大腿骨頸部骨折の方の歩行の特徴として、立脚初期の痛みや膝折れが起こることがあります。今回、大腿骨頸部骨折の歩行の特徴とその原因について、まとめていきたいと思います。

大腿骨頸部骨折の歩行の特徴!立脚初期の痛みや膝折れはなぜ起こるか!

大腿骨頸部骨折の筋力低下と姿勢、動作への影響

大腿骨頸部骨折(頸部骨折術後)の方では、下肢(特に股関節)の筋力低下が見られます。
中でも、中殿筋や大殿筋などの筋力低下が目立つのが特徴です。

股関節周囲筋の筋力が低下すると、立ち上がりや立位、歩行などに様々な影響を及ぼします。
股関節周囲筋が安定していれば、荷重をかけても大腿骨頭は適切な位置に保つことができますが、股関節周囲筋によって安定性が得られていない場合、荷重をかけると大腿骨頭にはずれが生じてしまいます。
そのような状況では、安定性を求めるがゆえに、大腿直筋や大腿筋膜張筋に体重を預けるように適応してしまいます。

また、股関節周囲筋の筋力低下により、立位における荷重が健側に偏っていると、支持している健側には伸筋が促通されますが、支持されていない(追従しているだけ)患側には屈筋の緊張が高まりやすくなります。
このような状況では、立ち上がりの際に両下肢の伸展筋を用いたくても、うまく利用できないということが起こっても仕方ありません。

 

【スポンサーリンク】

股関節の関節可動域を考えると、日常的に大腿直筋の緊張が亢進しているような場合、大腿骨頭は前方に突出することが考えられます。
そのような状況では、股関節屈曲を行うとインピンジメントが起こり、痛みや関節可動域の制限が起きてしまいます。
インピンジメントが起こるような場合、股関節外旋が入ると屈曲の可動域は拡大しますが、この影響は立ち上がり動作に現れることがあります。
立ち上がり動作では、股関節屈曲の可動域を補うために、股を開くように(外旋)して立ち上がったりすることがあります。

仙腸関節は大殿筋上部繊維や梨状筋により安定性を得ていますが、大殿筋の筋力低下があると、仙腸関節の安定性を梨状筋が過剰に収縮することで補うことになります。
このような状況では、梨状筋に痛みが出たり、大腿骨頭を前方に突出させることにもつながり、股関節屈曲時のインピンジメントにつながります。

例を挙げるときりがありませんが、大腿骨頸部骨折の方の股関節周囲筋の筋力低下は、様々な姿勢や動作に悪影響を及ぼすことがわかります。

 

大腿骨頸部骨折と歩行の特徴①立脚初期の痛み

大腿骨頸部骨折の方は、股関節周囲筋(特に中殿筋などの殿筋)の筋力低下により、歩行の立脚の際に骨盤が患側方向にスウェイしながら歩くことが見られます。
さらにこのとき、特徴的なのが踵が外側を向くことです。

立脚初期における骨盤の側方制御が難しいのであれば、つま先を外側に向ける方が都合がよいとも考えられます。
つま先を外側に向けると、足関節の底屈筋を用いて、骨盤の側方移動を制御できるためです。
しかし、大腿骨頸部骨折の方では、踵を外側に向けることで骨盤の側方制御を行っています。
これにはどのような意味があるのでしょうか。

大腿骨頸部骨折の方では、踵を外側に向けることで、腸脛靭帯(大腿筋膜長筋も含む)に寄りかかるようにして骨盤の側方移動を制御しています。
このとき、制御を強めるために腸脛靭帯の緊張を高めたいのですが、これに関与しているのは主に外側広筋になります。
大腿筋膜長筋を利用したい所なのですが、大腿筋膜張筋は筋長が短いために、緊張を高めるためには不利になります。
外側広筋は腸脛靭帯の筋膜との連結があり、外側広筋の緊張を高めることで腸脛靭帯を外側に押し出すようにしています。

大腿骨頸部骨折の方が立脚初期で股関節外側に痛みが生じるのは、このような理由が考えられます。
腸脛靭帯、外側広筋の部分にストレスがかかり、筋膜連結部分の滑りが悪くなることが痛みの主な原因になります。

 

【スポンサーリンク】

大腿骨頸部骨折と歩行の特徴②立脚中期から後期にかけての膝折れ

大腿骨頸部骨折の方の歩行において、膝折れがみられるのは歩行周期のどの時期になるでしょうか。
踵接地の時期ではなく、立脚中期から後期にかけての時期になります。

前途しましたが、大腿骨頸部骨折の方の立位姿勢は、大腿直筋や大腿筋膜張筋にあずけるような姿勢をとっています。
このことから、大腿直筋の筋緊張は常に高くなっていると考えられます。
そのため、踵接地時における膝折れは見られにくいことが考えられます。

大腿骨頸部骨折の歩行の立脚中期から後期にかけての膝折れでは、体が前に勢いよく倒れるようになることが特徴的です。
これは、立脚中期から後期にかけて、足関節の制御が行えないためだと考えられます。
立脚中期から後期にかけては、脛骨が前方に倒れていくのを、ヒラメ筋の遠心性収縮により制御していますが、この部分がうまく行えないことにより膝折れが起こっていると捉えることができます。

この辺りの話は、石井慎一郎先生が言われていましたが、また詳しく調べていこうと思います。

ブログには書けない裏話、更新通知、友だち限定情報などを配信(完全無料)!まずは友だち追加を♪ 友だち追加