摂食機能評価では、口腔器官の形態やその機能状態を把握することが重要です。また、それらが姿勢筋緊張、感覚に対する反応性などとの関連から理解される必要があります。今回、発達障害と摂食機能評価の視点について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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摂食では、頭部、体幹、肩甲帯の異常姿勢運動のパターンに強く影響されます。ATNR(非対称性緊張性頸反射)の出現は、頸部前面筋の左右のバランスが崩れ、それが舌骨の上方への移動を妨げ、嚥下を難しくします。姿勢筋緊張の亢進は、口腔の動きを制限します。頸部伸筋の過緊張は頭部後屈を生じさせ、下顎が開いたままになります。そのため舌の突出か後退が起こります。屈筋群の過緊張では、下顎を固く咬み、口を開けるために頭部後屈を利用します。これでは内舌筋の運動が低下し、口腔内での食べ物の移動がスムーズでなくなります。屈筋・伸筋どちらの場合も、口輪筋の短縮、吸啜、咀嚼、嚥下時に口唇を閉じておくことが困難になります。姿勢筋緊張低下は体幹や抗重力伸展位の保持が困難となります。これは運動性をさらに低下させます。下顎、口唇、頬筋の収縮を維持できず、食器を下唇で受けて保持することが困難になります。また、食べ物の取り入れや咀嚼、嚥下も低下します。姿勢筋緊張の動揺は、動作の関節可動域の中間でコントロールを困難にします。口を開けようとすると下顎を大きく開けてしまいます。舌で水を保持することが難しく、嚥下を呼吸パターンに合わせられず嚥下するとむせてしまうことがあります。各器官のタイミングが合わせられず、唇や舌を噛んでしまうことが多くなります。頭部のコントロール低下は、流涎や舌や口唇の独立した運動の低下、呼吸困難などとも関係します。
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口腔周辺の過敏性は、歯磨きや涎を拭かれることでも嫌うことがあります。
触覚への過敏性は、異常筋緊張と関連しやすく、全身の伸展パターンを誘発することがあります。
このような場合抗重力姿勢を崩しやすく、口唇や下顎、舌の選択的な動きの制限につながります。
触られることに敏感な場合、味覚や温度に敏感な傾向にあり、偏食につながることがあります。
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口腔反射は哺乳に有利であっても、摂食にとっては邪魔になります。
口腔機能評価では、どのような原始反射が優勢で、それがどのような機能を邪魔しているかを把握する必要があります。
探索反射は生後すでに出現し、約3ヶ月で消失するとされています。
探索反射は触れられた方向へ首を向け、口唇で刺激源を探すものです。
これにより母親の乳房の探索が行いやすくなりますが、触覚優位のままだと、視覚や聴覚が機能しにくくなり、食べ物を認識し、口に取り込むまでの準備が出現しにくくなります。
反射は頭を後屈させての開口を習慣化させるため、口唇、下顎、舌の非対称の原因となります。
この反射は生後すでに出現しており、2〜5ヶ月くらいに消失するとされています。
この反射は探索反射とともに働き、指や乳首が口唇に触れると、反射的に吸啜運動が起こります。
数啜と嚥下は初期では分離しておらず、吸ったものをすぐ飲み込みますが、舌と顎の独立した動きが見られるようになると、吸ったものを口の中にとどめることができるようになります。
反射の残存は、舌の突出が頻繁になり、選択的な舌の動きや閉口を困難にし、むせやすくなります。
この反射は3〜5ヶ月くらいの間に消失するとされています。
歯茎部分を触ると誘発される下顎の反射です。
この反射の残存は、下顎や舌の動きが制限され、ものの随意的な咀嚼が困難になります。
緊張性咬反射は健常児ではみられませんが、脳障害児にはよくみられます。
嘔吐反射は舌や硬口蓋の奥を触ると誘発される反射です。
初期では食べ物の流入を防ぐ役割があります。
嘔吐反射は生涯残存しますが、咀嚼の始まる時期(7ヶ月頃)には刺激部位が口腔奥の一部に限られてきます。
口腔内触覚の過敏性とも関連し、反射の誘発は誤嚥の危険性が高くなります。
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