肩関節可動域制限因子の推測には本当に悩む事が多いです。通常の関節可動域測定を行っただけでは推測するための情報が少なすぎるためです。そこで今回は、文献を参考にしながら、肩関節肢位を変化させた可動域測定により制限因子を検討する考え方について、整理していきたいと思います。
目次
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肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
赤羽根良和(さとう整形外科病院) 運動と医学の出版社 2013-06-15
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田口俊哉,国分貴徳:結帯動作にて疼痛を呈した一症例.理学療法ー臨床・研究・教育 16:26−29,2009.
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①関節を安定させる
②関節液を産生させて、関節軟骨に栄養を供給する
③関節の位置や動きを探知する高感度センサー
パチニ小体:振動刺激
ルフィに小体:関節内圧の変化、関節の位置
自由神経終末:侵害性のストレス
関節包が損傷されると誤った関節運動を引き起こしてしまう
・関節上腕靭帯
関節包は関節上腕靭帯により補強されている
a上関節上腕靭帯 b中関節上腕靭帯 c下関節上腕靭帯(前方線維) d下関節上腕靭帯(後方線維)e.weitbrecht孔:関節内から肩甲下滑液包へ交通している。拘縮例では閉塞し、内圧亢進により運動時痛と可動域制限を引き起こす
a上関節上腕靭帯
上腕二頭筋長頭腱前方の関節唇から上腕骨小結節に付着する。上肢を下垂した肢位で緊張し、外旋運動を制御する。烏口上腕靭帯とともに上腕骨の下方変位を制動する
b中関節上腕靭帯
関節上結節と前上方関節窩から上腕骨小結節へ走行する。下垂位から軽度外転位での外旋運動で緊張する。肩関節30〜60度外転位で骨頭の前方移動を制御する
c,d下関節上腕靭帯
前方線維は前方関節唇から小結節下方に、後方線維は後下方関節唇から上腕骨解剖頚下部に付着する。前方線維主に肩外転位での外旋運動を制限し、この肢位における骨頭の前方変位を制動する。後方線維は肩外転位での内旋運動を制動し、屈曲時に骨頭の後方変位を制動する。肩後方から後下方での拘縮は屈曲時に骨頭の下方への滑りを制限し肩峰下でのインピンジメントにつながる可能性がある
烏口上腕靭帯
烏口突起背側から上腕骨大結節・小結節に付着。下垂位での外旋・伸展・内転運動時に緊張し、骨頭の下方変位を制動する。小胸筋の一部が靭帯として入り込んでおり、緊張亢進により外旋制限をきたすことがある
回旋筋腱板
腱性部分は関節方と一体となり骨へ付着する。そのためこれらの筋に短縮や緊張亢進を認めると、関節包にもその作用方向への緊張を認め、可動域制限につながる
原則:関節包、靭帯を上下、前後の4つに分け、上肢下垂位では上方要素が、挙上位では下方要素が、外旋位では前方要素が、内旋位では後方要素が緊張する
◯下垂位での評価
下垂位外旋で前上方の要素が緊張するため、前上方の関節包、上関節上腕靭帯、中関節上腕靭帯烏口上腕靭帯に拘縮の可能性。下垂位内旋で後上方の要素が緊張するため、後上方関節包に拘縮の可能性。
*肩の内転制限がある場合、下垂位で強い痛みと制限を認める場合あるため体側までの可動域を 有するかの評価が事前に必要
◯外転位での評価
外転外旋位では前下方の要素が緊張するため、前下方関節包、下関節上腕靭帯前方線維に拘縮の可能性。外転内旋位では後下方の要素が緊張するため、後下方関節包、下関節上腕靭帯後方線維に拘縮の可能性
45度外転位では上下の関節包の緊張は一定で、この状態で外旋・水平伸展すると上腕骨は前方変位し、それを中関節上腕靭帯が制動する
肩屈曲、内旋位では下関節上腕靭帯(後方線維)が緊張し、上腕骨頭の後方変位を制動する
◯水平内外転での評価
肩甲骨は前額面に対し約30度傾斜しているため、この面より水平内転した位置では後方の、水平外転した位置では前方構成体の緊張が高まる。肩後方に拘縮がある症例に水平内転を行うと肩前面に烏口突起と小結節による烏口下インピンジメントに伴う痛みを認める場合がある
◯上方支持組織の評価
肩上方支持組織(烏口上腕靭帯含む肩上方から前方の組織)は伸展・内転・外旋で緊張が高まる(伸張される)。そのため肩上方組織の拘縮評価では側臥位にて肘関節伸展位で肩伸展・内転可動域を測定する。この伸張肢位のストレッチは腱板と肩峰下滑液包の癒着剥離、夜間痛を呈する症例に有効
◯指椎間距離
結滞動作の評価指標。結滞動作は伸展と内旋の複合動作で、烏口上腕靭帯を含む上方支持組織と後方要素の柔軟性が関与している。第7頚椎棘突起から母指先端までの距離を測定する
