歩行評価では、「10m歩行が何秒だった」「6分間歩行が何mだった」「TUGが何秒だった」という数値が注目されがちです。
もちろん、数値は重要です。歩行速度、持久性、方向転換、バランス、介助量などの変化を客観的に残せるからです。
しかし、臨床で本当に迷うのは、数値を測定した後ではないでしょうか。
たとえば、次のような場面です。
歩行評価バッテリーは、単に点数を並べるためのものではありません。
「何を知りたいのか」に合わせて評価を選び、得られた結果を生活場面、介入方針、再評価につなげるための道具です。
この記事では、新人療法士に向けて、10m歩行テスト、6分間歩行テスト、TUG、BBSを中心に、FAC、FGA、DGI、Mini-BESTest、PASS、SPPBなどの使い分けを整理します。
また、日本の臨床で使用されることがある5m歩行時間、片脚立位、FRT、CS-30などの位置づけと、カットオフ値、SEM、MDC、MCIDの読み方も解説します。
記事内で紹介する数値は、特定の研究対象者と測定条件から得られた参考値です。個別患者の歩行自立、屋外歩行許可、転倒リスクを決定する基準ではありません。
※本記事はリハビリテーション専門職向けの一般的な教育内容です。個別の歩行許可、運動負荷、転倒リスク、介助量の変更は、疾患、病期、主治医の指示、施設基準、当日の全身状態、担当者の評価を優先してください。
続きを読む: 歩行評価バッテリーの選び方|10m歩行・6分間歩行・TUG・BBSの使い分けと記録例目次
本記事でいう「歩行評価バッテリー」とは、特定の一つの検査セットではありません。
臨床疑問に応じて、歩行速度、持久性、バランス、介助量、生活場面などを評価する複数の指標を組み合わせる考え方を指します。
歩行能力には、次のような複数の要素が含まれます。
そのため、10m歩行だけで十分な場面もあれば、TUG、BBS、FGA、6分間歩行、実場面観察などを組み合わせた方がよい場面もあります。
大切なのは、評価をたくさん実施することではありません。
臨床疑問に合った評価を、必要な範囲で選ぶことです。
歩行・バランス評価に、すべての疾患や病期に共通する絶対的な順位はありません。
成人神経疾患のアウトカム評価に関する診療ガイドラインでは、次の評価が中核的な指標として推奨されています。
ただし、これは成人神経疾患に共通する標準化を目的とした推奨です。脳卒中早期の低機能者、虚弱高齢者、整形外科疾患、心肺疾患などでは、別の評価が重要になる場合があります。(PMC)
本記事では、評価を次のように整理します。
| 位置づけ | 主な評価 | 考え方 |
|---|---|---|
| 多くの歩行評価で軸になる指標 | 10m歩行、6分間歩行、BBS、FGA、FAC | 速度、距離、バランス、自立度など主要な能力を測る |
| 病期・能力・目的に応じた主力評価 | TUG、Mini-BESTest、PASS、SPPB、5回立ち上がり、FIM、BI | 対象者の状態によって重要性が高くなる |
| 補助的・プロトコル依存の評価 | 5m歩行時間、4m歩行、2分間歩行、片脚立位、FRT、CS-30、FSST | 中核評価だけでは分からない要素を補う |
「補助的」とは価値が低いという意味ではありません。
たとえば片脚立位は、短時間で片脚支持能力を確認するには有用です。しかし、片脚立位だけでは歩行速度、持久性、方向転換、二重課題までは評価できません。
茨城県の介護保険領域で勤務する理学療法実践者を対象とした調査では、片脚立位、TUG、10m歩行、5m歩行、BBS、FRT、6分間歩行、椅子立ち上がりなどが使用されていました。
ただし、この調査は一地域の介護保険領域を対象としたものであり、日本全国の急性期、回復期、生活期における使用状況を表したものではありません。(J-STAGE)
ここで注意したいのは、臨床でよく使われていることと、測定方法が統一されていることは同じではないという点です。
評価を選ぶ際には、次の2点を分けて考えます。
評価尺度を選ぶ前に、患者が歩行テストを安全に実施できる状態かを確認します。
脳卒中急性期・回復初期や、立位保持に介助を要する患者では、10m歩行や6分間歩行を無理に実施しても、有効で再現可能な数値を得られないことがあります。
歩行テストの実施が困難な場合は、次の評価を先に検討します。
歩行評価は、歩かせること自体が目的ではありません。
患者の能力と安全性に合った評価を選びます。
| 知りたいこと | 主な評価候補 | 主に確認する内容 |
|---|---|---|
| 歩行の自立度 | FAC | 人的介助・監視の程度 |
| 短距離の歩行速度 | 10m歩行 | 快適速度、最大速度、歩数 |
| 限られたスペースでの歩行速度 | 4m歩行、5m歩行時間 | 施設内プロトコルによる測定 |
| 歩行持久性 | 6分間歩行 | 距離、症状、休憩、歩容変化 |
| 6分間歩行が難しい場合 | 2分間歩行 | より短時間の歩行持久性 |
| 起立・方向転換・着座 | TUG | 複合的な移動動作 |
| 座位・立位バランス | BBS | 姿勢保持、リーチ、方向転換 |
| 脳卒中早期・低機能者 | PASS | 姿勢保持、姿勢変換 |
