食事動作について、新人教育用に資料を作成したので、公開します。
目次
スポンサードサーチ
更衣動作(下衣)の評価と結果の解釈、リハビリテーションアプローチに向けて更衣動作(上衣)の評価方法と結果の解釈(高次脳を中心)、リハビリアプローチの方法!
トイレでのズボン着脱動作に向けたリハビリテーションアプローチ
入浴動作の評価と環境設定!身体機能に合わせた福祉用具の選び方、用い方!
スポンサードサーチ
食物を食べるという行為には、①食物の認識②口への取り込み③咀嚼と食塊形成④咽頭への送り込み⑤嚥下反射⑥食道通過という流れがあり、摂食とは①〜6までの全ての過程をさし、嚥下とは④〜⑥までの過程をさします。
スポンサードサーチ
誤嚥とは、唾液や食物に含まれた細菌が飲み込むときに食道ではなく気管に入ってしまうことです。
誤嚥は肺炎にもつながることがあるため、見逃してはならない兆候です。
誤嚥のチェックポイントとして食事場面での嚥下チェックと、日常生活上での嚥下障害を疑う症状のチェックポイントが上記になります。
摂食と嚥下については以下の記事も参照してください。
脳卒中と摂食・嚥下障害、栄養〜代替栄養を中心に〜
スポンサードサーチ
嚥下において、頸部をやや屈曲した姿勢は、咽頭と気管に角度がつくため、誤って気管に食物が流れ込むのを防いでくれることに役立ちます。
対象者において、なんらかの影響で頸部が伸展していると、飲み込みにくいばかりか、誤嚥を発生させるリスクも高まるため注意が必要です。
スポンサードサーチ
体幹の傾きは上肢操作や頸部角度に影響します。
食べこぼしが多い場合などでは、姿勢全体の崩れが生じていないかという点も見ておく必要があります。
足底設置していないと、その上部にある股関節から体幹にかけての安定性が保証されません。
テーブルの高低も、姿勢や上肢操作に影響を与えます。
スポンサードサーチ
姿勢筋緊張の亢進は、口腔の動きを制限したり、舌の動きのスムーズさを妨げます。
また、口輪筋など口腔周囲の筋肉や嚥下時の口唇の動きに影響を与えます。
姿勢筋緊張の低下は体幹や抗重力伸展位の保持を困難にし、運動性を妨げます。
また、姿勢筋緊張を適切な張力で一定に保てていないと、中間域のちょうどいい範囲での運動コントロールが困難になります。
食事と姿勢筋緊張については以下の記事も参照してください。
発達障害と摂食機能評価の視点
スポンサードサーチ
体幹の傾きに対してはクッションやバスタオルを適度な厚みにして調整します。
調整後、食事動作に伴って嚥下や上肢操作、時間経過に伴う体幹部の崩れがないか等をチェックします。
円背に対しては、骨盤を前傾しすぎると逆効果になります。
骨盤をやや後傾位にすると頸部が自然に前屈し、嚥下しやすくなります。
車いす用テーブルは、身体との接触面も大きくなることから、姿勢制御の難しさを補ってくれることもあります。
スポンサードサーチ
上図を見ると、食事姿勢(体幹(股関節)の角度)により視覚情報の多さに違いがあることがわかります。
椅子座位では最も視覚情報量が多く、ベッドギャッジアップ角度が低くなればなるほど、視覚情報量が少ないことがわかります。
食べこぼしが多かったり、上肢操作が行いにくそうであれば、視覚情報量の増減によってどの程度変化するかということも評価の視点として持って置くと良いでしょう。
スポンサードサーチ
ベッドギャッジアップ角度が小さければ、レバーアームが長くなるため、肩関節への負担が大きくなります。
一方、ギャッジアップ角度が多きければ、肩関節への負担は小さくなります。
スポンサードサーチ
口への運搬には、肩外転5-35°、内旋5-25°、屈曲70-130°、前腕回内40°、回外60°、手背屈25°、掌屈10°、尺屈20°、橈屈5°が必要とされています。
前腕回内制限は細かなつまみ作業の低下に繋がります。
代償動作としては肩内旋や外転が見られます。
また前腕周囲筋の過剰収縮でROM制限や疲労疲労が強くなることも考えられます。
内旋位上肢挙上はインピンジメント(運搬動作)にも繋がります。
前腕回外制限は手掌や手指使用の低下につながります。
代償動作として肩外旋運動とや外転が見られます。
肩外転代償での動作は筋疲労に繋がります。
肩外転位での上肢操作では、近位部での安定性が低下するので、遠位での操作も低下します。
スポンサードサーチ
箸操作などでは巧緻性が要求されます。
巧緻動作をスムーズに行うために必要なのが、内在筋です。
脳卒中片麻痺者では、内在筋よりも外在筋の方が筋出力が発揮されやすく、その不均衡な状態が巧緻性の低下を引き起こしていることが考えられます。
そのため、背側骨間筋、掌側骨間筋、虫様筋、母・小指球筋の働きを評価、強化していく必要があります。
脳卒中片麻痺と上肢機能については以下の記事を参照してください。
脳卒中片麻痺者と上肢機能評価、リハビリテーションに向けた実践的知識と方法!
