高齢者に対する筋力訓練-サルコペニアに対する低負荷トレーニング-
高齢者に対するリハビリテーションにおいて、特にサルコペニアではトレーニングの負荷量設定に悩む事があります。今回、高齢者に対する筋力訓練として、サルコペニアに対する低負荷トレーニングについてまとめていきたいと思います。
目次
高齢者に対する筋力訓練-サルコペニアに対する低負荷トレーニング-
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高齢者に対して、どのような運動を行うのが効果的か?

筋力トレーニングは、様々なアウトカムに対して、ポジティブな効果を与えられることがわかってきています。
ただし、ADLや転倒といったような、複合的な要素を持つものに対しては、筋力トレー二ング単独よりも、バランス運動や有酸素運動を加えるといったメニューで運動を行う方が良いと言われています。
どのくらいの時間で、どのくらいの頻度で、どのくらいの期間で運動を行うのが良いか?

様々な論文が発表されていますが、上記疑問に対して明確な結果を示すものは現在のところありません。
しかし、時間と頻度と期間を掛け合わせた、総実施時間においては、どのくらいの運動時間がアウトカムに影響したかを見ていくと、概ね25時間を超えてくるような運動メニューを作成することで、効果を高めることが期待できると言われています。
このことから、運動を短い時間で少しの期間行うよりも、長い期間をかけて量を提供することで効果を高める事が重要だと考えられています。
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筋力向上に必要な負荷量

通常、筋力向上を目指す場合、1RM、つまり1回の反復運動が可能な最大か重量の70-80%程度の負荷量で、10回反復を3セット程度行うのがスタンダードとなっています。
しかしながらこれではかなり負荷が大きいトレー二ングとなります。
実際の臨床場面でトレーニングするとなると、そこまでの負荷量を設定するのは難しいことが多く、行えていないのが現状かと思います。
その理由としては、環境的な要因や、対象者自身の状態により実施できない事がほとんどだと思われます。
低い負荷の運動であれば、高齢者でも継続して行える場合が多いですが、低い負荷のトレーニングを10回行っただけでは効果は期待しにくいのが現状です。
低負荷トレーニングの効果

近年の研究では、1RMの16-20%のトレーニングでも筋力増強の効果が得られるとされています。
研究では、1RMの20%の運動を100回反復すると、高負荷と比較し同じような効果が得られるわけではありませんが、時間をかければ少しずつ筋力増強が見込める事が分かっています。
さらに、1RMの16%でも、36回10セットの運動で筋タンパク合成反応が促進したとの報告もあります。
低負荷、高負荷のトレーニング効果を比較しても、はっきりとした答えは出ませんが、仕事量依存的に筋力は改善すると言われています。
つまり、低負荷のトレーニングであっても、反復回数を多くすれば、高負荷にも劣らないような結果を期待できる事が言われています。
ただし、低負荷で反復回数の多い運動は、筋力トレーニングと言えるのかというと、どちらかというと有酸素運動に近づいてくるのではないかとも思われます。
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有酸素運動では筋力は向上しないのか

有酸素運動は、TypeⅠ繊維(遅筋)に対して効果が生じやすいですが、実際には、高齢者ではそこまで特異的な反応は得られにくいとされています。
有酸素運動によって、TypeⅠ繊維もTypeⅡ繊維のどちらも有意に増加するとの報告がああります。
逆に、筋力トレーニングを行っても、TypeⅠ繊維もTypeⅡ繊維(速筋)のどちらも肥大するとの報告もありますが、高齢になる程効果は減弱し、高負荷トレーニングによって必ずしも高い効果が得られていない事が報告されています。
高齢者に対しては、トレーニング内容を絞って提供するよりも、少なくとも導入しやすい、継続しやすい運動を提供する事が必要と言えます。
運動継続の必要性

下図を見ると、筋力トレーンングを12週間行って、その効果が得られたとしても、トレーニングをやめれば、元に戻ってしまう事が報告されています(24週後には効果がなくなっている)。
「サルコペニア診療ガイドライン2017」を踏まえた高齢者診療より引用
病院でのリハビリであれば、退院時に転倒直前までの身体機能に戻れば良しとする場合が多く(時際にはそれ以下になっていることも多い)、退院後にも継続できる運動メニューの提供やその環境を整える事が重要になります。
自主トレ継続のコツについては以下の記事を参照してください。
リハビリ・自主トレ継続のためのモチベーションの上げ方!