| 歩行中の課題変化 | FGA、DGI | 速度変更、頭部運動、障害物 |
| 姿勢制御の構成要素 | Mini-BESTest、BESTest | 予測的・反応的姿勢制御 |
| 高齢者の下肢身体機能 | SPPB | バランス、歩行速度、立ち上がり |
| 反復起立能力 | 5回立ち上がり、CS-30 | 起立時間、反復回数 |
| 前方への安定限界 | FRT | 前方リーチ距離 |
| 片脚支持能力 | 片脚立位時間 | 静的片脚支持 |
| 多方向ステップ | FSST | 前後左右へのステップ |
| ADL上の自立度 | FIM、BI | 移動を含むADL全体 |
| 転倒への不安・歩行への自信 | FES-I、ABC Scale、mGES | 自己効力感、転倒懸念 |
| 実際の生活での安全性 | 実場面観察 | 病棟、トイレ、屋外、夜間 |
評価中に次のような変化が生じた場合は、検査の完遂を優先せず中止し、施設の対応基準に従います。
SpO2や血圧の具体的な中止値は、疾患、酸素療法、医師指示、施設基準によって異なります。
一律の数値だけで判断せず、症状、基準値からの変化、回復状況、基礎疾患を合わせて判断します。
10m歩行テストは、一定の10m区間を歩く時間を測定し、歩行速度を算出する評価です。
成人神経疾患の診療ガイドラインでは、歩行速度を評価する中核的指標として10m歩行テストが推奨されています。(PMC)
主な測定項目は次のとおりです。
10m歩行で直接測定する中心的な指標は、歩行時間または歩行速度です。
歩数を併記すれば、歩幅や歩調の変化を推定できますが、酸素消費量やエネルギーコストなどの「歩行効率」を直接測定する検査ではありません。
| 見る項目 | 解釈の例 |
|---|---|
| 快適歩行速度 | 本人が自然に選択する速度 |
| 最大歩行速度 | 安全に速度を上げられる余力 |
| 歩数 | 距離当たりのステップ数 |
| 歩幅 | 速度変化が歩幅によるものか |
| ケイデンス | 速度変化が歩調によるものか |
| 左右差 | 麻痺側・非麻痺側の違い |
| 補助具・装具 | 何を使用した条件か |
| 介助量 | 自立、見守り、身体介助 |
| 歩容 | 数値では分からない質的変化 |
10m歩行には複数の測定方法があります。
Rehabilitation Measures Databaseでも、距離制限歩行テストには複数の方法があり、10m歩行が最も一般的な方法であると整理されています。(Shirley Ryan AbilityLab)
経過比較では、次の条件を固定します。
直線路で歩行速度が改善しても、次の場面では不安定になることがあります。
10m歩行の結果だけで、病棟歩行自立や屋外歩行の可否を決めません。
5m歩行時間は、日本国内の研究や臨床で実際に使用されています。
しかし、「5m歩行テスト」という名称だけでは測定方法を特定できません。
研究や施設によって、次の条件が異なるからです。
日本の地域理学療法領域を対象とした調査でも、5m歩行を使用している実践者が確認されていますが、調査は測定プロトコルを統一したものではありません。(J-STAGE)
したがって、5m歩行は次のように位置づけます。
限られたスペースで短距離歩行を繰り返し評価するための、施設プロトコル依存の指標
10m歩行と5m歩行を途中で切り替えたり、異なる研究の参考値を混在させたりしてはいけません。
記録では「5m歩行」とだけ書かず、測定方法を明記します。
前後3mの助走・減速区間を設け、中央5mの最速歩行時間を2回測定し、最良値を採用した。
4m歩行速度は、主にSPPBなど、高齢者の身体機能評価の一部として使用されます。
4m、5m、10mはいずれも短距離歩行速度を測定できますが、距離、加速、減速、開始方法の影響が異なります。
異なる距離で得られた値を、そのまま同じ基準値やMDCで解釈してはいけません。
4m歩行は、次のような場面で有用です。
6分間歩行テストは、6分間に歩いた総距離を測定するフィールド歩行テストです。
成人神経疾患の診療ガイドラインでも、歩行距離を評価する中核的指標として推奨されています。(PMC)
主に確認するのは、歩行を用いた統合的な運動耐容能です。
歩行距離には、次の要因が影響します。
したがって、歩行距離が短いという結果だけから、「心肺機能が低い」「下肢筋力が弱い」などと原因を特定することはできません。
| 見る項目 | 臨床での意味 |
|---|---|
| 総歩行距離 | 6分間に維持できた歩行量 |
| 1分ごとの距離 | 前半の飛ばしすぎ、後半の低下 |
| 休憩回数・時間 | 息切れ、疼痛、疲労 |
| 停止理由 | 制限因子の推定 |
| 脈拍・SpO2 | 運動負荷への反応 |
| Borgスケール | 主観的な息切れ・下肢疲労 |
| 歩容変化 | 歩幅、ふらつき、足部クリアランス |
| 補助具・装具 | 使用条件と操作 |
| 終了後の回復 | 症状やバイタルの戻り方 |
同じ300mでも、休まず一定のペースで歩けた300mと、2回休憩し後半に歩容が崩れた300mでは意味が異なります。
