指で物をつまむような細かい動きには、屈筋、伸筋、手内筋といった筋肉の緊張と力のバランスが重要になります。
今回、指関節を構成する筋群とつまみ動作の関連について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。
目次
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指のつまみ動作の中で、最も巧緻性が高い運動になります。
指尖つまみは、つまようじや針のような細かい物をつまみあげたり、腕時計の細かいネジをまくような時にもちいる動作です。
母指と他の指を高度な協調性も保ちながら動かす必要があり、指の全可動域が保たれている事が重要です。また爪による支持作用も大切です。
主に関わっている筋肉は、長母指屈筋や深指屈筋、浅指屈筋で、母指球筋や示指の内在筋MP関節の固定のために働いています。
正中神経麻痺のスクリーニングテストのPerfect O signで指尖つまみが用いられます。
なおこのテストが陽性の場合、IP関節が屈曲できなくなり、母指内転による代償運動が見られます。
手指の関節可動域が狭小化すると、手指の巧緻動作を制限し、細やかな手指の動きが困難となるため、関節可動域を維持することが重要になります。
手指の関節可動域訓練については、以下の記事を参照してください。
指の動き・痛み解消のための手指ROM訓練:PIP関節編
指腹つまみは日常生活において最も使用頻度が高いつまみ動作といえます。
指腹つまみは指尖つまみよりも強い力を発揮することができ、力のコントロールも可能です。
指腹つまみは安定性が確保しやすく、様々な手作業で使用することができます。
指腹の感覚機能は高度に発達しているため、巧緻性が高く要求される動作においても対応が可能になっています。
指尖つまみよりも内在筋の働きがより重要で、主に母指球筋(短母指屈筋、掌側骨間筋、短母指外転筋、母指内転筋)、浅指屈筋の筋力が重要になります。
日常生活上では、示指と母指の指腹つまみよりも、示指、母指、中指の3指つまみの方が力が発揮しやすく、実用性も高いと言えます(ペットボトルの蓋を開ける時には3指つまみ)。
そのため、ピンチ力は3指つまみで計測する事が大切だと思われます。
尺骨神経麻痺のスクリーニングテストのFroment signで指腹つまみは用いられ、このテストが陽性の場合、母指IP関節で屈曲が見られます(正常では母指が強く内転)。
関節リウマチなどによる手指の変形では、つまみ動作に困難さが生じます。
手・手指変形の解剖・運動学的解釈ー関節リウマチを中心にー
日常生活では、高度なつまみ動作により、箸操作が行われます。
脳卒中片麻痺者の箸操作獲得に必要な要素とリハビリ法(自主トレ含む)
つまみ力が最も弱い動作です。日常生活上ではたばこを把持する際に用います。
たばこを吸う際には示指と中指にて行いますが、この動作では手指の伸筋群がMP・IP・PIP関節を伸展位に保ちながら、MP関節の運動として示指内転(第一掌側骨間筋)と中指の橈側外転(第二背側骨間筋)を中心として筋活動が起こります。
母指と示指で行う場合、尺骨神経麻痺により母指内転筋が麻痺している場合は、長母指屈筋が代償します。
側副つまみは、つまみ動作の中で最も強い力を発揮できるつまみです。
指尖指腹つまみが行えない場合、代償的に側副つまみとなることがあります。
第一背側骨間筋によるMP関節での内転を防ぐための、示指MP関節の外転の等尺性収縮が必要です。
主な動筋は第一背側骨間筋、長母指伸筋、母指外転筋などになります。
尺骨神経損傷で第一背側骨間筋が麻痺を起こすとつまみ動作が困難になります。
指尖、指腹つまみは正中神経支配の筋、鍵(側腹)つまみは正中神経、尺骨神経の2つの神経支配の筋肉による作用で行われます。
示指による指差し動作はかなり複雑な動きであり、各指での作用が異なっています。
屈曲、伸展、外転、内転など、様々な動きと筋の働きにより成り立っています。
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つかみ動作(ボールグリップ)は「鷲づかみ」とも言われており、手指の間を大きく外転させ(開き)、ボールをつかむ際に用いられる動きです。
この握り動作では、手内在筋と外在筋、また伸筋群と屈筋群が強調して運動範囲や力のコントロールがなされています。
対象物をつかむ際、手を近づけていきますが、手の接近とともに手指の伸筋が全て主動作筋として働きます。
また手関節の屈筋群軽度に共同して働くことで、よりスムーズなつかみ動作を実現しています。
対象物を握る時には手指屈筋が働きますが、同時に手関節伸筋群が共同して働き、手関節背屈によって手掌面の方向が変わり、より対象物に密着できるようになります。
