今回は腰痛を引き起こす筋として一般的な筋肉のほぐし方、緩め方を紹介していきます。
目次
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多裂筋に過緊張、硬さがあると、その付近への鋭い痛みを引き起こします。
多裂筋を含む深部脊柱起立筋は椎骨を片側に引く傾向があるため、筋から来る痛みだけではなく、椎骨の偏移から痛みが生じることもあります。
症状が重くなってくると、椎骨の前、後ろ、横の全ての動きを制限するtこになり、触診においては非常に硬さを感じ、体幹の回旋などの動きが制限されてしまいます。
深部脊柱起立筋の緊張が仙骨に影響し、仙腸関節部の動きの低下を生じさせることもあります。
深部脊柱起立筋の過緊張により、椎間板の損傷につながることも考えられ、椎骨が神経を圧迫することで対応する部位のしびれや筋力低下を引き起こすこともあります。
また成人、小児のどちらにおいても脊柱側弯症の原因となることも考えられます。
多裂筋が緊張する原因としては、歪んだ姿勢で長時間過ごすことが第一に挙げられます。
猫背姿勢は深部脊柱起立筋にとって激しく負荷がかかるため、日常的な姿勢の見直しが必要になります。身体を横にして寝ると多裂筋はリラックスできますが、立位姿勢においてもまっすぐ立つことで背骨に均等に体重が分散されリラックスさせることは可能です。
腹筋の弱化は、背筋に過度に負担を強いることになり、このような状態で重いものを持ち上げたりすると筋肉は悲鳴をあげてしまいます。
深部脊柱起立筋はそれぞれが細かく小さい筋であり、突然の負荷や負荷の強い動作を繰り返していると損傷を受けやすくなります。
また体調不良時にはそれらの筋がまず先に悪化しやすくなります。
右多裂筋の場合
①へそが前にでるように姿勢を伸ばします。
②多裂筋に押圧を加え、お尻方向、外方向へ引き寄せ保持します。
*深い場所にあるため、強い押圧が必要です。
③身体を前に傾け、右にねじります。
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梨状筋は6つある股関節外旋筋の中で最大の筋肉で、仙骨と大転子の間に位置しています。仙骨外側前部から起始し、大腿骨大転子の頂部に停止します。
作用は股関節の外旋です。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
梨状筋を見つけるためには、筋肉の走行をイメージできることが大切です。
梨状筋は大転子からわずかに斜め上向きで仙骨外縁部に走行していきます。
梨状筋を単独収縮により見つけるには、大臀筋の同時収縮することが必要です。
側臥位で上側の下肢を外旋させることで触知しやすくなります。
トリガーポイントは梨状筋のすぐ下にある大転子と坐骨の間の領域を探していきます。
梨状筋にトリガーポイントがあると、主に臀部の痛みを生じさ、症状は女性で多いと言われています。
梨状筋の関連痛は、仙骨や臀部、股関節に痛みを生じさせることがあります。
トリガーポイントは時に膝窩部に痛みを広げることもあります。
梨状筋が過緊張状態にあると、仙腸関節にねじれを生じさせることとなり、仙骨の傾きから片足が短く見えることがあります。
短縮した梨状筋があると足を組むことが難しくなったり、股関節内旋が困難になります。
また股関節外転も行いにくくなることがあります。
座位で体重移動を頻繁に行うことがある場合、梨状筋の緊張が疑われます。
短縮した梨状筋は直径が太くなり、坐骨神経を圧迫することがあります。
坐骨神経痛ではトリガーポイントによる痛みよりも激しく、背部や大腿、ふくらはぎや足底で痛みを感じます。
また異常感覚も感じることがあります。
坐骨神経痛では、便座に長く座った後にピリピリとした痛みを脚や足元に感じるような例があります。