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関節周囲には様々な感覚受容器が存在します。
疼痛を感じ取る受容器は自由神経終末と言い、肩関節では肩峰下滑液包に多く存在しています。
自由神経終末は、肩関節周囲炎や腱板断裂などで多く認められています。
拘縮性運動障害では、関節運動が起こる際に、生理学的に伸びるはずの組織が伸びなかったり、滑走するはずの組織が滑走しないため、可動性や安定性が失われている状態です。
肩関節運動において、ある部位の拘縮が上腕骨頭の求心力を乱し、運動の正常な軌道から逸してしまいます。このような状態では、筋攣縮や疼痛が発生しやすくなります。
このような状態に対するアプローチとしては、関節周囲の組織の伸張性と滑走性を回復させることが重要になります。
ぱっと見たところ可動域制限のない関節でも、小さな拘縮が隠れていることもあります。
疼痛性運動障害は、炎症を基盤として発症し、疼痛により関節運動が制限された状態のことを言います。
拘縮は認めないが、炎症があるために侵害受容器の閾値は低くなり、関節運動が起こると疼痛が容易に引き起こされやすくなっています。
炎症が想定される部位へのブロック注射は、治療の方向性が定まりやすくなります。
注射の効果が高ければ炎症部位が明確化され、リハを行う上での情報源となります。
さらに、消炎鎮痛のための薬物療法も、疼痛をコントロールする手段として有効になります。
筋力は、筋繊維の横断面積の増大、筋繊維数増加により増強されます。
また、廃用などで筋容量が減少(筋繊維の数と太さの減少で筋萎縮が起こる)すると筋力は低下します。
筋出力は、運動ニューロンの興奮、筋繊維が収縮する割合により大きくなります。
筋攣縮や拮抗筋の緊張が高いと、筋力低下や筋萎縮がなくても筋力が発揮しにくいことがあります(神経伝達物質が減少するため、適切な筋収縮が行えない)。
そのため筋力、筋出力を高めるためには、正常な関節の運動範囲と、生理的な関節運動を行うための安定した関節を確保しておかなければなりません。
関節の可動範囲が狭いと、筋力や筋出力を発揮できる関節角度は限られてしまいます。
そのため、関節拘縮があると限られた関節可動範囲のみでしか筋力強化や筋出力の増大ができなくなります。
関節拘縮があると生理的な関節運動から逸して不安定性を伴い、疼痛や筋攣縮を発生させやすくなります。
それにより筋出力は不足し、このような条件で筋力強化を行えうと逆に筋萎縮を助長させてしまうこともあります。
そのため、筋力強化の際には関節運動が確保されている状態で行うべきです。
安定した関節であれば、関節可動域制限のあるなしに関わらず関節周辺部の疼痛は認められません。
また不安定な関節からは、関節周辺部の疼痛を認めます。
安定した関節
①正常な関節
疼痛、筋力低下、可動域制限がなくあらゆる方向にスムーズな関節運動がある状態
②不動な関節
関節固定術、変形性関節症末期などの関節運動が全くできない状態。関節には関節運動を行わせる軸があるが、その軸が失われると不動となり、力学的な負荷が関節にかからなくなる。そのため疼痛はなく、関節機能も失う。その関節をまたぐ単関節筋は、筋の伸張性や収縮する機会を失い、廃用性筋萎縮が進む。
不安定な関節
①不安定症を伴った関節
解剖学的に破綻した関節で、関節唇損傷、関節窩損傷、関節包の緩みなどで関節内圧を陰圧に保てず、求心位が保持できない状態。代表疾患としては外傷性肩関節脱臼、習慣性肩関節脱臼など。②拘縮を伴った関節
伸張性、滑走性障害された組織が硬度バランスの差異を生み出すことで、骨頭を軌道内に留められず、求心位に保持できない状態。
関節運動に伴い硬度の高い組織から低い組織に骨頭が逸脱し、不安定関節となる。
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筋攣縮とは筋肉が痙攣した状態のことをいい、また血管のスパズムも伴っている状態です。
これらが起こるメカニズムとしては、関節周囲の組織が刺激を受けると侵害受容器が興奮し、その信号が脊髄内に入ります。
その後、脳に伝達される経路では脊髄後角でシナプスを介し外側脊髄視床路→視床→大脳体性感覚野に投射され痛みが認知されます。
脊髄反射を介して抹消へと伝達される経路(脊髄反射の形成)では、脊髄痛覚ニューロン→交感神経節前ニューロン→交感神経節→交感神経節後ニューロン→血管の攣縮を引き起こします。
また脊髄痛覚ニューロン→交感神経節前ニューロン→筋攣縮を引き起こします。
筋、血管の攣縮が長期に及ぶと、局所的な循環を停滞させることとなります。
筋細胞は虚血に伴い組織変性が起こり、その過程でおこる発痛関連物質が感作することで疼痛や運動制限を生じさせます。
筋短縮は、筋の伸張性が低下している状態のことをいいます。これは、筋実質の伸展性低下、筋膜の繊維化によって引き起こされます。