ATSおよびERS/ATSの標準では、歩行路、指示、励まし方、補助具、酸素条件などの標準化が重視されています。(Shirley Ryan AbilityLab)
経過比較では、次の条件をできる限り統一します。
歩行路の長さや折り返し回数が異なれば、歩行距離にも影響する可能性があります。
2分間歩行テストは、6分間歩行の負担が大きい場合や、臨床時間が限られる場合に用いられることがあります。
ただし、2分間歩行と6分間歩行は同一の検査ではありません。
途中から別の検査へ変更した場合は、同じ系列の結果として比較しません。
Timed Up and Go test、TUGは、椅子から立ち上がり、3m歩き、方向転換して戻り、再び座るまでの時間を測定する評価です。
TUGは、次の複数の動作を含みます。
| 見る項目 | 記録したい内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 経過比較 |
| 起立 | 上肢支持、反動、離殿 |
| 歩き始め | すくみ、初動の遅れ |
| 直線歩行 | 速度、歩幅 |
| 方向転換 | 小刻み、足の交差、回転半径 |
| 着座 | 位置調整、制動、座り込み |
| 補助具 | 杖、歩行器の扱い |
| 指示理解 | 手順保持、開始・終了 |
時間が改善していても、次の問題が残る場合があります。
時間と動作の質をセットで記録します。
地域在住高齢者を対象とした研究では、13.5秒が転倒歴のある対象者を分類する参考値として報告されています。
しかし、システマティックレビューでは、TUG単独による将来の転倒予測能力は限定的であり、単独での使用は推奨されていません。(J-STAGE)
転倒リスクを検討する場合は、次の要因も確認します。
Berg Balance Scale、BBSは、座位、立位、リーチ、方向転換、片脚立位など、14項目の課題で構成される評価です。
成人神経疾患の診療ガイドラインでも、座位・立位バランスの変化を評価する中核的指標として推奨されています。(PMC)
| 見る項目 | 臨床での意味 |
|---|---|
| 座位・立位保持 | 姿勢保持と支持の必要性 |
| 立ち上がり | 下肢支持、前方重心移動 |
| 閉脚立位 | 支持基底面を狭くした安定性 |
| リーチ | 重心移動範囲 |
| 方向転換 | 回転時のステップ |
| 床から物を拾う | 前下方への重心移動 |
| 片脚立位 | 片脚支持、左右差 |
一方、BBSは次の内容を詳細に評価する尺度ではありません。
BBSの転倒関連カットオフは研究によって異なり、単一の普遍的な境界値はありません。
BBS単独で、転倒者と非転倒者を十分に分類することにも限界があります。(Shirley Ryan AbilityLab)
Functional Gait Assessment、FGAとDynamic Gait Index、DGIは、歩行中の課題変化に対する安定性や調整能力を確認する評価です。
成人神経疾患の診療ガイドラインでは、歩行中のバランス評価としてFGAが推奨されています。(PMC)
FGAとDGIの両方を毎回実施する必要はありません。
評価内容が重複するため、施設で採用している尺度、対象疾患、患者の能力、評価目的に応じて選択します。
FGAやDGIは屋外歩行に必要な能力の一部を確認できますが、信号、人混み、不整地、天候、荷物運搬などをすべて評価するものではありません。
Mini-BESTestは、次の4領域から動的バランスを評価します。
BBSでは十分に捉えにくい反応的ステップや、感覚条件の変化を含む点が特徴です。
日本語版の妥当性研究では、既存のバランス評価との関連が確認され、BBSにみられた天井効果がMini-BESTestでは認められませんでした。
ただし、小規模かつ複数疾患を含む研究であるため、研究内で得られたカットオフ値をすべての患者へ適用することはできません。(J-STAGE)
一方、立位保持が難しい低機能者には難しすぎる場合があります。
BBSとMini-BESTestは上下関係ではなく、対象者の能力に応じて使い分けます。
BESTestは、Mini-BESTestよりも詳細に姿勢制御システムを評価します。
バランス低下を単一の点数だけでなく、複数の構成要素に分けて整理できることが特徴です。
一方で、項目数が多く、実施時間も長くなります。
次のような場面に適しています。
Postural Assessment Scale for Stroke Patients、PASSは、脳卒中患者の姿勢保持と姿勢変換を評価する12項目の尺度です。
座位・立位だけでなく、寝返り、起き上がり、立ち上がりなども含みます。
PASSは、特に脳卒中早期や、立位・歩行がまだ難しい患者で有用です。
PASSは脳卒中特異的な評価です。
整形外科疾患や一般高齢者のバランス評価として一律に使用するものではありません。
Functional Ambulation Categories、FACは、歩行時に必要な人的介助や監視の程度を6段階で評価します。
FACで主に分かるのは、人的介助の程度です。
次の内容は別に評価する必要があります。
FACが高いから屋外で安全、FACが改善したから病棟歩行を自立にできる、とは限りません。
