高次脳機能障害の中に、空間関係の障害があります。今回、空間関係の障害のリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 高次脳機能障害で、空間関係の障害がある場合のリハビリテーション

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文献

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空間関係の障害

空間関係の障害は、以下のように定義されます。

対象物を互いに関係させる、あるいはそれ自身を関係させることが難しい。
視空間の障害による場合、視空間失認と同義になる。
観念性失行は除外する。

A-ONE認定講習会資料

空間関係の障害は通常、右下頭頂葉の損傷で生じます。
空間関係の障害があると、更衣動作での衣服の認識と方向づけが行えない（袖穴、シャツのボタンを探せない、袖を間違った方向に引っ張る、服の前後裏表がわからないなど）、片手で靴紐を結ぶ際の紐の方向づけなどの能力が含まれます。
車椅子移乗で車椅子を止める位置決め、ブレーキやアームレストを正しい方向に操作する空間的な方向づけも含まれます。
食事の準備でも、必要な道具の位置や選択、食べ物をかき混ぜる、テーブルセッティングなども空間関係の能力が必要です。

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空間での位置決めの問題と対応

これは、身体部位を含む対象物の適切な配置と位置決めを意味しています。
固有感覚の問題も含まれる可能性があります。
また、言語理解（前置詞：〜の上など）との結びつきがあります。

この障害に対しては、
・対象者の機能障害に対するアウェアネスを高めること
・代償方略を教えること
を行う必要があります。

対象物を適切な位置に動かす時には色のついた印に合わせることが有効になる場合があります。
訓練内容としては、指示されたところにグラスを皿の上、前、右、左などの方向に置く練習や、対象物を列に並べ、他のものとの位置の違いを認識させるような練習を含みます。
代償法方略としてベルクロ付きの靴紐を色のついた目印にそって動かすなどがあります。
特定の空間概念を反復することが役に立つことがあります。

左右判別の問題では、更衣や整容課題を通して、左右の違いを認識することが必要かもしれません。
衣類や靴の左右の区別のために色や目印をつけることも有効かもしれません。

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図と地の判別障害と対応

図と地の判別では、背景から前景の区別ができないことを意味します。
対応として、
・認知的に障害に気づくようにすること
・関連する対象物や刺激を操作したり扱う前に認識するために、実施中にはゆっくりと動作を行うこと
を行う必要があります。

環境を調整し、単純で散らかっていないようにする（整理整頓）や、対象物のはっきりとした差異の利用が挙げられます。
訓練内容としては、台所の引き出しから道具を仕分けることなどが含まれます。
道具に小さいものや大きなものを追加することで、より複雑な課題になります。

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地誌的失見当と対応

地誌的失見当は、空間における方向を探すことに困難さがある状態です。
学習することで、徐々に代償や環境適応を減らすことが有効とされています。

毎日移動する経路を認識できるように、色のついた目印を用いることがあります。
左右識別と言語機能が保たれている場合、対象者は方向的な指示（前の扉を出て左に曲がる）に従う練習を行います。
その際、対象者には施設の図面上で目的の部屋に移動する道筋を描くように対象者に求めます。
対象者が方向転換ごとに地図を正しく方向付けるよう支援する必要があります。
次の段階では地図を少しだけ見て部屋へ移動するようにします。
最後は地図を見ないで行います。
この練習は、汎化は難しいことから重要な環境においてのみ行うべきだとされています。

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