短縮し、膨らんだ梨状筋は、骨盤から出る神経や血管を圧迫し、様々な症状を生じさせます。
臀部やふくらはぎ、足部の腫れた感覚はそのようなことが原因となっていることがあります。
梨状筋の緊張は陰部神経に影響し、鼠蹊部などの痛みを引き起こすことがあります。
また臀部神経と血管を圧迫するため、臀筋が萎縮する原因とも考えられています。
長時間の座位でのデスクワークや、運動不足などは梨状筋にストレスを与えることになります。
物を持ち上げながら腰をひねる動作を行うことで梨状筋に過度のストレスがかかることがあります。
他にも激しい方向転換を必要とするスポーツ(テニス、サッカーなど)では梨状筋を痛めるリスクが高くなります。
パターン1
①仰向けで両膝を立て、片足をもう一方の足にかけます(太ももから足関節部が出る程度)。
②立てた足を両手で抱えます(一方の手は太ももにかけた足の間から通します)。
③抱えた足を胸に引き寄せ、最低30秒程度ストレッチします。
パターン2
①横向きで一方の手は後方につき、上側の足は下側の足の前に立て足首と膝を密着させます。
②もう一方の手を立てた足(膝外側)に当て、床に向けて押し込み、最低30秒程度ストレッチします。
梨状筋の一部は骨盤内にあるため、その付近のトリガーポイントに対応するにはストレッチが有効になります。しかし、無理なストレッチはトリガーポイントの活性化や再発につながるため、注意が必要です。
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腰方形筋は四角形の筋で、腸骨稜、腸腰靭帯から始まり、第12肋骨、第1~4腰椎の肋骨突起につきます。腰方形筋の主な働きは腰椎の伸展、側屈、第12肋骨の下制になります。
また骨盤を通して股関節を挙げることも可能です。
他の作用としては咳やくしゃみ、呼吸の強制呼気の補助があります。
腰方形筋は腰を引き上げることによりその収縮を確認することが可能です。
触診は仰向けになるとよりわかりやすくなります。腰椎と一番下の肋骨の間に指を入れると硬い筋の壁にぶつかりますが、これは腰方形筋と脊柱起立筋の境目になります。
腰方形筋はその前側に位置しており、脊柱起立筋はその後ろ側に位置しています。
腰方形筋に過緊張、硬さがあると、ぎっくり腰の原因になることがあります。
ぎっくり腰は腰椎の急激な伸展、回旋動作がきっかけで発症することが多く、その場で動くことも困難になることも多いです。
腰方形筋自体に痛みを感じる場合は、腰椎と下部肋骨の近くに過緊張や硬さを見つけることが多いです。
腰方形筋の緊張による痛みは股関節、臀部、仙腸関節の周辺で起こることが多く、咳やくしゃみをすると鋭い痛みをもたらすこともあります。
場合によっては痛みがある側への寝返りが困難になったり、横になる動作に支障をきたすこともあります。
腰方形筋の緊張が骨盤の動きを制限して、小殿筋の緊張を引き起こし、座骨神経症状を発生することも考えられます。
仙腸関節のズレにも関与する可能性があり、一側の骨盤を高くし、見かけ上の左右の脚長差を生じさせます。
腰方形筋は仙腸関節のずれなどから起こる見かけ上の左右の脚長差があると負担がかかりやすくなります。
また転倒や交通事故により大きな衝撃が加わった場合や、バランスを崩した状態で身体を捻ったり、重いものを持ち上げた場合にも負荷がかかりやすくなります。
殿部の筋肉が弱化している場合にも、腰方形筋がその機能を代償している場合があり、酷使される傾向にあります。
右腰方形筋の場合
①へそを突き出すように背筋を伸ばし、右に身体を倒します。
②腰方形筋に押圧を加え、腸骨稜の方へ引き寄せ保持します。
③身体を前、左側に倒します。
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胸最長筋は仙骨、腰椎棘突起、下位腰椎横突起から始まり、内側では腰椎の副突起、胸椎の横突起、外側では腰椎の肋骨突起、肋骨、胸腰筋膜につきます。