FIMとBarthel Index、BIは、歩行分析の尺度ではありません。
移動を含むADL全体の自立度や介助量を評価します。
| 評価 | 主に分かること | 別に確認すること |
|---|---|---|
| FAC | 歩行時の人的介助 | 速度、距離、歩容 |
| FIM | ADL上の介助量・自立度 | 危険場面、動作の質 |
| BI | 基本ADL全体の自立度 | 詳細な歩行能力 |
FIMやBIの点数だけでは、方向転換、疲労時の歩容、二重課題、狭い場所での安全性までは分かりません。
また、評価用紙や採点基準を記事や資料に転載する場合は、各尺度の著作権や利用条件を確認してください。
Short Physical Performance Battery、SPPBは、次の3領域から構成されます。
高齢者の下肢身体機能を短時間で把握する評価です。(Shirley Ryan AbilityLab)
ただし、SPPB単独では次の内容を詳細に評価できません。
椅子立ち上がりを用いる評価には、主に次の2種類があります。
| 評価 | 測定値 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 5回立ち上がり | 5回に要する時間 | 起立速度、反復起立能力 |
| CS-30 | 30秒間の回数 | 一定時間内の反復能力 |
同じ椅子立ち上がり動作を用いますが、測定するアウトカムは異なります。
成人神経疾患の診療ガイドラインでは、立ち上がり能力の評価として5回立ち上がりが中核評価に含まれています。(PMC)
次の条件を記録します。
5回立ち上がりとCS-30を、同じ基準値で解釈してはいけません。
片脚支持をどの程度維持できるかを確認する簡便な評価です。
結果には次の条件が影響します。
片脚立位ができても、方向転換、二重課題、疲労時の歩行が安全とは限りません。
Functional Reach Testは、支持基底面を変えずに前方へ到達できる距離を測定します。
前方への安定限界を簡便に確認できますが、側方・後方への安定性、反応的姿勢制御、歩行中の方向転換を直接評価するものではありません。(Shirley Ryan AbilityLab)
Four Square Step Testは、前後左右へのステップ切り替えを評価します。
多方向へのステップ、足部クリアランス、動作切り替えを見るのに有用ですが、一定の立位・歩行能力が必要です。(Shirley Ryan AbilityLab)
これらは中核評価を置き換えるのではなく、臨床疑問に応じて追加します。
患者が実際に「できること」と、「できると思っていること」は一致しない場合があります。
必要に応じて、次のような自己評価尺度を組み合わせます。
たとえば、歩行能力は高いのに転倒への不安が強く、活動を制限している人もいます。
反対に、歩行能力に比べて自己評価が高く、危険な行動を選ぶ人もいます。
成人神経疾患の診療ガイドラインでも、パフォーマンス評価だけでなく、バランスへの自信をABC Scaleで評価することが推奨されています。(PMC)
評価結果を正しく解釈するには、次の指標を区別する必要があります。
| 指標 | 日本語 | 何を表すか |
|---|---|---|
| カットオフ | 判別境界値 | 特定の2群を分類する境界 |
| SEM | 測定標準誤差 | 1回の測定値に含まれる誤差 |
| MDC | 最小検出可能変化量 | 測定誤差を超えた変化の目安 |
| MCID・MIC | 最小臨床的重要差・変化 | 臨床的に重要と考えられる変化 |
| 基準値・平均値 | 集団の代表値 | 特定集団との比較 |
Standard Error of Measurement、SEMは、1回の測定値にどの程度の測定誤差が含まれるかを示す指標です。
よく用いられる算出式の一つは次のとおりです。
SEM = SD × √(1-ICC)
ただし、使用するSD、ICCモデル、測定者、測定間隔によって値は変わります。
原著でSEMが報告されていない場合、記事執筆者が不十分な情報から独自に逆算して掲載するのは避けます。
Minimal Detectable Change、MDCは、測定誤差を超えた変化と判断するための目安です。
95%信頼水準を用いるMDC95は、一般的に次の式で算出されます。
MDC95 = 1.96 × √2 × SEM
MDC95 = 約2.77 × SEM
MDC90とMDC95では数値が異なります。
記事や記録で引用するときは、どの信頼水準のMDCかを確認します。
Minimal Clinically Important Difference、MCID、またはMinimal Important Change、MICは、臨床的に重要と考えられる最小変化量です。
MCIDは、患者本人の主観だけから求められるとは限りません。
次のような外的基準、アンカーが用いられます。
どのアンカーを使用したかによって、MCIDの意味は変わります。
| 結果 | 解釈 |
|---|---|
| 変化がSEM以内 | 測定誤差の可能性がある |