筋実質の伸展性低下:
筋繊維を構成する筋節の減少で生じます。筋肉は、筋を伸張する方向上に連なる筋節の数が多いと、筋繊維の伸張性は大きくなります。それは、筋肉を伸ばすと筋原繊維レベルで太いフィラメントに対して隣り合う細いフィラメントが引き伸ばされ、筋節間が伸張するためです。
よって、筋実質の伸展性の低下は筋節数が減少し、伸展に対する抵抗が増している状態といえます。
筋膜の繊維化:
関節の不動や運動不足により生じます。筋膜、筋内膜のコラーゲン分子に架橋結合というものが形成されることで、組織の硬度が高くなっている状態です。
正常なコラーゲン分子を引き離すと、扁平化することで全体的に伸展されます。しかし、架橋結合があると、伸張に対する抵抗性が増しているため、そのコラーゲン分子を引き離しても十分に伸展できません。
攣縮した筋肉の場合、筋細胞外に発痛関連物質が出され、高閾値機械受容器やポリモーダル受容器の閾値が低下し、圧痛に対して侵害刺激として受容され、圧痛を認めることが多くなります。
短縮した筋肉の場合、組織変性が進み筋肉が伸びにくくなっているが、組織としては安定した状態を保てているため、圧迫に対する閾値が高く圧痛を認めにくくなっています。
攣縮した筋肉の場合、脊髄反射で持続的な筋肉の痙攣が起こっている状態であり、どの関節肢位にも関わらず、筋緊張は高くなっています。
そのため、筋肉を短縮位でも緊張は高く、伸張位とするとさらに緊張が高くなり痛みが発生しやすくなります。
短縮した筋肉の場合、筋肉の伸張性が失われている状態であるため、伸張位になると筋緊張は高くなります。
逆に短縮位となると筋肉は弛緩し、筋緊張は低くなります。
攣縮した筋肉の場合、筋実質に萎縮は認めませんが、筋肉の生理的な機能障害のために筋力がうまく発揮できず、結果として筋力の低下を認めます。
また血管のスパズムにより静脈還流が停滞し、その結果筋内圧が上昇します。
すると、攣縮筋に強い等尺性収縮を行うと筋内圧がさらに上昇し、痛みが出現しやすくなります。
虚血を伴う筋攣縮ではその痛みがより目立ちます。
短縮した筋肉の場合、著明な筋力低下はなく、筋内圧の上昇もありません。
そのため短縮筋に強い等尺性収縮を行っても、筋内圧の上昇はおこらないため、痛みは発生しません。
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肩関節痛がある際に、問診を行うことで、おおよその病態を把握することに役立ちます。
その後(または同時並行的に)、視診、触診などを行っていくことで、さらに病態の把握に努めるようにします。
例えば、夜間時痛がある場合に、「夜寝ている時に痛いか」もしくは「寝たら(臥床姿勢をとったら)痛いか」と聞き分け、得られる答えによってその原因は異なるものが考えられます。
夜寝ている時に痛い場合:睡眠時に副交感神経優位となり抹消組織が阻血状態となっているのか
寝たら(臥床姿勢をとったら)痛い場合:臥床姿勢をとることで、烏口肩峰アーチと上腕骨のスペースが狭くなっているのかなどと推測することができます。
このようなことから、問診では質問のポイントを知ってくことで、病態把握に有利な情報を得ることが可能になります。
問診において、「どの辺りに痛みがありますか」と聞くことがあります。
その際に、
・指一本で痛みの部位を指し示す
・手のひら全体で痛みの場所を指し示す
というような、2パターンによる回答を得られることがあります。
指一本で痛みの部位を指し示す場合:
この場合考えられるのは、痛みの原因がその部位によることが多いパターンとなります。
手のひら全体で痛みの場所を指し示す場合:
この場合考えられるのは、痛みの原因がその部位に限らないことが多いパターンとなります。このパターンでは、関連痛について考えていくことになります。
肩関節の関連痛について、
肩関節は、第5・6頚椎神経により支配されている。肩関節周囲の軟部組織は、基本的にこれら神経レベルの受容器で侵害刺激を感受することになる。
デルマトームを用いると、このレベルは肩関節の高さに一致した前・後胸部から、上腕・前腕・手の外側までが支配されることになる。
肩関節拘縮の評価と運動療法
とあります。
肩周囲の組織が原因で、前腕や手指にも痛みが生じることがあるということを知っておく必要があります。
関連痛は、トリガーポイントというコンセプトにおいても出てくる考え方です。
トリガーポイントに関しては、以下の書籍を参考にすると大変わかりやすいです。
誰でもできるトリカ゛ーホ゜イントの探し方・治し方
痛みの原因が筋肉なのか、関節包なのかを知るのには、以下の情報が役立ちます。
筋肉が引き伸ばされた時に生じる伸張痛や、筋攣縮(筋スパズム)の状態にある時には、筋肉の部位を指し示します。
