が行いにくくなります。
肩甲骨の関節窩内で上腕骨の動きをスムーズに動かすことができなくなるため、肩を動かした際の音(れき音)の原因にもなりやすいです。
棘上筋がすでに過度の緊張状態である場合には、歩いている時の腕の振りだけでも棘上筋のさらなる緊張を招いてしまうこともあります。
基本的に肩を使う動作において棘上筋は緊張します。
特に重いものを運ぶなどの重労働では棘上筋の緊張が高まりやすくなります。
写真は右の棘上筋の場合となります。
①首の付け根から背中側にたどり肩甲骨の端の骨を探ります。肩の端から背中にたどり、肩甲骨の端の骨を探ります。これが肩甲棘になります。この上にある棘上筋を、順番に緩めていきます。
②右腕を外に開きます。左手人差し指~薬指で棘上筋を上から押さえ背骨側に寄せます。
③左手はそのまま圧を加えておき、右腕を下におろします。
棘上筋は僧帽筋の下にあるので、押さえるときはやや強めに圧を加えてもよいかもしれません。
腕をおろす時はゆっくりとおろしていってください。
棘上筋は目立たないが重要な筋肉です。
日常的に、気づいたときに緩めていくことができれば多少は楽になるかもしれません。
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肩甲骨の前側全体から、上腕骨についていきます。
体の表面からは、一部分しか触る事ができません。
肩関節の内旋に作用し、他の回旋筋(棘上筋、棘下筋、小円筋)とともに上腕骨の安定性に関与しています。
五十肩などの肩関節周囲炎では肩甲下筋の緊張が関与していることが多いです。
トリガーポイントがあると痛みは肩の後ろの深い部分に感じます。関連痛として、上腕、手首の甲側にも痛みが広がることがあります。
肩甲下筋がうまく働いていない状態では、棘上筋が優位になり過ぎてしまい、腕を上げる際に上腕骨が肩峰にあたってしまう(インピンジメント)ことがあります。
肩を動かした時に音がする場合、肩甲下筋、あるいは棘上筋に問題があることが多いです(両方の場合もあり)。
肩甲下筋が緊張すると肩の可動範囲が狭くなり、腕を交差させることや背中に回すことに困難が生じやすくなります。
突然の転倒などで肩に過度の負担がかかると肩甲下筋を緊張させてしまう場合があります。
骨折や脳卒中などの治療で長く肩を動かせないでいると肩甲下筋の緊張を高めてしまうことがあります。
写真は右の肩甲下筋の緩め方になります。
①右腕を90度程度前方に挙げ、突き出します。すると、脇の後ろと肩甲骨の間のスペースが空くので、そこに左手の指先を差し入れます
②そのまま脇を締めます。これがスタート姿勢です。
③そこから右腕を右斜め上方に挙げていきます。
肩甲下筋を緩めるのはかなり痛い場合があります。
そのため、指を差し入れる手は圧を調整してください。
痛さ加減を調節できるのも自分でできるシリーズのメリットです。
斜め上方に腕を挙げていくときはゆっくりと筋肉が伸びていくのを感じながら行ってください。
肩甲下筋は目立たないが重要な筋肉です。また緩める場合、かなりの我慢が必要な場合もあります。
肩の凝り、また痛みをとるのに必要な痛みもあるという事を頭の隅に入れながら緩めてください。
日常的に、気づいたときに緩めていく事ができれば多少は楽になるかもしれません。
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肩関節を外転し(外に挙げ)、肩を内旋(内に回します)。
そこから肩関節を外旋すると、小円筋の収縮を感じることができます。
小円筋のトリガーポイントは棘下筋のトリガーポイントよりも5〜6㎝離れた部位にあります。
小円筋のトリガーポイントは、主に上腕と接触している肩後部の限られた痛みとなります。この筋からの痛みは、肩周囲の他の筋の問題が解決するまで気づかれない可能性があります。
トリガーポイントは第4、5指のしびれと疼きを生じさせることもあります。