つかみ動作では手指に関する全ての筋の働きが必要であり、各手指の関節は同じように動いているという特徴があります。
小さいボールから大きいボール(バスケットボール)まで、様々な大きさに対応して握り動作を変形させることができます。
ハンマーグリップはパワーグリップとも呼ばれており、把握動作の中でも特に大きな力を発揮することができます。
日常場面での代表的場面では、金槌を握る動作、包丁を握る動作、片手鍋やフライパンの取手を握る動作があります。
脳卒中片麻痺者の包丁操作に必要な機能
手指で対象物を丸め込みながら、手掌面でそれを受け止める動作が含まれます。
母指の動きも重要で、対象物をより確実に把持するため補助的に作用しています。
母指の欠損がCM関節レベルである場合、CM関節での痛みがある場合は、対象物を握る際に母指球による押さえ動作が低下してしまい、確実に把持することが難しくなります。
このようなことからも、ハンマーグリップでは母指の対立動作が重要になることがわかります。
CM関節と第一中手骨が存在し、筋の作用がしっかりとしていれば、対立アーチが崩れることなく存在するため、握り動作を行いやすくなります。
パワーグリップは握力テストの際に見られる肢位ですが、手指屈筋群全ての力源を用います。
また、その筋作用を伝達する環指、小指は重要な働きを担っており、この力の中心である深指屈筋や虫様筋がしっかりと働く必要があります。
また小指、環指のCM関節の屈曲も加わることで、小指球が握り動作に参加し、より強力な把握が可能になります。尺骨神経の損傷があると、握力は大きく低下することになります。
基本的には屈筋群の中でも外在筋が主動作筋となりますが、握る対象物が小さければMP関節をより屈曲しなければならないため、MP関節屈曲の力源である虫様筋の働きも重要になってきます。
フライパンの柄を持ち、操作するのであれば、力学上では柄の長軸が前腕長軸の延長線上にあることが有利ですが、手関節尺屈も協調的に行うことである程度その状態に近づけることが可能になります。
関節リウマチの患者では、つかみ動作やハンマーグリップを行うと生理的偏位力を強めるため避ける必要があります。
関節リウマチのADLと上肢機能
フックグリップは鞄の把手を吊り下げて持つ、ビールジョッキの把手を持つ時などに使用される動作です。
基本的にはIP関節屈曲で行いますが、場合に行ってはMP関節屈曲も加わり、また手掌面も利用することで固定力を増したり、耐久性を維持しています。
フックグリップの主動作筋は外在筋の浅い指屈筋や深指屈筋ですが、これらの筋は等尺性収縮を利用し、外力に対する保持作用を中心としています。
フックグリップを長時間行う場合、MP関節の屈曲も加えながら肢位を変化させることもあり、これには虫様筋の働きも必要になってきます。
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握力測定は、その実施方法によって測定値が変わることがあり、基本的な実施方法について知っておく必要があります。
以下に握力測定の実施方法と注意点を述べていきます。
握力計には、スメドレー型とジャマー型が存在します。
おそらく、ほとんどのリハビリテーション施設ではスメドレー型が採用されていると思われます。
スメドレー型は握り幅の調節が自由に設定できますが、ジャマー型は握り幅が5段階(おそらく)と自由度が低い特徴があります。
これは一番重要なポイントです。
スメドレー型の握り幅はどのようにすればよいのでしょうか。
指を伸ばした時に、親指の根元(CM関節)から手指の先(一番長い中指)の距離の1/2の長さに握り幅が来るように調整をします。
測定姿勢は一般的には立位(専門書によっては座位で行ってもよいとの記載あり)で行い、足は肩幅に開きます。
握力計は表示(デジタルまたは針)が外側に来るように握ります。
腕は下に垂らした状態で、体はできるだけまっすぐにしたまま計測を行います。
上記の基本事項を守っていくのが理想ですが、何か特別な事情がある場合は、その旨を記載しておき、次回測定時も同様の条件で測定できるようにしておくことが大切になります。
握力は最大値で計測したいので、セラピストは対象者に対して筋出力が最大限発揮されるように誘導する必要があります。
リウマチによる変形、痛みが強い、極端に握力が低いような場合、水銀柱血圧計を用いた測定方法があります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
水銀血圧計による握力測定の方法と実施のポイント、注意点
また、握力の鍛え方については以下の記事も参照してください。
脳卒中片麻痺者の握力の鍛え方、リハビリ、自主トレ方法
