前頭前野(前頭連合野)の機能・役割とADLにおける観察ポイント
前頭前野は人間らしい行動に関与している部位であり、前頭前野での「判断、思考、計画、企画、注意、抑制、コミュニケーション」などの機能により、複雑なことが行えています。今回、前頭前野(前頭連合野)の機能・役割と高次脳機能障害、リハビリテーションについて、まとめていきたいと思います。
目次
前頭前野(前頭連合野)の機能・役割と高次脳機能障害、リハビリテーション
高次脳機能障害について知りたい方は
- 高次脳機能障害で動作の順序の間違いやペースに問題がある場合のリハビリテーション
- 高次脳機能障害のアウェアネス低下に対するアプローチ
- ADL場面における高次脳機能障害の問題に対するアプローチ!大まかな戦略の枠組みを知る!
- 視床損傷(出血、梗塞)で高次脳機能障害(行為の抑制障害)が生じる理由と症状の特徴!
- 中脳レベルの脳画像と、損傷部位から予測される高次脳機能障害!
- 基本動作、ADLの観察評価!高次脳機能障害の現れ方!
- 高次脳機能障害と作業遂行上のエラーに対する支援とアプローチの例
- 更衣動作評価で観察するべき視点!高次脳機能障害を中心として!
- 高次脳機能障害による計算障害のリハビリテーション
- 高次脳機能障害の、数に関する障害の知識と評価
- 純粋失書はなぜ生じるのか?メカニズムを解説!
- 純粋失読はなぜ生じるのか?メカニズムを解説!
- 右半球損傷と認知コミュニケーション障害
- 超皮質性感覚失語症の特徴とコミュニケーション促進の関わり方
- 発語失行(失構音)の特徴とコミュニケーション促進のための関わり方
- 超皮質性運動失語症の特徴とコミュニケーション促進のための関わり方
- ウェルニッケ失語症の特徴と症状、コミュニケーション改善のための関わり方
- 伝導失語症の特徴、症状とコミュニケーション改善のための関わり方
- 空間関係(前後左右、図と地の判別など)の障害がある場合のリハビリテーション
- ブローカ失語のコミュニケーション能力の特徴と改善のための関わり方
- 全失語の特徴と症状、コミュニケーション改善のための関わり方
- 健忘性失語症(失名詞)の特徴、症状とコミュニケーション改善のための関わり方
- 触覚失認の概要と評価、リハビリテーションの考え方
- 相貌失認の概要と評価、リハビリテーションとその対応
- 注意障害の観察評価!BAADの概要と評価方法、結果の解釈!
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前頭前野の機能と高次脳機能障害①発動性、意欲

前頭前野は、発動性・意欲に関する機能があります。
そのため、前頭前野が損傷を受けるとアパシーや感情鈍麻の状態が見られます。
アパシーや感情鈍麻では、精神運動が遅くなったり、情緒反応が鈍いといったことが見られ、周りへの興味の低下や活動性の低下が見られます。
そのため、ADL観察場面では遂行中の無関心や活気のなさ、レクリエーションなどのわくわくするような事に興味を示しません。表情の変化はなく、かといって絶望感を示すことはありません。
アパシーはうつと共にみられることが多いですが、うつでみられる「絶望感」はアパシーには含まれません。
アパシーについては以下の記事を参照してください。
脳部位、疾患から考えるアパシーの原因!前頭葉損傷によるアパシーの特徴!
アパシー(意欲障害)の定義とうつとの区別、うつ病がアパシーを引き起こすメカニズム!
脳卒中後のうつ状態、アパシー(意欲障害)と血管性認知症との関係
意欲障害の捉え方!うつとアパシー違いや評価方法を解説!
外傷性脳損傷(脳挫傷、びまん性軸索損傷)におけるアパシー(意欲障害)
前頭前野の機能と高次脳機能障害②注意