またこのときのしびれ、疼きは小胸筋のトリガーポイントによる可能性もあります。
第4、5指のしびれでなく痛みがある場合には、広背筋のトリガーポイントが原因となっている可能性もあります。
小円筋が緊張する原因としては、腕を頭上や体の前に長時間持ち上げるような動作をすることが挙げられます。
腕を外旋させる作業を繰り返すことも、小円筋に負担をかけます。
①まず小円筋の場所を探します。右肩を外側に挙げ、内側に回します(内旋)。左手を右肩甲骨の外側縁にあて、右の肩を外に回します(外旋)。このとき膨らむ筋肉が小円筋です。
②小円筋を探したら、右肩を外側に挙げ、肩を外に回した位置がスタートポジションです。左手の人差し指から薬指で小円筋を押さえ、肩甲骨の下に向かって引き寄せます。
③左手の圧はそのままで、右の肩を内側に回します(内旋)。
小円筋は圧を加えると結構な痛みが生じることがあります。自分で圧を調整しながら緩めていくとよいでしょう。
小円筋は棘下筋とともに、関節の可動範囲に影響を与えやすい筋肉です。
それだけ酷使されやすい筋肉にもなっているので、日常的に自分で緩めることは予防的にも重要になってきます。
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出典:ネッター解剖学アトラス原書第3版
肩甲棘の下より、肩甲骨の背側面全体についています。
上腕骨の大結節の後方についており、上腕骨を外旋させる作用があります。
棘下筋などの外旋筋の作用で上腕骨が外旋しないと、肩をしっかりと上まで挙げることはできません。
また回旋筋腱板である棘下筋は、上腕骨頭を関節窩にひきつけ固定する重要な役割も担っています。
棘下筋は筋肉の中でも特に負担がかかりやすい筋肉になります。
棘下筋にトリガーポイントがあり過緊張であったり、硬さがあると、筋肉のある位置は後方だが肩前方に痛みを送ることがあります。
関節深くの痛みや上腕二頭筋付近にまで痛みが及ぶこともあり、三角筋前部や結節間溝付近の痛みもあり、上腕二頭筋腱炎と誤解されてしまうこともあります。
時には肩甲骨の内側、前腕から手にかけて関連痛が送られることもあります。
このような症状が出ると、上腕骨の内外旋が制限され、肩の自由な動きが制限されてしまいます。
具体的な日常生活上の動作では手を背中に回すことが難しくなったり、前開きシャツなどの着脱も困難になります。
棘下筋に過負荷がかかってしまうと、その他の回旋筋腱板筋である棘上筋、肩甲下筋、小円筋にも負担がかかり、その結果4つ全ての筋が機能低下してしまう恐れもあります。
棘下筋は腕を長時間挙げておかなければならないような作業を続けているとかなりの負荷がかかります。
自動車運転でハンドルを握る時間が長い方は棘下筋と棘上筋に過負荷がかかっている可能性があります。
左棘下筋の場合
①右手で左の背中まで手を伸ばし、人差し指から薬指で棘下筋を押さえます。気持ち背骨側に寄せます。
右手の圧はそのままで、左肩を外、後ろ方向に挙げます。
②左肩、腕を前に伸ばします。
棘下筋は押さえにくい筋肉です。
そして肩甲骨の背面全体についているので、押さえるポイントも多いです。
押さえる場所によって、痛みがあるところがあれば、そこを重点的にやれば良いと思います。
棘下筋は肩甲骨に対して多方向についており、それぞれ働き方が違っています。
そのため棘下筋の中でも色々な所が硬くなったり、痛みがでやすくなってしまいます。
普段の生活の中で、肩甲骨の位置、動き方はなかなか意識しないものです。
肩甲骨の位置を意識できるだけで姿勢が良くなったりもするので、自分で筋肉を緩めていくなかで肩甲骨を意識する良い機会になると思います。
日常的に、気付いた時に緩めていくことができれば多少は楽になるかもしれません。
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肩甲骨の背骨側の上の端(肩甲骨上角)から頚椎にかけてついています。
