認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応には苦慮することも多いと思います。BPSDの出現メカニズムには様々な要因がありますが、「認知症ちえのわnet」では、介護者などによるBPSDの対応方法が投稿され、それが上手くいった/上手くいかなかったなどの分析とともに掲載されています。今回、認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応として認知症ちえのわnetの活用についてまとめていきたいと思います。
目次
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認知症の診断基準を見ていくと、中核症状と言われる以下の症状が1つでも含まれていることが条件となります。
・複雑性注意
・実行機能
・学習および記憶
・言語
・知覚-運動
・社会的認知
行動・心理症状(BPSD)とは、認知症に伴い出現する行動や心理的な症状をさします。
心理的なものとして、不安、多幸、妄想、幻覚、抑うつなどがあります。また行動面では興奮、夜間行動、易怒性、異常行動、脱抑制などがあります。
行動・心理症状(BPSD)があると、対象者本人のQOLの低下や、介護者の負担を大きくしてしまうことにつながります。
認知症の中核障害があると、時間や場所(見当識)がわからくなったり、簡単な計算ができなくなるなど認知機能の低下がみられます。そのような機能低下が影響して、日常生活上が不自由になったり、不安感が大きくなってくると、行動・心理症状(BPSD)が出現することがあります。
また本人の置かれている環境や介護者の対応など、様々な要因が絡み合い行動・心理症状(BPSD)を生じさせる可能性があります。
BPSDが出現する要因として、認知症に関連する神経変性がストレス脆弱性に繋がることや、個人因子、介護者因子、環境因子などが複雑に絡み合うことが指摘されています。
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上図は、認知症専門病院における治療によって、BPSDの改善にどの程度の期間が必要であったのかが示されています。
この資料によると、入院後6ヶ月以内に退院した対象者と、入院が6ヶ月以上継続している対象者を比較すると、どちらも入院から1ヶ月程度あればBPSDの改善が見られているということがわかります。
このことからも、BPSDの改善には1ヶ月程度の期間があれば十分に改善がはかれることが予測できるということになります。
これはみなさんにとっては意外だったのではないでしょうか。
よくBPSDは改善できるということは聞くと思いますが、1ヶ月程度の期間で改善できるためには、家族やリハビリ、ケアを提供する側が、いかにBPSDの背景を理解し、原因を解明することが大切になってきます。
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認知症ちえのわnetをご存知でしょうか。
認知症ちえのわnetでは、家族介護者や介護・医療従事者などから、認知症者のBPSDへの対応方法とそれが上手くいったか/上手くいかなかったかの情報が掲載されています。
さらに、BPSDの症状別、対応方法別に集計され、それらの効果が期待できる確率を知ることができます。
これらの対応方法を閲覧するためには、会員登録が必要になります。
例えば、「物忘れ」を例にとって見ていきます(出典:https://chienowa-net.com/より)。
各症状別にケア体験が並んでいます。今回は「物忘れ」のケア体験をクリックします。
すると、もの忘れで起きた現象と、それに対する対応方法が確認でき、その奏功確率も確認できます。
グラフをクリックすると、上手くいった理由や上手くいかなかった理由が掲載されています。
「薬を本人に手渡しできる体制を作る」というケア体験談を詳しく確認できます。