一方、関節包が原因の痛みであれば、支配神経の知覚領域の痛みを訴えることがあります。
関節包は、部位によって支配される神経が異なります。
関節包前方:肩甲下神経
関節包後下方:腋窩神経
関節包上後方:肩甲上神経
例えば肩関節を挙上すると、下方関節包が伸張されます。上記に従えば、下方関節包は腋窩神経支配ですから、腋窩神経の支配領域(知覚領域)の痛みが出現します。腋窩神経の主な神経支配筋は三角筋ですから、三角筋周辺の痛みを訴えることになります。
関節包の伸張肢位と各神経の支配筋は以下のようになります。
運動方向 |
伸張部位 |
伸展 |
前方(やや上方) |
伸展+内転 |
前上方(上方が強く) |
水平外転(内外旋中間位) |
前方(やや下方) |
浅い屈曲+内転 |
後上方 |
90°屈曲+内転 |
後方 |
深い屈曲+内転 |
後下方 |
下垂外旋 | 前上方(前方が強く) |
90°外転+外旋 |
前下方 |
90°外転+内旋 |
後方 |
90°屈曲+内旋 | 後方 |
神経 | 筋 |
腋窩神経 | 三角筋(小円筋) |
肩甲上神経 | 棘上筋、棘下筋 |
肩甲下神経 | 肩甲下筋、大円筋 |
QLSという、小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨で構成されるスペースでは、高緊張などによるスペースの狭小化により腋窩神経領域の痛み(三角筋)が出現します。
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肩関節の可動域制限を考えていく際に大事な点がいくつかあります。
肩関節は球関節なので、様々な動きが行えます。
そのため、ある動きにはある筋肉が作用するというように、様々な動きと筋肉の組み合わせが存在します。
可動域制限を考えるには、その動きの組み合わせを材料にしながら犯人探しを行っていくことが大切です。
肩関節の動きは、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きによって作られます。
そのため、上腕骨を動かしていく際には、肩甲骨の動きを考慮する必要があります。
上腕骨の純粋な可動範囲を評価したいのであれば、肩甲骨を固定した上で評価を行うことで、肩甲上腕関節の正確な動きをみることが可能になります。
関節可動域を制限する因子は、大きな枠で捉えると以下のようになります。
・骨と骨によるもの
・筋と筋によるもの
・皮膚の伸張によるもの
・靭帯・関節包によるもの(見分けはつかない)
・筋の伸張によるもの
・炎症によるもの
・心理的なもの
今回は、この中でも筋、関節包に焦点を当てています。
ある関節の動きに対して、その制限因子の数をあらかじめ知識や経験として多く知っておくことは、臨床を進める上で有利になります。
肩関節屈曲、外転(2nd・3rd内旋含む)の筋・関節包の制限因子としては、
・肩甲下筋下部、棘下筋下部、小円筋の伸張性低下
・下方(後下方)関節包の伸張性低下
があります。
これに加えて、滑液包の問題やWeitbrecht孔の閉塞、上腕三頭筋長頭や大円筋、広背筋、大胸筋などの問題も考えられます。
先ほど代表的なものとして、肩甲下筋下部、棘下筋下部、小円筋を挙げました。
これらの筋は、上腕骨が肩甲骨面で挙上する軸の下を通っている筋肉です。
肩甲骨の前面と後面にそれぞれついているため、同じ制限因子であっても場所としてはかなりの違いがあり、これを区別していくことが重要になります。
区別には、上腕骨の内外旋を利用していきます。例えば屈曲を例にして考えていきます。
上腕骨内旋位での屈曲:棘下筋下部、小円筋が伸張される
上腕骨外旋位での屈曲:肩甲下筋下部が伸張される
そのため、これらの肢位の中で、差がある方が制限する因子となる可能性が高くなります。
なお、背臥位にて他動運動で肩甲上腕関節の動きをみる場合、肩甲骨の動き(肩甲上腕リズム)はセラピストの方でコントロールしているため、考慮しなくてもよいと考えられます。
筋肉と関節包ではどちらが制限因子として考えられるかは、他動的に可動域が制限される肢位において、対象となる筋肉を圧迫することで見分けていきます。
筋肉が制限因子であれば、筋肉を圧迫することで腕が押し出される(戻る)現象が起こります。
関節包が制限因子であれば、筋肉を圧迫しても腕は押し出され(戻り)ません。
この際、肩甲骨を介して圧迫するため、肩甲骨を動かさず、筋肉を押すようにします。
治療的なアプローチをしていく中では、筋肉を対象に治療していても、途中で関節包に治療対象が移ることも考えられます。また、途中で筋肉の部位が変わることもあるでしょう。
その都度評価を行いながら筋・関節包の鑑別を進めていきます。
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肩関節可動域制限の制限因子を推測するためには、肩関節肢位を変化させる事が必要になります。