その作用は肩甲骨の挙上(肩甲骨の引き上げ)と下方回旋です。
また頚椎の側面にも付着していることから頚椎の側屈にも補助的に作用します。
肩甲骨を挙上した際に、肩甲挙筋の走行から判断します。
最も探しやすい部位は、肩甲骨上角部分です。
トリガーポイントで一番大事な部分は上角の付近ではなく、分厚い僧帽筋の深部にあるため、強い押圧が必要になります。
また胸鎖突筋のすぐ後ろのトリガーポイントも処置する部位としては重要です。
僧帽筋と同時にトリガーポイントを形成している可能性があります。
肩甲挙筋にトリガーポイントがあると、頸の付け根に痛みや肩こりを引き起こします。
トリガーポイントの活性化では肩甲骨内側縁や肩の背側に痛みを生じさせます。
動作では車のバックの際に後ろを振り返るのが行いにくくなったり、トリガーポイントの存在する側に頭を向けることが困難になったりします。
日常生活でのストレスや不良姿勢の習慣があると非常に大きな負荷がかかります。
具体的には書類を横に置いてそれを見ながらキーボードを打ったり、リュックサックや肩からハンドバックを下げることは肩甲挙筋の緊張を引き起こします。
また高さの合わない肘掛、習慣的にうつむく姿勢を取り続けること、むちうち損傷なども肩甲挙筋に負荷をかけることにつながります。
①左手で肩甲骨の背骨側の上端(肩甲骨上角)を見つけます。
そこから頚椎に向かう筋肉が肩甲挙筋です。
左手人差し指〜薬指で肩甲挙筋を押さえ、上角側に引きます。次に首を上へ向き、右側に倒します。
②左手の圧はそのままで、首を下へ向き、左へ倒します。
他の筋肉も同様ですが、肩甲挙筋でも人により痛みが出ている箇所が違うので、肩甲挙筋の中でも色々な場所に対して緩めていくと良いと思います。
肩甲挙筋を緩めてあげると、肩甲骨の動きが良くなり血行不良、痛みも改善しやすいだけでなく、上腕骨を外に回す関節運動(肩関節の外旋)の運動範囲も広がりやすくなります。
五十肩などで外旋運動に制限が出ている方にも緩める価値があるかもしれません。
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大円筋は肩甲骨下角の外側縁より上腕骨小結節稜についています。
大円筋は広背筋と同じ走行を持っており、腋窩の後部で結合しますが、肩甲骨の外側に起始を持っている点で違いがあります。三角筋後部、広背筋と共同で肩関節を伸展させ、また肩関節の内転、内旋の作用もあります。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
大円筋が過緊張、または硬くなっていると、三角筋後部(肩の後面)に鋭い痛みが出現します。
また、同一の走行を持つ広背筋にも過緊張が生じると痛みが肩甲骨下角を中心に背中にまで広がります。
実際の動作的な支障に関しては背伸びなど腕を頭上に持ち上げることが難しくなります。
大円筋は、腕を上げたり下げたりする動きの繰り返しで緊張します。
特に頭上に腕を上げたままでの作業を長時間行っていると緊張しやすくなります。
肩甲骨下角の外側縁に指を当てます。上腕を外旋させ、そこから内旋方向に動かすと大円筋が収縮しふくらみます。
そのまま上腕骨方向にたどっていくと大円筋の走行がわかります。
それでもわかりにくい場合には、親指と他の指で肩関節後部にある大円筋と広背筋の筋の塊をつかむと収縮を感じやすいと思います。
右大円筋の場合
①スタートポジションは右腕を脇につけ、上腕骨は内旋させ前腕をお腹につけておきます。
②左手の指先で大円筋に押圧を加え、肩甲骨下角方向へ引き寄せます。
③右の上腕骨を外旋させながら頭上に挙げていきます。
大円筋、広背筋のマッサージで自分で揉むように行うとすぐに腕が疲労してしまいます。
指圧器を使うと楽にマッサージすることができますが、上記の方法では大円筋を緩めながら、同時に筋のストレッチも行うことができ、とても効果的な方法なのでオススメします。
