高齢者では、骨盤後傾、頭部前方偏位姿勢によりバランスを崩したり、転倒のリスクが高くなったり、圧迫骨折の原因になることもあります。今回、骨盤後傾と頭部前方偏位姿勢からみた腰椎疾患との関係性について、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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健常者は生理的なS字カーブ(脊椎カーブ)があり、これにより脊椎や骨盤にかかる負担が小さく済んでいます。
脊椎の可動性や筋力がしっかりしている場合、立位で骨盤の傾きに応じて脊椎カーブの度合いを変化させることが可能です。
股関節の伸展が難しい場合、骨盤は過度に前傾され、腰椎は前弯が増強します。
股関節の屈曲が制限されている場合、腰椎の前弯は減少します。
このような機序により重心位置を補正しバランス保持を行っています。
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高齢者では脊椎の変性や変形が起こり、生理的なS字カーブを保つことが難しくなります。
胸腰椎移行部は後弯拘縮が生じやすく、上半身の重心のコントロールが難しくなります。
前途したように、股関節の状態により腰椎の彎曲は変化しますが、代償作用の限界を超えると、重心の前方偏位をコントロールすることが難しくなります。
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腰椎疾患には、大きく2タイプに分けることができます。
腰椎、仙椎の前弯、骨盤前傾が増強するもの
腰椎椎間関節障害、仙腸関節障害、仙腸関節性梨状筋症候群、仙腸関節性多裂筋障害、脊柱管狭窄症、後方辷り症など
腰椎、仙椎の後弯、骨盤後傾が増強するもの
運動時コンパートメント症候群、仙腸関節障害、仙腸関節性梨状筋症候群、仙腸関節性多裂筋障害、前方辷り症、脊椎圧迫骨折
これらの疾患では、姿勢の矯正や重心の補正が必要になります。
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腰椎後弯、骨盤後傾が起こると、運動連鎖で股関節伸展、外転、外旋位となります。
膝関節は屈曲、内反、内旋位となります。
足関節は背屈、外反位となります。
頭部重心位置は股関節では前内側部、膝関節では後内側部、足関節では前内側部となります。
腰椎や骨盤の矯正が可能であれば機能障害の進行は緩やかになりますが、頭部重心が膝関節後内側部に集中し、膝関節の拘縮が進むと、機能障害が著明になってしまいます。
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高齢者では頭部前方偏位姿勢をとることが多くあります。
これは筋力低下(脊柱起立筋、僧帽筋、腸腰筋、大腿四頭筋)や猫背姿勢の習慣化、頻回な前屈み姿勢をとることなどによります。
姿勢制御が困難になると、椎間板変性、脊椎圧迫骨折、椎間板の狭小化などが生じ、さらに頭部前方姿勢を助長します。
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健常者では、矢状面のアライメントは耳孔、肩峰、大転子を結ぶラインとなります。
壁に背をつけ、後頭部と壁の隙間を計測することで頭部前方偏位を評価できます。
後頭部が接しない場合、胸椎レベルの圧迫骨折が存在する可能性があります。
また、肋骨から骨盤までの距離を測定し、横指で2本未満の場合、脊椎変形(腰椎レベルの圧迫骨折)があると考えます。
C7PL(第7頸椎椎体中心からの鉛直線)はバランス評価の基準値になります。
健常者では、C7PLから床への垂線は、大腿骨頭の後方を通過します。
頭部前方偏位となると、耳孔は肩峰や大転子よりも前方になり、C7PLは大腿骨頭の前方を通過します。
すると腰背部の筋緊張が亢進してしまいます。
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圧迫骨折が生じた椎体は、外科的処置がなされなければ基本復元することはありません。
また荷重圧により椎体の圧潰は進行し、骨癒合が得られるまで変形が起こります。
それにより重心の前方化や脊椎の後弯変形を助長します。
姿勢異常(頸椎前弯減少、胸椎過後弯、骨盤後傾)では、既に頭部が前方に位置しており、椎体の圧潰が助長され、脊椎後弯が進行されやすくなります。
圧迫骨折後の活動量低下があると、下肢筋力の低下により膝関節が屈曲し、脊椎後弯が進行しやすくなります。
骨折により損傷された軟部組織は癒着や瘢痕化により拘縮の原因となります。
圧迫骨折では損傷された椎体とその上下の椎体の軟部組織は拘縮により伸張性や滑走性が損なわれ、椎体間の可動性が失われます。
圧迫骨折が生じたレベルの椎体は局所的な後弯化を引き起こします。
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