その理由はどの運動がどの組織により制限を受けているかが把握しやすくなるためです。
制限因子が絞り込めた場合、無理やり行う可動域訓練は避ける事ができます。
肩関節の肢位は3つあります。
①1st:上腕が下垂している
②2nd:90度外転している
③3rd:90度屈曲している
また、それぞれの肢位において、肩関節周囲の軟部組織の緊張も変化します。
1st:肩関節の上方は伸張、下方は短縮
2nd、3rd:肩関節の上方は短縮、下方は伸張
となります。そのため、制限因子の考え方としては例えば、
1stで外旋制限あり、2ndで外旋制限なし:肩関節前方組織(外旋を制限する)の中で内外転の運動軸より上にある軟部組織
2ndで外旋制限あり:肩関節前方組織(外旋を制限する)の中で内外転の運動軸より下にある軟部組織
3rdで内旋制限あり:肩関節後方組織(内旋を制限する)の中で内外転の運動軸より下にある軟部組織
というようになります。
分かりにくい場合はとりあえず、
①肩関節前方組織は外旋を制限し、肩関節後方組織は内旋を制限する
②1stでは内外転の運動軸より上にある軟部組織、2nd、3rdでは内外転の運動軸より下にある軟部組織が制限因子となる
ということを覚えておきます。
前上方
筋:肩甲下筋上部筋束、大胸筋鎖骨部
上記筋の制限因子に関しては、以下のアプローチ方法も参照してください。
自分でできる肩こり、肩の痛み解消法!肩甲下筋のトリガーポイントのほぐし方、緩め方!
自分でできる肩こり、肩の痛み解消法!大胸筋のほぐし方、緩め方!
関節包・靭帯:烏口上腕靭帯、上関節上腕靭帯、前上方関節包
前下方
筋:肩甲下筋下部筋束、大胸筋肋骨部、大円筋、広背筋
上記筋の制限因子に関しては、以下のアプローチ方法も参照してください。
自分でできる肩こり、肩の痛み解消法!肩甲下筋のトリガーポイントのほぐし方、緩め方!
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自分でできる肩こり、肩の痛み解消法!広背筋のほぐし方、緩め方!
関節包・靭帯:前下関節上腕靭帯、前下方関節包
後上方
筋:棘上筋、棘下筋横走部
上記筋の制限因子に関しては、以下のアプローチ方法も参照してください。
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関節包・靭帯:後上方関節包
後下方
筋:棘下筋斜走部、小円筋
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自分でできる肩こり、肩の痛み解消法!小円筋のほぐし方、緩め方!
関節包・靭帯:後下関節上腕靭帯、後下方関節包
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肩関節外旋制限の原因になるものには、どのようなものがあるのでしょうか。
肩関節の臨床においては(肩でなくても)、制限される原因因子をできるだけ多く知っていることが大切になります。
以下に、1st(肩関節下垂位)での外旋を制限する原因となるものを挙げていきます。
・棘上筋前部線維
・肩甲下筋上部線維
・腱板疎部
・烏口上腕靭帯
・前方関節包
・上関節上腕靭帯
・上腕二頭筋長頭
などが考えられます。
これらの因子の短縮、拘縮、筋緊張の程度により肩関節の外旋が制限されます。
烏口上腕靭帯は、烏口突起から大結節、小結節をつなぐ靭帯で、肩関節の動きに対してブレーキをかける役割を有しています。
烏口上腕靭帯について、
他の靭帯とは異なる組織学的構造を有しており、関節包と類似した疎性結合組織からなる強靭さを欠いた靭帯である。
これにより走行の異なる腱板の間隙を埋めて、張力を調整していると考えられる。運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略
とあります。
すべての人に当てはまるわけではありませんが、小胸筋から烏口上腕靭帯がつながっている方もいるとされており、そのような場合には、小胸筋を緩めることで烏口上腕靭帯の緩みも得られることが考えられます。
烏口上腕靭帯は肩のブレーキに作用するのですが、肩関節がどのような肢位で緊張するのでしょうか。
肩関節外旋:大結節・小結節に付く部分の両方が緊張する
肩関節伸展:小結節の部分が緊張する
肩関節内旋:弛緩する
肩関節内外旋中間位での挙上:弛緩する
肩関節外旋制限について、「肩、その機能と臨床」の著書である信原先生は、肩甲下筋による制限因子よりも、烏口上腕靭帯によるものが多いと考えているようです。
前途したように、肩関節外旋制限には様々な因子がありますが、ここでは肩甲下筋と烏口上腕靭帯における制限因子の見分け方について考えていきます。
