水頭症はリハビリテーション場面でしばしば遭遇する診断名です。水頭症の症状としては歩行障害、精神活動低下、尿失禁が三大症候として有名です。今回、リハビリテーションに役立つ正常圧水頭症の特徴と評価、画脳画像、治療などについてまとめていきたいと思います。



目次

line登録もよろしくお願いします

ブログには書けない裏話、更新通知、友だち限定情報などを配信(完全無料)!まずは友だち追加を♪ 友だち追加

リハビリテーション職が上司から求められるスキルと役割

書籍を出版しました。

サラリーマンリハビリ職に求められるスキルと役割の全貌: 組織人として何を求められ、何を身につけ、どう行動すれば良いかがわかる

臨床を助けるnote





療法士で将来のお金が心配な方へ

リハビリテーション職種のための資産形成術-作業療法士の筆者が実際に行う資産運用法を実データを元に紹介-

訪問指導でお悩みの方、自信がない方

訪問指導で在宅復帰と住宅改修を成功させるコツ

在宅復帰につなげるカンファレンス術とは?

何をどう伝えると在宅復帰につながる?リハビリテーション職種のためのカンファレンス攻略術

在宅復帰の妨げになる排泄動作を攻略

どうすれば帰れるか?在宅復帰の妨げになるトイレ動作を解決!-入院中の下部尿路機能評価から動作・環境面への介入、他職種連携を駆使したアプローチ方法-

前頭葉障害に対するリハビリテーション

遂行機能障害リハ(GMT、自己教示法、問題解決訓練、TPM)

高次脳機能障害でアウェアネスどう評価し、どう高めるか

効果を高める!高次脳機能障害のリハビリテーション-アウェアネス(病識・認識メタ認知)をどう評価し、どう高めるか-

移乗動作に対する脳科学的評価、リハビリ(ブレーキ・フットレスト管理等のエラーを減らす)

移乗動作の問題(ブレーキ・フットレスト管理等)に対する評価とリハビリテーション-高次脳・認知機能障害に対する、脳科学的な考え方と評価・アプローチ方法-

注意課題のプリント課題

注意障害プリント課題データ(文字選択、計算、図形)

橋損傷のリハビリテーション

橋損傷のリハビリテーション(脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

視床損傷のリハビリテーション

視床損傷のリハビリテーション(なぜその症状が出現するのか?脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

大脳基底核損傷のリハビリテーション

基底核損傷(被殻出血)のリハビリテーション(なぜその症状が出現するのか?脳画像からの評価項目選定や治療戦略立案)

小脳損傷のリハビリテーション

小脳損傷のリハビリテーション何をするか、しないといけないか(神経システムの理解、脳画像の診方、評価項目選定、治療戦略立案、治療の具体例)

脳卒中片麻痺のトイレ動作(下衣操作)のリハビリテーション実践方法

研究結果から導く!脳卒中片麻痺者のトイレ動作(下衣操作)のリハビリテーション介入-神経システムを考慮した評価・アプローチの具体例-

脳画像の達人へ

新人・学生さんが脳画像の達人に近づくために!脳部位と機能局在、脳のつながりから考える画像の診方!

リハビリテーションと運動学習

リハビリテーションと運動学習!保持や転移(汎化)を促す方法!

認知症リハビリテーション

認知症における作業活動の重要性と課題設定、評価の支援とポイント〜脳機能面も考慮して意欲と運動学習を促し、ADL・IADLを促す方法〜

起立と着座動作のリハビリテーション

起立と着座動作が上手くいかないの原因分析〜誰でも理解できる筋活動とバイオメカニクス、脳機能との関連性も踏まえながら〜

感覚障害のリハビリテーション

感覚障害のリハビリテーション!脳科学と伝統的リハを融合させる考え方と実践方法〜随意性の促進も見据えて〜!

