ローテーターカフ(回旋筋腱板)は肩のインナーマッスルで、深い位置に走行している筋肉群の総称です。その主な役割は肩関節を安定させることにあります。五十肩や腱板断裂などの、肩関節の痛みの原因にもなる筋肉です。今回はローテーターカフの知識を整理し、その評価方法も示していきます。
目次
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肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
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回旋筋腱板(ローテーターカフ)は、肩関節において奥深くに位置しており、インナーマッスルと言われています。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)には、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋があります。
また三角筋や大胸筋は、肩関節において表側に位置しており、アウターマッスルと呼ばれています。
肩関節においては、アウターマッスルとインナーマッスルが協調して働くことで、肩関節の正常な働きが期待できることになります。
肩関節では上肢を挙上する際に、三角筋などのアウターマッスルと、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれるインナーマッスルの働きが重要になります。
アウターマッスルは、いかに腕を挙げるかというようなパフォーマンスに関係し、インナーマッスルはいかに関節の安定性を高めるかというような屋台骨的なことに関係しています。
肩関節(肩甲上腕関節)は、球関節と呼ばれており、その構造上不安定な状態と言えます。
それを安定させているのが、靭帯と筋肉(回旋筋腱板)です。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)は、上腕骨頭を覆うように位置しており、それぞれが収縮することで、上腕骨頭を関節窩に引き付ける働きがあります。
肩関節は運動を行うと上腕骨頭は関節窩から離れるような軌跡となるため、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の働きにより安定性を生み出すことで、肩のスムーズで力強い運動が可能になるのです。
肩関節におけるフォースカップルについて説明していきます。
例えば、肩関節外転運動においては、三角筋中部線維がアウターマッスルとして働くことで、重力に抗して上腕骨頭を上(外側)へ引き上げます。
そして、インナーマッスルである棘上筋の働きにより、上腕骨頭を関節窩に引き付けることで関節の安定性を保ちます。
また、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の収取により上腕骨頭が下方向に引き下げることでも、関節の安定性を保ちます。
このような協調した筋の働きによって、肩峰内で上腕骨頭を安定させたまま外転運動を行うことができます。
この機構を、肩のフォースカップルと呼びます。
では、肩のフォースカップルがうまく機能しないとどのようなことが起こるのでしょうか。
例えば、三角筋の筋収縮力が強くて、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の筋収縮力が弱い状態で肩を挙げると、三角筋の働きによる、上腕骨頭を上に引き上げる動きが強調されてしまいます。
これでは、関節は安定しているとは言えず、上腕骨頭−烏口肩峰アーチの間で軟部組織が挟み込まれ、いわゆる肩峰下インピンジメントと呼ばれる状態に陥り、肩挙上の際に痛みが生じることになります。
インナーマッスルは、低負荷でのトレーニングが推奨されています。