肩甲下筋の停止部は小結節です。
烏口上腕靭帯の停止部は大結節、小結節の両方につきます。
このことから、肩関節外旋時に、小結節より外側にある大結節が伸張されれば、烏口上腕靭帯が制限因子として考えられます。
方法:
結節間溝の外側に手を添えておきます。肩関節を外旋させます。
烏口上腕靭帯が制限の場合:「ピン」と張ってくる感触が得られます。
肩甲下筋が制限の場合:張る感触は得られない。
前途した評価方法を実践するには、大結節、小結節、結節間溝の触診が行える必要があります。
簡単に説明すると、
上腕骨を内外旋中間位とした場合、結節間溝は前方に位置します。
上腕骨を内旋位とした場合、大結節が前方に位置します。
上腕骨を外旋位とした場合、小結節が前方に位置します。
肩関節下垂内旋位では大結節の後方部分が前に位置していることになります。
そこから外旋していくと、大結節が出てきて、途中くぼむ(落ちる)所が結節間溝で、そこから出てくるのが小結節になります。
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肩関節外旋の制限因子として肩甲下筋はポピュラーです。
しかしながら、1st肢位における肩関節外旋制限には、烏口上腕靭帯が最も関与しているともされています。
ちなみに、肩甲下筋の走行から、1st肢位では肩甲下筋上部が、2nd肢位においては肩甲下筋下部線維が制限因子となります。
まず、肩関節水平内転の制限因子として考えられるものを挙げていきます。
主なものとして、
・後方関節包
・棘上筋後部
・小円筋(水平内転+内旋)
・肩甲下筋
があります。
ここで、肩甲下筋が水平内転の制限因子になるメカニズムを考えていきたいと思います。
肩関節水平内転では、骨頭を後方に押し込む必要があります。そのため、後方関節包に硬さがあるとうまく水平内転が行えなくなります。
肩関節水平内転で骨頭を後方に押しこむときに、小結節は臼蓋に入り込みます。その際、肩甲下筋は反転しないと入り込めなくなってしまいます。
肩甲下筋の緊張が高いと、うまく折れ曲がることができないので、反転することができなくなります。
言葉で説明するのは難しく、イメージで考えるのも難しいかもしれません。
知識として、肩甲下筋が水平内転の制限因子となるということを知っておいて損はないと思います。
タイトル的に考えると、嘘つけ!と言いたくなるような感じだと思います。
肩関節内旋を制限するのは、筋であれば通常は棘下筋や小円筋をイメージするからです。
ちなみに、一般的に紹介されている肩関節下垂位(1st)での内旋制限の因子としては、
・棘上筋後部線維
・棘下筋上部線維
・後上方関節包
などがあります。
肩関節90°外転位(2nd)では、
・棘下筋下部線維
・後下方関節包
などがあります。
肩関節90°屈曲位(3rd)では、
・小円筋
・後下方関節包
・後関節上腕靭帯
などがあります。
一般的には肩甲下筋の名前は全く出てきません。
肩甲下筋が肩関節内旋における制限因子となるメカニズムは、前途した肩関節水平内転における肩甲下筋の動きと同じだと考えられます。
肩関節内旋を行う際に、上腕骨頭を後方に押し込む必要があり、そのとき小結節は臼蓋に入り込みます。その際、肩甲下筋は反転しないと入り込めなくなってしまいます。
肩甲下筋の緊張が高い状態では、うまく折り曲がることができないため、肩関節内旋に制限が起こってしまうと考えられます。
肩甲下筋と他の制限因子を比較した際に、どちらの影響が強いかを考える際には、この事を利用することができます。
肩甲下筋は内旋位、外旋位ともに制限する可能性があります。
両方の肢位にて制限が強い場合は、肩甲下筋の影響が強いのではないかと考えてアプローチしていくことも必要になるのではないでしょうか。
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結帯動作は肩関節伸展、内転、内旋の動きにより腰に手を回す動作で、日常生活上ではトイレの後始末(お尻を拭く動作)、背中に湿布薬を貼るなどの動作に関与します。
結帯動作について、
母指先端から尾骨から第7胸椎に到達するまでに6.6°しか内旋せず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っていること、第12胸椎から第7胸椎の相においては肩甲上腕関節の内旋と外転はほとんど変化が無い事から、この相では肩甲上腕関節運動の限界が示唆されている。
すなわち、結帯動作にて母指を尾骨まで到達させるまでの動きを分析し、肩甲胸郭関節における挙上・前傾による代償運動がある場合には肩甲上腕関節に、代償運動がない場合には肩甲胸郭関節に問題がある可能性が高いことが示唆される。
田口俊哉,国分貴徳:結帯動作にて疼痛を呈した一症例.理学療法ー臨床・研究・教育 16:26−29,2009.
