今回、発語失行(失構音)の特徴とコミュニケーション促進のための関わり方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
まずは、脳のどの部位が損傷することでどのような症状が生じるのかを確認していきます。
上図において、緑色で囲まれている部分は換語困難が生じる可能性がある脳部位になります。
また、緑色で囲まれている部分において、さらに水色で囲まれている部分は単語の意味理解の低下が生じる可能性のある部分になります。
さらに、赤色で囲まれている部分は失構音、ピンク色で囲まれている部分は音韻性錯誤が生じる可能性がある部位になります。
発語失行(失構音)は、中大脳動脈の損傷により生じる発話の障害です。
多くは、発語失行(失構音)を失語症から独立した特異的な運動性言語障害ととらえています。
しかし、発語失行(失構音)のような構音障害ではない運動性言語障害は、非流暢性ブローカ失語または混合性運動障害性構音障害で発生するという見方もあります。
具体的な場所としては、中心前回の下半部になります。
脳画像で中心前回の場所を確認していきます。
発語失行(失構音)の症状について、以下のように述べています。
プロソディ(音声のメロディ)障害の結果、発話生成は努力性でゆっくりで、リズム障害になる。
重要な特徴は、明らかな努力性の発生および発生のためにする構音の位置や配列を探索することがみられることである。脳卒中のリハビリテーション
発語失行(失構音)に特徴的なこととして、
・発話開始困難
・自己修正の努力と試みを繰り返す
・話の抑揚のつながりがなくなる
→発話の滑らかさが感じられない(非流暢)
・言語音の歪み
が挙げられます。
対象者は発話の障害への気づきがあり、自身の状態に対して失望する傾向にあります。
「自分が何を言いたいかについてわかっているが、言葉が出てこない」と訴えるようなことがあります。
また、単語や語句の模倣も困難です。
対象者は発話改善に対する意欲が高く、発語生成に対する執着心があります。
コミュニケーションを促進するツール(パソコン、コミュニケーションブック)を導入すると、円滑なコミュニケーションが図れるのですが、初期段階ではこれらを拒否する可能性もあります。
普段から電子メールなどに慣れている対象者の場合、受け入れが良好な傾向にあります。
発語失行(失構音)では、認知面に関する問題がないように見えることも特徴です。
軽微な言語理解の障害がある可能性もあるため、注意が必要です。
伝達のための十分な時間を与えること、選択肢の提供、書字の利用、落ち着いた態度で話すなどにより、コミュニケーションが促進される可能性があります。
ここで一旦話がそれますが、構音障害の種類について考えていきます。
麻痺した筋肉が関与する音にのみ歪みが生じる
発音の開始や停止が急激に生じる
一定の傾向はみられない(構音に関係する器官に対する運動指令に変換するときにエラーが生じる)
発語失行の予後予測では、
失行症とその根底にある言語障害の重症度に応じて変化する。
しかし、良好な理解をもつ患者は比較的長い期間にわたって回復し、明晰な軽度発語失行症になる傾向がある。
ゆっくりとした発話、断続的な構音の誤り、プロソディの変化などの状態は慢性的に持続する可能性がある。脳卒中のリハビリテーション
とあります。
| 症状 | コミュニケーションを図るためのガイドライン |
| 発症時は無言の可能性がある 発話の流れが障害される たどたどしく躊躇した発話 プロソディとイントネーションの障害 たどたどしく努力的な構音 連続した発話運動は難しい 音声集団の単純化 単語の長さに伴い誤りが増加 発話の誤りへの強い気づき 強い欲求不満 保たれた聴理解 |
話すための十分な時間を与える 会話への参加を促す ジェスチャーや描画などの代替手段の利用 キーワード、単語帳などの利用 対象者に欠如している語を補う必要があるか尋ねる 対象者が伝えたことが理解できないときは、そのことを伝える 理解のための調整は必要のない可能性が高い |
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