圧迫骨折後のリハビリテーションでは、急性期(骨癒合前)と慢性期(骨癒合後)分けて考える必要があります。今回、圧迫骨折(骨癒合前)のリハビリテーションと筋力トレーニングについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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圧迫骨折の急性期(骨癒合が得られるまで)の目的は、骨癒合の促進を阻害せず、椎体の圧潰の進行を防ぐことです。
リハビリテーションでは、体幹や下肢筋を強化することで、姿勢の維持や矯正を図っていきます。
脊柱後弯、椎体の圧潰進行は腰背部の筋緊張を亢進させ、慢性的な筋疲労にもつながり腰背部痛を生じさせてしまいます。
早期より離床許可が出た場合、ADLやQOL低下を防ぐために歩行機能を向上させ、ADL指導も行う必要があります。
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圧迫骨折後は、骨癒合が得られるまで椎体の圧潰変形は進行してしまいます。
それを防ぐためにもコルセットの役割は重要です。
リハビリテーションの実施前にはコルセットが体と適切に密着しているか、体幹屈曲や伸展が外固定により制動されているかを確認する必要があります。
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体幹伸筋群の筋力が低下している対象者の圧迫骨折では、座位や立位、歩行時に前方重心の制御が困難になり、椎体の圧潰が進行しやすくなります。
体幹伸筋群の筋力トレーニングにより進行をとめることが重要になります。
体幹伸筋群の筋力トレーニングの開始については様々な考え方がありますが、赤羽根は破裂骨折や後壁損傷などがない限り、受傷1週間から開始してもよいとしています。
トレーニング姿勢の考え方としては、椎体の前側が上に位置するよりも、椎体の上側が上方に位置する(椎体の水平化)、圧迫骨折部は圧着して安定します。
背臥位ではギャッジアップ30°程度にし、できるかぎり圧迫骨折部を水平化する必要があります。
離床後は10分程度座位が安定したら座位で、立位が安定したら立位で行います。
腹臥位での脊椎伸展運動は3週間程度控えるようにし、骨癒合が得られた後は行ってもよいとされています。
実際のトレーニングでは、チューブを用いる方法が有用です。
上肢挙上への抵抗に対し、体幹筋を固定筋として働かせるようにします。
①チューブを両上肢で把持し、肩関節90度まで挙上位を開始肢位とします(求心性収縮)
②90°→120°まで3秒かけて屈曲し、その位置で3秒保持します。
③120°→90°まで3秒かけて下ろします。
*①から③を10回で1セットとし、3セット行います。
対象者の状態によりセット数を調整し、肩の痛みがある場合、挙上角度を調整します。
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腸腰筋は股関節屈曲や姿勢の重心制御を行うために働きます。
腸腰筋の弱化は、重心が前方偏移したり、側方へのバランス不良を生じさせ、圧潰変形を増悪させてしまう可能性があります。
歩行では下肢の振り出しに関与しますが、腸腰筋の弱化は下腿三頭筋にその働きを任せてしまうため、下腿三頭筋の筋性疼痛を生じさせてしまうことがあります。
股関節屈曲の不十分さは、腰椎や骨盤が代償するため、脊椎後弯が助長され圧潰変形が進行することにつながります。
腸腰筋のトレーニングは立位が安定する頃に開始します。
立位は椎体が水平化するため、骨折部の圧着は安全なものとなります。
大腰筋は腰椎前弯位では前弯姿勢の保持に働きますが、腰椎後弯位では後弯姿勢を促すように働きます。
そのため、腸腰筋のトレーニングでは骨盤を直立位で行うことが重要です。
具体的には、立位で平行棒を把持し、股関節を屈曲させて行います。
①股関節屈曲0°→90°まで3秒かけて屈曲し、3秒キープします。
②90°→0°まで3秒かけて伸展させます。
*①から②を1回として10回1セットとして3セットまで行います。
対象者の状態によりセット数を調整し、次の段階としては両下肢に重錘(1kg)を巻き行います。
股関節屈曲により骨盤後傾が強くなる場合、股関節屈曲角度を調整します。
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大腿四頭筋の弱化は、膝伸展を制限します。
立位で膝が屈曲位になると股関節は伸展位、骨盤は後傾位となり腰椎の後弯が助長され、圧潰が進行することにつながります。
トレーニングは立位が安定した頃より開始します。
トレーニング中は脊椎と骨盤を直立位に保つようにします。
具体的には、立位で平行棒を把持し、膝関節の屈伸運動を行います。
①膝関節屈曲0°→90°まで3秒かけて行い、3秒キープします。
②90°→0°まで3秒かけて戻していきます。
*①から②を1回とし、10回を1セットとして3セットまで行います。
対象者の状態に合わせてセット数を調整します。
骨盤が後傾する場合、股関節、膝関節の屈曲角度を調整します。
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