強い負荷でのトレーニングでは、頑張ろうとしすぎてアウターマッスルが働いてしまうというのがその理由です。
アウターマッスルが働きすぎてしまうと、インナーマッスルは相対的に働きが弱くなってしまいます。
そのため、回旋筋腱板(ローテーターカフ)のトレーニングでは、低負荷で行うことが大切になります。
一般的に、筋肉が大きくなる(筋肥大)のは、トレーニングを行った後1ヶ月程度を要すると言われています。
上記運動を各20回、1ヶ月程度行うことで、回旋筋腱板(ローテーターカフ)の筋収縮力向上による肩関節の安定性を図っていくようなアプローチになります。
負荷の目安としては、各運動を行った際に、20回実施した後にインナーマッスルに少し疲労感がある程度を目安にしていけばよいと思われます。
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中間位から内旋30度の範囲で運動を行う。
この運動では、主に肩甲下筋の収縮力UPが期待できます。
中間位から外旋30度の範囲で行う。
この運動では、主に小円筋の収縮力UPが期待できます。
外旋30度から内旋60度の範囲で行う。
この運動では、主に肩甲下筋の収縮力UPが期待できます。
内旋60度から外旋30度の範囲で行う。
この運動では、主に棘下筋の収縮力UPが期待できます。
肘関節伸展0度で肩関節屈曲120度の肢位から肘関節の屈曲を伴いながら肩甲骨を内転、下方回旋し行う。
この運動では、主に肩甲下筋の収縮力UPが期待できます。
肘関節最大屈曲位で肩甲骨を内転、下方回旋した肢位から肘関節の伸展を伴いながら肩甲骨を外転、上方回旋し行う。
この運動では、主に肩甲下筋の収縮力UPが期待できます。
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筋内腱と呼ばれる腱線維があり、およそ5つの区画に区別される。
上部線維:小結節上部に停止し(舌部)、烏口上腕靭帯や上関節上腕靭帯と連結する。上腕骨を屈曲、外転、内旋させる。肩挙上開始時に棘上筋と共同して作用する報告あり中部線維:小結節前面に停止。60度肩外転位での肩内旋に作用
下部線維:下方関節方に停止。外転120度からの内転、内旋に作用。筋性部は下部線維に豊富で、拘縮治療に重要。下関節上腕靭帯(前方線維)との連結もあるため、下部線維の筋収縮は関節包を牽引する効果があると考えられている。
*筋力評価では、大胸筋の収縮を軽減できるリフトオフテストでおおまかな筋力測定可能
*90度屈曲位内旋は大円筋が強く作用する
支配神経:肩甲上神経(C5、C6)
起始:肩甲骨棘上窩の内側2/3
停止:上腕骨大結節(関節面の最も高い位置)、臼上腕関節包
一部は小結節に付着する
棘上筋は上腕骨大結節、小結節に付着する。
最前部の腱性部は上腕骨頭中心より前方の大結節前縁に停止するため、肩外転、屈曲、内旋の作用がある。外旋作用は後方線維が担う。
90度以上の挙上動作において上腕骨は外旋し、起始停止の位置は離れていくため棘上筋の収縮効率が最も高まるのは外転90度までとなる。
機能評価は外転30度、トレーニングは外転90度で屈曲、外転、内旋方向に動かす(強力な腱線維が大結節前方につくため)。
作用:肩関節外転、上腕骨の支点形成。
三角筋の筋力低下があると、棘上筋自体の外転作用は小さいため、外転運動が大きく制限される。
下垂位>挙上位で棘上筋が作用しやすい。
外転運動には、三角筋と棘上筋の相互作用(フォースカップル)が必要。
フォースカップルでは、他のローテーターカフも働くことで、上腕骨の上方偏位を抑えている。
棘上筋の前部線維は肩内旋、後部線維は肩外旋に作用する(肩関節の回旋軸を前後にまたぐため)。
側臥位にて肩甲棘上縁に手を当て、肩外転20〜30°行い収縮を確認する。
前部線維では、大結節上面前方に手を当て、肩内転させて棘上筋が引き出されるのを確認する。
