脳損傷者に対するアウェアネスの評価法として、日本語版SRSI(Self Regulation Skills Interview)があります。今回、日本語版SRSIの概要と評価方法、結果の解釈についてまとめていきたいと思います。
目次
スポンサードサーチ
脳損傷により高次脳機能障害を生じると、アウェアネス(自身への気づき、認識)が低下することがあります。
アウェアネスが低下していると、現実検討が行いにくくなったり、問題点の予測がしにくくなったり、リスクへの対処が行えなくなったりします。
このような状態では、日常生活をスムーズに送ることは難しくなり、なんらかの手助けを必要とすることが予測されます。
このような対象者には、自身の状態・障害への気づきを高めることで、上記のような問題点を改善していくようにすることが必要になります。
アウェアネスの評価については以下の記事も参照してください。
半側空間無視の病識(自覚、アウェアネス)低下に対する知識と評価、アプローチ
記憶障害の認識(アウェアネス)を評価するための方法
半側無視の行動評価CBSの概要と評価方法、結果の解釈
スポンサードサーチ
日本語版SRSI(Self Regulation Skills Interview)は、宮原らによってSRSIが翻訳されたものです。
日本語版SRSIは自己統制能力質問紙とも呼ばれています。
この評価方法の特徴は、対象者本人から直接質問の回答を得て、それを採点基準をもとに得点をつけていくことにあります。
アウェアネスの評価としては、セラピストや家族などの評価と本人の自己評価を比べるものもありますが、SRSIは違った評価方法となっています。
日本語版SRSIは6つの質問から構成されています。
各質問に対してガイドラインを参考に0〜10点の範囲で得点をつけていきます。
質問する内容は決まっていますが、自由回答(非構成的)であるため、対象者の生活の中での障害の状況や困りごと、問題に対する戦略の取り方やその考え方などの有益な情報が得られるメリットがあります。
スポンサードサーチ
1.出現している問題(日常生活上の問題点)
2.問題の予測(どんな時に問題が起こるか)
3.変化への動機付け(問題への対処方法習得の気持ち)
*この項目は自己採点結果がそのまま反映される
4.戦略生成(今までに問題に対処する方法があるか、思いつくか)
5.戦略使用(今使用している問題への対処方法)
6.戦略の効果(今使用している問題への対処方法はどの程度有効か)
採点基準は各項目(質問3以外)により設けられています。
基準に従って回答内容を採点し、0〜10点をつけていきます。
詳しくは、宮原 智子ら「脳損傷者に対する Self-awareness(自己の気づき)の評価法「日本語版SRSI(Self Regulation Skills Interview):自己統制能力質問紙」の作成および信頼性・妥当性の検討」総合リハビリテーション Vol.40 No.8 2012を参照してください。
スポンサードサーチ
質問3では対象者の回答をそのまま採用するのですが、この採点では、得点が高いほど変化への動機付け(問題への対処方法習得の気持ち)が高いことを示しています。
その他の質問では、点数が低いほどアウェアネスが高いことを示しています。
この評価でのメリットは、アウェアネスの状態が数値化できることや、対象者の生活状況やその中での問題点、対処の仕方などが把握できることです。
必ず数値化する必要がない場合には、上記質問項目を対象者に聞くことで、有益な情報を得られると考えられます。
スポンサードサーチ
チャンネル登録よろしくお願いします⇨https://bit.ly/37QHaWc
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