軽度認知障害(MCI)や軽度認知症の方においては、IADLの能力低下が問題になりやすくなります。今回、認知症(認知機能低下)とIADLにおいて、調理の支援に必要な観察評価と評価項目についてまとめていきたいと思います。
目次
認知症とIADL!調理の支援に必要な観察評価と評価項目!
スポンサードサーチ
認知症を学びたい方にオススメの書籍
スポンサードサーチ
認知症やIADLについてのおすすめ記事
- 重度認知症対応の認知機能検査:Cognitive Test for Severe Dementia(CTSD)の概要と評価方法、結果の解釈!
- 認知症対応力向上研修(2019,大阪)認知症と鑑別すべき疾患としてのせん妄!
- 認知症対応力向上研修(2019,大阪)!認知症の周辺症状に対する薬物療法!
- 認知症発症の可能性を評価できる!兵庫県版認知症チェックシート(認知症リスク評価スコアつき)の紹介
- 認知症をもつ方へのBPSD緩和に向けたマッサージ方法!
- 認知症の評価スケールとアプローチ!対象者に合ったバッテリーを用いた効果測定に向けて!
- 認知症予防とエビデンス!運動トレーニングと脳トレ、コグニサイズの方法!
- 脳卒中や認知症と自動車運転!評価やリハに向け知っておきたいこと!!
- IADL(金銭管理)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(調理)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(住まいの管理)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(健康管理)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(買い物)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(洗濯)における評価の視点と情報収集すべき項目
- IADL(掃除)における評価の視点と情報収集すべき項目
- 地域リハでの評価と療法士の役割!評価バッテリー概要と評価方法、結果の解釈
- Life Space Assessment (LSA)の概要と評価方法、結果の解釈
スポンサードサーチ
参考
平成27年度厚生労働省科学研究費補助金 (長寿科学総合研究事業)「生活行為障害の分析に基づく認知症リハビリテーションの標準化に関する研究」分担研究報告書「疾患別認知機能とADL・IADL 自立度との関係及び生活行為チェックリストの作成」分担研究者 田平 隆行
スポンサードサーチ
作業分析と観察評価
作業遂行分析の前に!工程と技能の分析
作業遂行分析を行う前には、その動作の工程と技能の分析を行います。
動作の方法、手順は十人十色なのですが、ある程度大まかな工程と技能の分析ができていると、対象者の方に作業遂行の滞りが見られた場合に、遂行を先に進めるための援助が可能になります。歯磨きをする場合の工程と技能の分析について考えていきます。
工程①歯ブラシと歯磨き粉と棚から取る
技能①道具を見つける、手を伸ばす、物をつかむ
工程②歯ブラシに歯磨き粉をつける
技能②適量を判断する、両手でもつ、つかむ
工程③歯全体を順序良く磨く
技能③小刻みに腕を動かす、順序を考える
工程④コップを戸棚から取る
技能④道具を見つける、手を伸ばす、物をつかむ
工程⑤コップに水を入れる
技能⑤蛇口をひねる、水量を判断する
工程⑥うがいをする
技能⑥コップを口まで運ぶ、適量を判断する
工程⑦歯ブラシやコップを洗う
技能⑦両手を使う、水量を判断する
工程⑧道具をしまう
技能⑧道具の場所を見つける、手を伸ばす、つかむ
工程⑨汚れたシンクを拭く
技能⑨汚れに気づく、スムーズに腕を動かす
作業遂行観察のポイント①:工程を順序良く進めているか
作業遂行を完了させるために工程を飛ばしたり、余計な工程が入ったりせずに、順序良く進めているかを観察していきます。
観察のポイントとしては、
・なかなか始まらない ・すぐに手がとまる ・次の工程に移れない
・いつまでも止めない ・別のことをし始める ・隣の人の物に手を出す
・本来の箇所とは違う箇所に作業を施す ・次第にやり方が変わる
・目的に適わない方法で行う ・不適切な順序で行う
認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P57
が挙げられます。
この要素が見られた場合、作業遂行に時間がかかったり、仕上がりの結果が不十分なものになります。
作業遂行観察のポイント②安全に動作が行えるか
安全に作業遂行するためには、注意力や判断力、また身体機能的な能力が求められます。
事故につながる例として、
・足のつま先が椅子の脚に引っかかる ・歩く際にバランスを崩す
・座る際に臀部が椅子から滑り落ちる ・熱い物を触る ・熱い物をこぼす
・火を消し忘れる ・火の調節をしない ・刃物を使うときに力の調節ができない
・刃物を使うときに、物を固定するほうの手を置く位置が悪い
・嚥下機能が悪いのに一気に食べる ・食べ物でない物を食べる
認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P57
が挙げられます。
作業遂行観察のポイント③動きの滑らかさ
作業遂行の際の、手足、体の滑らかさを観察していきます。滑らかでない場合、遂行完了に時間がかかったり、努力的になってしまいます。また仕上がりの質も不十分となりやすいです。
観察のポイントとしては
・指の動きが拙劣 ・力加減が不適切 ・力を加える方向が誤っている
・動きが緩慢 ・動きが速すぎる ・物の固定が不十分
・物を持つと手が震える ・立ち座りが困難 ・歩行が不安定
認知症をもつ人への作業療法アプローチー視点・プロセス・理論ー P58
スポンサードサーチ
調理の支援に必要な観察評価(作業遂行分析)と評価項目
認知・心理面 運動面 調理準備 1献立
□献立を決めることができる
□献立に合った食材を決めることができる
□冷蔵庫の食品を確認し、必要な材料を決めることができる
□人数に応じた食材の量を決めることができる1. 食材、食器や鍋類の収納場所
□冷蔵庫の食材の賞味期限、消費期限を理解でき、使用できる□食器や鍋類の収納場所を覚えておくことができる1.移動、バランス
□台所まで移動できる
□鍋類を持っての移動ができる
□冷蔵庫から食材を取り出すことができる(動作)
□食器や鍋類を取り出すことができる(動作)調理中 1. 調理の手順
□献立に応じた調理の手順が理解できる(洗う、切る、炒める、煮る)