後部線維では、大結節上面後方に手を当て、肩内転させて棘上筋が引き出されるのを確認する。
棘上筋の圧痛は、前部・後部線維とも内側で確認されやすい(肩甲骨上角、肩甲棘上縁)。
棘上筋の圧痛確認:
前部線維:肩伸展、内転、外旋位で前部線維を緊張させ、上角付近で確認する。
後部線維:肩伸展、内転、内旋位で後部線維を緊張させ、肩甲棘上縁付近で確認する。
トリガーポイント:
肩の外側から深い部分にかけての痛み。
関連痛では上腕の外側から前腕、手首まで。
棘上筋の緊張により、肩挙上時痛。
日常生活動作では洗髪動作や結髪動作が行いにくくなる。
肩甲骨の関節窩内で上腕骨の動きをスムーズに動かすことができなくなり、肩を動かした際の音(れき音)の原因にもなりやすい。
棘上筋がすでに過度の緊張状態である場合、歩行時の腕の振りだけでも棘上筋のさらなる緊張を招いてしまうことがある。
肩関節外転45°で肩甲骨固定し、
前部線維:肩外旋30°から内転させ、内外転0°に届かない場合伸張性低下の可能性。
後部線維:肩内旋30°から内転させ、内外転0°に届かない場合伸張性低下の可能性。
MMTで棘上筋が関係するのは、肩外転、肩甲骨面挙上。
棘上筋の収縮を確認する場合は、僧帽筋上部線維を弛緩させるために、頸部を反対に回旋、伸展させる。
臨床的評価
sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位で挙上抵抗運動を行うと、関節窩に対して骨頭が上昇する現象が起こる。
肩峰と上昇した骨頭の間に回旋筋腱板が挟まれ疼痛を誘発することもある(impingement)。
・腱板炎や肩峰下滑液包炎では、棘上筋の収縮時痛が強い。
・棘上筋の圧痛が生じている場合、肩峰下滑液包炎などとの鑑別を行う必要がある。
・肩峰下インピンジメント(棘上筋が烏口肩峰靭帯、肩峰に衝突したり挟まれる)を起こすことがある。
・肩峰下インピンジメントの検査には、Neerサイン(肩甲骨上方回旋を防ぎながら肩内旋位での挙上)、Hawkins-Kennedy サイン(肩甲骨上方回旋を防ぎながら、肩90°外転、外旋位から内旋強制)がある。
・棘上筋の疼痛誘発テストには、drop arm sign、empty can test、full can testがある(書籍「運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略」参照)。
・棘上筋の損傷、機能低下があると、筋力低下が起こり、肩甲骨面での外転や外旋の筋力低下が起こる(肩甲胸郭関節に関する筋の機能低下によっても肩関節運動の低下は起こる)。
・肩甲上腕関節における関節包・靭帯など(静的安定化機構)による安定性が不足している場合、棘上筋(他の腱板筋も)が過剰に活動することで代償するため、圧痛が高まり、筋力低下を引き起こす。
・棘上筋(他のローテーターカフも)に筋力低下や筋萎縮があると、上腕骨頭が上方偏位し、肩峰下のスペースが狭くなり、インピンジメントを引き起こす。
・棘上筋などの腱板筋の機能不全があると、肩の運動時に三角筋の過剰収縮が起き、三角筋に痛みが生じる。
・肩甲骨の下方回旋があると、棘上筋の長さが短くなり、腱板の張力が低下し、上腕骨下方への牽引力が高まりストレスとなる。
リラクゼーションは、他動的に伸張位にし、その後自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
ストレッチは、他動的に伸張位にし、等尺性収縮→自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
棘上筋前部線維の伸張位:肩軽度外旋、肩甲骨面上での内転
棘上筋前部線維収縮位:肩内旋、肩骨面上での外転
棘上筋後部線維の伸張位:肩軽度内旋、肩甲骨面上での内転
棘上筋後部線維の収縮位:肩外旋、肩甲骨面上での外転
自主トレで行う方法
