慢性疼痛の評価に関連する評価バッテリーなどをまとめています。
目次
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八田 宏之ら「Hospital Anxiety and Depression Scale日本語版の信頼性と妥当性の検討 : 女性を対象とした成績」心身医学 Vol. 38 (1998) No. 5 p. 309-315
圓尾 知之ら「痛みの評価尺度・日本語版 Short–Form McGill Pain Questionnaire 2(SF–MPQ–2)の 作成とその信頼性と妥当性の検討」PAIN RESEARCH Vol. 28 (2013) No. 1 日本疼痛学会誌 p. 43-53
西上智彦ら「痛みに対する評価とリハビリテーション 方略 – 臨床でのスタンダードを目指して -」保健医療学雑誌 5(1): 45-51, 2014.
安達 友紀ら「Pain Self – Efficacy Questionnaire 日本語版 作成 の試み」
大竹 恵子ら「痛みの経験とその対処方略」女性学評論 16, 143-157, 2002-03
松岡 紘史ら「痛みの認知面の評価 : Pain Catastrophizing Scale日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討」心身医学 47(2), 95-102, 2007
松平 浩ら「日本人勤労者を対象とした腰痛疫学研究」日職災医誌,63:329─336,2015
松平浩ら「職場における腰痛の効果的な治療法に関する研究 」平成26年度総括・分担研究報告書
松平 浩ら「日本語版 Somatic Symptom Scale‒8 (SSS‒8[身体症状スケール])の開発―言語的妥当性を担保した翻訳版の作成―」Vol. 56 No. 9. 2016 心身医
松平 浩「高齢者と慢性運動器痛 (4) 非特異的腰痛のマネジメント」
https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/pdf/10h27gyosekisyu.pdf
平井絢子ら「Neuropathic P ain Symptom In ventor y 日本語版を用いて 脊髄損傷後疼痛の治療効果を評価した 1 例」日臨麻会誌 Vol.31 No.4, 685〜688, 2011
西上智彦ら「痛みに対する評価とリハビリテーション 方略 – 臨床でのスタンダードを目指して -」保健医療学雑誌 5(1): 45-51, 2014.
中丸 宏二ら「頸部痛患者における日本語版 Neck Disability Index の信頼性・妥当性・反応性の検討」Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/pdf/10h27gyosekisyu.pdf
藤原 淳ら「Oswestry Disability Index ─日本語版について─」日本腰痛会誌,15(1):11‒16,2009
鈴鴨よしみ「Roland-Morris Disability Questionnaire(RDQ) によるアウトカム評価」日本腰痛会誌,15(1):17‒22,2009
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痛みの評価前には、対象者の現病歴、既往歴を確認する必要があります。
現病歴からは、診断名、発症日、発症当時の様子、どのような障害があるか、医学的処置、発症から現在までの経過がわかります。
既往歴からは、現在の障害や訴えを生じさせる原因となる過去の外傷や疾患の経過について把握することができます。
・質問に対しての返答に行き当たりばったりな答えや曖昧さはないかを確認する
・質問の順番はそれほど重要ではない
・痛みに対する対象者の行動に変化を与え、その認識を変えるため、「痛み」という言葉に変えて、「不快感」「〜に困ってはいませんか」などの言い回しを用いる
・面接での評価項目は、痛みの傾向、痛みの部位、痛みの感じ方、痛みの期間、痛みの強さ、痛みと時間帯、痛みと睡眠、痛みの程度に影響する要因、活動時の痛みと困難さ、障害と活動遂行能力
発症時からの痛みの変化を把握するために、「怪我をしてから痛みは強くなりましたが、おさまってきていますか、変わりがないですか」と尋ねます。
最近1ヶ月の症状を確認します。
これにより、手術などをしてからの対象者の痛みの強さの変化を確認します。
返答で「強くなった」「ましになった」などが聞かれた場合、その心あたりがあるかどうかを尋ねます。
この項目では、対象者が自分の痛みをどのように感じているか、考えているかをセラピストが知る上で重要です。
痛みの部位をボディチャートを用いて指し示すようにしてもらいます。
痛みのある範囲は細かい斜線で、特に痛みの強い部位は×印、放散痛は矢印で示すなどします。
どのように指し示すか観察することにより、痛みを体の深部に感じているのか、または表面に感じているのかの判断にも役立つことがあります。
強い痛みのある人は、痛みの場所を正確に指し示すことが可能です。
指し示せない場合、痛みの拡散が考えられます。
痛みの部位の特定は、痛みの原因の判定への手がかりとなります。
末梢神経の走行に沿う放散痛であれば、末梢神経性の疾患があることを表しています。
痛みの表現には様々な言葉があります。
以下は、痛みの程度の弱い順に、痛みを表現する言葉です。
1.ちらちらする、ぶるぶる震えるような、ずきずきする、ずきんずきんする、がんがんする
2.びくっとする、ピカッとする、ビーンと走るような
3.ちくりとする、千枚通しで押し込まれるような、ドリルで揉み込まれるような、刃物で突き刺されるような、槍で突き抜かれるような
4.鋭い、切り裂かれるような、引き裂かれるような
5.つねられたような、圧迫されるような、かじり続けられるような、ひきつるような、押しつぶされるような
6.ぐいっと引っ張られるような、引っ張られるような、ねじ切られるような
7.熱い、灼けるような、やけどしたような、こげるような
8.ひりひりする、むずがゆい、ずきっとする、蜂に刺されたような
9.じわっとした、はれたような、傷のついたような、うずくような
10.さわられると痛い、突っ張った、いらいらする、割れるような
