前腕骨骨折のリハビリ-回内外制限の部位別治療の考え方と実際の治療方法-

目次

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前腕(橈骨・尺骨)骨骨折の概要

前腕骨幹部骨折は、橈・尺骨の同時骨折、どちらかの骨折、脱臼を伴う骨折など様々なものがあります。

小児は転位があっても自然矯正されやすいとされています。

成人は転位の整復をしないと回旋制限が残りやすいとされています。

一般的に、仮骨の出現まで3週間、骨癒合まで6~8週間、機能回復まで10〜12週間とされています。

橈骨・尺骨の骨幹部は血行が乏しく遷延治癒(術後3ヶ月以上経過しても骨癒合していない状態)や
偽関節(6ヶ月以上経過しても骨癒合していない状態)となることもあります。

前腕(橈骨・尺骨)骨骨折の症状

骨折により強い痛み、腫れが生じます。

橈・尺骨が両方骨折すると、前腕の中心部で大きく変形することがあります。

どちらか一方の骨折では、変形は見られにくくなります。

皮膚が破れて出血する事があります。

これは「開放骨折」といい骨折した骨の端が皮膚を突き破って露出したりして、骨折部とつながる傷が皮膚にあるものです。

また、血管や神経の損傷を合併する事があります。

これを「コンパートメント症候群」といいます。

コンパーメント症候群では、筋膜で囲まれた場所の内圧亢進により筋や神経に血流障害が起こり、
筋肉が瘢痕化します。

他にも、肘や手関節の脱臼を合併する事があります。

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両前腕骨骨折の治療内容と治療期間

手術療法は角状変形の度合いによります。

角状変形が強いと遺残変形となり、回内外制限などが生じやすいとされています。

小児(10歳未満)では保存療法を行うことが多くなります。

これは、小児骨折は骨癒合しやすく,変形矯正能力が高いためです。

この場合、ギプス固定(4-6週間)を行い、そこからシャーレ固定(数週間)を行います。

10歳以上では固定期間が長くなる事が多くなります(6-8週間)。

成人の骨折は不安定型となりやすいことが特徴です。

成人では手術療法が多くなります(プレートや髄内釘)。

術後の固定が安定していれば早期より積極的に運動が可能になります。

保存療法は転位がほとんどない場合は、10-12週の固定期間が必要となります。

関節可動域制限(回旋制限)の原因の考え方

前腕(橈骨・尺骨)骨幹部骨折では、回旋制限が生じる場合があります。

要因として、大きくは骨性の要素と軟部組織性に分けることができます。

骨性の要因の場合、リハビリでの改善は難しくなります。

角状変形の角度が大きくなると、回旋制限を生じます。

この場合、報告では20°以上とされています。

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近・遠位橈尺関節の機能

近・遠位橈尺関節の機能が正常な場合、骨間膜は、前腕がどの肢位にあっても緊張は一定とされています。

そのため、骨間膜は前腕回旋制限には関与しないとされています。

近・遠位橈尺関節の機能不全は、骨間膜機能を低下させます。

これは、前腕回旋障害の原因になりうることを示しています。

近位橈尺骨関節の問題

近位橈尺骨関節の問題としては、以下のようなものが考えられます。

・方形・輪状靭帯の損傷

・前腕回内運動に伴う尺骨外転運動不足

・橈骨頭制動機能の低下
 これは、回外・円回内筋の問題を含みます。

・回外・円回内・腕橈骨・肘筋の機能不全
 これは、腕尺・橈関節の機能不全につながります。

・骨間部では、橈骨に回外・長母指屈・長母指外転・短母指伸筋が付着し、尺骨に深指屈筋が付着しま
 すが、これらは骨間膜に付着します。
 骨折により癒着しやすく、骨間膜の機能不全につながります。

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遠位橈尺関節の問題

遠位橈尺関節の問題としては、以下のようなものが考えられます。

・三角繊維軟骨複合体損傷
 これは、回内外の運動制御に関係しています。

・尺側手根屈・伸筋の機能不全
 これは、尺側部の安定性に関係しています。

・方形回内筋の機能不全

・長母指外転筋や短母指伸筋などの機能不全
 これらの筋は回旋作用(補助筋)があります。

前腕の関節可動域(回旋)制限の改善

近位橈尺関節・腕橈関節

近位橈尺関節・腕橈関節の問題には、以下のような要素を考える必要があります。

まず、橈骨頭の運動性が必要となります。

近位橈尺関節・腕橈関節付近では、回外筋や円回内筋の柔軟性獲得が重要です。

橈骨頭を制動する外側側副靭帯の伸長性を出す必要があります。

輪状靭帯の伸長性を出すことも必要です、

骨折による瘢痕化は肘伸展・回内制限につながりやすくなります。

前腕中央部

前腕中央部の問題には、以下のような要素を考える必要があります。

この部位は、骨間膜が占める割合が大きいエリアとなります。

骨間膜と連結する筋群に着目し、癒着瘢痕化をなくす事が重要となります。

そのため、長母指屈筋、短母指伸筋、長母指伸筋、長母指外転筋、深指屈筋の柔軟性を出すことがポイントです。

深層筋への操作は、浅層筋の柔軟性低下や筋緊張亢進が改善されている事が必要となります。

遠位橈尺関節

遠位橈尺関節の問題には、以下のような要素を考える必要があります。

まず、遠位橈尺関節や手関節の可動性を出すことが必要です。

方形回内筋の柔軟性の獲得が必要となります。

TFCC(三角繊維軟骨複合体)の損傷の場合、手術療法が必要になる場合があるため注意が必要です。

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前腕骨折後のリハビリテーションの進め方

固定期間中には、骨折部周辺組織の癒着や瘢痕化が問題となります。

これは、固定除去後の可動域制限につながるためです。

固定期間中は、手指運動をしっかりと行うことが重要です。

ギプスの圧迫が強すぎないか、緩すぎないかをチェックすることも必要になります。

固定除去後は、筋スパズムの改善が必要となります。

スパズム除去により筋内圧を改善させることがポイントになります。

まずは表層筋(円回内筋や浅指屈筋)を緩めます。

次に、深層筋の癒着をとるようにします(疼痛に注意)。

橈骨頭周囲の問題は、まずは回外筋を緩める事から始めます。

次に輪状靭帯、外側側副靭帯の伸長性を獲得することがポイントになります。

治療動画(前腕回内外制限の具体的治療)

 

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