①首の付け根から背中側にたどり肩甲骨の端の骨を探ります。肩の端から背中にたどり、肩甲骨の端の骨を探ります。これが肩甲棘になります。この上にある棘上筋を、順番に緩めていきます。
②右腕を外に開きます。左手人差し指~薬指で棘上筋を上から押さえ背骨側に寄せます。
③左手はそのまま圧を加えておき、右腕を下におろします。
等尺性収縮では三角筋の収縮量が高まってしまう。
強い負荷ではアウターマッスルで代償することがあるため、負荷を調整し、可動範囲を大きく動かすようにする。
例えば、0,5kg、5秒間かけてゆっくりと行うなどの条件がある。
フルカンエクササイズ:外旋位での挙上
エンプティカンエクササイズ:内旋位での挙上
棘上筋を選択的に収縮させる方法:
棘上筋は肩の外転運動に伴い収縮しますが、筋力が低下していると、僧帽筋上部線維が過剰に収縮してしまうことがあります。
僧帽筋上部線維は肩甲骨の挙上作用があるため、肩甲骨を下制しながら、肩外転運動を20〜30°程度行うことで、選択的に収縮が行われます。
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支配神経:肩甲上神経(C5、C6)
起始:肩甲骨棘下窩内側2/3
停止:上腕骨大結節中央面
上部繊維(横走線維)、下部繊維(斜走線維)があり、横走線維は斜走線維に停止し、斜走線維の筋収縮を補助する役割がある。斜走線維の上部は腱性部、下部は筋性部。
大結節上面外側に棘上筋と重なり付着しており、共同して外転運動に関与している。
筋性部は関節包に付着しており、関節拘縮、特に結帯動作を行う際には棘下筋の伸張性が重要になる。
外転45度から筋活動が増加し棘上筋の筋活動が弱まる90度以降で作用が強くなる。
筋力評価は腱性部では肩関節屈曲90度、肩外旋での水平伸展、筋性部は外転90度での外旋運動で評価する
作用:
肩甲上腕関節の安定化
上部繊維は下垂時に、下部繊維は挙上時に張力が高くなる。
第1肢位:上部繊維が伸張位で外転に作用
上腕骨下方偏位と外転(前額面)
上腕骨前方偏位と外旋(水平面)
外旋運動では上部繊維>下部繊維で筋活動が高い
第2肢位:下部繊維が伸張位で主に外旋に作用
外転と外旋(前額面)
上腕骨前方偏位と水平伸展(水平面)
外旋運動では下部繊維>上部繊維で筋活動が高い
第3肢位:全体が伸張位で主に水平外転(水平伸展)に作用
肢位:腹臥位
第1肢位:肩外旋運動時に、上部繊維の強い収縮を触知
第2肢位:肩外旋運動時に、下部繊維の強い収縮を触知
第3肢位:下部繊維の弱い収縮を触知。鑑別として、小円筋の強い収縮を触知
上部繊維の圧痛:肩甲棘の直下
下部繊維の圧痛:肩甲骨外側縁
*肩峰の下で、上腕骨の後面付近はよく確認される部位
上部繊維の圧痛の確認:肩伸展+内旋
下部繊維の圧痛の確認:肩外転+内旋
トリガーポイント:(関連痛)
肩前方
関節深く
上腕二頭筋付近
三角筋前部
結節間溝付近
肩甲骨の内側
前腕から手にかけて
日常生活動作の困難さから棘下筋の問題を推測:
手を背中に回すことが難しくなる
前開きシャツなどの着脱
上部繊維:肩屈曲30°、肩内外旋中間位で肩甲骨固定した位置から内旋し>90°で伸張性低下疑う。
下部繊維:肩外転90°、肩内外旋中間位で肩甲骨固定した位置から内旋し>30°で伸張性低下疑う。
検査肢位は腹臥位
段階5、4、3:
5:全範囲にわたり2本指での抵抗に対して位置を保つことができる
4:全範囲に動かせるが、最終位で負ける/力が抜ける
3:全範囲に渡り動かせるが抵抗には打ち勝てない
*筋損傷を起こさないように抵抗はゆっくりと加えること
段階2、1、0
2:除重力肢位で全範囲に動かせる
1:棘下筋、小円筋両方に筋活動、またはどちらかに筋活動あり
0:筋の収縮の触知/目視ができない
*回外による代償運動に注意
臨床的評価
腱性部の筋力強化:肩関節屈曲90度、肩外旋での水平伸展運動
筋性部の筋力強化:外転90度での外旋運動