握力測定は、1回の測定で終わる場合もあれば数回の測定を行う場合もあると思います。
データとして有用なのは、3〜5回測定(各施行の間は1分程度の休憩あり)を行い、最小値、平均値、最大値を出しておくことかと思います。
年代別の平均値と比べることで、対象者がどのような状態かを把握することができます。
あくまで参考のデータになります。
男
20-24歳 | 46.33kg |
25-29 | 46.89kg |
30-34 | 47.03kg |
35-39 | 47.16kg |
40-44 | 46.95kg |
45-49 | 46.51kg |
50-54 | 45.68kg |
55-59 | 44.69kg |
60-64 | 42.85kg |
65-69 | 39.98kg |
70-74 | 37.36kg |
75-79 | 35.07kg |
女
20-24歳 | 27.79kg |
25-29 | 28.27kg |
30-34 | 28.77kg |
35-39 | 29.34kg |
40-44 | 29.35kg |
45-49 | 29.31kg |
50-54 | 28.17kg |
55-59 | 27.41kg |
60-64 | 26.31kg |
65-69 | 25.20kg |
70-74 | 23.82kg |
75-79 | 22.49kg |
サルコペニアの指標としては、男性25kg、女性20kg未満をカットオフにするという報告があります。
詳しくは以下の書籍を参照してください。
サルコペニアと運動 エビデンスと実践
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簡易上肢機能検査(STEF)については、
ステフは、広い範囲の上肢機能障害に対する最もスタンダードな検査機器です。
検査方法は検査台上で形状や重さ、材質の異なる10種類のパーツを把持・移動・離す一連の動作を左右の手を個別に行ない、それぞれにかかった時間(一つのテストに制限時間があります。)を基準値によって設定された点数に置き換え評価するものです。
この基準値は年齢群別に健常者の正常域が表示されている為、健常者と比較し、現時点の機能レベルの把握ができます。
http://www.sakaimed.co.jp/special/hand/hand03.html
とあります。
得点が高いということは、各課題における達成時間が早いということです。
それは、スピードと正確さを反映しています。
STEFでは握る/つまんだ物品を保持しながら移動するという3つの要素が含まれている検査になります。
対象疾患は幅広く、脳血管障害、脊髄損傷、整形疾患などの様々な対象者に対して検査が行われます。
対象物を把持するメカニズムについて説明していきます。
物体をしっかりと把持するためには、触覚による対象物の位置確認、物体の形状、材質などを感じ取り、それに応じた把握のフォームがしっかりとしていないといけません。
物体の特徴がわからないと、物体の形状や特徴に応じたつかみやすい手の形(フォーム)を作ることができず、歪んだり不安定なものとなります。
もしくは脳血管障害での運動麻痺では、手指の個別の運動が行えないことによりフォームの形成が困難になります。
このような不安定なフォームのまま物品を把持しようとすると、うまく把持できなかったり、把持できてもすぐに落ちてしまうなどということが観察されます。
物品を持ち、空中で保持するためには、手で表面の特徴や重量を感じ取り、把持力の調整と物品を落とさないように必要最小限の把持力を加えることが必要になります。
柔らかい、デリケートな物であれば、把持力が強すぎると潰れてしまいますし、ツルツルしたものであれば、しっかりと指の腹で対象物を捉えていないと落としてしまうこともあります。
感覚障害(特に深部感覚障害)があると、把持力がコントロールできず、物を落としたり逆に過度に力をいれ過ぎてしまったりすることがあります。
巧緻性の要求される繊細な作業においては、力をいれ過ぎると、物体が潰れてしまうことなどがあります。
その結果ぎこちなく、スムーズでない動作として観察されます。
このことから、感覚機能の推測には、物をもちあげている時や空中で把持している時の、力のいれ具合いや筋緊張の状態を観察することが重要です。
知覚に障害があると、関節の動きによる筋緊張の変化で物体に加えていた力が変わり、物を落としたり過度に握りこんでしまうことがあります。
STEFにおいて移動中に物品を落とすことが多いのであれば、関節運動を伴う際の把持力の調整に難があるのかもしれません。