とあります。
また結滞動作初期では肩甲胸郭関節の内転、下方回旋の動きが必要で、また、それを保証するための体幹の十分な進展が必要となります。
結滞動作は伸展と内旋の複合動作であることから、烏口上腕靭帯を含む上方支持組織と後方要素の柔軟性が関与しています。
関節包に関しては、肩甲上腕関節の下垂位内旋で後上方の要素が緊張するため、後上方関節包に拘縮の可能性があります。
肩上方支持組織(烏口上腕靭帯含む肩上方から前方の組織)は伸展・内転・外旋で緊張が高まります(伸張される)。
制限因子となる筋肉では、烏口腕筋、棘下筋、小円筋、腱板疎部、三角筋前部線維、上腕二頭筋長頭腱、短頭が考えられます。
①結帯動作時の肩甲骨挙上・前傾の代償運動がないかを確認
②肩甲骨内転、下方回旋に制限がないかを確認
③菱形筋の筋機能評価と拮抗筋(大胸筋、小胸筋:肩甲骨外転、前傾、挙上位をとり菱形筋が伸長されやすい)の状態を確認
④烏口腕筋の伸長痛(肩甲骨挙上・前傾による代償運動で、肩甲上腕関節で過剰な伸展、外転、内旋が生じやすい)の確認⑤指椎間距離の測定
⑥後上方関節包の伸長性
⑦烏口上腕靭帯の伸長性
⑧上方支持組織の伸長性
⑨烏口腕筋、棘下筋、小円筋、腱板疎部、三角筋前部線維、上腕二頭筋長頭腱、短頭の伸長性
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩関節軽度屈曲、肩甲骨固定
方法:肩関節内外旋中間位から内旋
判定:90度まで達しない場合後上方関節包の伸長性低下の疑いあり
*同時に棘上筋後部繊維と棘下筋横走繊維の筋緊張を確認:筋短縮や攣縮が制限因子になっているか確認する
肩関節上方支持組織の癒着では、下垂位での肩関節伸展や内外旋が制限されます。
①肩関節伸展可動域の評価
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩甲骨背面をできる限り床面に接触させる
方法:肩関節内外旋中間位から伸展
判定:疼痛が生じる角度を計測する
②肩関節下垂位での外旋可動域の評価(1st外旋)
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩甲骨背面をできる限り床面に接触させる
方法:肩関節内外旋中間位、肘関節90度屈曲位(肘頭は床に接触)で外旋
判定:疼痛が生じる角度を計測する
③指椎間距離
結帯動作にて第7頚椎棘突起から母指先端までの距離を測定する
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩関節外転80度、内旋45度、肩甲骨固定
方法:肩関節水平伸展させる
判定:水平伸展30度まで達しない場合烏口腕筋の伸長性低下の疑いあり
上部繊維
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩関節屈曲30度、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節内旋させる
判定:内旋90度まで達しない場合上部繊維の伸長性低下の疑いあり
下部繊維
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩関節外転90度、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節内旋させる
判定:内旋30度まで達しない場合下部繊維の伸長性低下の疑いあり
評価姿勢:背臥位
開始肢位:肩関節屈曲90度、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節内旋させる
判定:内旋30度まで達しない場合小円筋の伸長性低下の疑いあり
評価姿勢:座位
開始肢位:肩関節外転45度、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節伸展させる
判定:伸展20度まで達しない場合前部線維の伸長性低下の疑いあり
長頭
評価姿勢:座位
開始肢位:肩関節下垂位、肘関節伸展位、前腕回内位、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節伸展させる
判定:伸展30度まで達しない場合長頭の伸長性低下の疑いあり
短頭
評価姿勢:座位
開始肢位:肩関節外転20度、肘関節伸展位、肩甲骨固定(内外旋中間位で)
方法:肩関節伸展させる
判定:伸展30度まで達しない場合長頭の伸長性低下の疑いあり
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ゴルジ腱器官は、筋と腱の接合部に位置しています。筋肉-ゴルジ腱器官-腱という並びになっています。
ゴルジ腱器官は、筋肉で発生する力の量(=筋張力)に関する情報を供給しています。
筋張力は、筋肉が伸ばされても筋肉が収縮しても発生します。
筋肉は複数の運動単位から構成されています。
骨格筋はα運動ニューロンの支配を受けており、そのニューロンからは複数の筋繊維が神経支配を受けています。
α運動ニューロンとそれに支配される筋繊維を運動単位と呼びます。
一つのゴルジ腱器官は複数(10〜15)の運動単位から1本のずつ筋繊維を受け取っています。
そのため、それぞれの筋繊維の張力の感知というよりも、全体的な張力として感知していると考えられています。
ゴルジ腱器官の閾値については、
収縮によって生じる筋張力の変化に対する腱器官の閾値は低く(つまりわずかな変化に反応しやすく)、筋を伸張したときに発生する張力に対する閾値は高い
とあります。
筋収縮を伴うことで、ゴルジ腱器官は必ず興奮することが知られています。
このことは、受動的な伸張よりも、筋収縮を伴う方がゴルジ腱器官が興奮することを示しています。
筋肉が、どれくらい強く収縮すればよいかというような制御には、ゴルジ腱器官と筋紡錘が深く関与しているとされています。
筋紡錘については、以下の記事を参照してください。
運動持続のメカニズムと筋紡錘、α-γ連関の役割!リハビリへの応用!