11.うんざりした、げんなりした
12.吐き気のする、息苦しい
13.こわいような、すさまじい、ぞっとするような
14.痛めつけられるような、過酷な、残酷な、残忍な、死ぬほど辛い
15.ひどく惨めな、わけのわからない
16.いらいらさせる、やっかいな、情けない、激しい、耐えられないような
17.ひろがっていく(幅)、ひろがっていく(線)、貫くような、突き通すような
18.窮屈な、しびれたような、引き寄せられるような、しぼられるような、引きちぎられるような
19.ひんやりした、冷たい、凍るような
20.しつこい、むかつくような、苦しみもだえるような、ひどく恐ろしい、拷問にかけられているような
この中から、現在の痛みを最も適切に表しているカテゴリーの中から、言葉をひとつ選んでもらいます。
対象者が適当に選んでいるか、注意深く読み込みながら選んでいるかなどの情報も重要になります。
各部位の痛みに関して、「一時的」「断続的」「持続的」のどれに当てはまるかを選んでもらいます。
痛みの強さの評価では、Numerical Rating Scale(NRS)、Visual Analogue Scale(VAS)、Verbal Rating Scale(VRS)を使用します。
NRSは、0から10の11段階に痛みを分け、痛みが全くないのを0、最大の痛みを10とし、その点数を尋ねます。
VASは、100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最大の痛み」とし、対象者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらいます。
VRSは3段階から5段階の痛みの強さを表す言葉(痛みなし、少し痛い、痛い、かなり痛い、耐えられないくらい痛い)を数字順に並べ、どれに当てはまるかを選択してもらいます。
VASは筆記用具が必要で、VRSは言語の問題や、段階が少なく痛みを詳細に評価できないこともあり、一般的にはNRSが推奨されています。
3つの評価法は、MMSEが18点以上の軽度の認知機能低下者においても使用可能です。
NRSとVRSは、10~17点の中等度認知機能低下者でも使用可能とされています。
上記の物を用いて、
・今どのように感じますか
・最も調子がいいときは
・最も調子が悪い時は
・これまでで最もひどい痛みは
・これまでで最もひどいと感じた痛みは何か(自由回答)
を尋ねます。
「痛みの期間」での評価結果、対象者の観察を、痛みの強さで得られたデータとを組み合わせて、
①伝えようとしている痛みを感じているのか
②伝えようとしている痛みを感じていると信じているのか
③大げさに痛みを伝えようとしているのか
を見分ける手がかりにします。
どの時間帯(朝、昼、晩、睡眠中)になると痛みが始まるか、
痛みがひどくなるのか、を尋ねます。
不快感が一番ひどくなるがどうしてこの時間なのかを尋ねます。
対象者の中には、就寝前に痛みが増強するということも多くあります。
これは、活動中は痛みに対する注意をそらすことができていましたが、活動や刺激がなくなることで痛みの緩和効果がなくなるためだと考えられます。
この評価項目を把握することで、対象者の勤務時間の提案や作業内容の調整の提案をすることも可能になります。
10cmの線分を4分割し、それぞれ「なし」「時折」「たびたび」「常に」に区分けします。
質問は「寝付くのが困難」「眠るには睡眠薬が必要」「痛みのために目がさめる」「損傷側を下にして横になれる」の4つです。
対象者に、線分の中で当てはまる所に印をつけてもらいます。
セラピストは線分の左端から何cmのところに印がついたかを測ります。
現在の平均睡眠時間、病前の平均睡眠時間を尋ねます。
一晩の睡眠時間が大幅に減った場合、疲労や体質の変化が考えられます。
課題遂行の集中力低下やストレス耐性の低さでは、睡眠時間が関与している可能性があります。
他にも巧緻性、協調性などにも影響を及ぼすことがあります。
睡眠時間の増加にも注目する必要があります。
睡眠を妨げる理由(主観的な)を尋ねます。
不眠の理由が身体的なものなのか、情緒的なものなのか、両者によるものなのかを検討します。
障害側を下にした側臥位が取れない場合、関節周囲の組織に問題があることが考えられます。
以下のリストから、どれが痛みを増加させるのか、軽減させるのか、影響を与えないかを選択してもらいます。
温熱、暖熱、冷風、氷、気象の変化、飲酒、マッサージ、局所的な圧迫、長軸方向の圧迫、周囲からの圧迫、叩打、振動、運動、安静、動作速度の調整、スプリント装着/固定、良肢位による動作、住環境の改善、職場環境の整備、課題の調整、役割の交替、緊張/不安、作業活動、エクササイズ、姿勢、睡眠、疲労、手袋の使用、服薬
記載例として、痛みを増強させるものには「↑」、軽減させるものには「↓」、影響しないものには「×」、よくわからないものには「?」、増強・軽減させるものには「⇅」を記載します。
対象者には、例を交えて説明してもらうようにします。
服薬については、何をどのような頻度で飲んでいるかを確認します。
対象者独自の解決法を知ることで、その方の判断力、問題解決能力などを把握することができます。
各動作において、痛みが変化するか、どのように変化するか、また動作の困難さを尋ねます。
以下に上肢動作の例を挙げます。
1.指の使用
硬貨をつまみ上げる、安全ピンを閉じる、服のボタンをかける、鍵をかける
2.手の使用
食器を持つ、歯を磨く、びんを開ける、はさみを使う
3.到達動作
天井の電球を取り替える、髪を洗う、床から物を拾い上げる、食器棚から皿を出す
4.押し引き動作
車のドアを開閉する、服にアイロンをかける、掃除機をかける、芝生を刈る
5.持ち上げ、運搬動作
買い物袋を持つ、ゴミ袋を持つ、スーツケースを持つ、赤ん坊やペットを抱く
6.ねじり動作
タオルを絞る、ドライバーを使う、缶切りを使う、ドアノブを回す
10cmの線分を4分割し、それぞれ「なし」「軽度」「中等度」「重度」に区分けします。
対象者に、線分の中で当てはまる所に印をつけてもらいます。
セラピストは線分の左端から何cmのところに印がついたかを測ります。
ある動作を行った後に痛みが生じる場合、それがどの程度持続するかを尋ねます。
各活動において、「動作の遅延」「方法の変更」「要休憩」「要援助」「不可能」のどれに当てはまるかを尋ねます。