胸最長筋は人体最長の筋肉で、その働きは両側が同時に収縮すると胸椎、腰椎の伸展、片側が収縮すると側屈(横に倒す)になります。
腰腸肋筋は腸肋筋、棘筋とともに脊柱起立筋と呼ばれており、腰の部分では分厚く、肩甲骨の部分に近づくにつれて薄くなっていき、体の表面に存在しています。
脊柱起立筋の作用として他には呼吸の際の呼気、咳、くしゃみの補助、身体を直立にしてバランスの保持にも関与しています。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
体幹を伸展(腰を伸ばす)した際に、脊柱起立筋で一番盛り上がる部分が胸最長筋です。
胸最長筋に過緊張、硬さがあると、その部分の痛みだけではなく、脊柱起立筋全体にわたって筋の緊張を引き起こすことがあります。
そのため、一側の部分的な症状が、片側の背中全体に症状があるように感じられます。
胸最長筋の筋の過緊張や硬さは背骨から約5㎝〜6㎝外側にあることが多く、その部分から下に向かって背中と臀部に痛みを送ることがあります。
腰、背中の痛みがなくても、その周辺の筋のこわばりや突っ張り感がある場合はやはり潜在的に筋の過緊張や硬さを作ってしまう原因になりやすいために予防的にケアが必要になります。
脊柱起立筋の片側が持続的に過緊張状態だと、その緊張が仙腸関節をずらすことになり、骨盤のねじれや歪みを引き起こすことも考えられます。
腰痛の他の因子としては、ふくらはぎにあるヒラメ筋に過緊張や硬さがある場合にも注意が必要です。
ヒラメ筋が強い痙攣様の筋収縮を腰に引き起こすこともあります。
重い荷物を突然持ち上げるような動作や、普段からまっすぐな姿勢をとれていない場合、胸最長筋は緊張しやすくなります。
身体を片側に倒しながら(体幹の側屈)激しい運動などを行う場合にも過負荷がかかりやすくなります。
長時間あまり動かず過ごすこと、リラックスせず緊張姿勢をとることも腰腸肋筋にとっては負担が大きくなります。
むち打ち症も脊柱起立筋を緊張させる要因のひとつとなります。
右胸最長筋の場合
①へそを突き出すように背筋を伸ばします。
②胸最長筋に押圧を加え、腸骨稜の方に引き寄せ保持します。
③身体を前に倒します。
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腰腸肋筋は腸骨稜、仙骨、胸腰筋膜から始まり、第6〜12肋骨の後面についています。
腰腸肋筋は最長筋、棘筋とともに脊柱起立筋と呼ばれており、腰の部分では分厚く、肩甲骨の部分に近づくにつれて薄くなっていき、体の表面に存在しています。
脊柱起立筋の作用は体幹の伸展(背筋を伸ばす)、側屈(横に倒す)、呼吸の際の呼気、咳、くしゃみの補助、身体を直立にしてバランス保持にも関与しています。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
体幹を伸展(腰を伸ばす)した際に、脊柱起立筋で一番盛り上がる部分が胸最長筋です。
腰腸肋筋は脊柱起立筋の最も外側で触れることができます。
腰腸肋筋に過緊張、硬さがあると、その部分の痛みだけではなく、脊柱起立筋全体にわたって筋の緊張を引き起こすことがあります。
そのため、一側の部分的な症状が、片側の背中全体に症状があるように感じられます。
腰腸肋筋の筋の過緊張や硬さは背骨から約7㎝〜10㎝外側にあることが多く、その部分の上と下側、少し外側に痛みを引き起こすことがあります。
一番下の(お腹側の)肋骨付近にある筋の硬さは、臀部へ痛みを送ることもります。
腰腸肋筋が原因となる痛みは内臓や体の前面にも発生する可能性があるため、内臓疾患と勘違いしてしまう可能性もあります。