□手順通りに実施できる2. 食材を洗う
□米研ぎの操作は適切である□ 食材の形状や特性に応じて洗うことができる3. 食材を切る
□皮むきができる(どこを剥けばよいかわかる、剥いていない場所の認識ができる)
□献立に応じた大きさや長さに切ることができる
□安全に注意した包丁等の使用ができる4. 炊飯、加熱調理
□炊飯器の操作ができる(タイマーセットも含む)
□コンロ(ガス・IH)の適切な使用ができる(オン、オフ、加熱調理)
□電子レンジの操作ができる
□コンロや電子レンジの加熱時間を覚えておくことができる
□加熱された鍋や料理などのやけどに注意できる5. 適切な道具の使用
□皮むき器□包丁□菜箸□おたま□フライ返し□しゃもじ6. 味付け
□適切な調味料の選定と量を決めることができる7. 盛り付け
□人数に応じた分量で盛り付けができる
□食器や見栄えを考慮した盛り付けができる1. 立位耐久性、移動、姿勢変換
□調理時間中、立位姿勢を保持できる
□調理台と食器棚、コンロ(IH)の移動や方向転換ができる2. 上肢動作、巧緻性
□米研ぎや食材を洗う動作ができる
□包丁や皮むき器の動作ができる
□炒める、煮るなどの動作ができる
□盛り付ける動作ができる3. 配膳、下膳
□配膳、下膳(トレー等を持っての)の移動ができる調理後 1. 食器洗い
□食器や鍋類を洗うことができる(洗剤やスポンジの使用、洗い残しの位置の認識)
□割れ物や感想に考慮して食器を置くことができる
□食洗機の使用ができる2. 皿拭き、後始末
□皿拭きができる
□食器や鍋類を定位置にしまうことができる1. 立位耐久性、移動、姿勢変換
□立位姿勢を保持できる□ 食器や鍋類をしまうことができる2.上肢動作、巧緻性
□食器や鍋類を洗う動作ができる平成27年度厚生労働省科学研究費補助金 (長寿科学総合研究事業)「生活行為障害の分析に基づく認知症リハビリテーションの標準化に関する研究」分担研究報告書「疾患別認知機能とADL・IADL 自立度との関係及び生活行為チェックリストの作成」分担研究者 田平 隆行
スポンサードサーチ
さらに詳しい解説を動画で確認
チャンネル登録よろしくお願いします⇨https://bit.ly/37QHaWc
呼吸療法認定士の資格を取りたい方は必見
呼吸療法認定士の資格勉強は隙間時間にするのがコツです。呼吸療法認定士 eラーニング講座
スキマ時間勉強ならリハノメ
PTOTSTのためのセミナー動画が見られます。各分野のスペシャリストが登壇しているので、最新の知見を学びながら臨床に即活かす事が可能です。
セミナーあるあるですが、、、メモ取りに夢中になり聞き逃してしまった。
なんてことはなくなります。何度でも見返す事が可能だからです。
高額なセミナー料+交通費、昼食代を支払うよりも、スキマ時間を見つけて勉強できる「リハノメ」を試してみるのも良いのではないかと思います。
臨床で差をつける人は皆隠れて努力していますよ。
長い期間で契約したほうが、月額が安くなります。
PT.OT.STのための総合オンラインセミナー『リハノメ』
PTOTSTが今より給料を上げる具体的方法
転職サイト利用のメリット
何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。転職活動をする上で、大変なこととして、、、
仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる
この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)
管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。
コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。
日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。
そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。
転職サイト利用のデメリット
デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。
それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。
そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。
転職サイトは複数登録することも必要
転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。
せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。
その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。
また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。
自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。
とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!
ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。
各病院や施設は、全ての求人情報サイトに登録する訳ではないので、複数登録する事で より多くの求人情報に触れる事ができます。
管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。
行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。
転職理由は人それぞれですが、満足できる転職になるように願っています。
管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。
「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典
転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)
①PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】
Pingback: BEHAVE-ADの概要と評価方法、結果の解釈 | PTOTST学生のための学習塾