| 変化がMDCを超える | 測定誤差だけでは説明しにくい |
| 変化がMCIDを超える | 臨床的に重要な変化の可能性がある |
| MDCを超えるがMCID未満 | 真の変化でも臨床的重要性は明確でない |
| MCIDがMDCより小さい | 重要な変化でも個人レベルでは誤差と区別しにくい |
MDCを超えたから大きく改善した、MCID未満だから治療効果がない、とは単純に判断できません。
歩行・バランス評価について調べるときに役立つのが、Shirley Ryan AbilityLabの**Rehabilitation Measures Database(RMD)**です。
RMDは、リハビリテーション領域の評価尺度を検索できる無料のオンラインデータベースです。
公式サイトによると、600を超える評価尺度が掲載され、公開前にデータの正確性が確認されています。各尺度の概要作成には、大学院教育課程の教員や学生なども関与しています。(Shirley Ryan AbilityLab)
RMDでは、評価尺度ごとに次の情報を確認できます。
たとえば、10m歩行テストのページでは測定方法や対象疾患別の測定特性が、6分間歩行テストのページでは脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、変形性関節症などの集団別にSEM、MDC、MCIDなどが整理されています。(Shirley Ryan AbilityLab)
まず、10 Meter Walk Test、6 Minute Walk Test、Timed Up and Goなど、調べたい尺度を検索します。
同じ尺度でも、次の条件によって数値が異なります。
評価尺度名だけを見て数値を採用せず、対象集団を確認します。
歩行距離、助走区間、快適速度・最大速度、補助具、測定回数などが、自施設の方法と一致しているかを確認します。
RMDには複数の測定特性が併記されています。
MDCをMCIDとして使ったり、異なる疾患のSEMを当てはめたりしないようにします。
RMDは信頼性の高い二次データベースですが、一次文献そのものではありません。
重要な数値を臨床判断、研究、記事、院内資料に使用する場合は、RMDに示された参考文献から原著論文へ進み、次の内容を確認します。
RMDの各ページは、更新時期が同じではありません。
ページの更新後に発表された研究が反映されていない可能性があります。
RMDでは、原著に直接記載されたMDCだけでなく、掲載されたSEMなどからデータベース側がMDCを算出している場合があります。
RMDがMDCを算出する際は、原則としてMDC95を使用すると説明されています。(Shirley Ryan AbilityLab)
したがって、記事では次のように区別して記載します。
原著で報告されたMDC95
または、
RMDが原著のSEMから算出したMDC95
RMDは、評価尺度や候補文献を探す入口として非常に有用です。
ただし、次の使い方は避けます。
安全な使い方は次の流れです。
RMDで評価尺度と候補文献を探す
↓
対象疾患・病期・測定条件を確認する
↓
原著論文で数値と算出方法を確認する
↓
目の前の患者との違いを確認する
↓
参考値として臨床判断に組み込む
以下は、代表的な研究で示された参考値です。
病棟歩行自立、屋外歩行許可、転倒予測を決定する基準ではありません。
| 評価 | 対象 | 判別・分類目的 | 参考値 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| TUG | 地域在住高齢者 | 転倒歴を持つ群の分類 | 13.5秒以上 | 将来転倒の単独予測には不十分 |
| BBS | 高齢者 | 転倒者・非転倒者の分類 | 研究により異なる | 普遍的な境界値ではない |
| 歩行速度 | 脳卒中 | 速度に基づく歩行範囲の分類 | 0.4、0.8m/秒 | 実際の生活範囲や安全性を保証しない |
| 日本語版Mini-BESTest | 小規模な混合疾患群 | FAC 5とFAC 4以下の分類 | 19点以下 | 小標本・混合疾患で一般化に制限 |
| BBS | 同じ混合疾患群 | FAC 5とFAC 4以下の分類 | 50点以下 | 病棟歩行自立基準ではない |
| Mini-BESTest | パーキンソン病 | 6か月以内の反復転倒 | 19点未満 | 対象者や転倒定義により異なる |
TUGの13.5秒やBBSの特定得点は、特定集団を分類するための参考値です。
単一の検査値のみで、将来の転倒や歩行自立を判断できません。
脳卒中後の歩行速度では、0.4m/秒未満、0.4~0.8m/秒、0.8m/秒超という分類が使用されることがあります。
ただし、この分類は速度に基づくものであり、患者が実際に屋外を安全に歩けることを保証するものではありません。
日本の脳卒中患者84名を対象とした研究では、10m歩行のSEMとMDC95は、初期歩行速度によって異なりました。
対象者は、身体介助なしに10m歩行が可能で、杖やAFOの使用は認められていました。
前後3mの助走・減速区間を設け、中央10mを快適速度と最大速度で各2回測定しています。(Frontiers)