リハビリテーションに役立つ正常圧水頭症の特徴と評価、画脳画像、治療など

スポンサードサーチ

正常圧水頭症の概要

水頭症は髄液の産生と吸収のバランスが乱れる、または髄液の流れが障害されることで脳室などに髄液が滞ることで脳室の拡大がおこり、同時に頭蓋内圧が上昇し、頭痛、嘔吐、意識障害などを生じるものをさします。

正常圧水頭症は、その原因が明らかである場合を続発性正常圧水頭症と呼び、その原因が明らかでないものを特発性正常圧水頭症と呼びます。
続発性水頭症の原因として多いのは、くも膜下出血や頭部外傷、髄膜炎などがあります。

正常圧の意味ですが、これはくも膜下腔での髄液が流れが障害されることで脳室は拡大するのですが、髄液の圧は正常に保たれているということです。

水頭症と言えば、その三大症候として「歩行障害」「精神活動低下」「尿失禁」が代表的ですが、必ずしもその症状が正常圧水頭症で出現するというわけではありません。

スポンサードサーチ

正常圧水頭症の症状について

歩行障害

特発性正常圧水頭症における歩行障害の特徴としては、
・歩幅の減少(small-step gait)
・足の挙上低下(magnet gait)
・開脚歩行(broad-based gait)
があり、歩行障害は初期から見られます。

歩行速度は低下し,不安定となる.方向転換時は特に小歩となり,かつ不安定になる.
また外股で歩き,歩幅が歩行中に著明に変動することも特徴とされている.
歩行開始時や狭い場所を歩くとき,方向転換時にすくみ足が顕著となることがある.
パーキンソン病とは異なり,号令や目印となる線などの外的なきっかけによる歩行の改善効果は少ない.
脳脊髄液排除前に複数回歩行検査を行うことによる練習効果はみられない.
脳脊髄液排除後,歩行速度は速くなるが,これは歩幅の改善によることが多い.
また方向転換に要する歩数も減少する.改善の程度は,一時的な脳脊髄液排除後よりもシャント術後の方が大きい.
しかし足の挙上低下や不安定性など,歩幅の改善や歩行速度と比較して改善しにくい症状もある.

特発性正常圧水頭症診療ガイドライン2011年改訂版

精神活動の低下

・もの忘れ
・自発性の低下
・無関心
・日常動作の緩慢化
などが生じます。

軽症の患者でも精神運動速度が低下し,注意機能,作動記憶(ワーキングメモリー)が障害される.
また記憶障害も初期から認められるが,軽症の患者では,記憶の自由再生の障害と比較すると,記憶の再認は保たれていることが多い.また語想起検査(語列挙検査)でも低下を認める.
脳脊髄液排除前に複数回認知機能検査を行っても学習効果はみられない.
シャント術後には認知機能の中でも言語性記憶と精神運動速度が改善しやすい.
前頭葉機能全般,視覚構成機能も改善しうる.しかし認知機能が健常者のレベルにまで改善することは多くない.シャント術前に言語性記憶障害が強い患者ではシャント術後に全般的な認知機能が改善しにくい.
言語性記憶障害に加えて視覚構成障害や遂行機能障害を有する患者ではさらに改善しにくいと報告されている.

特発性正常圧水頭症診療ガイドライン2011年改訂版

尿失禁

排尿障害としては、
・切迫性尿失禁
・無関心による失禁
などが生じます。

排尿障害の特徴として,尿意切迫,尿失禁が主体である過活動膀胱を認めること,
およびウロダイナミクス検査にて最大尿流速の低下,残尿量の増加や膀胱容量の低下が指摘されている.
その他,過活動膀胱は,心拍変動解析による副交感神経活動の亢進と有意な相関を示し,それらの変動は脳脊髄液排除やシャント手術後に正常レベルに回復するとの報告がある.

特発性正常圧水頭症診療ガイドライン2011年改訂版

スポンサードサーチ

正常圧水頭症の脳画像

正常圧水頭症の脳画像上の特徴としては、
・脳室拡大(左右対称、特に側脳室前角):頭部CTorMRI
・外側溝(シルビウス裂:側頭葉,前頭葉を分ける溝)の拡大:頭部CTorMRI
・側脳室周囲の淡い低吸収域(periventricular lucency:PVL)
・MRI T2協調orFLAIRにて高信号域(PVH:periventricular hyperintensity)
・脳底槽の拡大や前頭葉部の脳溝の狭小化も見られることがあります。
などが確認できます。

スポンサードサーチ

特発性水頭症の重症度スコア(iNPH Grading Scale(iNPHGS))

歩行障害

0:正常
1:ふらつき、歩行障害の自覚のみ
2:歩行障害を認めるが補助器具(杖、手すり、歩行器)なしで自立歩行可能
3:補助器具や介助がなければ歩行不能
4:歩行不能

精神活動低下

0:正常
1:注意・記憶障害の自覚のみ
2:注意・記憶障害を認めるが、時間・場所の見当識は良好
3:時間・場所の見当識障害を認める
4:状況に対する見当識は全くない。または意味ある会話が成立しない。

排尿障害

0:正常
1:頻尿または尿意切迫
2:時折の失禁(1-3回/週)以上
3:頻回の失禁(1回/日)以上
4:膀胱機能のコントロールがほとんどまたは全く不能

スポンサードサーチ

正常圧水頭症の診断でよく聞くタップテストとは?