また、その内容を詳しく尋ねます。
行った活動の中で最も負担の大きかった活動を尋ねます。
上肢活動の例を挙げます。
1.更衣:
ファスナー・ボタン類、前開きシャツ、靴、靴下、かぶりシャツ、装身具
2.食事の用意:
食材を切る、まぜる、皮をむく、容器を開ける、食べ物を運ぶ
3.整容:
入浴、髭剃り、化粧、歯磨き、爪切り、整髪
4.家事:
掃除、庭の手入れ、整理整頓、車の整備
5.コミュニケーション:
書字、電話の使用、パソコンの操作
6.移動:
車の運転、バス・地下鉄の利用、オートバイや自転車の運転
7.趣味とレクリエーション:
余暇活動、スポーツ、手工芸
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Hospital Anxiety and Depression Scale日本語版は、身体症状をもつ方の不安と抑うつの評価に使用されます。
14項目から構成され、不安と抑うつの2つの下位尺度からなる自己記入式の評価尺度です(不安について7項目、抑うつについて7項目)。
記入時間は約5分と短いことが特徴です。
うつの評価については、以下の記事も参照してください。
うつ病自己評価尺度(SDS)の概要と評価方法、結果の解釈(カットオフ)
1.緊張したり気持ちが張りつめたりすることが;
1 しょっちゅうあった
2 たびたびあった
3 ときどきあった
4 まったくなかった
2 .むかし楽しんだことを今でも楽しいと思うことが ;
1 まったく同じだけあった
2 かなりあった
3 少しだけあった
4 めったになかった
3.なにか恐ろしいことが起ころうとしているという恐怖感を持つことが ;
1 しょっちゅうあって,非常に気になった
2 たびたびあるが,あまり気にならなかった
3 少しあるが気にならなかった
4 まったくなかった
4 .物事の面白い面を笑ったり,理解したりすることが ;
1 いつもと同じだけできた
2 かなりできた
3 少しだけできた
4 まったくできなかった
5 .心配事が心に浮かぶことが ;
1 しょっちゅうあった
2 たびたびあった
3 それほど多くはないが ときどきあった
4 ごくたまにあった
6 . きげんの良いことが ;
1 まったくなかった
2 たまにあった
3 ときどきあった
4 しょっちゅうあった
7 . 楽に座って,くつろぐことが;
1 かならずできた
2 たいていできた
3 たまにできた
4 まったくできなかった
8 .仕事を怠けているように感じることが ;
1 ほとんどいつもあった
2 たびたびあった
3 ときどきあった
4 まったくなかった
9.不安で落ちつかないような恐怖感を持つことが ;
1 まったくなかった
2 ときどきあった
3 たびたびあった
4 しょっちゅうあった
10.自分の顔,髪型,服装に関して;
1 関心がなくなった
2 以前よりも気を配っていなかった
3 以前ほどは気を配っていなかったかもしれない
4 いつもと同じように気を配っていた
11.じっとしていられないほど落ち着かないことが ;
1 しょっちゅうあった
2 たびたびあった
3 少しだけあった
4 まったくなかった
12,物事を楽しみにして待つことが ;
1 いつもと同じだけあった
2 以前ほどはなかった
3 以前よりも明らかに少なかった
4 めったになかった
13.突然,理由のない恐怖感(パニック)におわれることが :
1 しょっちゅうあった
2 たびたびあった
3 少しだけあった
4 まったくなかった
14.面白い本や,ラジオまたはテレビ番組を楽しむことが ;
1 たびたびできた
2 ときどきできた
3 たまにできた
4 ほとんどめったにできなかった
各項目の得点は、高い方が不安と抑うつが強いことを示しています。
不安に関する7項目と抑うつに関する7項目の得点をおのおの合計し、
0〜7点:不安または抑うつなし
8〜10点:不安または抑うつ疑い
11点以上:不安または抑うつあり
となります。
リハビリテーションでは、対象者の心理状態のスクリーニングとしても用いることが可能です。
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痛みの性状や強度を簡易に測定できる指標にマクギル疼痛質問表簡易版 (Short-Form McGill Questionnaire : SF-MPQ)があります。
SF−MPQは痛みを表現する言葉の質問が15項目あり、1~11は感覚的表現、12~15は感情的表現となっています。
心因性疼痛では感情的表現に反応しやす位傾向にあり、器質性疼痛との鑑別に役立ちます。
SF−MPQでは神経障害性疼痛の痛みを反映する表現がなく、SF-MPQの項目に神経障害性疼痛の痛みを反映する7項目を加えたSF−MPQ2が開発されました。
SF–MPQ–2 は痛みの特徴により持続的な痛み6項目、間欠的な痛み6項目、神経障害性 の痛み6項目、感情的表現4項目に分類しています。
過去1週間の痛みを0〜10点の11段階で評価する自己記入式評価法です。
項目別点数と合計得点で評価します。
0:なし
10:最悪の痛み
1.ずきんずきんする痛み
2.ビーンと走る痛み
3.刃物でつき刺されるような痛み
4.鋭い痛み
5.ひきつるような痛み
6.かじられるような痛み
7.焼けるような痛み
8.うずくような痛み
9.重苦しい痛み
10.さわると痛い
11.割れるような痛み
12疲れてくたくたになるような
13.気分が悪くなるような
14.恐ろしい
15.拷問のように苦しい
16.電気が走るような痛み
17.冷たく凍てつくような痛み
18.貫くような
19.軽く触れるだけで生じる痛み
20.むずがゆい
21.ちくちくする/ピンや針
22.感覚の麻痺/しびれ
高得点なほど痛みが強いことを表します。
SF-MPQ2において皮膚受容感覚性疼痛の要素(例:刃物で突き刺されるような痛み,ちくちくする/ピンや針)が強ければ識別課題,自己受容感覚性疼痛の要素(例:重苦しい痛み,ひきつる痛み)が強ければミラーセラピー ,心理的疼痛の要素(例:気分が重くなるような,恐ろしい)が強ければ認知行動療法・読書療法が適応となり,質問紙の結果から治療手法を変えることが重要である.
西上智彦ら「痛みに対する評価とリハビリテーション 方略 – 臨床でのスタンダードを目指して -」保健医療学雑誌 5(1): 45-51, 2014.