| 初期歩行速度 | SEM | MDC95 |
|---|---|---|
| 0.4m/秒未満 | 0.02m/秒 | 0.05m/秒 |
| 0.4~0.8m/秒 | 0.04m/秒 | 0.11m/秒 |
| 0.8m/秒超 | 0.08m/秒 | 0.21m/秒 |
| 初期歩行速度 | SEM | MDC95 |
|---|---|---|
| 0.4m/秒未満 | 0.01m/秒 | 0.04m/秒 |
| 0.4~0.8m/秒 | 0.04m/秒 | 0.12m/秒 |
| 0.8m/秒超 | 0.07m/秒 | 0.19m/秒 |
同じ0.06m/秒の変化でも、初期速度によって測定誤差を超えたと判断できるかが異なります。
この研究値を、次の患者へそのまま適用してはいけません。
発症後60日以内の亜急性期脳卒中患者では、快適歩行速度0.16m/秒以上の改善が、modified Rankin Scaleの改善と関連したと報告されています。(PubMed)
| 対象 | 評価 | MCID参考値 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 発症後60日以内の亜急性期脳卒中 | 快適歩行速度 | 0.16m/秒 | mRSをアンカー。感度・特異度に限界 |
mRSは歩行だけを評価する尺度ではありません。
0.16m/秒を、全脳卒中患者に共通する絶対的なMCIDとして扱わないようにします。
発症後2~6か月の脳卒中患者を対象とした研究では、初期歩行速度0.4m/秒未満の患者で、44mの改善がmRSの意味のある変化と関連しました。(PubMed)
| 対象 | MCID参考値 | 注意点 |
|---|---|---|
| 初期歩行速度0.4m/秒未満 | 44m | mRSアンカー、AUC 0.72 |
| 初期歩行速度0.4m/秒以上 | 正確な値を確立できず | 71mでは判別精度が低い |
重要なのは、初期歩行速度0.4m/秒以上の群では、正確なMCIDを推定できなかったという点です。
したがって、
脳卒中患者の6分間歩行のMCIDは一律71mである
と書くのは不正確です。
早期亜急性期脳卒中患者を対象とした研究では、FACの変化をアンカーとしてBBSのMCIDが検討されています。(CiNii Research)
| 対象 | BBSのMCID参考値 | 注意点 |
|---|---|---|
| 歩行に介助を要する早期亜急性期脳卒中 | 5点 | AUC 0.84。介助量軽減の参考 |
| 歩行介助を要しない群 | 4点 | AUC 0.62、統計学的に十分でない |
歩行介助群では5点が参考になりますが、非介助群の4点を確立した基準として扱うことはできません。
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 疾患 | 障害構造が異なる |
| 病期 | 急性期、回復期、慢性期で異なる |
| 初期能力 | 歩行速度や介助量でSEM・MDCが変わる |
| 年齢 | 基準値や転倒との関係が変わる |
| 測定距離 | 4m、5m、10mは同一ではない |
| 測定プロトコル | 助走、速度条件、回数で変わる |
| 補助具・装具 | 使用条件で数値が変わる |
| MDCの信頼水準 | MDC90とMDC95では異なる |
| MCIDのアンカー | mRS、FAC、本人評価などで意味が異なる |
| 判別目的 | 転倒、歩行自立、地域歩行は別のアウトカム |
| 感度・特異度 | 見逃しと過剰判定に関係する |
| 対象者数 | 小規模研究は不確実性が大きい |
| 原著か二次資料か | 数値の算出過程を確認する必要がある |
| 更新時期 | 新しい研究が反映されていない可能性がある |
| よくある誤解 | 修正したい考え方 |
|---|---|
| TUGが13.5秒未満だから転倒しない | 単一検査では将来の転倒を予測できない |
| BBSが45点以上だから歩行自立 | 病棟環境、認知、疲労を別に見る |
| 歩行速度が0.8m/秒を超えたから屋外自立 | 速度分類であり安全性の保証ではない |
| Mini-BESTestが19点以上だから転倒しない | 疾患、転倒歴、環境も確認する |
| 6分間歩行が44m伸びたから負荷を増やす | 症状、歩容、回復状況も確認する |
| BBSが5点改善したから介助不要 | FACと実場面を確認する |
| MDCを超えたから本人も改善を実感する | MDCは測定誤差、MCIDは重要性 |
| MCID未満だから治療効果がない | 介助量や生活変化も確認する |
| RMDに載っているから全患者に使える | 対象・病期・原著を確認する |
評価結果が改善したら、次に生活で何が変わったかを確認します。
数値と生活場面をつなげることで、初めて介助量、練習内容、退院支援の判断に役立ちます。
ここまで、歩行速度、持久性、バランス、介助量などを評価する方法を整理してきました。
ただし、10m歩行やTUG、BBSの結果が良くても、トイレ入口での方向転換、歩行器から手すりへの持ち替え、下衣操作、洗面所での立位、物品を持った移動などで問題が生じることがあります。