タップテストは、腰椎穿刺により髄液を30mL程度排除量することで症状の改善が見られるかを確認する検査です。
症状改善は一週間以内にみられるとされています。
歩行障害が主な指標とされていますが、歩行に改善がみられなくても認知機能、自発性、尿失禁の改善が認められる場合もあリます。
タップテストは偽陰性例もあることから注意が必要です。
タップテストが陰性の場合、ドレナージテストを行い1日100~150mL の脳脊髄液を数日間排除します。

スポンサードサーチ

水頭症術後のリハビリテーション効果を測定するための評価指標は?

歩行障害

Gait Status Scale-Revised
姿勢反射障害:重心が足裏から外れる程度に後方に軽く引いて評価
4:足が後方に出ずそのまま倒れる
3:小刻みに突進し自力で止まれない
2:6歩以上突進するが自力で止まれる
1:3〜5歩で自力で止まれる
0:2歩以内で自力で止まれる
開脚歩行
1:あり
0:なし
小刻み歩行
2:歩幅が足底の前後径未満
1:小刻みだが歩幅が足裏の前後径以上
0:なし
すくみ足
2:歩行途中で止まってしまう
1:歩行開始時のみすくむ
0:なし
すり足歩行
1:あり
0:なし
歩行レベル
2:手すり〜用手介助を要する
1:監視下に独歩可能
0:正常
左右の動揺
2:足の運びが左右にふらつく
1:体幹が左右にふらつく
0:なし
加速歩行
2:加速し自力で止まれない
1:加速するが自力で止まれる
0:なし
継ぎ足歩行:8歩の継ぎ足歩行の間に2歩以上やり直したとき障害あり
1:障害あり
0:なし
外股歩行
1:あり
0:なし

Timed Up & Go Test(TUG)
詳しくはこちらの記事を参照

認知障害

MMSE
WAIS-IIIの符号課題,記号探し課題
TMT(A)
FAB
日本版RBMT

スポンサードサーチ

動画で確認

チャンネル登録よろしくお願いします→https://bit.ly/37QHaWc

スポンサードサーチ

脳卒中では損傷部位別の評価とアプローチを行うことが必要ですよね?






呼吸療法認定士の資格を取りたい方は必見

呼吸療法認定士の資格勉強は隙間時間にするのがコツです。

呼吸療法認定士 eラーニング講座

スキマ時間勉強ならリハノメ

PTOTSTのためのセミナー動画が見られます。

各分野のスペシャリストが登壇しているので、最新の知見を学びながら臨床に即活かす事が可能です。

セミナーあるあるですが、、、メモ取りに夢中になり聞き逃してしまった。

なんてことはなくなります。何度でも見返す事が可能だからです。

高額なセミナー料+交通費、昼食代を支払うよりも、スキマ時間を見つけて勉強できる「リハノメ」を試してみるのも良いのではないかと思います。

臨床で差をつける人は皆隠れて努力していますよ。

長い期間で契約したほうが、月額が安くなります。

PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』

PTOTSTが今より給料を上げる具体的方法

転職サイト利用のメリット

何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。

転職活動をする上で、大変なこととして、、、

仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる

この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)

管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。

コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。

日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。

そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。

転職サイト利用のデメリット

デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。

これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。

それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。

そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。

転職サイトは複数登録することも必要

転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。

それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。

せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。

その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。

また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。

自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。

とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!

ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。

最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。

各病院や施設は、全ての求人情報サイトに登録する訳ではないので、複数登録する事で より多くの求人情報に触れる事ができます。

管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。

行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。

転職理由は人それぞれですが、満足できる転職になるように願っています。

管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。

「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典

転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)

PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】