更衣動作(下衣)について新人教育用資料を作成したのでご覧ください。
目次
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更衣動作(上衣)の評価方法と結果の解釈(高次脳を中心)、リハビリアプローチの方法!
トイレでのズボン着脱動作に向けたリハビリテーションアプローチ
入浴動作の評価と環境設定!身体機能に合わせた福祉用具の選び方、用い方!
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回復期リハビリテーション病棟では、その成果指標としてFIMが用いられます。
FIMには運動項目と認知項目がありますが、回復期リハビリテーション病棟における実績指数では運動項目が用いられています。
実績指数については以下の記事を参照してください。
回復期リハ病棟における実績指数とは(計算式,除外基準,計算方法,求め方など)
そのため、運動項目の改善にいかに取り組んで行くかが重要になります。
ここでは、主に介助が必要な4-1点について簡易的に解説しています。
下衣動作で対象となる動作項目は
・下肢のズボン穴通し
・ズボンの引き上げ
・靴下着脱
・靴着脱
の4項目です。
これらのうち、
・1つに介助が必要:4点
・2つに介助が必要:3点
・3つに介助が必要:2点
・4つに介助が必要:1点
となります。
FIM採点については以下の記事を参照してください。
全部網羅!FIM点数のつけ方マニュアル!各運動・認知項目の採点時に注意すること!
FIM「更衣(下半身)」の超簡単採点法!リハビリ評価時短テクニック!
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下衣動作では、臥位、座位(長座位)、立位など様々な姿勢を用いながら遂行されます。
長座位は、脊髄損傷や脳卒中片麻痺者などで座位バランスが不良な方が、下衣動作を行う時に選択されることが多いです。
長座位では、SLR(下肢伸展挙上)が100°以上あることが好ましいとされています。
その理由は、下肢伸展挙上角度が確保されていないと、長座位で足元にリーチしようとしても、骨盤が後傾してしまいます。
そのような姿勢では座位バランスが不安定になったり、足元へのリーチが不十分になります。
端座位や長座位において、姿勢保持ができない理由を筋肉とその張力(筋緊張)の関係から考えていきます。
骨盤が後傾する原因としては、
・腹直筋の緊張亢進or低下
・内腹斜筋の緊張低下
・外腹斜筋の緊張低下
・多裂筋の緊張低下
・ハムストリングスの緊張亢進
が考えられます。
また、骨盤・体幹が側方傾斜する原因としては、
・多裂筋緊張亢進or低下
・腹斜筋緊張亢進or低下
・中臀筋後部繊維緊張低下or亢進
・大臀筋下部繊維緊張低下
が考えられます。
姿勢保持が困難な場合、上記の筋の姿勢筋緊張がどのようになっているか(静止座位、動作時)を評価することが必要です。
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端座位での下衣動作では、一側下肢を挙上し、それを保持する能力が必要です。
自分の筋収縮で保持できない場合には、下肢を組んだり、ベッド上に下肢を置くなどして保持することが必要になります。
端座位で下肢挙上する際には挙上側と反対側への体重移動が起こりますが、その際に身体が偏位しすぎるとバランスを崩してしまいす。
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片麻痺などで自分で下肢挙上できない場合には、足元へのリーチによって下肢を把持して持ち上げる動作が必要です。
この時には座位バランス能力が低い方は転倒してしまうことがあります。
床へのリーチにおける姿勢制御では、以下の要素が必要です。
体幹前傾:
・体幹伸筋の遠心性収縮
・中間から最終域まで姿勢保持している場合、等尺性収縮
・床へリーチで体幹運動の最終域では脊椎靭帯の緊張が姿勢を保持
体幹前傾位からの後傾:
・股関節伸筋が運動を開始し、体幹伸筋の求心性収縮
体幹伸筋の様々な筋収縮様式が必要なことがわかります。
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上図は、片麻痺者で靴下着脱ができない方が、右下肢を挙上・保持下時の床反力を示したものです。
ここでは健常者や靴下着脱が自立している方のデータは載せていませんが、それと比較すると、非自立者では床反力作用点の移動が前後左右とも大きく、その変動が大きいことがわかります。
このことから、非自立者は支持基底面内に重心点を留めにくい状況になっていることが推測されます。
端座位での下肢挙上動作では、その高さが増加すると骨盤後傾が大きくなり、また挙上側と反対の骨盤の側方傾斜が起こります。
この動きに対して、姿勢保持の筋活動として体幹挙上側屈でバランスを保つことが必要になります。
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脳卒中片麻痺者では、麻痺側下肢を非麻痺側上肢で把持して持ち上げる際に、動的座位バランスの保持が難しくなることが多くあります。
脳卒中片麻痺者では麻痺側の感覚・運動機能が優れている場合には、麻痺側への重心移動が起こっても姿勢保持できますが、感覚・運動機能の低下が大きい場合にはバランス保持できなくなります。
そのため初期の段階では、下肢挙上動作においては非麻痺側殿部荷重を中心とした姿勢保持戦略をとることで転倒を防ぐことが重要です。
上図は座位バランス練習の段階づけですが、初めは非麻痺側方向から初め、非麻痺側殿部荷重を中心として麻痺側足元にリーチできるように段階づけて座位バランスを強化していくことが必要になります。
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THAの下衣動作では、脱臼をいかに防ぎながら下衣動作を獲得させるかが重要なポイントになります。
前方アプローチでは前方脱臼が問題となり、禁忌肢位としては股関節伸展・内転・外旋です。
後方アプローチとしては後方脱臼が問題となり、禁忌肢位としては股関節屈曲・内転・内旋、深屈曲です。
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THA(特に後方アプローチ)では、股関節屈曲・外転・外旋肢位をいかに獲得させるかがポイントになります。
その際、それを妨げる制限因子として大切なものは、
・外旋筋群
・長内転筋
です。
これらの制限因子を見極めながら、リラクゼーションやストレッチを行うことが必要になります。
THAについては以下の記事も参照してください。
THAの脱臼(禁忌)肢位と日常生活動作(ADL)指導、リハビリテーション
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