機能評価:
sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位から肩甲上腕関節を水平外転させた肢位では、後方関節包弛緩するため骨頭の安定性に棘下筋、小円筋の作用が必要 。そのため、この肢位で挙上抵抗運動を行い骨頭の変位を観察し、機能不全を確認する。
・斜走線維の上部は腱性部、下部は筋性部で、大結節上面外側に棘上筋と重なり付着しており、共同して外転運動に関与している。
・大結節上面外側に棘上筋と重なり付着しており、共同して外転運動に関与している。
・外転45度から筋活動が増加し棘上筋の筋活動が弱まる90度以降で作用が強くなる。
・第1肢位での内旋制限では、棘下筋上部繊維の伸張性低下による可能性がある。
・第2肢位での内旋制限では、棘下筋下部繊維の伸張性低下による可能性がある。
・棘下筋の伸張性低下は、結帯動作の困難さの原因となる可能性がある。
・片麻痺者のリーチ動作において、肩内旋位をとる原因となる。
・棘下筋に損傷があると、肩外転、肩甲骨面での外転、外旋筋力が低下する。
・棘下筋などのローテーターカフは、肩挙上時の中間域における安定化に関与している。
・肩挙上位から降ろす際には、棘下筋の遠心性収縮が必要で、負荷がかかりやすい。
・棘下筋の疼痛誘発テストには、external rotation signがある。
・肩甲上腕関節における関節包・靭帯など(静的安定化機構)による安定性が不足している場合、棘下筋(他の腱板筋も)が過剰に活動することで代償するため、圧痛が高まり、筋力低下を引き起こす。
・肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮による上腕骨頭の上方偏位では、肩峰下インピンメントが起こり、棘下筋に炎症/損傷が起こる。
・棘下筋に筋力低下や筋萎縮があると、上腕骨頭が上方偏位し、肩峰下のスペースが狭くなり、インピンジメントを引き起こす。
・棘下筋などの腱板筋の機能不全があると、肩の運動時に三角筋の過剰収縮が起き、三角筋に痛みが生じる。
・棘下筋の下部繊維は、後下方関節包に付着し、肩外旋時の関節包の挟み込みを防いでいる。棘下筋のスパズムや伸張性低下により機能低下が起こると、肩外旋時の挟み込みが起こる(インターナルインピンジメント)。
・棘下筋の伸張性低下により腱板付着部のストレスが大きくなると、腱板の炎症・損傷・瘢痕化が起き、内側にある後方関節包の拘縮につながる。
・投球動作のフォロースルーでは、肩外旋筋と上腕三頭筋がブレーキをかけるが、腱板筋の筋力低下があると上腕三頭筋が過剰に働き、痛みを引き起こす。
リラクゼーションは、他動的に伸張位にし、その後自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
ストレッチは、他動的に伸張位にし、等尺性収縮→自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
棘下筋上部繊維の伸張位:肩軽度伸展、内転、内旋
棘下筋上部繊維の収縮位:肩屈曲、外転、外旋
棘下筋下部繊維の伸張位:肩屈曲、外転、内旋
棘下筋下部繊維の収縮位:肩伸展、内転、内旋
自主トレで行う方法
左棘下筋の場合
①右手で左の背中まで手を伸ばし、人差し指から薬指で棘下筋を押さえます。気持ち背骨側に寄せます。
②右手の圧はそのままで、左肩を外、後ろ方向に挙げます。
③左肩、腕を前に伸ばします。
等尺性収縮では三角筋の収縮量が高まってしまう。
強い負荷ではアウターマッスルで代償することがあるため、負荷を調整し、可動範囲を大きく動かすようにする。
例えば、0,5kg、5秒間かけてゆっくりと行うなどの条件があります。
外旋筋群は、どの肢位でも強化可能。
第1肢位では、抵抗なしでも全可動域にまで動かすことで強化に必要な筋収縮量を得ることができる。