特に作業療法では、歩行を単独の運動課題として終わらせず、ADL・IADL、環境、認知・高次脳機能、自立度判断へつなげて考える必要があります。
OTとしての歩行評価の組み立て方、PTとの視点の違い、トイレ自立判断、補助具別の評価、課題設定、記録例をより具体的に整理した有料noteはこちらです。
[作業療法における歩行評価・練習|生活行為への具体的なつなげ方]
| 観察所見 | 考えること | 次に変える条件・追加評価 |
|---|---|---|
| 10m歩行は速いがTUGが遅い | 起立、方向転換、着座のどこに時間を要するか | TUGを工程別に観察 |
| TUG時間は改善したが着座が乱れる | 速度優先で制動が低下していないか | 椅子位置、接近方向を変更 |
| 6分間歩行後半で歩容が崩れる | 持久性、疼痛、息切れ、足部クリアランス | 1分ごとの距離と症状を記録 |
| BBSは高いが病棟では不安定 | 二重課題、注意、環境、天井効果 | FGA、Mini-BESTest、実場面 |
| FACは高いが移動に時間がかかる | 人的介助は不要でも実用速度が不足 | 10m歩行、移動時間 |
| 直線歩行は安定するが曲がるとふらつく | 転換方向、回転半径、足の交差 | 左右の方向転換を比較 |
| 補助具使用で速くなるが操作を忘れる | 注意、記憶、遂行機能 | 声かけ、目印、環境固定 |
| 会話中に歩容が崩れる | 注意分配、二重課題干渉 | 単一課題と二重課題を比較 |
| BBSは改善しないが介助量が減った | 尺度の床・天井効果 | FAC、FIM、実場面 |
| 数値は良いが本人の不安が強い | 能力と自己効力感の不一致 | FES-I、ABC、mGES |
評価は次の順に進めます。
観察
↓
所見の解釈
↓
条件変更
↓
再評価
↓
生活場面で確認
| 目的 | 評価 |
|---|---|
| 歩行自立度 | FAC |
| 直線歩行速度 | 10m歩行 |
| 起立・方向転換・着座 | TUG |
| 座位・立位バランス | BBS |
| 低機能者の姿勢制御 | PASS |
| 高機能者の動的バランス | Mini-BESTest、FGA |
| ADL上の自立度 | FIM、BI |
| 病棟生活 | トイレ、夜間、補助具管理、援助要請 |
病棟歩行自立は、カットオフ値だけで決めません。
| 目的 | 評価 |
|---|---|
| 歩行速度 | 10m歩行 |
| 持久性 | 6分間歩行 |
| 複雑歩行 | FGAまたはDGI |
| 姿勢制御 | Mini-BESTest |
| 階段・段差 | 実場面または模擬課題 |
| 疲労・症状 | Borg、疼痛、バイタル |
| 歩行への自信 | ABC Scale、mGES |
| 屋外適応 | 信号、混雑、不整地、荷物 |
| 目的 | 評価 |
|---|---|
| 直線歩行 | 10m歩行 |
| 起立・方向転換・着座 | TUG |
| 動的歩行 | FGAまたはDGI |
| 反応的姿勢制御 | Mini-BESTest |
| 生活場面 | 狭所、ドア、トイレ、方向転換 |
| 変動条件 | 服薬時間、on/off、疲労、cue |
| 転倒への不安 | FES-I、ABC Scale |
測定時刻、服薬との関係、cue、補助具を記録します。
| 目的 | 評価 |
|---|---|
| 下肢身体機能全体 | SPPB |
| 短距離歩行速度 | SPPBの4m歩行または施設標準の歩行速度 |
| 複合移動 | TUG |
| 起立能力 | 5回立ち上がり、CS-30 |
| 簡便なバランス | 片脚立位、FRT |
| ADL | BI、FIM |
| 実生活 | 転倒歴、活動範囲、住環境 |
10m歩行改善。TUGも良好。歩行練習継続。
この記録では、次の情報が分かりません。
T字杖・AFO・普段使用している靴の条件で実施。前後3mの助走・減速区間を設け、中央10mを計時した。快適歩行速度は前回0.42m/秒から0.55m/秒へ改善した。測定方法、補助具、介助条件は前回と同一。変化量は0.13m/秒であり、同程度の歩行速度を持つ脳卒中患者で報告されたMDC95の0.11m/秒を上回った。ただし、研究対象と本症例は完全には一致しないため参考値として扱う。直線路は見守りで安定したが、TUGでは方向転換時に麻痺側足部の振り出し遅れと着座前の後方ふらつきを認めた。病棟トイレ入口では杖操作が乱れるため、歩行自立への変更は見送り、見守りを継続する。次回はトイレ場面、疲労時、反対方向への方向転換を再評価する。
記録では、次の6点をセットにします。
歩く速さは良くなっています。測定のばらつきだけでは説明しにくい程度の改善がみられています。ただ、方向転換やトイレの入口では、まだふらつきが残っています。まっすぐ歩く速さだけでなく、生活の中で安全に歩けるかを確認している段階です。
歩ける距離は伸びています。ただ、後半になると疲れて足が上がりにくくなっています。距離だけでなく、疲れたときにも安全に歩けるかを確認します。