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慢性疼痛では、様々な認知的要因が痛みに影響を及ぼすことがわかっています。
自己効力感(特定の目標を達成するために必要な活動を遂行する自信の程度)が慢性疼痛の関連が強いことが指摘されています。
そのため、痛みに対する自己効力感を評価することで、身体的要因だけでない、包括的なリハビリテーションアプローチの一助とすることができます。
PSEQ日本語版は10項目からなる自己記入式の評価尺度で、各項目7件法(0:全く自信がない〜6:完全に自信がある)で回答します。
10項目なので短時間で実施でき、様々な領域での自己効力感の測定が可能になっています。
1 痛みがあっても物事を楽しめる。
2 痛みがあっても家事のほとんど ( 掃除や皿洗いなど ) をこなせる。
3 痛みがあっても友達や家族とこれまで通りに付き合える。
4 ほとんどの場合痛みに対応できる。
5 痛みがあっても何か仕事ができる ( 仕事には家事も報酬のある仕事 もない仕事も含む ) 。
6 痛みがあっても趣味や気晴らしなどの楽しいことがたくさんできる。
7 薬がなくても痛みに対応できる。
8 痛みがあっても人生の目標のほとんどを達成できる。
9 痛みがあってもふつうに生活できる。
10 痛みがあっても徐々に活動的になれる。
各項目を合計した得点が高いほど痛みに対する自己効力感が高いことを示しています。
PSEQは、身体活動的側面の自己効力感と比較し、社会活動的側面の自己効力感(社会的活動の疎外)をより強く反映する可能性が示唆されています。
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1983年にRosenstiel&Keefeにより、痛みの対処方略としてCSQという質問紙を開発し尺度化したものです。
CSQ日本語版は、認知的方略6因子と行動的方略2因子の計8因子があります。
各因子に2項目の質問があり、計16項目で構成されます。
回答方法は、質問項目に対する方略を、全く取り入れない「全くしない(0 点)」から、いつも取り入れる「いつもする (6 点)」までの 7 段階となっており、得点が高いほどその対処方略を取り入れていることを示しています。
まったくしない(0点)
ほとんどしない(1点)
あまりしない(2点)
ときどきする(3点)
少しする(4点)
だいたいする(5点)
いつもする(6点)
認知的対処方略
願望思考(Praying or Hoping: PH):
・痛みが持続しないように祈る
・早く痛みがなくなるようにと願う
破滅思考:(Catastrophizing: CA)
・もうだめだと思う
・どうすることもできないと悲劇的に思う
自己教示(Co ping Self-statement: CS ):
・自分自身を励ますこと
・何とか頑張れると自分に言い聞かせる
注意の転換(Dive rting Attention: DA ):
・気持が落ち着くように何か別のことをして注意をそらす
・何か別のことを考えたり、頭に思い描いたりして気を紛らす
思考回避(Re interpreting Pain Sensation: RP):
・あたかも痛みの感覚がないかのように考える
・痛みを否定し無視する
無視(Ignoring Pain Se nsations: IG ):
・痛みを意識しないようにする
・痛みがないと自分に言い聞かせる
行動的対処方略
痛み行動の活性化 (除痛行動)(Increasing Activity: IA):
・気を紛らわすために何か行動する
・注意をそらすために体を動かすなどの活動をする
他の行動の活性 化(医薬行動)」(Pa in Behavior: PB):
・薬にたよる
・医療機関に行く
痛みの程度が強いほど、破滅思考の対処方略を行い、自己教示法は行わないとされています。
痛みの程度や頻度が高いと、うつ傾向が強くなるとされています。
痛み刺激は無力感やうつ状態を生じさせる可能性が高い回避的な対処行動を行うことが示されています。
これは、何かに立ち向かうような対処方略は取らない特徴があるといえます。
痛みに対する対処方略は精神的な健康状態だけではなく、その対処方略によってその人の認知が影響を受けていることが予測される。
また、痛みそのものが、非常に大きな認知的な影響を受けており、痛みをどうとらえるかというその人の認知と対処方略、うつなどの精神的健康は、相互に関連しあっていると考えられる。
大竹 恵子ら「痛みの経験とその対処方略」
このことから、痛みの認知を変容させ、痛みに適応した行動をとれるようにアプローチすることは、リハビリテーションにとって求められるアプローチになります。
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慢性疼痛が維持する要因の代表的な認知的要因として、痛みの経験をネガティブにとらえる傾向の「破局的思考」があります。
破局的思考の傾向が強い場合、痛みの強さは増し、様々な障害が生じるとされています。
身体機能の障害と破局的思考の生活障害への影響を比較すると、破局的思考の影響の方が強いとの報告もあります。
慢性疼痛は、破局的思考の減少に伴い症状が改善することが報告されています。
破局的思考は、「反すう」「拡大視」「無力感」からなります。
反すう:破局的思考が頭から離れない
拡大視:実際の痛みより大きな問題としてとらえる
無力感:痛みに対して自分でできることができないように感じる
Pain Catastrophizing Scale(PCS) 日本語版は13項目からなり、普段痛みを感じている自分の状態にどれくらい当てはまるかを各項目に対し、
0:全く当てはまらない
1:あまり当てはまらない
2:どちらともいえない
3:少し当てはまる
4:非常にあてはまる
の5件法で測定します。
1.痛みが消えるかどうか、ずっと気にしている
2.もう何もできないと感じる
3.痛みはひどく、決してよくならないと感じる
4.痛みは恐ろしく、痛みに圧倒されると思う
5.これ以上耐えられないと感じる
6.痛みがひどくなるのではないかと怖くなる
7.他の痛みについて考える
8.痛みが消えることを強く望んでいる
9.痛みについて考えないようにすることはできない
10.どれほど痛むかということばかり考えてしまう
11.痛みが止まって欲しいということばかりを考えてしまう
12.痛みを弱めるために私ができることは何もない
13.何かひどい事が起こるのではないかと思う
反すう:1、8、9、10、11
無力感:2、3、4、5、12
拡大視:6、7、13
に質問は分ける事ができます。
点数が高いことは、より破局的思考の傾向が強いことを表します。
PCSを用いることで、リハビリテーションアプローチの経時的変化を追うことが可能です。
手術前や手術後に評価を行い、破局的思考の傾向が高い場合、患者に痛みに対する対処法などの教育により、苦痛の軽減に役立てることが可能になります。
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痛みに対する不安や恐怖感,自分の腰や腰痛,その他の筋骨格系疼痛に対するネガティブなイメージから,過度に大事をとる意識や思考・行動のことである.