①輪ゴムを3つつなげる。両手の手首付近に輪ゴムを通し、肩を外側に回旋させる。
*輪ゴムが抵抗となり、筋力を鍛える。
脇は閉めた状態で行い、肩が外に開かないようにする。
②机に対して横向きに座り、肩が90度上がる状態で保てるように箱などをセットする。
肩を外側に回旋させる。
外側に回旋させてから戻る時はゆっくりブレーキ(遠心性収縮)をかけながら戻すようにする。
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支配神経:腋窩神経(C5、C6)
起始:肩甲骨外側縁上2/3
停止:上腕骨大結節下部面、上腕骨骨幹の最下部面より遠位、臼上腕関節包
大結節下面に付着する。停止部に近づくほど2つの線維に分かれており、上部線維は主に腱性部。下部線維は筋性部で、棘下窩から起こり、上腕骨外科頸に停止する。
小円筋は後方関節包のへ付着しており、外旋運動時の関節包の挟み込み防止と肩挙上時の上腕骨頭の後方部分での支点形成の役割がある。
拘縮肩では小円筋の圧痛所見とリラクゼーション後の可動域拡大の即時効果が見られやすい。筋力評価は上部の腱性部は3rd内旋位からの外旋で行い、下部の筋性部は1st内旋からの外旋で行う。
作用:
肩甲上腕関節の安定化
上部繊維は下垂時に、下部繊維は挙上時に張力が高くなる。
第1肢位:筋の長さが短くなるので外旋作用が弱い。
第2肢位:適度な伸張があり、外旋作用が強くなる。
第3肢位:伸張が大きくなり、外旋運動に作用する。
背臥位、第3肢位にて外旋運動を行い、肩甲骨外側縁にて触知する。
内旋運動を行うと大円筋の収縮を触知できるので、その間を探っていく。
小円筋の圧痛は全体にわたり確認され、特に大結節に付着する部分によくみられる。
小円筋の圧痛の確認:第3肢位+肩内旋で小円筋が緊張し、確認しやすくなる。
トリガーポイント:
上腕と接触している肩後部の限られた痛み。
小円筋からの痛みは、肩周囲の他の筋の問題が解決するまで気づかれない可能性がある。
第4、5指のしびれと疼きを生じさせる可能性あり。
またこのときのしびれ、疼きは小胸筋のトリガーポイントによる可能性がある。
第4、5指のしびれでなく痛みがある場合には、広背筋のトリガーポイントが原因となっている可能性がある。
座位
肩屈曲90°、肩内外旋中間位で肩甲骨固定した位置から、内旋>30°で伸張性低下疑う。
検査肢位は腹臥位
段階5、4、3:
5:全範囲にわたり2本指での抵抗に対して位置を保つことができる
4:全範囲に動かせるが、最終位で負ける/力が抜ける
3:全範囲に渡り動かせるが抵抗には打ち勝てない
*筋損傷を起こさないように抵抗はゆっくりと加えること
段階2、1、0
2:除重力肢位で全範囲に動かせる
1:棘下筋、小円筋両方に筋活動、またはどちらかに筋活動あり
0:筋の収縮の触知/目視ができない
*回外による代償運動に注意
臨床的評価
上部の腱性部は3rd内旋位からの外旋で行い、下部の筋性部は1st内旋からの外旋で行う。
機能評価:
sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位から肩甲上腕関節を水平外転させた肢位では、後方関節包弛緩するため骨頭の安定性に棘下筋、小円筋の作用が必要 。
そのため、この肢位で挙上抵抗運動を行い骨頭の変位を観察し、機能不全を確認する。
・棘下筋損傷があると、小円筋が代償的に肥大する。
・第3肢位での内旋制限では、小円筋の伸張性低下による可能性がある。
・小円筋の伸張性低下は、結帯動作の困難さの原因となる可能性がある。
・片麻痺者のリーチ動作において、肩内旋位をとる原因となる。
・頭上にリーチするには、小円筋の作用により内旋位をとらないようにする必要がある。
・小円筋などのローテーターカフは、肩挙上時の中間域における安定化に関与している。