回数等の目安に関してはストレッチした際に痛みがある場合にははじめの痛みより1/3程度になることを目安に行います。また大円筋は肩甲骨下角から上腕骨にかけてついており、押圧する場所を変えながら行うとよりストレッチ効果が期待できます。
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大胸筋は男女の乳房部分にある筋肉です。
体の中心から鎖骨にかけてついており腕の骨(脇の方)につきます。
鎖骨部、胸肋部、腹部の3つに分かれており、各肢位によりその作用は異なります。
肩関節下垂位(1st)では、鎖骨部は肩関節の屈曲、内転、内旋に作用します。
胸肋部では肩関節内転、内旋に作用します。
腹部では特別な作用はありません。
肩関節90度外転位(2nd)では、鎖骨部は肩関節の水平屈曲に作用します。
胸肋部では肩関節の水平屈曲、内転、内旋に作用します。
腹部では肩関節の水平屈曲、内転、内旋に作用します。
肩関節90度屈曲位では、鎖骨部は肩関節の水平屈曲に作用します。
胸肋部では肩関節の水平屈曲、伸展、内旋に作用します。
腹部繊維では肩関節の水平屈曲、伸展、内旋に作用します。
出展:ネッター解剖学アトラス原書第3版
大胸筋は、男性では皮膚から直接アプローチ可能できます。
女性の場合、上半分は触診可能ですが、下半分は乳房を横に移動させることでアプローチする必要があります。
背臥位(仰向け)では重力により乳房が横に移動されるためアプローチしやすくなります。
また、大胸筋の外側にアプローチする場合は横向き(側臥位)をとると触診しやすくなります。
大胸筋が過緊張状態、あるいは筋に硬さがあると、胸部、肩前面、腕内側、肘内側、手の尺側、薬指、小指に痛みが広がることがあります。
大胸筋の下縁に筋硬結があると、不整脈の原因とんることがあります。
この場合、心臓がある左胸ではなく、右側の大胸筋にのみ問題が生じます。
心臓疾患が回復した後にも、大胸筋の過緊張状態が激しい胸痛を引き起こすこともあるようです。
大胸筋が過緊張状態にあると姿勢にも影響します。肩が前方に引かれ、胸を後ろに反らすことが困難となります。
そのため上背部の筋肉に常に負担をかけることにつながります。
猫背姿勢は頭部前方変位を引き起こすため、胸鎖乳突筋や斜角筋のストレスを高めることにつながります。
猫背姿勢は椎間板、神経の圧迫、顎への影響や呼吸症状、疲労、頭痛の原因となることもあります。
大胸筋を緩めておかないと、他の筋をストレッチした際に症状が増悪してしまうこともあります。
このようなことから、肩と上背部の筋に影響を及ぼすことで、五十肩の原因となることもあります。
大胸筋が緊張する原因としては、肩や腕を多く使う作業を繰り返したり、重いリュックサックを背負ったりすることで過度の負担がかかってしまうことになります。
①脇をしめ、脇の付け根から胸にかけ皮膚全体を掌で持ち体の中心に寄せます。
②皮膚を持つ手はそのままに、斜め上方に逆の腕を上げていきます。
③①~②を繰り返します。
*うまくできていると、皮膚、筋肉が伸びているのを感じとることができます。
*ストレッチしていく際に、痛みが津強く出る可能性があります。自分で痛みを調整しながら行うことが大切です。
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大胸筋の下に隠れており、烏口突起から上部肋骨ついています。
小胸筋は烏口突起を引き下げることで、肩甲骨の安定性に関与しています。
また激しい運動をしている時の呼吸の補助として、肋骨を引き上げることで胸郭を広げる役割があります。
トリガーポイントがあると、痛みは肩の前面に出ます。
関連痛として、腕から肘の内側、中指、薬指、小指の外側に広がることもあります。
小胸筋の緊張により、腋窩動脈と上腕神経を圧迫すると、手首への血流が悪くなることがあります。