このことから、静的触覚の機能の推測には、物を掴んだまま空中を移動する手が、他の関節の動きによりフォームを変えたり、把持する力に変化があるというようなことがないかを観察することが重要です。
つまんだ物品を定められた位置に離すには、正確なリーチング動作が必要になります。
正確なリーチングを遂行するには、上肢の土台となる肩甲骨の安定性や、上腕骨を安定させるための腱板筋の収縮力、肩、肘、前腕、手関節、手指の協調的な運動などの要素が挙げられます。
物品を離す際には、つまむために屈曲していた手指を弛緩させるもしくは伸展させるために筋緊張のコントロールと収縮力を調整する必要があります。
知覚の障害があり、つまみ動作に筋感覚を強めて代償している場合、筋緊張のコントロールが困難になっている可能性も考えられます。
STEFにおいて検査遂行中に、どのようなフォームができて、どのようなフォームができないかを把握することが重要です。
そのため、各検査課題における手のフォームの基本形を理解しておく必要があります。
できていないフォームに対しては、治療においてどのようにフォームを形作っていけばよいかを考えることになります。
大球、中球、中直方、木円板、小立方
これらの課題におけるフォームは、各指が対象物を囲むように外転しながら把握します。
対象物の大きさにより接触する指の数は変わります。
日常生活では例えば大きな瓶の蓋を上から持つ、ペットボトルの蓋を上から持つような時に見られるものです。
大直方、中直方、金円板
これらの課題におけるフォームは各指が対象物を囲むように内転しながら把握します。
対象物の大きさにより接触する指の数、手指の屈伸の程度は変わります。
日常生活では、ティッシュペーパーの箱を持つ、コインを持つなどに見られます。
布、小球、ピン
これらの課題におけるフォームは爪先で対象物をつまむ指尖つまみです。
日常生活では、針、つまようじ、クリップをつまむなどに見られます。
*中直方は、どちらのフォームにおいてもみられるものです。
フォームの確認のために、検査ではビデオ撮影をしてもよいかもしれません。
手の到達
手の到達とは、リーチ範囲のことです。
リーチ範囲が限られている場合、それを代償するために体幹の代償が見られます。
また片麻痺者などでは、図のような状態が観察されることがあり、各筋機能の状態を確認する必要があります。
フォーム
各フォームについては前途しました。
フォームが常に安定できているのか、歪みがあるのか、維持するのに努力が必要なのか(他の部位も緊張が見られるのか)などの視点が必要になります。
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パーデューペグボードは、なんらかの障害により上肢または手指に問題を抱えている方の、主に巧緻的な(もちろん上肢機能として手指以外の部位も含む)動作能力を評価できるものです。
パーデューペグボードでは、製造業の方たちの平均的な取り組み時間が記載されているため、健常者との比較を行うことが可能です。
パーデューペグボードはピン、カラー、ワッシャーを用いて、ボード上で指示された作業を行い、各テストのスコアを算出します。
パーデューペグボードの評価を行う際には、検査者が実施方法をしっかりと理解しておく必要があります。
そして、対象者にも検査実施方法をしっかりと理解してもらってからテストを行うことが大切になります。
最初に行うのは利き手でのテストです。
30秒間でボード上にいくつピンを入れることができるかをテストします。
次に行うのは非利き手でのテストです。
30秒間でボード上にいくつピンを入れることができるかをテストします。
両手でのテストでは、両手を同時に使用して、30秒間でボード上にいくつピンを入れることができるかをテストします。
アセンブリーでは、ピン、カラー、ワッシャーを用いて、ボード上に組み合わせていくテストです。
1分後にいくつの組ができているのかをスコア化します。
パーデューペグボードは以下のような職業の方の平均スコアが示されています。
・組み立て作業
・一般工場作業
・製造作業
・電子製品の製造作業
・時間単位での製造作業
・メンテナンスサービス
・ミシン操作
これらの職業の方における、
・利き手
・非利き手
・両手
・利き手+非利き手+両手
・アセンブリー
の平均スコアがマニュアルには示されています。
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手指を用いる動作では、手指の運動だけではなく上肢全体でのリーチが先行し、物体に対して手を空間内の適切な位置に移動することが必要です。
また手関節や前腕の動きで手掌の向きを適切な方向に調整し、体幹の動きも重要になってきます。
さらに目と頭部の運動ん協調により対象物の視覚的な補足を加える必要があります。