言い換えれば,腰痛を恐れて予防としても治療としても重要な運動習慣を回避してしまうことにつながる逃避的な認知過程の代表的な概念である.
日本人勤労者を対象とした腰痛疫学研究
今回は、FABQの身体活動に関するスケールの紹介です。
身体活動に関する5つの設問から構成されます。
各質問に対して、「全くそう思わない」から「全くその通りである」の6件法となっています。
以下は、腰痛に関する考え方についての質問です。それぞれの設問について、身体の動作(前屈みになる、持ち上げる、歩く、運転するなど)があなたの腰痛にどれだけ影響するか、もしくは影響する可能性があるか、0から6の中で、最もあてはまる数字に◯をつけてください。
1.私の腰痛は身体の動作が原因で生じた
2.身体の動作は、私の腰の痛みを悪化させる
3.身体の動作は、私の腰に悪い影響を与えるかもしれない
4.私の腰痛を悪化させる(悪化させるかもしれない)ような身体の動作をすべきではない
5.私の腰痛を悪化させる(悪化させるかもしれない)ような身体の動作はできない
スコアをつける際は、1以外の項目の点数の合計を算出します。
恐怖回避思考の傾向が強いのは、合計得点が15点以上の場合とされています。
家族の腰痛での日常生活動作支障の経験,運動習慣が無いこと,医療機関での安静の指示,慢性腰痛の経験,きっかけがスポーツ以外,坐骨神経痛を伴っていたこと,労働災害であったことが,FABQ の身体動作領域スコアが高いことと有意な関連があった(年 齢および過去の腰痛に伴う障害の程度を調整).
さらに,FABQ の計量心理学的検討から,痛みやうつ気分が強い労働者,腰痛による欠勤や腰痛再発の経験がある労働者でFABQスコアは有意に高かった(恐怖回避思考が強かった).
日本人勤労者を対象とした腰痛疫学研究
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痛みへの不安や恐怖感から過度に体を大事にする意識や思考、活動から回避しようとする行動を恐怖回避思考(行動)といいます。
恐怖回避思考(行動)は欧米では腰痛の回復のしやすさや就労状況、慢性化に強く影響していると指摘されています。
TSKは運動器に関連する分野で恐怖回避行動を測る調査票です。
TSK-11-Jは11の質問項目から構成されます。
各質問に対し、「少しもそう思わ ない」、「そう思わない」を0点とし、「そう思う」 、「強く思う」を1点として4段階で評価します。
1.運動すると体を痛めてしまうかもしれないと不安になる
2.痛みが増すので何もしたくない
3.私の体には何か非常に悪いところがあると感じている
4.他の人は私の体の状態のことなど真剣に考えてくれない
5.アクシデント、痛みが起こったきっかけのせいで、私の一生痛みが起こる体になった
6.痛みを感じるのは、私の体を痛めたことが原因である
7.不必要な動作を行わないよう、とにかく気をつけることが、私の痛みを悪化させないためにできる最も確実なことである
8.この強い痛みは私の体に何か非常に悪いことが起こっているからに違いない
9.体を痛めないために、痛みを感じたら私は運動をやめる
10.私はとても体を痛めやすいので、すべてのことを普通の人と同じようにできるわけではない
11.痛みがある時は、誰であっても運動することを強要されるべきでない
合計得点は0点~11点で、得点が高いほど恐怖回避思考(行動)が強いという解釈になります。
腰痛の有無にかかわらず全回答者の平均得点は2.58±2.57点であった。腰痛の有無でみてみると腰痛あり群は3.13±2.66点、腰痛なし群は1.54±1.78点で腰痛群は恐怖回避思考(行動)が強かった。
職場における腰痛の効果的な治療法に関する研究
恐怖回避思考が高い場合には、認知行動療法的なアプローチも取り入れることが考えられます。
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非特異的腰痛では、運動器と脳の両方の機能不全が関係しているとされています。
「不良姿勢に伴うメカニカル・ストレスが、運動器(脊椎)の不具合(椎間板内や椎間関節の微小な不適合とこれらに伴う軽微な炎症、背筋の筋緊張・ 阻血など)をもたらし、心理社会的ストレスが、脳辺縁系でのドパミン・オピオイドシステムの異常といった脳(中枢性)機能の不具合を起こすことがある。
脳機能の不具合の反応・結果として、抑うつや自律神経失調に伴う身体化 (反応性の筋攣縮や局所の阻血、腰痛はその一症状)が現れやすくなる。
加えて、下行性疼痛調節系の機能異常および中枢性感作(痛覚過敏 )の状態に発展しうる。
高齢者と慢性運動器痛 (4) 非特異的腰痛のマネジメント
運動器による不具合の特徴は、姿勢・動作と腰痛との関係性が明確かつ一貫性があること、全く痛くない姿勢が必ずあることが挙げられます。
一方、脳による不具合の特徴は、普通そんな痛くないだろうという刺激で、すごく痛がること、身体化を疑う身体症状が複数あり、あちこち痛いことが挙げられます。
SSS‒8は、広範囲な痛みを含む身体化の程度を簡便にスクリーニングできる評価方法です。
自記式質問票で、Patient Health Questionnaire‒15(PHQ‒15)の短縮版として、開発されました。
SSS-8は、最近1週間の体の問題(①胃腸の不調 ②腰背部痛 ③ 四肢・関節の痛み ④頭痛 ⑤胸痛または息切れ ⑥めまい ⑦疲労感 ⑧睡眠障害)について、どの程度悩まされたかを5 段階評価で問う質問票です。
0:ぜんぜん悩まされていない
1:わずかに悩まされている
2:少し悩まされている
3:かなり悩まされている
4:とても悩まされている
設問項目
1.胃腸の不調
2.背中,または腰の痛み
3.腕,脚,または関節の痛み
4.頭痛
5.胸の痛み,または息切れ
6.めまい
7.疲れている,または元気が出ない
8.睡眠に支障がある
合計得点を算出し、16点以上は脳機能の不具合が関与している可能性が高いと判断します。
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疼痛生活障害評価尺度(PDAS)は、痛みが日常生活においてどの程度影響を与えているかを把握する評価ツールです。
PDASは、慢性疼痛に対する生活障害の評価が対象になります。
PDASでは、20項目(起居動作、移動、上肢活動など)から構成され、それぞれを4件法にて評価していきます。
ここで、慢性疼痛というのが、どのようなものかを確認していきます。
慢性疼痛について、
慢性疼痛は国際疼痛学会によって「治療を要すると期待される時間の枠組みを越えて持続する痛み,あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み」とされており1),慢性疼痛の多くが外傷や疾病に起因す る急性疼痛からの移行した痛みであるが,疼痛を誘発する刺激(侵害刺激) が持続的あるいは断続的に存在するために生じる場合も含まれる.