また上腕神経の圧迫により腕から指にかけてのしびれ感が出現することがあります。
小胸筋が短い状態だと猫背の原因となります。
この猫背は背中の真ん中あたりを緊張させ痛みを引き起こします。
小胸筋の緊張は、肩甲骨が胸郭に張り付くのを妨げます(翼状肩甲)。
そのために、頭上に腕を上げたり、後ろに手を回す動きが行いにくくなります。
胸式呼吸をしている方や、咳が慢性的に続いている方は小胸筋を過度に緊張させてしまいます。
むち打ち症、猫背、重いものを持つなども小胸筋の緊張高めてしまいます。
様々なストレスは、無意識のうちに胸式呼吸になりやすく、小胸筋の短縮を招きやすいです。
また呼吸は過換気様か浅井呼吸になってしまいます。
写真は左小胸筋の緩め方になります。
①左脇の下に右手を入れます。そこから前方にたどっていくと、胸の筋肉をつかむことができます。その位置から、人差し指〜小指を体の中心に押し込みます。
一番下の手は名前を隠すための手なので関係ありません。
②左腕を内側にし、脇をしめます。
③左腕を斜め右上に挙げていきます。
大胸筋との違いですが、大胸筋の場合は胸の上の筋肉、皮膚を中心に向けて引っ張っています。
小胸筋を緩めているときは結構痛いですが、数回繰り返していると徐々に痛みが少なくなってくることが多いです。
右腕を挙げていくときはゆっくりと行い、筋肉と皮膚が伸びていくのを感じながら行うのが良いでしょう。
大胸筋、小胸筋とも肩を前方に引っ張る筋肉です。肩こり解消として、また猫背改善として日常的に緩めていくことが楽になるコツかもしれません。
自分でこのように動かしながらほぐすことで、普段の生活では動かせていない範囲まで肩を動かすことができます。
動かす事が筋肉をほぐし、血行も改善するという良循環につながっていくはずです。
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斜角筋は首の両側にあり、3つ、あるいは4つの筋群からなります。
斜角筋は胸鎖乳突筋に隠れており、前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋とそれぞれに分かれています。
頚椎から上位二肋骨に付着しており、主な働きは息を吸う際に両側の上位二肋骨を引き上げることです。
また激しい運動により呼吸が荒くなった場合にも積極的に働きます。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
斜角筋が過緊張状態あるいは硬さがあると、胸部、上背部、肩、腕、手と広範囲にわたって痛みが広がることがあります。
上背部の痛みでは菱形筋による症状と誤解されることもあります。
斜角筋は首や肩の痛みの原因となりやすいですが、肩周辺へ痛みが広がると肩関節周囲炎と診断されることも考えられます。
また腕や手に痛みやしびれが広がると頚椎の椎間板の異常による神経根の圧迫と捉えられることもあります。
斜角筋が短縮することにより第一肋骨が鎖骨の方に引き上げられると、この部分へ走行している神経や血管が圧迫されることがあります。
その場合腕や手の痛み、腫れ、しびれなどの症状が出ます。
この状態は胸郭出口症候群と呼ばれています。
斜角筋が緊張する要因の一つとして、胸式呼吸を習慣的に続けていることにより緊張しやすくなります。過呼吸の場合も同様に斜角筋に負担がかかりやすくなります。
またストレス等精神的に緊張しやすい方も斜角筋が緊張しやすい傾向にあります。
喘息、咳が続くなどでも斜角筋に負担がかかりやすくなります。
日常生活上の動作では腕を前に出しながら長時間動かすような動作は負担がかかります。
また重い荷物の運搬作業においても斜角筋は緊張しやすくなります。
前斜角筋は胸鎖乳突筋と頚椎の間に位置いますが、ほとんど隠れています。
前斜角筋に触れるには、胸鎖乳突筋と頚椎の間に指を入れ、気管の方向に引っ張ることで触れることができます。
