今回、ウェルニッケ失語症の特徴と症状、コミュニケーション改善のための関わり方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
ウェルニッケ失語症は、①錯誤を含んだ流暢(発話はなめらか)な会話②聴覚的理解力の低下③病態失認(表出が誤っていることに気づかない)の要素があります。
発話の流暢性とプロソディは正常ですが、内容はかなり制限があります。
多弁で他者は話を聞いていると早口に感じることもあります。
発話では実在する語と作られた新しい語を含み、大抵は内容を欠くものになります。
名詞と動詞が少なく、内容が曖昧なものとなります。
単語が思い出せず(換語障害)、その代わりに「それ」「これ」などを代わりに使用することが多くなります。
単語や文、文字の読み書きの障害もみられます。
ウェルニッケ失語症では、対象者は初期段階では自身の言語障害に気づかないことが多くあります。
コミュニケーションの過程で誤った認識を持ちますが、その誤りが失語症によるものだと認めない場合があります。
また、脳卒中になったことを否定したり、入院の理由を作話することがみられるかもしれません。
なお、ウェルニッケ失語症の病巣部位には、運動麻痺を生じる部分を含むことが少ないため、同時に片麻痺は生じにくいことが特徴です。
言語の自然回復が生じてくるにつれ、治療への参加意欲が向上し、コミュニケーションにおける病識も改善がみられてくる傾向にあります。
ウェルニッケ失語症では、障害に運動性と感覚性のものがあります。
聴理解はむらがあり、指示に対して予想外に適切な反応をとる場合もあります。
まずは、失語症状がどのような部位の損傷を受けることで生じるのかを確認していきます。
上図において、緑色で囲まれている部分は換語困難が生じる可能性がある脳部位になります。
また、緑色で囲まれている部分において、さらに水色で囲まれている部分は単語の意味理解の低下が生じる可能性のある部分になります。
さらに、赤色で囲まれている部分は失構音、ピンク色で囲まれている部分は音韻性錯語が生じる可能性がある部位になります。
ウェルニッケ失語症では、
音韻性錯語の症状は左中心後回下部、縁上回、上側頭回後端部
換語障害や単語の意味理解の障害の症状は上・中側頭回後部
が含まれます。
ウェルニッケ失語症では、個人に関連した話題を話す、情報処理のための時間を与える、話題変更時には合図をする、違う語で同じ考えを伝える、視覚的な手がかりを与えるなどによりコミュニケーションを促進できる可能性があります。
セラピストは、介助者などにコミュニケーションにおける障害と、促進するための手がかりを知っておく必要があります。
文字言語の理解が障害されている場合、初期では書字による手がかりや書字課題、スケジュール帳の使用は役に立ちにくいことがあります。
書字では書くことはスムーズに行えるかもしれませんが、発話生成を反映して造語や無意味な内容、綴りの誤りを認めます。
自分に関係する名詞を含むコミュニケーションブックを用いることで、対象者の一部は重度の失語症でも自立できる可能性があります。
| 発話と言語の症状 | コミュニケーション促進のガイドライン |
| 発話開始は容易で過剰に流暢 流暢で途切れない話し言葉 構音は良好 造語と語性錯語 ジャーゴン 重要でない言葉が自動的に所定の場所にまぎれこむ 復唱はできない プロソディとイントネーションは保たれている 誤りにほとんど気づかない 乏しい聴理解 理解力の制限を認識していない 失読症と失書症 |
止める手段:対象者の発話を止めるために、手がかりとしてジェスチャーを用いる 話題変更のために再度集中させる 書かれた名詞を提示する(情報伝達のためのキーワードや絵) まわりくどい言い方を許可する 書き言葉、話し言葉を簡素にする 意味ある文脈(個人に関連したものを利用) ゆっくり、はっきり、通常の音量で話す 向き合って話す 理解のための時間を与える 話題変更には聴理解を助けるためのキーワードを書面提示する 一般的な語と簡潔で直接的な文法を用いる 同じ内容を異なる語で話す 書字は難しいかもしれない |
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