・肩甲上腕関節における関節包・靭帯など(静的安定化機構)による安定性が不足している場合、小円筋(他の腱板筋も)が過剰に活動することで代償するため、圧痛が高まり、筋力低下を引き起こす。
・小円筋(他のローテーターカフも)に筋力低下や筋萎縮があると、上腕骨頭が上方偏位し、肩峰下のスペースが狭くなり、インピンジメントを引き起こす。
・小円筋などの腱板筋の機能不全があると、肩の運動時に三角筋の過剰収縮が起き、三角筋に痛みが生じる。
・小円筋は、後方関節包に付着し、肩外旋時の関節包の挟み込みを防いでいる。小円筋のスパズムや伸張性低下により機能低下が起こると、肩外旋時の挟み込みが起こる(インターナルインピンジメント)。
・小円筋の伸張性低下により腱板付着部のストレスが大きくなると、腱板の炎症・損傷・瘢痕化が起き、内側にある後方関節包の拘縮につながる。
・投球動作のフォロースルーでは、肩外旋筋と上腕三頭筋がブレーキをかけるが、腱板筋の筋力低下があると上腕三頭筋が過剰に働き、痛みを引き起こす。
・小円筋はQLS(quadrilateral space)の構成筋で、QLSが機能的に狭くなると、腋窩神経が絞扼され感覚障害や放散痛が生じる。
リラクゼーションは、他動的に伸張位にし、その後自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
ストレッチは、他動的に伸張位にし、等尺性収縮→自動介助運動にて可動範囲全体に動かす方法があります。
小円筋の伸張位:肩屈曲、内旋
小円筋の収縮位:肩伸展、外旋
自主トレで行う方法
①まず小円筋の場所を探します。右肩を外側に挙げ、内側に回します(内旋)。左手を右肩甲骨の外側縁にあて、右の肩を外に回します(外旋)。このとき膨らむ筋肉が小円筋です。
②小円筋を探したら、右肩を外側に挙げ、肩を外に回した位置がスタートポジションです。左手の人差し指から薬指で小円筋を押さえ、肩甲骨の下に向かって引き寄せます。
③左手の圧はそのままで、右の肩を内側に回します(内旋)。
等尺性収縮では三角筋の収縮量が高まってしまう。
強い負荷ではアウターマッスルで代償することがあるため、負荷を調整し、可動範囲を大きく動かすようにする。
例えば、0,5kg、5秒間かけてゆっくりと行うなどの条件があります。
机の前に座り、肩が90度上がる状態で保てるように箱などをセットします。
肩を外側に回旋します。
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回旋筋腱板の機能不全があると上腕骨頭の関節窩上での滑り運動と転がり運動が適切に行われなくなる。
◯sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位で挙上抵抗運動を行うと、関節窩に対して骨頭が上昇する現象が起こる。
肩峰と上昇した骨頭の間に回旋筋腱板が挟まれ疼痛を誘発することもある(impingement)。
◯sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位から肩甲上腕関節を水平内転させた肢位:前方関節包弛緩するため骨頭の安定性に肩甲下筋の作用が必要
◯sucapular plane上45°挙上、内外旋中間位から肩甲上腕関節を水平外転させた肢位:後方関節包弛緩するため骨頭の安定性に棘下筋、小円筋の作用が必要
評価方法:
上記肢位で挙上抵抗運動を行い骨頭の変位を観察する
・回旋筋腱板を構成する筋は全て肩甲骨に付着するため、上肢挙上運動中の回旋筋腱板の機能は、肩甲骨の運動の影響を受ける
・上肢挙上により肩甲骨が下方回旋する場合(肩甲骨の不安定性)、回旋筋腱板の機能不全が二次的に生じることあり
・検者が肩甲骨を上方回旋位に保持して抵抗を加え、骨頭の上方変位が消失する→肩甲骨の不安定性が回旋筋腱板の機能を阻害している
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