中斜角筋は前斜角筋の後ろに位置しています。
後斜角筋は中斜角筋の後方で鎖骨の上、僧帽筋上部線維の首よりの端のすぐ下にある三角形のくぼんだ部分にほぼ水平に位置しています。
斜角筋群は触り方が難しいため、斜角筋群としてとらえるようにして以下に紹介する方法でほぐし緩めることをお勧めします。
右斜角筋群の場合
①首を右に倒します。
②斜角筋に押圧を加え、第1、2肋骨の外下方に向け引き寄せます。
③首を左に倒します。
後斜角筋は首の左右の動きでだけでも良いですが、中・前斜角筋の場合は首の左右の運動に加え、前後の運動も行うとより効果的に緩めることができます。
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耳の後ろ側にある骨(乳様突起)から鎖骨、胸骨についています。
それぞれの筋の走行により胸骨頭、鎖骨頭と名称があります。
胸鎖乳突筋の左右両方が収縮すると顎を軽く上に上げつつ後頭を前方に引く動きになり、 片方だけが収縮すると頭を反対側に回し、かつ傾けます。
また頭を固定している時には、呼気筋として作用します。
胸鎖乳突筋にトリガーポイントがあり過緊張あるいは硬さがあると、この筋肉自体には痛みは与えませんが、痛みのない首のこりの原因となったり、頭をまっすぐに保っておくことが難しくなります。
胸骨頭に過緊張があると、眼球深くの痛みや、食物を飲み込む際の舌の痛みを引き起こすことがあります。
また目の上、耳の後ろ、頭頂などの頭痛の原因にもなりえます。
顎関節症の原因筋となる可能性もあります。
また目のかすみや複視の原因となったり、目の充血を引き起こす場合があり、眼輪筋の痙攣から眼瞼下垂を引き起こすこともあります。
鎖骨頭に過緊張があると耳の深い場所への痛みを送り、奥歯の痛みの原因にもなります。
平衡感覚障害としてめまいや吐き気を引き起こすこともあり、まっすぐに立てないことや転倒の危険にもつながることがあります。
難聴の原因としても鎖骨頭の緊張が挙げられます。
全身症状としては鼻、喉などの粘液の過剰分泌の原因となることもあります。
渇いた咳が続いている場合には、胸骨頭を緩めることで緩和されることもあります。
右胸鎖乳突筋の場合
①首を右横に倒し、そのまま頭を左へ回します。すると胸鎖乳突筋が浮かび上がってきます。
②左手で胸鎖乳突筋に対し圧を加え、鎖骨方向に引っ張り、首を反対側に倒します。
胸鎖乳突筋を浮かび上がらせるときは、首を横に倒して頭を反対側に回す動きをしっかり行うことで浮かびやすくなります。
耳の後ろの部分から鎖骨、胸骨の部分まで、指の位置を変えながら全体的に行うことで緩みやすくなります。
普段の楽な姿勢において、首が体に対してどのような位置関係にあるかを確認するのに、一度鏡で横から自分を写してみてはいかがでしょうか。
首が前に出ている方は首、顎を後ろに引いて、その姿勢をキープしてみるとかなりしんどいと思います。
このように自分の状態を知ることから、姿勢改善への初めの一歩にしてみることもオススメですよ。
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出典:姿勢と動きの「なぜ」がわかる本
広背筋は脊柱(背骨)から上腕骨小結節稜についています。
広背筋の作用としては、起始部(脊柱側)がそのままで停止部(上腕骨側)が収縮すると肩関節の伸展(腕を後ろに伸ばす動き)に働きます。
腕を上げた際には、広背筋は引き延ばされるため、腕をしっかり挙げるには広背筋の柔軟性が大切になります。
柔軟性がない場合、脊柱を過度に伸ばす代償運動が起こります。
そのため、広背筋の柔軟性低下がある場合には、腰部に負担がかかっているかもしれないことを知っておく必要があります。
肩関節の内転(腕を体側につける運動)の作用もあり、肩を外転(腕を外側に挙げる)した際には、広背筋の柔軟性がないと外転に制限が出ます。