腰、背中の痛みがなくても、その周辺の筋のこわばりや突っ張り感がある場合はやはり潜在的に筋の過緊張や硬さを作ってしまう原因になりやすいために予防的にケアが必要になります。
脊柱起立筋の片側が持続的に過緊張状態だと、その緊張が仙腸関節をずらすことになり、骨盤のねじれや歪みを引き起こすことも考えられます。
重い荷物を突然持ち上げるような動作や、普段からまっすぐな姿勢をとれていない場合、腰腸肋筋は緊張しやすくなります。
身体を片側に倒しながら(体幹の側屈)激しい運動などを行う場合にも過負荷がかかりやすくなります。
長時間あまり動かず過ごすこと、リラックスせず緊張姿勢をとることも腰腸肋筋にとっては負担が大きくなります。
むち打ち症も脊柱起立筋を緊張させる要因のひとつとなります。
右腰腸肋筋の場合
①へそを突き出すように背中を伸ばします。
②腰腸肋筋に押圧を加え、腸骨稜の方へ引き寄せ保持します。
③身体を前、左横に倒しながら左にねじります(屈曲、左側屈、左回旋)。
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肋骨の下部から恥骨にかけてついている垂直で身体の中央に位置する厚い板状の筋肉です。
腹直筋の働きは身体を前方に曲げたり、逆に後ろに反らせる際に過度にそりすぎる事を防ぎ、背骨を安定させる事であらゆる方向への動きに対して身体を安定させる作用があります。
また内・外腹斜筋を含めた腹筋群の作用として呼吸に肺から空気を送り出すことを助けています。
出産や嘔吐、排尿排便などの際にも腹筋の作用によって圧力を提供することができています。
腹直筋に過緊張や硬さがあると、身体を伸展(伸ばす)させる際に激しい痛みが生じることがあります。
動作時の痛みだけではなく、腹筋上部の過緊張により吐き気、嘔吐、食欲不振などが生じる場合もあるようです。
このような症状は、内臓疾患によるものと誤診されることもあり、まず筋の過緊張を軽減することで消去法的に判断をしていくことが必要になります。
腹筋中央部の過緊張は疝痛(腹部臓器の疼痛およびそれに伴う腹痛を示す症状名)や胃痙攣、下痢の原因となることも考えられています。
その他にも腹部の膨張感、膨満感などは腹筋上部、中央部の過緊張が引き起こしていることがあります。
腹筋下部の過緊張は排尿コントロールに影響する可能性があります。
また生殖器まで関連痛を送ることもあり、卵巣、子宮、膣で感じる月経痛の原因になっていることも考えられます。
これらの症状は、腹筋の片方の過緊張が両側性に、また反対側に症状を引き起こす可能性もあります。
深呼吸することにより背部が痛くなる場合には腹筋の過緊張が影響しているかもしれません。
腹直筋に短縮がある場合、胸椎の後彎(円背)が生じることもあります。
過換気症候群においては、腹直筋の過緊張をとることで、症状の軽減を図れることがあります。
筋力トレーニングにおいて過度の腹筋や足上げ運動は腹直筋が過負荷の状態になることがあります。
また長時間同じ姿勢で座っていたり、慢性的に続く咳症状などは腹直筋への負担を大きくしてしまいます。
精神的な不安や心配事も緊張する原因になりえます。
内臓疾患でも腹直筋の過緊張状態を生じさせます。
例えば胆嚢の障害は腹筋、背中の脊柱起立筋に過緊張状態を作り出します。
腹部の手術が原因になることもありえます。
右腹直筋の場合
①仰向けで両足を曲げます。
②人差し指から小指で右腹直筋を押さえ、頭方向に引きよせ保持します。
③右足を伸ばします。
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横隔膜は、胸壁と腹腔の臓器を隔離する薄い筋で、最下位にある肋骨の内面周囲全体に付着する。安静時では、横隔膜は円蓋形になり、胸部の下部を膨らませる。
息を吸う際、横隔膜は収縮して引き下がって平らになり、肺が膨らむよう胸腔内を陰圧にする。