前頭前野は注意のコントロールに関与しています。
そのため、前頭前野が損傷を受けると注意障害がみられます。
注意障害があると、ADL遂行中に継続して活動が行われなかったり、他者からの指示や活動自体に注意が向かない、失敗に注意を向けない、遂行にあまり関係のない所に注意を向けてしまうなどが観察されます。
注意散漫ではキョロキョロと周りを見たり、他の刺激にすぐに目を奪われてしまうことがあります。
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前頭前野の機能と高次脳機能障害③思考・判断

前頭前野は思考や判断に関与しています。
そのため、前頭前野が損傷を受けると思考、判断の障害がみられます。
・抽象化の障害
柔軟性のない思考の状態です。
思考の柔軟性がないと、一つの状況から、他の状況へ応用したりすることが困難になります。
例えば、私たちは朝食を食べているからだいたい何時頃かを推測することができますが、そのようなことができなくなります。
ことわざをを言葉の通りに受け取ってしまうこともあります。
・判断力の障害
周りの情報から、適切な決定や行動が行えない状態です。
ADLでは、蛇口をひねりっぱなし、移乗でブレーキのかけ忘れ、ゴミ箱に排尿してしまうなどが観察されます。
自分自身の間違いからフィードバックし、次の行動を修正することができません。
・洞察力の障害
洞察力は、対象者が自身の状況や状態の認識(アウェアネス)をどの程度できているかに関与します。
洞察力を評価するには、対象者本人にどう考えているのかを質問しないと評価できません。
洞察力の障害があると、将来の計画や能力障害に対して非現実的な発言がみられることがあります。
・混乱
混乱の状態では、時間や人、場所に関する認識と見当識の障害がみられます。
そのため、過去と現在の区別がつかなかったり、セラピストを他の誰かだと思いこんだりします。
また、外部からの情報(特に言語刺激)に対する反応が遅れることがあります。
前頭前野の機能と高次脳機能障害④情動のコントロール

前頭前野は情動のコントロールに関与しています。
そのため、前頭前野が損傷を受けると、情動のコントロールが効かなくなります。
・攻撃性
活動や人に対しての敵意や攻撃性を示します。
・欲求不満
課題遂行において頑張ったり、頑張ったができない時などに、興奮したり耐えられなく様子が確認されることがあります。
言語的、感情的、身体的に表現されることがあります。
・易怒的
苛立ち、焦り、怒りなどがすぐに出てしまう状態です。
・不安定
情緒不安定な状態です(感情失禁)。
不適切に泣いたり笑ったりします。
・不穏
不安や苛立ちなどにより、落ち着きがなく動き回ったり、待つことができない、体の一部を絶えず動かしたり(貧乏ゆすり)、物をトントンと叩いているかもしれません。
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前頭前野の機能と高次脳機能障害⑤その他

・保続、反響言語
運動や行動を繰り返すことが見られます。
反響言語は保続の一種で、おうむ返しと言われるように、言葉をそのまま返してしまうことが観察されます。
保続に関しては、以下の記事を参照してください。
2種類の保続とリハビリテーション!機能面とADLへのアプローチ
・観念性失行
工程の順序、道具の使用に障害が見られます。
観念性失行については、以下の記事を参照してください。
観念失行と観念運動失行の違いや覚え方!ADLにおける評価方法!
・組織化と順序立ての障害
活動の手順や動作の性急さ(タイミングの悪さ)、ペース配分、動作の質(例:早すぎて質が悪い)などに関連します。
ご飯をくちいっぱいになるまで詰め込みすぎてしまう、歯磨きを終えるのが早すぎるなどが観察されます。
前頭前野は大脳基底核とのループがあり、大脳基底核の障害によっても、組織化と順序立ての障害は起こることが考えられます。
詳しくは以下の記事を参照してください。
大脳基底核の損傷とADL障害!「ブレーキ管理ができない」にどう対応するか?
さらに詳しい解説を動画で確認
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