肩関節内旋(肩を内に回す)の作用もあり、肩関節外旋(肩を外に回す)の際に広背筋の柔軟性がないと外旋に制限が出ます。
広背筋が緊張すると、側腹部(脇腹)に痛みが出る場合があります。
また、痛みが肩甲骨から腕の内側、薬指、小指へと広がることもあります。
背伸びをしたり、体を前に傾ける時に必要な伸びる動きが制限されます。
広背筋は、腕を上げたり下げたりする動きの繰り返しで緊張します。
特に頭上に腕を上げたままでの作業を長時間行っていると緊張しやすくなります。
仰向けで腕を耳の横まで上げます。
①その時に腰が反る可能性があります。
②耳の横まで手を上げた後に脱力すると耳から腕が離れる可能性があります。
座位あるいは立位で腕をバンザイします。
①この時に腰が反る可能性があります。
前腕同士を合わせて顔の前で上に上げた場合に、
①肘が鼻より上に上がらない可能性があります。
①右腕を体側に近づけておきます。左手人差し指から小指で右広背筋に押圧を加え、お尻の方向に引っ張ります。
②右腕を外方向、上に挙げ、体をやや左に倒します。
広背筋に押圧を加えるのが大変な方は、指圧器を使うとほぐしやすくなります。
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広頸筋は皮膚の真下にあり、薄い膜状の筋肉で顎から首を通り、鎖骨周辺までついています。
広頸筋の作用は頸部や胸部のしわを作り、顔面では口角を下方に引きます。
広頸筋は皮膚の真下にあるため、筋の走行通りに触れることが可能です。
広頸筋にトリガーポイントがあると、顔面や頸部のはっきりとした原因がわからない痛みに関与します。また胸の上部にまで関連痛を送ることがあります。
美容上の問題としては、頸のたるみにも関係する筋肉です。
広頸筋が緊張する原因には、無理をして顔の表情を作るような習慣が挙げられます。
斜角筋や胸鎖乳突筋のにトリガーポイントがあると、広頸筋のトリガーポイントを活性化させます。
むちうち損傷では、広頸筋にトリガーポイントが形成されやすいです。
猫背姿勢(頭部前方変位姿勢)では広頸筋の短縮が見られ、下顎から鎖骨にかけてのこわばりを確認することができます。
①首は右下を向き(広頸筋の起始と停止を近づける)、鎖骨に沿い左手全体を置き、やや下に引っ張ります。
②左手の圧はそのままで、首を左上に向きます(広頸筋をストレッチする)。
トリガーポイントの位置により、頸に回旋や側屈の動きを大きくしながら行うと、より効果的にストレッチが行えます。
広頸筋は伸ばすときにかなりの痛みを感じることがあります(耳がちぎれそう、皮膚がやぶれそうなどの痛みの感覚)。
そのため自分で圧、伸ばし方をコントロールしながら徐々に緩めていってもよいかもしれません。
緩めていくうちに痛みは軽減していくはずです。
頸のたるみ予防として、広頸筋のストレッチは重要です。
特に頭部前方変位の姿勢では広頸筋が縮むため、しわやたるみが顕著になります。
広頸筋のストレッチをすることで、筋の柔軟性を高め、その予防となります。
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下位頚椎から後頭骨の外側、乳様突起についています。
①首を上向きにし、さらに右に倒し、右に回します。右手の人差し指から中指で、右頭板状筋を押さえ、背骨の下(中心寄り)の法へ引き寄せます。
②右手の圧はそのままで、首を下向きにし、さらに左に倒し、左に回します。
頭板状筋全体に対して、数回ずつ行うと良いでしょう。
よく肩や首のこりから頭痛になっている方を見かけます。
緊張性頭痛というのですが、この予防策という点でも、首回りの筋をほぐすことは大事になってきます。
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上腕骨を包むようについており、腕を前方に挙げるための前部線維、腕を側方に挙げるための中部線維、腕を後方に挙げるための後部線維と3つの部分に分けています。