息を吐き出す際、横隔膜は通常リラックスする。
深呼吸の場合は、横隔膜肋間筋が空気を吐き出すのを補助する。
正しい呼吸のため、横隔膜を引き下げるために腸管を移動させてスペースをつくらなければならない。
誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方 P142
横隔膜はを触るには、両手の指先を一番下(お腹側)の肋骨に縁に当て、お腹を引っ込めるようにし、そこから息を吐き出すと簡単に触れる(指が入り込んでいく)ことが可能です。
横隔膜に過緊張や硬さがある場合には、横隔膜が付いている肋骨の底部の後ろ側(脇腹付近)や肋骨下部の前面に痛みを感じる場合があります。
呼吸の呼気の際に痛みが生じ、脇腹が痛くなったり、息切れ感を覚えることもあります。
横隔膜が緊張する原因としては、激しい運動による連続した胸式呼吸や、不安感などが挙げられます。
また肋間筋の場合と同様に胸部への外傷、胸部手術、長く続く慢性的な咳なども横隔膜を緊張させる要因になります。
呼吸が苦しいと感じた場合には、横隔膜の過緊張が原因になっている場合が多くあります。
前傾姿勢を長く保つような作業、猫背なども横隔膜に負担をかけやすい姿勢になりますので注意が必要です。
①座って前屈み姿勢になります。または膝を曲げて仰向けに寝ます。
②指を一番下の肋骨(お腹側)に前から当て、掘り起こすように指を深く入れます。
③指は深くに入れたまま、お腹を引っ込めるようにしながら息を吐き出すことで、より横隔膜のストレッチ効果が得られます。
猫背に代表されるような頭が前に出て体が前傾している姿勢は、横隔膜や肋間筋に問題を引き起こすことが多いです。
このような姿勢の修正には、肩周囲のトレーニングや、胸周辺、横隔膜の筋の状態を調整することが近道になります。
普段から私たちが気をつけることができる習慣は、呼吸の際に腹式呼吸を行うことです。
呼吸がリラックスしてガス交換の効率が良くなると、心肺機能だけではなく免疫系への良い作用も期待できます。
横隔膜は過換気症候群にも関与していると考えられています。
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内・外肋間筋は肋骨と肋骨の間を走行している筋肉ですが、それぞれの走行の方向は異なります。
内・外肋間筋は呼吸筋としてのしての作用を持っています。
内肋間筋は第1~第11肋骨の内面の縁・肋軟骨から始まり、第2~第12肋骨(下位肋骨上縁)についています。
呼吸の働きの中で呼気の際に胸郭を狭くすることでガス交換を効率的に行ってくれる働きがあります。
この筋肉を直接手で触れる事は困難です。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
外肋間筋は第1~第11肋骨下縁と肋骨結節から始まり、第2~第12肋骨上縁についています。
呼吸の働きの中で吸気の際に胸郭を広げることでガス交換を効率的に行ってくれる働きがあります。
この筋肉は肋骨の間に指を触れ呼吸をし、吸気の際に筋肉の収縮を確認することが可能です。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
内、外肋間筋が過緊張であったり、硬さがあったりすると、胸背部痛を感じることがあります。
また吸気の際に痛みが増大し、体幹の屈曲(体を前に倒す)、回旋(体を左右にねじる)でも痛みが出る場合があります。
痛みが強い場合、同側の呼吸音が減弱することがあります。
激しい運動を行い、胸式呼吸が多くなった場合などに肋間筋は過度に負担がかかりやすくなります。
また胸部への外傷、手術、長く続く慢性的な咳も肋間筋に負担をかけることになり、息苦しさを助長してしまいます。