持続時間については一般的に 3 ヵ月以上持続 するものを慢性疼痛とすることが適当とされているが 2),持続時間についてのコンセ ンサスは明確でなく,特に急性疼痛からの移行した痛みの場合は,痛みの原因となっている疾患あるいは病態が治癒した後も持続する疼痛を慢性疼痛とすることが妥当とも考 えられており,診断における時間の枠は重要でないようである。
標準的神経治療 :慢性疼痛
とあります。
自己質問式。
「0」:「この活動を行うのに全 く困難(苦痛)はない」
「1」:「この活動を行うのに 少し困難(苦痛)を感じる」
「2」:「この活動を行うの にかなり困難(苦痛)を感じる」
「3」:「この活動は 苦痛が強くて ,私には行えない」
評価項目
掃除機をかけ、庭仕事など家の中の雑用をする
ゆっくり走る
腰を曲げて床のものを拾う
買い物に行く
階段を登る、降りる
友人を訪れる
バスや電車に乗る
レストランや喫茶店に行く
重いものを持って運ぶ
料理を作る、食器洗いをする
腰を曲げたり伸ばしたりする
手を伸ばして棚の上から重いもの(砂糖袋など)を取る
体を洗ったり、拭いたりする
便座に座る、立ち上がる
ベッド(床)に入る、ベッド(床)から起き上がる
車のドアを開けたり、閉めたりする
じっと立っている
平らな地面の上を歩く
趣味の活動を行う
洗髪する
最高点は60点、最低点は0点です。
カットオフ値は10点とされています。
慢性疼痛において、どのような動作が疼痛と関係しているかを把握することは重要です。
痛みの部位を知るのはもちろんですが、リハビリテーションではやはり生活障害との結びつきから生活に対する満足度を高めていくようなアプローチが必要になります。
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神経障害性疼痛は、神経が傷つくことによってその支配領域の感覚に異常が起こる病気です。「触っただけで痛い」、「砂利を踏んでいるようだ」など、通常とは異なる感覚が現れます。
糖尿病性神経障害や、脊柱管狭窄症が治った後の足へのしびれ感、座骨神経痛、帯状疱疹後の神経痛、神経根圧迫による慢性疼痛なども含まれます。
NPSIは神経障害性疼痛での痛みの性質を自発痛、発作痛、 誘発痛、 異常感覚の4つの要素に分け、それぞれの重症度を0~10の11段階で評価する質問紙です。
上記の疾患や、複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome:CRPS)に対して用いられます。
NPSIの使用意義としては、以下のことが挙げられます。
疼痛発症機序が明らかにで きれば原因療法が可能となるが,神経障害性疼痛患者の疼痛発症機序を解明することは現時点では難しい.
そこで,臨床的に疼痛発症機序を推測する方法として疼痛の性質を評価することが有用である.
Neuropathic P ain Symptom In ventor y 日本語版を用いて 脊髄損傷後疼痛の治療効果を評価した 1 例
0:そのような痛みを感じない
10:最悪の痛みを感じる
自発痛
焼けつくような
絞り上げられるような
圧迫されるような
発作痛
電気ショックのような
刃物で刺されるような
誘発痛
皮膚をこすられると
皮膚を押されると
冷たいもので触れると
異常感覚
針でチクチクとつつかれるような
ビリビリとしびれたような
各項目における得点は、対象者がどの痛みの性質をどの程度感じているかを把握することができます。
また、合計得点の算出することも可能です。
幻肢痛,脊髄損傷後疼痛,神経障害性疼痛に対して,ミラーセラピーを行ったところ,自己固有感覚の痛み(例:ねじれるような)には効果があり,皮膚受容感覚の痛み(例:ナイフで刺されたような)では効果が認められなかった ことが報告されており,痛みの性質を評価することは治療方針を決定する上で有用である.