スポンサードサーチ
お椀を持つには前腕の回外と重みに負けないための手関節掌屈の出力発揮と維持が求められます。
また、お椀の形に沿って適切な持ち方をするためには、内在筋の働きも重要です。
お椀を口に運搬するためには、肩関節内転位から多少外転必要で、最後に肩関節外旋が必要となります。
肘は伸展位から屈曲位への運動が必要になります。
スポンサードサーチ
食具によって、つかむ、刺す、切る、すくうなどの動作に向き不向きがあることがわかります。
中でもケンジースプーンは、これらの全ての要素が行いやすいという特徴があります。
把持の問題(可動域、ピンチ力)には太柄、ホルダーの使用を検討します。
操作の問題にはフードガードのついた皿、滑り止めの使用を検討します。
運搬の問題にはヘッドを曲げて角度をつける、柄の長いものの使用を検討します。
重さ、形状についても金属、プラスチック、ボール部分の深さ、大小などを検討します。
スポンサードサーチ
脳卒中片麻痺者で、箸などの操作側と反対側の上肢が重度運動麻痺の場合、その手が食事に参加していない場面がよくあります。
しかし、非操作側の上肢をテーブル上に乗せて置くだけでも、体幹の安定につながります。
段階付として、皿に手を添える(滑り止めマットを敷いて→敷かないで)、皿を把持するなどがあります。
スポンサードサーチ
連結箸(箸ぞうくん等)は固定・操作箸を揃えてくれるメリットがあります。
連結箸の練習をしても自由箸にはつながりにくいとも言われています。
割り箸は塗り箸と比較し面が四角なので摩擦力が生じやすいことが特徴です、。
また素材も摩擦係数が高くなっています
スプーンは自由度が高い食具です。
平行面を保つために、関節参加数が多く、自由度の高い課題であると言えます。
スポンサードサーチ
チャンネル登録よろしくお願いします→https://bit.ly/37QHaWc
スポンサードサーチ
利き手交換については以下の記事も参照してください。
箸操作の利き手交換用練習パンフレット〜自主的なリハビリテーションで行ってほしいこと〜を作成しました!
スポンサードサーチ
様々な予後予測がありますが、最悪準実用手レベルで、自助箸を使用できると考えられるため、それ以下の予後予測に終わるようであれば利き手交換を進めていくことが必要になります。
脳卒中と予後予測については以下の記事を参照してください。
脳卒中片麻痺の予後予測(急性期、上肢、歩行、失語)の方法!
スポンサードサーチ
箸操作ができるためには、粘土(セラプラスト)を手指伸展位(MP軽度屈曲、IP伸展)で行えることが必要です。
また、ペグの回転を手関節をできる限り背屈した状態で、空間内で両方向に回転できる上肢操作能力が求められます。
スポンサードサーチ
食事場面では、高次脳機能障害として失行(運動性、観念性)、保続、空間関係の障害、半側身体無視、半側空間無視などが観察されます。
食事場面で上記のうような症状が確認されたのであれば、他のADLにおいても観察されていないか確かめる必要があります。
ADL場面で観察される高次脳機能障害については以下の記事を参照してください。
基本動作、ADLの観察評価!高次脳機能障害の現れ方!
スポンサードサーチ
食事場面でスプーンでおかずを口いっぱいになるまで運ぶような方がいます。
これは、食事ペースをモニタリングできていないことによるものだと考えられ、ペーシング障害と言われています。
ペーシング障害は、右半球に起因し、特異的な注意行動の障害とされています。
右頭頂葉損傷患者では、運動を企画するシステムと、実運動を照合することが難しくなり、運動行為が報告されなくなります。
すると、予測と結果が照合できなくなり、ペーシング障害が現れます。
ペーシング障害の改善には、モニタリング機能を高めることがポイントになりますが、これはかなりの時間と手間がかかってしまいます。
ペーシング障害や注意機能については以下の記事を参照してください。
注意障害の評価と解釈、リハビリテーションの進め方
スポンサードサーチ
食物と認識することで、取り込みに向けた運動が企画されます。
そのため、食物の認識に問題があると、それ以降の運動が発現しなくなります。
食物の認識を高めるためには、視覚、聴覚、触角、嗅覚、味覚をフルに使って知覚→認知の段階を得てもらうようにすることが大切です。