体をつよくねじった場合にも肋間筋に負担をかけることがあり、長時間の前傾姿勢も肋間筋への負荷を強めてしまいます。
内・外肋間筋はふれる場所は同じですが、筋繊維は交差しているのでストレッチをしていく方向に違いがあるため注意してください。
内肋間筋(右の場合)
①右肩を後方へ引くように体を右回旋(右にねじる)させます。
②内肋間筋に押圧を加え、頭側もしくはお尻側に引き寄せ保ちます。
③右肩を前方へ押すように体を左回旋(左にねじる)させます。
写真では分かりにくいですが左にねじっています。
外肋間筋(右の場合)
①右肩を前方へ押すように体を左回旋(左にねじる)させます。
②外肋間筋に押圧を加え、頭側もしくはお尻側に引き寄せ保ちます。
③右肩を後方へ引くように体を右回旋(右にねじる)させます。
右肩を上に挙げながら行うことでよりストレッチ効果が高くなります。
また猫背姿勢の方はお腹に近い側の肋間筋をストレッチすることにより姿勢矯正に効果が出ることがあります。
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前鋸筋は腋窩に位置しており、肩甲骨の運動に関与する筋肉です。
第1~第8、第9肋骨外側面中央部から起始し、肩甲骨の上角、内側縁、内角に停止します。
前鋸筋の作用は肩甲骨の外転、上方回旋、肋骨挙上です。
上肢を挙上する際には、前鋸筋の働きによる肩甲骨の上方回旋が必要になります。
また前鋸筋は多くの空気を取り入れる際に肋骨の拡張を助け、吸気の補助をします。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
前鋸筋は上肢の内転時に小胸筋とともに緊張し、その収縮を触れることが可能です。
腕組みをしてさらに上肢を内転させると、脇下の肋骨部分に前鋸筋の収縮を感じ取りやすくなります。
前鋸筋のトリガーポイントは脇下7〜10㎝真下の側胸部にあります。トリガーポイントが活性化している場合、圧痛を最も強く感じる場所になります。
トリガーポイントは9つの肋骨の付着部全てに生じる可能性があります。
前鋸筋にトリガーポイントがあると、側胸部や肩甲骨の下端、背部の中央に痛みが生じます。痛みは腕の内側、前腕から手の尺側へ広がることもあります。
このような痛みのパターンは肺疾患や心臓発作でも出現することがあります。
鑑別のためには、筋膜による痛みが存在することを知識として知っていることが重要になります。
トリガーポイントでは深呼吸時には痛みが生じ、完全に呼気を行うことができません。
痛みにより横隔膜による腹式呼吸は胸式呼吸に制限されてしまいます。
ランナーでは走行時の「脇腹痛」の原因として前鋸筋が関係していることもあります。
脇腹痛の原因には横隔膜、肋間筋、前鋸筋のトリガーポイントが関係しています。
日常の動作ではトリガーポイントにより自分の後ろに手を伸ばしにくかったり、肩を後方に引くことが難しくなります。
肺気腫では前鋸筋のトリガーポイントが、努力呼吸を補助する斜角筋、胸鎖乳突筋、上後鋸筋に対し痛みを与えることにつながります。
激しいスポーツにより多くの呼吸が必要になると、前鋸筋が肋骨を挙上し胸郭を拡張させ呼吸補助に働きます。そのため激しいスポーツや前鋸筋にストレスを与えます。
前鋸筋は腕と肩を動かすような、テニスや水泳、ランニング、腕立て伏せなどで過負荷となりやすいです。
激しい咳を伴う呼吸器疾患では、前鋸筋のトリガーポイントを活性化させることになります。
感情的な圧迫感や過呼吸症候群ではトリガーポインントを活性化させます。
①上肢を内転させ腕を組むようにします。
②前鋸筋に押圧を加え、胸の前に向けて引き寄せ、保持します。
③肩を後方に引きます。
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