三角筋は鎖骨、肩甲棘、肩峰、上腕骨三角筋粗面についています。
三角筋は重い荷物を持ち上げたりする際に、上腕骨が関節窩から脱臼しないよう過剰な負荷がかかりやすい筋肉になります。
三角筋にトリガーポイントありが過緊張、あるいは硬くなると、三角筋自体に痛みを発生させます。
これらの状況下では三角筋は弱化しやすく、あらゆる方向への腕の挙げにくさにつながることが予想されます。
三角筋の筋膜の痛みが、肩関節周囲炎、回旋筋腱板炎などと誤解されてしまうこともあります。
肩関節を前方に挙げる運動(屈曲)は三角筋に負担をかけやすい動作になります。
仕事で重い荷物を持ち上げたり、また乳幼児を抱っこする動きも三角筋含め肩周囲筋に負担をかける動作になります。
パソコン作業でキーボードの位置が高すぎても腕を高い位置で保持しなければならず三角筋に負荷を与えてしまいます。
左三角筋の場合
2つのパターンがあります。
筋をに圧をかけるパターン
①三角筋前部、中部、後部線維全てに行います(例として前部線維)。前部線維に対し、右手の人差し指〜薬指で押さえ、圧をかけます。
②右手の圧はそのままで、左腕(肩)を内側に回し、そこから外側に回します。
皮膚をつまむパターン
①三角筋前部、中部、後部線維全てに行います(例として前部線維)。前部線維上の皮膚を右手の親指〜中指でつまみます。
②右手で皮膚をつまんだまま、左腕(肩)を内側に回し、そこから外側に回します。
三角筋の中部線維は特に緊張しやすく、緩める過程で痛いことが多いです。
この筋に限らないですが、緩めていくうちに痛みが初めの半分、1/3と軽減していくと思います。
1/3程度になれば次の箇所を緩めていくと良いでしょう。
三角筋前部、中部、後部線維の中でも場所を色々と変えることで、全体が緩まっていきます。
三角筋は表層にあり常に頑張ってくれている筋肉です。
肩こり解消として日常的に緩めていくことが楽になるコツかもしれません。
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3つの頭に分かれており、肩甲骨から肘の部分(尺骨)についています。
①右肘は曲げたままで、右肩を外に開きます。左手人差し指から薬指で右脇付近の上腕三頭筋を押さえ、肘の方向に寄せます。
②左手の圧はそのままに、右の腕を上まで挙げていきます。
上腕三頭筋の位置がわかりにくければ、右肩を外に開いた位置から肘を伸ばすと、筋肉が膨らむので、その位置が上腕三頭筋です。
圧を加える方法に加えて、上腕三頭筋の上にある皮膚をつまんで行うことでも効果があります。
上腕三頭筋は普段はなかなか意識しない筋肉です。腕をよく使う仕事をしている方(我々含めて)は、肩こりの原因となっていることもあるので、日頃から緩めておくことで肩こり解消、予防になるかもしれません。
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右棘下筋、肩甲下筋、小円筋、大円筋の場合。
3つのポジションから行います。
下ポジション
①腕を下ろした状態から肘を90度曲げ、その位置で上腕骨の内外旋を行います。
横ポジション
①腕を真横に挙げ、肘を90度曲げます。その位置で上腕骨の内外旋を行います。
前ポジション
①腕を前に挙げ、肘を90度曲げます。その位置で上腕骨の内外旋を行います。
筋肉は、一番縮む位置と一番伸びる位置までの運動を繰り返すと、自動的に緩んでくれる性質があります。
今回はこの性質を利用した運動になっています。それぞれのポジションで働く筋肉が微妙に違ってくるため、3つの位置で腕を動かすことが重要なのです。
今回は片手でもできる運動を紹介しました。
自分で動かすことで筋肉が緩むというのはなかなか想像できないと思いますが、実際に緩みます。
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