上肢動作を構成する基本的要素は、
①目標点の視覚補足(眼と頭部運動の協調性)
②リーチ(空間での手や腕の移動)
③手指動作(把握・把持、物の開放)
④姿勢制御(身体の定位と安定)が主に挙げられます。
巧緻性を構成する要素として、ひとつには「方向調整」があります。これは目的とする方向へ正確に手を移動させる機能です。
二つ目には「時間調整」があります。これは速さ(速く、ゆっくり、徐々になど)といったリズムをとる機能です。
3つ目には「力の調節」があります。これは物体を把持した時にいかに適度な力加減を行うかに関する機能です。
これら3つの機能が発揮されることで巧緻的な動作が行えます。
巧緻動作(ペグボードなど)では、それがどのようなパフォーマンスで行われているかを評価することが重要になります。
パフォーマンスの低下に影響する原因としては、大きく運動機能、感覚機能、高次脳機能などがあります。
また、パフォーマンスを発揮する上では意欲や協力的かなどの自発性や、性別、年齢、職業、生活習慣などの個人因子や環境因子を考慮する必要があります。
これらのことから、巧緻動作障害を捉えるためには、スキルとして①目標点の視覚補足(眼と頭部運動の協調性)、②リーチ(空間での手や腕の移動)、③手指動作(把握・把持、物の開放)、④姿勢制御(身体の定位と安定)。
巧緻性の要素として①方向調整、②時間調整、③力の調整。
機能障害として①運動機能、②感覚機能③高次脳機能。
さらには個人因子や環境因子からも評価をしていくことが必要になります。
どの訓練にも共通する要素となりますが、プラン作成の参考になるものとして、
①簡単な動作から複雑な動作(ゆっくりとした動作から速い動作)へと進める。
②少ない筋(関節運動)の参加する運動から多くの筋(関節運動)へと進める。
③抵抗の少ない運動から習熟するに従い、抵抗の多い運動へと進めていく。
④中枢(近位)側から抹消(遠位)側へとコントロールを行う。
⑤正しいパターンの繰り返しを行う。
⑥疲労や運動時の痛みが伴わないようにする。
⑦訓練に集中できる環境を確保する。
⑧訓練が進行するに従い、より少ない集中力や努力で行えるようにする。
があります。
巧緻動作の段階付けを行うには、巧緻性の要素である①方向調整、②時間調整、③力調整を元に考えるとわかりやすくなります。
巧緻動作課題で失敗した場合、
なお、段階付けにはペグボードを使用すると便利です。
リハビリテーションと失敗・成功体験!行動促進に必要な課題と難易度設定の考え方!
脳卒中片麻痺者に対する上肢機能訓練における物品選択と難易度設定!
習熟を要する動作に至るまでは数百万回以上の繰り返しが必要とされています。
運動全体の記憶(エングラム)が強化されるには、多くの反復動作が必要であり、エングラムが確立されると、複雑な随意運動が協調的に実行されるようになっていきます。
巧緻動作障害の改善では、好ましくない反応(運動)を抑制しながら、適切で正確な運動を繰り返し、運動の記憶を確立していく必要があります。
実際の訓練では、繰り返しの回数と期間は患者の状態によってことなるため、そのパフォーマンスを評価していく必要があります。
評価の視点には、①パフォーマンスの時間短縮②正確さの向上③誤りの減少④複雑な課題への適応性⑤課題遂行時の努力性、注意努力の減少などがあります。加えて患者の主観的な実行度や満足度を評価することも必要です。
巧緻動作が上手く行われるためには、素材の識別や力のコントロールなどの感覚の評価、訓練も重要になってきます。
またアクティブタッチとの関連性を考えることも大切になります。
感覚障害の評価とリハビリテーションアプローチ!効果を出すために必要なこと!
臨床経験上、PIP関節の調整を行うことで、主観的に巧緻動作が行いやすくなったという声を聞くことが多数あります。
器具を使用した巧緻動作訓練も大切ですが、訓練で獲得された巧緻性を日常生活に活かしていくことも大切です。
そのため、患者にとって必要な作業を選択し、それに伴う巧緻的要素の訓練を行う必要があります。
これは患者の意欲を引き出しながら訓練するためにも重要な考え方です。
合意した目標を元にした作業の選択と、作業の分析、アプローチが重要な考え方の元になります。
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脳卒中片麻痺者の上肢・手指の病態とリハビリ(亜脱臼予防、肩関節痛、肩手症候群)手指の関節可動域訓練!痛み、拘縮軽減に向けた効果的な方法!手指の痛み解消法!筋肉別トリガーポイントのほぐし方、緩め方!関節リウマチのリハビリ!ADL評価から関節保護、指導まで手のアーチの解剖・運動学的特徴と浮腫のリハビリテーション