筋肉が硬くなり、伸びが悪くなることを、「筋短縮」と呼びます。
では、筋肉が硬くなるメカニズムはどのようなものがあるのでしょうか。
まずは筋肉がどのように構成されいるかを知ることが、筋短縮を理解する上では必要になります。
筋肉は、複数の筋繊維から構成されていますが、筋繊維は複数の筋原繊維から構成されています。
筋原繊維には、筋肉の最小単位である筋節があります。筋節には、アクチンとミオシンフィラメントがあり、筋収縮や弛緩にはこれらが関与します。
筋短縮という状態では、上記した「筋節数の減少」と、「繊維化」が起こっている状態になります。
筋節の数が減少すると、筋節の開きが悪くなってしまうので、その結果伸張性の低下が生じます。
またその状況が続くと、コラーゲン繊維は伸張されると平らに変化しますが、コラーゲン繊維に架橋結合ができることによって、コラーゲン繊維が伸びなくなり、その結果伸張性の低下が生じます。
前途したように、筋の短縮状態とは筋節の減少と繊維化が生じていることがわかりました。
そのため、筋の短縮を改善するにはこれらの状態改善することが必要になります。
筋肉が収縮するということは、「腱を中心に引き寄せる」という動きが生じます。
このとき、関節運動が生じることになります。
そこで、関節運動が起きないように筋収縮させる等尺性収縮という運動を行うと、筋は収縮していますが、両端の腱は固定されることになります。
このような等尺性収縮では、ゴルジ腱器官がある筋腱移行部にはかなりの伸張刺激が加わることになります。
すると、筋肉は断裂しないように筋節を増やす(合成する)ようになり、筋肉が伸びやすくなるのです。
また、等尺生収縮を行うことでゴルジ腱器官は伸張刺激を感知しますが、このことによりⅠb抑制が起こり、筋肉を緩めるように(筋緊張を緩和させる)作用します。
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基本的に、筋攣縮には筋緊張の緩和、筋短縮には筋の伸張性の獲得を目指していきます。
等尺性収縮が筋肉に与える影響としては、筋腱移行部に効果的な伸張刺激が入ることにあります。
筋肉は、筋腹を中心として両端に腱があり、腱は骨についています。
そのため、関節を固定せず筋収縮を行うと両端の腱は筋に引きつけられます。
一方、関節を固定したまま筋収縮を行うと、両端の腱を中心として引きつけます。
このとき腱の伸張性は乏しく、筋収縮した分の不足している長さは筋腱移行部で負担することになります。
等尺性収縮を行うと、筋腱移行部への伸張刺激の発生によりゴルジ腱器官が反応し、Ⅰb繊維群に興奮が伝えられます。
脊髄レベルでは抑制性の介在ニューロンを介し主動筋のα運動繊維を抑制します。
また拮抗筋のα運動繊維を興奮させます。
この機序により筋の弛緩を得ることができます。
ゴルジ腱器官の閾値は低く、軽い伸張刺激でも反応するようです。
以上のことより、攣縮筋では等尺性収縮を反復して行うことで筋弛緩が得られ、伸張に対する抵抗が改善されます。
筋腱移行部に伸張刺激が入ると、筋フィラメントの再合成を促進することがわかっています。
筋が適度に伸張された肢位での等尺性収縮では筋腱移行部に効果的な伸張刺激を加えることができ、筋節の再合成を促すことが可能になります。
さらに、持続伸張を加え、筋膜の柔軟性を改善させることも必要になります。
反復的な筋収縮により筋ポンプ作用が働き、筋内の血液循環、リンパ液還流を促すため、筋内浮腫の改善や発痛関連物質の排除、筋緊張の緩和に有効となります。
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開放性運動連鎖。四肢の末端が自由に動く状態での運動
単関節での運動に適しており、上肢の運動はほとんどがOKC
神経系の賦活や多関節の複合的な使い方は学習できないが、目的とする
筋にアプローチしやすい
閉鎖性運動連鎖。四肢の末端が固定された状態での運動
自重による負荷運動で多関節の動きに対応している
四つ這い、スクワット、かかと上げ、ヒップアップ共同的な筋収縮が起
こり関節の動きを安定させる
関節の圧迫力、筋肉の共同収縮により求心性受容器の活動が増加して神
経系の賦活も促せる
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