痛みに対する評価とリハビリテーション 方略 – 臨床でのスタンダードを目指して –
痛みの性質評価をもとに、リハビリテーションアプローチを考えていく一助となります。
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NDI(Neck Disability Index)は、頸部痛の方の健康状態や治療効果の測定のために行われる評価です。
自己記入式の質問票を用いて回答してもらいます。
NDIは信頼性・妥当性についても検討されています。
NDIは日常生活動作についても設問が7つ、疼痛に関する設問が2つ、集中力についての設問が1つの計10項目での構成となっています。
各項目は0~5点の6件法で評価します。
0:現在、首は痛くない
1:非常に軽い痛みがある
2:中程度の痛みがある
3:強い痛みがある
4:非常に強い痛みがある
5:考えられる中で一番強い痛みがある
身の回りのこと
0:首の痛みなく、身の回りのことは自分でできる
1:首は痛くなるが、身の回りのことは自分でできる
2:身の回りのことをすると首が痛くなるので、ゆっくりと気をつけて行っている
3:多少手伝ってもらうが、ほとんどの身の回りのことは何とか自分でできる
4:ほとんどの身の回りのことは、毎日手伝ってもらう必要がある
5:着替えや洗髪をすることが難しく、ベッドに寝ている
物の持ち上げ
0:首の痛みなく、重い物を持ち上げることができる
1:首は痛くなるが、 重い物 を持ち上げることができる
2:首の痛みのため、床から重い物を持ち上げられないが、テ ーブルの上などにあれば持ち上げることができる
3:首の痛みのため、重い物を持ち上げられないが、持ち上げやすい場所にあれば、軽い物ならば持ち上げることができる
4:非常に軽い物ならば持ち上げることができる
5:持ち上げたり、運んだりすることがまったくできない
読書
0:首の痛みなく、好きなだけ読書ができる
1:軽い首の痛みはあるが、好きなだけ読書ができる
2:中程度の首の痛みはあるが、好きなだけ読書ができる
3:中程度の首の痛みのため、長時間の読書ができない
4:強い首の痛みのため、長時間の読書ができない
5:まったく読書ができない
頭痛
0:頭痛はまったくない
1:たまに軽い頭痛がする
2:たまに中程度の頭痛がする
3:頻繁に中程度の頭痛がする
4:頻繁に強い頭痛がする
5:ほとんど常に頭痛がする
集中力
0:問題なく十分に集中することができる
1:多少の問題はあるが、十分に集中することができる
2:集中するのが難しい
3:集中するのがかなり難しい
4:集中するのが非常に難しい
5:全く集中できない
仕事
0:思う存分仕事ができる
1:通常の仕事はできる
2:通常の仕事のほとんどはできる
3:通常の仕事ができない
4:ほとんど仕事ができない
5:まったく仕事ができない
運転
0:首の痛みなく、車の運転ができる
1:軽い首の痛みはあるが、運転できる
2:中程度の首の痛みはあるが、運転できる
3:中程度の首の痛みのため、長時間の運転はできない
4:強い首の痛みのため、ほとんど運転できない
5:首の痛みのため、まったく運転できない
睡眠
0:眠るのは問題ない
1:睡眠障害はわずかで、 眠れない時間は1時間未満である
2:睡眠障害は軽く、 眠れない時間は1~2時間である
3:睡眠障害は中程度で、 眠れない時間は2~3時間である
4:睡眠障害は重く、 眠れない時間は3~5時間である
5:睡眠障害は非常に重く、 眠れない時間は5~7時間で、ほとんど眠れない
レクリエーション
0:首の痛みなく、すべての余暇活動を行える
1:首は少し痛いが、すべての余暇活動を行える
2:ほとんどの余暇活動を行えるが、首の痛みのため、すべては行えない
3:首の痛みのため 、わずかな余暇活動しか行えない
4:首の痛みのため、ほとんどの余暇活動が行えない
5:首の痛みのため、まったく余暇活動が行えない
評価用紙:
合計点数は0~50点で評価し、点数が高いほど障害が大きいことを意味しています。
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恐怖回避思考は、痛みに対する不安や悲観的な思考、それに伴う活動することへの恐怖に伴う行動の制限をさします。
恐怖回避思考を持つと、治療効果やその後の回復に悪影響を与えます。
恐怖回避思考は心的ストレスとなり脳の機能不全をもたらし痛覚過敏につながります。
心理・認知面への配慮を特に必要とする患者(高リスク群)の判定に便利である。
高リスク群の判定には、腰痛遷延化の危険因子(予後規定因子)として重要視される破局的思考や恐怖回避行動といった心理的要因に簡潔 ながら十分配慮していることが特徴である。
高齢者と慢性運動器痛 (4) 非特異的腰痛のマネジメント
9つの質問から構成されています。
設問1〜8は「そうでない」を0点、「そうだ」を1点とします。
設問9では「全然」「少し」「中等度」を0点、「とても」「極めて」を1点とします。
直近2週間のことを考えて、
1.腰痛が足のほうにも広がることがあった
2.肩や首にも痛みを感じることがあった
3.腰痛のため、短い距離しか歩いていない
4.腰痛のため、ゆっくり着替えをした
5.私のような状態の人は、体を動かし活動的であることは、決して安全とはいえない
6.心配事が心に浮かぶことが多かった
7.私の腰痛はひどく、決してよくならないと思う
8.以前は楽しめたことが最近は楽しめない
9.全般的に考えて、ここ2週間の間に腰痛をどの程度煩わしく感じましたか
総合得点が3点以下であればリスクが低い状態です。
総合得点が4点以上で、設問5〜9の得点が3点以下であれば中等度のリスクです。
総合得点が4点以上で、設問5〜9の得点が4点以上であれば高リスクです。
松平は高リスクの者に対しては、
「例えれば、あなたは恐怖回避思考というウイルスに感染しています。ワクチンは、正しい腰痛の知識を得て、安静重視といった不適切で不健康な行動をやめることです」と説明し、2015年の夏に放映された「NHKスペシャル 腰痛・治療革命」(http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/)で紹介した映像を観るよう勧めている。
高齢者と慢性運動器痛 (4) 非特異的腰痛のマネジメント
としています。
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ODIは1976年に、慢性腰痛患者のADL障害の程度を評価するために開発され、その後、改訂がなされています。
ODIは10セクションから構成されています(痛みの強さ、身の回りのこと、物を持ち上げること、歩くこと、座ること、立っていること、睡眠、性生活、社会生活、乗り物での移動)。
各セクションは6段階の質問からなり、重傷なほど高い点数( 0〜5点)が与えられています。
実施時間は平均7分です。
妥当性、信頼性、反応性が十分に示されています。
0 .今のところ,痛みはまったくない .
1.今のところ,痛みはとても軽い.
2.今のところ,中くらいの痛みがある.
3.今のところ,痛みは強い.
4.今のところ,痛みはとても強い.
5.今のところ,想像を絶するほどの痛みがある.
身の回りのこと(洗顔や着替えなど)
0.痛みなく,普通に身の回りのことができる.