立って歩き、向きを変えて座るまでの時間は短くなっています。一方で、向きを変えるときには不安定さが残っています。速さだけでなく、転ばずに動けることも確認します。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 評価目的 | 速度、持久性、バランス、介助量、生活場面 |
| 実施可能性 | 歩行テストを安全に実施できるか |
| 医療安全 | 医学的安定性、症状、主治医指示 |
| 評価の位置づけ | 中核評価か、目的別評価か、補助評価か |
| 測定方法 | 距離、助走、開始方法、測定回数 |
| 測定条件 | 補助具、装具、靴、介助量、時間帯 |
| 数値 | 時間、距離、速度、点数 |
| 測定誤差 | SEM、MDCの対象と条件が合うか |
| 臨床的重要性 | MCIDのアンカーが合うか |
| カットオフ | 何を分類する数値か |
| 情報源 | 原著か、RMDなどの二次データベースか |
| 更新時期 | より新しい研究がないか |
| 質的所見 | ふらつき、方向転換、歩幅、補助具操作 |
| 症状 | 息切れ、疼痛、めまい、疲労 |
| 生活接続 | 病棟、トイレ、屋外、階段、買い物 |
| 条件変更 | 速度、方向、補助具、二重課題、環境 |
| 再評価 | 同一条件で何を再確認するか |
| 次の判断 | 介入、介助量、多職種共有、退院支援 |
まず、歩行テストを安全に実施できるかを確認します。
歩行可能であれば、歩行自立度にはFAC、速度には10m歩行、持久性には6分間歩行、座位・立位バランスにはBBSなどを選びます。
歩行がまだ難しい脳卒中患者では、PASSや座位・立位評価を先に行います。
5m歩行時間は、国内研究や臨床で実際に使用されています。
ただし、助走区間、速度条件、測定回数などが統一された単一の標準検査ではありません。
施設内でプロトコルを固定し、同じ方法で経過を追う補助的評価として位置づけます。
直接比較できません。
測定距離、加速・減速の影響、測定条件が異なるためです。
経過中に10mから5mへ変更した場合は、前後の数値を同一系列として扱いません。
13.5秒は、特定の地域在住高齢者研究から得られた値です。
TUG単独では将来の転倒を十分に予測できません。
転倒歴、薬剤、血圧、認知、視覚、環境、排泄などを合わせて評価します。
できません。
45点は転倒との関連で広く引用される値の一つであり、病棟歩行自立の基準ではありません。
測定誤差だけでは説明しにくい変化と考えられます。
ただし、患者本人や生活にとって重要な変化かどうかは、MCID、介助量、ADL、本人の目標と合わせて判断します。
MDCを詳しく説明する場合は、SEMも記載した方が成り立ちを理解しやすくなります。
ただし、原著にSEMが掲載されていない場合は、推測で補わず「報告なし」とします。
対象疾患、病期、初期能力、測定方法、ICCモデル、信頼水準、アンカーが異なるからです。
同じ評価名でも、別集団の数値をそのまま適用できない場合があります。
そのまま使用するのは危険です。
対象疾患、病期、測定条件、出典、更新日を確認し、重要な数値は原著論文まで遡って確認します。
RMDは、評価尺度の概要や測定特性、関連文献を効率よく探すために使います。
PubMedは、RMDで見つけた原著論文や、より新しい研究を確認するために使います。
上下関係ではありません。
座位・立位バランスを幅広く見るならBBSが使いやすく、歩行可能でBBSが高得点の患者に残る動的・反応的姿勢制御を見るならMini-BESTestが適しています。
通常は両方実施する必要はありません。
内容が重複するため、対象疾患、患者の能力、施設標準、評価目的に応じてどちらかを選択します。
歩行評価に、すべての患者へ共通する一つの最良な検査はありません。
多くの臨床場面で軸になるのは、次の評価です。
病期や能力に応じて、次の評価を追加します。
5m歩行時間、4m歩行速度、片脚立位、FRT、CS-30なども臨床的には有用ですが、中核評価を置き換えるものではありません。
特に5m歩行時間は実在する評価方法ですが、プロトコルが統一された単一の標準検査ではありません。
結果を解釈するときは、カットオフ、SEM、MDC、MCIDを区別します。
Shirley Ryan AbilityLabのRehabilitation Measures Databaseは、評価尺度の目的、測定方法、SEM、MDC、MCID、カットオフ、参考文献を調べるうえで有用です。
ただし、RMDは一次文献の代わりではありません。
RMDで候補を探す
↓
対象疾患・病期・測定条件を確認する
↓
原著論文へ遡る
↓
目の前の患者との違いを確認する
という手順で使用します。
単一の数値だけで、歩行自立、屋外歩行、転倒リスクを決めることはできません。
その人が、どの条件で、どの生活場面を、どの程度安全に移動できるのかを考え、次の介入と再評価につなげることが歩行評価の目的です。
歩行評価の数値を、トイレ、更衣、整容、病棟生活、IADLへどうつなげるかをさらに具体的に知りたいOTの方は、以下の有料noteも参考にしてください。
[作業療法における歩行評価・練習|生活行為への具体的なつなげ方]