1.身の回りのことは普通にできるが,痛みがでる.
2.身の回りのことはひとりでできるが,痛いので時間がかかる.
3.少し助けが必要だが,身の回りのほとんどのことは,どうにかひとりでできる.
4.身の回りのほとんどのことを,他のひとに助けてもらっている.
5.着替えも洗顔もできず,寝たきりである.
物を持ち上げること
0.痛みなく,重いものを持ち上げることができる.
1.重いものを持ち上げられるが,痛みが出る.
2.床にある重いものは痛くて持ち上げられないが,(テーブルの上などにあり)持ちやすくなっていれば,重いものでも持ち上げられる.
3.重いものは痛くて持ち上げられないが,(テーブルの上などにあり)持ちやすくなっていれば,それほど重くないものは持ち上げられる.
4.軽いものしか持ち上げられない.
5.何も持ち上げられないか,持ち運びもできない.
歩くこと
0.いくら歩いても痛くない.
1.痛みのため,1Km以上歩けない.
2.痛みのため,500m以上歩けない.
3.痛みのため,100m以上歩けない.
4.つえや松葉づえなしでは歩けない.
5.ほとんどとこの中で過ごし,歩けない.
座ること
0.どんないすにでも,好きなだけ座っていられる.
1.座りごこちの良いいすであれば,いつまでも座っていられる.
2.痛みのため,1時間以上は座っていられない.
3.痛みのため,30分以上は座っていられない.
4.痛みのため,10分以上は座っていられない.
5.痛みのため,座ることができない.
立っていること
0.痛みなく,好きなだけ立っていられる.
1.痛みはあるが,好きなだけ立っていられる.
2.痛みのため,1時間以上は立っていられない.
3.痛みのため,30分以上は立っていられない.
4.痛みのため,10分以上は立っていられない.
5.痛みのため,立っていられない.
睡眠
0.痛くて目をさますことはない.
1.ときどき,痛くて目をさますことがある.
2.痛みのため,6時間以上はねむれない.
3.痛みのため,4時間以上はねむれない.
4.痛みのため,2時間以上はねむれない.
5.痛みのため,ねむることができない.
性生活(関係あれば)
0.性生活はいつもどおりで,痛みはない.
1.性生活はいつもどおりだが,痛みがでる.
2.性生活はほぼいつもどおりだが,かなり痛む.
3.性生活は,痛みのためにかなり制限される.
4.性生活は,痛みのためにほとんどない.
5.性生活は,痛みのためにまったくない.
社会生活(仕事以外での付き合い)
0.社会生活はふつうで,痛みはない.
1.社会生活はふつうだが,痛みが増す.
2.スポーツなどのように,体を動かすようなものをのぞけば,社会生活に大きな影響はない
3.痛みのため社会生活は制限され,あまり外出しない.
4.痛みのため,社会生活は家の中だけに限られる.
5.痛みのため社会生活はない.
乗り物での移動
0.痛みなくどこへでも行ける.
1.どこへでも行けるが,痛みが出る.
2.痛みはあるが,2時間程度なら乗り物に乗っていられる.
3.痛みのため,1時間以上は乗っていられない.
4.痛みのため,30分以上は乗っていられない.
5.痛みのため,病院へ行くとき以外は乗り物には乗らない.
各セクションの合計点を満点の50で割り、%で算出します(0〜100%)。
未回答のセクションがある場合、そのセクションの数を5倍したものを50 から減じたもので合計得点を割ります。
重傷度が増すほどODI スコア(%)は高くなります。
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RDQ(Roland-Morris Disability Questionnaire)は1983年にイギリスのMartin RolandとRichard Morrisによって作成ものです。
RDQは広い意味でQuality of Life(QOL)を測定すると考えられるが,Rollandらは,開発時にはRDQをQOL尺度とは位置づけておらず,“腰痛によって日常生活が障害される程度”を評価する尺度としている.
Roland-Morris Disability Questionnaire(RDQ) によるアウトカム評価
RDQは対象者が直接回答をし、約5分で実施できます。
日常生活動作が腰痛により障害されているかを、24項目からみていきます。
各項目に「はい」「いいえ」で回答していきます。
RDQ日本語版は、十分な計量心理学的特徴(信頼性・妥当性・反応性)を持つことが示されています。
今日の腰痛のために
1 腰痛のため,大半の時間,家にいる
2 腰痛を和らげるために,何回も姿勢を変える
3 腰痛のため,いつもよりゆっくり歩く
4 腰痛のため,ふだんしている家の仕事を全くしていない
5 腰痛のため,手すりを使って階段を上る
6 腰痛のため,いつもより横になって休むことが多い
7 腰痛のため,何かにつかまらないと,安楽椅子(体を預けて楽に座れる 椅子,深く腰掛けた姿勢)から立ち上がれない
8 腰痛のため,人に何かしてもらうよう頼むことがある
9 腰痛のため,服を着るのにいつもより時間がかかる
10 腰痛のため,短時間しか立たないようにしている
11 腰痛のため,腰を曲げたりひざまずいたりしないようにしている
12 腰痛のため,椅子からなかなか立ち上がれない
13 ほとんどいつも腰が痛い
14 腰痛のため,寝返りがうちにくい
15 腰痛のため,あまり食欲がない
16 腰痛のため,靴下やストッキングをはくとき苦労する
17 腰痛のため,短い距離しか歩かないようにしている
18 腰痛のため,あまりよく眠れない (痛みのために睡眠薬を飲んでいる場合は「はい」を選択して下さい)
19 腰痛のため,服を着るのを誰かに手伝ってもらう
20 腰痛のため,一日の大半を,座って過ごす
21 腰痛のため,家の仕事をするとき力仕事をしないようにしている
22 腰痛のため,いつもより人に対していらいらしたり 腹が立ったりする
23 腰痛のため,いつもよりゆっくり階段を上る
24 腰痛のため,大半の時間,ベッド(布団)の中にいる
「はい」 と回答した項目の数がRDQの得点になります。
高得点なほど日常生活の障害の度合いが大きい ことを示しています。
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